データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国連気候変動枠組条約第三回締約国会議の合意に関する談話(橋本内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 1997年12月11日
[出典] 橋本内閣総理大臣演説集(上),174‐175頁.
[備考] 
[全文]

 京都において開催されていた国連気候変動枠組条約第三回締約国会議が、本日、成功裏に幕を閉じました。京都会議に参加した百六十余の国々が、気候変動の問題に対処するための国際的な取組を強化するとともに、先進締約国が法的拘束力のある削減目標に合意Lたことを高く評価するものであります。

 まず、世界各国から参加し、不眠不休で交渉に当たられた大木議長、エストラーダ大使、政府関係者を始め、NGO、産業界の方々など京都会議のすべての関係者に対し、深甚なる謝意を表する次第であります。

 地球温暖化問題は現在の人類の生活と将来の人類の生存に直接関わる深刻な問題であり、その抜本的解決には百年単位の長期にわたり、我々一人一人の強い決意と行動を必要とします。京都において、全世界の英知が結実し、二十一世紀に向けて人類共通の目的の達成に向け、各国がその立場を乗り越え、確実な第一歩を踏み出したことは、人類の歴史に残る成果であると言えます。

 我が国のエネルギー効率は既に世界最高水準に達しており、京都における国際合意を受け、温室効果ガスの排出削減を実行していくことは決して容易なことではありませんが、私は、我々が享受している地球環境の恵みと繁栄を次代に着実に引き継ぐため、可能な限りの努力を傾注してまいります。

 私は、内閣の最重要課題として、具体的な実効ある対策を総合的かつ計画的に講じていく考えであり、官邸を中心に対策の実施とフォローアップを強力に進めていく決意です。

 国民の皆様におかれましては、地球温暖化問題への対応の重要性と緊急性について十分にご理解いただき、事業活動や日常生活のあるゆる面において具体的な取組に努めていただくことを強くお願いしたいと思います。

 地球温暖化の防止は、国民の皆様のご協力がなければ十分な成果が期待できない問題であります。国を挙げた取組により、地球環境の保全と経済発展を同時に達成可能であることを世界に示すことができるものと確信しております。