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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] イラク問題に関する対応についての小泉内閣総理大臣談話

[場所] 
[年月日] 2003年3月20日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

閣議決定

 我が国は、今日の国際社会において、大量破壊兵器の拡散を防止することが我が国を含む国際社会全体の平和と安全にとって極めて重要であると考えます。我が国を取り巻くアジア地域も、大量破壊兵器の拡散問題と決して無縁ではありません。

 我が国は、これまで一貫して、イラクの大量破壊兵器の問題については、国際協調の下に平和的解決を目指し、独自の外交努力を続けてまいりました。しかしながら、イラクは、12年間にわたり、17本に及ぶ国連安保理決議に違反し続けてきました。イラクは、国際社会が与えた平和的解決の機会を一切活かそうとせず、最後の最後まで国際社会の真摯な努力に応えようとしませんでした。

 このような認識の下で、我が国は、我が国自身の国益を踏まえ、かつ国際社会の責任ある一員として、我が国の同盟国である米国をはじめとする国々によるこの度のイラクに対する武力行使を支持します。

 我が国は、戦闘が一刻も早く、しかも国際社会に対するイラクの脅威を取り除く形で、終結することを心から望んでいます。イラクが一日も早く再建され、人々が自由で豊かな社会の中で暮らして行けるよう、国際社会がイラクの復旧・復興のための支援を行っていくことが重要だと考えます。我が国は、イラク及びその周辺地域の平和と安定の回復が我が国にとっても重要であるとの認識に立って、積極的な対応を行ってまいります。

 政府としては、必要な施策を効果的かつ迅速に遂行し対応に万全を期すことができるよう、的確な情勢把握と国民に対する十分な情報提供に努めます。

1 我が国は、以上のような考え方に立って、緊急に対応すべきものとして、次に掲げる対処方針を決定いたしました。

 第一に、イラクとその周辺における邦人の安全確保のために万全の措置を講じてまいります。

 第二に、国内重要施設、在日米軍施設、各国公館の警戒警備等、国内における警戒態勢の強化・徹底を図ります。

 第三に、我が国関係船舶の航行の安全を確保するため所要の措置を講じてまいります。

 第四に、原油の安定供給をはじめ、世界及び我が国の経済システムに混乱が生じないよう、関係国と協調し、状況の変化に対応して適切な措置を講じてまいります。

 第五に、被災民の発生に応じ、国際機関及びNGOを通じた支援、並びに周辺国に対する国際平和協力法に基づく自衛隊機等による人道物資の輸送等の支援を含め、緊急人道支援を行います。

2 我が国は、今後の事態の推移を見守りつつ、次に掲げる措置を検討することを決定いたしました。

 第一に、今回の武力行使によって経済的影響を受けるイラク周辺地域に対して、影響を緩和するための支援を行います。

 第二に、イラクにおける大量破壊兵器等の処理、海上における遺棄機雷の処理、復旧・復興支援や人道支援等のための所要の措置を講じてまいります。

3 併せて、我が国は、アフガニスタン等におけるテロとの闘いを継続する諸外国の軍隊等に対し、テロ対策特措法に基づく支援を継続・強化します。

 国民の皆様のご理解とご協力を切にお願いいたします。