データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 総理大臣就任に当たって(宮澤内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 1991年11月5日
[出典] 宮澤内閣総理大臣演説集,50頁.
[備考] 
[全文]

 この度、私は、内閣総理大臣の重責を担うことになりました。誠に身の引き締まる思いであり、我が国の進路に誤りなきよう全力を傾けてその責務を遂行してまいりたいと考えております。

 国際社会は今、何百年に一度というような大転換期にあり、新しい世界平和の秩序の構築を模索しております。こうした動きの中で、国連の役割が増大しつつありますが、我が国は、日米の緊密な協力やアジア諸国との友好関係などを不可欠の前提としつつ国連に対し最大限の貢献を行うなど国力に応じた役割や責任を積極的に分担してまいりたいと考えております。

 政治改革は時代の要請であります。私は、自らの反省の上に立って、政治改革に心血を注がれた海部前総理の志を継いで、真摯に政治改革に取り組んで行く決意であります。

 私は、行政の姿勢を、消費者や国民生活、一般投資家重視へ転換し、公正な社会をつくりたいと考えております。

 また、私は、国民一人一人が生活の豊かさを真に実感しながら、多様な人生設計ができるよう、ニ十一世紀を展望して、住宅や生活関連を中心とする社会資本の充実を図り、質の高い生活環境を創造して、所得のみではなく社会的蓄積や美観などの質の面でも、真に先進国家と誇れるような、活力と潤いに満ちた「生活大国」づくりを進めたいと思います。

 このように、私は、我が国が、国際社会において名誉ある地位を占め、国民が誇りを感ずることができる品格ある国となるよう全力を傾注する所損存でありますので、国民の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。