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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 新しい元号「平成」について(竹下内閣総理大臣)

[場所] 
[年月日] 1989年1月7日
[出典] 竹下内閣総理大臣演説集,59頁.
[備考] 
[全文]

 本日、元号を改める政令が閣議決定され、本日中に公布される予定であります。

 この政令は、今般の皇位の継承に伴い、元号法の規定に基づいて新しい元号を定めたものであります。

 新しい元号は「平成」{へいせいとルビ}であります。これは、史記の五帝本妃及び書経の大禹謨中{大禹謨にだいうぼとルビ}の「内平かに外成る(史記)地平かに天成る(書経)」という文言の中から引用したものであります。この「平成」には、国の内外にも天地にも平和が達成されるという意味がこめられており、これからの新しい時代の元号とするに最もふさわしいものであると思います。

 この新しい元号は、事情の許す限り速やかに改元を行うという元号法の趣旨、国民生活の便宜等諸般の事情を考慮して、公布の日の翌日である一月八日以降について用いられることとなっております。新しい元号の使用につきまして国民各位のご理解とご協力をお願いする次第であります。

 元号は、千三百年糸の歴史を有しております。単に年を表示する手段としてだけではなく、長い歴史の中で日本人の心情に溶け込み、日本国民の心理的一体感の支えにもなっております。この新しい元号も、広く国民に受け入れられ、日本人の生活の中に深く根ざしていくことを心から願っている次第であります。