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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第4回日印インド太平洋フォーラムにおける林芳正外務大臣ビデオ・メッセージ

[場所] 
[年月日] 2021年12月21日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

日印インド太平洋フォーラム

 ナマスカール。こんにちは。

 日印両国の英知が結集する、第4回「日印インド太平洋フォーラム」の開催にお祝いを申し上げます。

 国際社会は今、歴史的変動期にあり、新型コロナの世界的な拡大による経済や社会への影響、海洋や経済における法の支配に基づく国際秩序に対する挑戦といった様々な課題に直面しています。こうした中で、かねてよりルールに基づく秩序、法の支配の重要性を訴えてきた地域の主要国である日印両国が、緊密に連携して共通の課題に対処していくことが重要です。

 本日のフォーラムのテーマは、「自由で開かれたインド太平洋のためのパートナーシップ」です。

 日印両国が共有する、この「自由で開かれたインド太平洋」、いわゆるFOIPというビジョンは、新たな時代の安定をもたらすルール作りを主導するものです。近年、その重要性が世界各国にも共有され、FOIPの実現に向けた日印両国の役割に対する期待も大きく高まっていると感じています。

 日印両国は、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値と戦略的利益を共有する「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の下で、政治・安全保障、貿易・投資、高速鉄道事業をはじめとする経済協力など、幅広い協力を深めてきました。

 私自身、先月、外務大臣に就任後、早速ジャイシャンカル外相との間で電話会談を行いました。ジャイシャンカル外相が著書で述べる「アジアで最も自然な戦略的パートナー」としての日印両国の関係を、こうした幅広い分野での具体的な協力を通じて、更なる高みに引き上げていくことで一致しました。また、東シナ海・南シナ海での力による一方的な現状変更の試みや経済的威圧への強い反対の意を改めて共有するとともに、サプライチェーン強靱化等の経済安全保障の面でも協力を深めていくことを確認しました。

 FOIPの実現に向け、日印のみならず、日米豪印での協力も着実に進んでいます。本年9月にワシントンで開催された初の対面の日米豪印首脳会合で、4か国の首脳は、FOIPの実現に向けたインド太平洋地域への強いコミットメントを示しました。その上で、ワクチン、重要・新興技術、気候変動等の分野で実践的な協力により着実に成果が積み上げられていることを歓迎し、インフラ、宇宙、サイバー、クリーン・エネルギー、人的交流等の分野でも協力を進めていくことで一致しています。

 日本は、FOIPの実現に向けて、このように志を同じくする多くのパートナーとの連携をさらに進めていく考えです。「アジアで最も自然な戦略的パートナーである」インドはその中心にいます。日本は、インドが掲げる「インド太平洋海洋イニシアチブ」の下で、連結性を強化するための取組をリードしており、これを力強く後押ししていく考えです。

 日印両国は来年、外交関係樹立70周年を迎えます。本日のフォーラムでの活発な議論により、大きな潜在性を秘める日印両国の「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」が、この節目の年に、更に大きく花開くことを期待しています。本日ご臨席の皆様にも、引き続き御協力をいただければ幸いです。

ダンニャワード。ありがとうございました。

(了)