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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 内閣総理大臣コメント(北朝鮮による核実験等に関する国連安保理決議の採択について)

[場所] 
[年月日] 2016年11月30日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

平成28年11月30日

 北朝鮮が9月9日に核実験を実施したこと及び累次のミサイル発射を受け、北朝鮮に対する制裁措置を格段に強化する国連安保理決議第2321号が、全会一致で採択されたことを高く評価する。

 北朝鮮の核実験及び弾道ミサイルの発射は、許し難い暴挙であり、断じて容認できない。9月の核実験は、相次ぐ弾道ミサイル発射と相まって、日本を含む国際社会全体にとって新たな段階の脅威であり、今回採択された安保理決議第2321号は、この新たな段階の脅威に対して、国際社会が、これまでと全く異なる新たな次元の厳しい対応を取ることを国際社会の意志として明確に示したものである。

 日本政府は、北朝鮮に対し、国際社会の声を真摯に受け止め、今般採択された国連安保理決議第2321号を始めとする一連の安保理決議を誠実かつ完全に実施し、更なる核実験や弾道ミサイル発射等の挑発行動を行わないよう、強く要求する。

 日本政府は、国連安保理理事国として、米国、韓国をはじめ中国、ロシアなどの関係国と緊密に連携し、今般の国連安保理決議の採択に大きく貢献した。引き続き、関係国と緊密に協力し、この国連安保理決議を厳格に履行し、その実効性を確保していく。

 今回、北朝鮮に関する安保理決議として初めて、主文において、北朝鮮にいる人々が受けている深刻な苦難に対し、深い懸念が表明された。これは、拉致問題を始めとする北朝鮮の人権・人道問題に対する国連安保理を含む国際社会の強い懸念が示されたものである。

 日本政府としては、核、ミサイル、そして、引き続き最重要課題である拉致問題といった北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的解決に向け、北朝鮮に対して具体的行動をとるよう強く要求していく。特に、拉致問題については、「対話と圧力」、「行動対行動」の原則を貫き、一日も早い全ての拉致被害者の帰国に向け、全力を尽くしていく。