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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新成長戦略基本方針発表に係る鳩山総理大臣発言

[場所] 首相官邸
[年月日] 2009年12月30日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

 日本の未来を予感していただく一日になろうかと思います。

 私が成長戦略、これをやはり日本もしっかりとつくらなきゃならない。いままで成長戦略がいくつも出来ていたけれども、なかなかそれが機能しなかったのは何か。いろんな議論の中で、わずか2週間の後に骨格を作れと申し上げたんでありますが、基本政策、基本方針というものが、出来上がりました。今日はそれを御披露申し上げますとともに、むしろ、この成長戦略を皆さん方に実感して頂きたい、そう思っておりまして、デモンストレーションを用意をしております。ぜひご覧になって頂き、実感を皆様方が心の中に育てて頂ければ大変ありがたい。そのように感じております。

 なぜ今までの成長戦略がうまく、国民の皆さんの中に定着をしなかったのか、失敗に終わったのか、ということでございます。公共事業一点張りの時代がございました。それもある時期までは功を奏した時期があったと思います。しかし、ある時期からは必ずしも、そのような効率的な公共事業になっていかなくなった。一方で、この後、登場した小泉内閣が中心になって、市場原理主義がもてはやされました。そのことも、ある意味での効率化というものが一部では達成されたと思いますが、日本全体の活力というものには必ずしもつながっていかなかった。

 その理由は何か。結果として、結論として私たちが考えておりますのは、やはり経済のために人間が動かされていたんじゃないか。経済のための人間だったんじゃないか。その発想は逆だろう。これからは人間のための経済でなければいけないんじゃないかと。

 別の言葉で言えば、供給サイドに偏っていた今までの発想を改めて、需要というものをしっかりと創出をしていく、国民の皆様方が、何が求められているのか、それをしっかりと実感をしていきながら、それにあわせた国づくりというものをつくり上げて行く。政府はその後押しをうまく行うものでなければならない、その発想に至ったわけでございます。

 ある意味での友愛精神に基づいた人間のための経済というものが、この国の新たな成長をしっかりとつくり上げて行くことができる、そのように私どもは考えるに至ったわけであります。

 その具体的な話を、これは菅議長代行が熱心に議論して頂いて、後でお話を頂けると思っていますが、簡単に私から申し上げれば、その一つの方向は、「日本の強みを生かす」ということでございます。

 ややもすると「日本の弱みじゃないか」と言われる環境問題に関して、「鳩山自身が25%なんていうものを言った。言いすぎじゃないか。そのことで日本の経済はどうなるんだ、疲弊するんじゃないか。」そのように思われたかもしれません。私はむしろそうは思っていないんです。むしろ、それを日本の強みに変える。今までも日本は、環境においては最先進国として努力をしてきた歴史がございます。それをさらに大きな高みに導いていくチャンスだと捉えて頂きたい。今日は、いろんなデモンストレーション、まさに、その方向に、かつての環境大国・日本の方向で、むしろ成長をつくり上げて行こうじゃないか、意欲あふれた展示がなされていると思っておりまして、それをぜひ皆様方にも体感をして頂ければと思います。

 いま一つは、やはり少子高齢化、特に高齢化の時代、大変だぞと。これからはエラいことだという、何かマイナスの方向が強調されてきたわけでありますが、むしろ長寿というのは素晴らしい事だ、高齢化、これは健康長寿の社会をつくるための、世界に先駆けたチャンスが与えられているんだと。むしろそのように発想を転換して、その方々が、これからいかにして幸せをつかみ取って頂けるか、そのために必要な産業というものは何なのか、手だては何か、そのことを模索していく中で、十分に大きな成長産業の土台がそこに見出されるのではないか。世界の中で最も長寿社会である日本だからこそ、出来る新たな成長の砦だと、そのように私としては考えているのでございます。

 いま一つの方向は、新たなフロンティアというものを開拓していくことだと、そのように思います。世界に向けては、今まではアメリカと日本とのかかわりが大変強かったわけでありますが、当然これからも安全保障等がそうであることは間違いありません。しかし一方で成長ということをとらえていくときには、私たちは、やはり日本は新たなフロンティアとしてアジアをしっかりと見据える必要がある。内需も外需も、経済においては砦が無いんだ、壁は無いんだという思いの下で、アジア全体を成長させていくことが日本全体の成長にもつながる、お互いにウィン・ウィンの関係を作り上げて行くことが出来る、このように発想を変えていく必要がある、そのように考えて、そのための様々な戦略を政府がしっかりとつくり上げて行くことが重要だと思います。

 いま一つは、地域が国内におけるフロンティアだと思います。それは大きな都市の再開発という思いも重要だと思いますが、むしろフロンティアとしては、いかにして疲弊してしまっている地域を再活性化させるか、これは農業をはじめとして、再活性化させることの重要性を認識する必要があると私は思っております。住宅のリフォームの問題なども含めて、地域をいかに元気にしていくかが、それが私たちの成長戦略の一つの大きな鍵を担っている、そのように考えているところでございます。

 具体的な中身を豊富化させていくのはこれからでございまして、来年の6月くらいまでには工程表を含めて完成をさせてまいりたいと思っておりますが、まずは本日、皆様方に基本方針をお示しをさせて頂くことが出来る時を迎えた、そのように御理解を頂きたい。

 大事なことは、計画をいくら作っても、政治的な実行力が無ければ絵に描いた餅であるということでございます。これをいかにして官民一体となってやり遂げて行くか。いろいろと古い壁にぶち当たることもあろうかと思います。その壁を壊さなければ、新しいフロンティアは生まれてこない。これも現実でございまして、ぜひ皆さん方に新たな政権の実行力を試される時だ、という御理解も頂く中で、我々としては何としてもやりきる、その思いの下で、今回、基本方針を発表させて頂く時になったと御理解を頂ければと思います。

 後はどうぞ、菅副総理の方からも御説明がありますが、私の方からはデモンストレーションに皆さん方もすべて参加をして頂くことによって、成長戦略の未来というものを見つめて頂ければ大変ありがたいと思います。私からは以上であります。ありがとうございます。