データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 組閣(第二次)に際して(海部内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 1990年2月28日
[出典] 海部内閣総理大臣演説集,68頁.
[備考] 
[全文]

 私は、本日、再び内閣総理大臣の重責を担うことになりました。

 二十一世紀を目前に、世界も日本も新しい時代を迎えている今、私に与えられた使命とその責任の大きさに身の引き締まる思いであります。

 昨年夏以来、今日までの道程は、激動する国際・国内情勢への対応と政治に対する国民の信頼回復に向けての正に地を這う{這にはとルビ}ような努力の連続でありました。今般の総選挙を通じ、「自由と民主主義」そして「国民生活の安定」さらに「清潔で開かれた政治」に対する国民の期待の大きさを今更のように感じるとともに、これまでの努力がある程度国民の皆さんに評価していただけたことを感謝し、今後一層その期待にこたえるため一身を擲つ決意であります。

 私たちの置かれている状況は、国内国外ともに、一刻の空費も許されない緊迫したものであります。欧州、ソ連を始め国際情勢の急激な変化に対応した新しい国際秩序の模索が進められる中で、我が国が積極的な役割を果たす必要性が高まっております。日米間の懸案である構造問題協議も緊急な対応を迫られております。

 国内にあっては、消費税を含む新税制の定着の問題の他、住宅・土地対策や高齢化対策など今後の我が国社会の基本構造にもかかわる重要な課題も山積しています。

 私は、この内閣を引き続き「対話と改革」の内閣とし、常に国民的合意を求め、国会と手を携えて政治改革を推し進め、政治に対する信頼を取り戻すとともに、これら諸問題に果敢に取り組んでいく覚悟であります。

 国民の皆さまのご理解とご協力を切にお願い申し上げます。