データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会2012レセプションあいさつ

[場所] 
[年月日] 2012年10月12日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

 秋風が爽やかに吹き抜ける日本へようこそ。世界各地からお集まりを頂いた皆様を心より歓迎します。

 IMF・世銀総会を日本で開くのは2回目です。前回は48年前でした。1964年、日本は成長の途上にあり、人口の平均年齢もとても若い、そういう時代でした。私も当時は可愛いらしい小学校1年生でした。(会場から拍手)ここで拍手を頂くとは思いませんでした。

 半世紀が経って2012年となりました。日本は成熟した経済大国となりました。そして今やIMF・世銀に対する出資は世界で2番目です。世界経済の安定と発展のために大きな役割を担っている国となりました。

 日本は大きく変貌しましたが、でも、半世紀前と現在と変わらないものが2つあります。

 1つ目は、「世界の皆さんに支えられている、その絆に裏付けられた不屈の精神」です。

 1964年の開催当時は、戦後の焼野原から日本が立ち直り、国際社会からの支援に対する感謝の想いを胸に、総会を誘致いたしました。

 2012年東京総会は、東日本大震災からの復興に全力を挙げている途上においてであります。今回も国際社会のご支援と励ましに感謝をしながら、復興に取り組んでいる「日本の今」を世界中の皆様に見てもらいたいと、昨年の5月に総会の招致を決定いたしました。

 半世紀前と変わらない2つ目は、「国際協調と自由な経済交流の大切さを日本は確信として持っている」という点です。

 日本は戦後、大きく発展することができたのは、IMF・世銀が体現する国際協調と自由な経済交流の賜物であります。そして、世界経済が直面をする困難を乗り越えて行くためにも、今こそ、国際協調と自由な経済交流の重要性は増していると思います。

 そうした揺るぎない信念の基に、これからもIMF・世銀の活動に対し、経験・知識のみならず資金も含めて日本は大きく貢献をしていく決意であります。

 今般の東京総会が、世界経済が直面する様々な課題について、たくさんの処方箋を見いだせる成果を生み出せるように心からお祈りしたいと思います。

 これから鏡割りがあります。世界銀行のキム総裁は初めての経験で「早くやりたい」と気合が入っているようです。従って、スピーチはこれで終わります。有難うございました。