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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ウクライナ情勢をめぐる追加的措置について(外務大臣談話)

[場所] 
[年月日] 2014年7月28日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1 我が国は,クリミア併合を始めとするロシアによるウクライナの主権及び領土の一体性を侵害する動きが継続していること,分離派武装勢力によるウクライナ東部情勢の不安定化が続いていることに深刻な懸念を表明します。我が国を含む国際社会からの度重なる呼びかけにもかかわらず,現地の状況は悪化の道をたどっています。

2 今月17日にはマレーシア航空機撃墜事件が発生し,298名もの尊い命が奪われました。国連安保理決議第2166号でも示されたとおり,真相究明と遺体・遺品の回収が喫緊の課題です。この関連で,現場への国際調査団等のアクセスの確保をはじめ,分離派武装勢力の全面的な協力が不可欠であり,我が国としてこれを強く求めます。

3 このようなウクライナをめぐる現下の情勢を踏まえ,我が国として,以下の新たな措置をとることとしました。

(1)第一に,クリミア併合又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される個人及び団体に対して,我が国国内に有する資産の凍結などを行うこととします。

(2)第二に,EUが先般発表した欧州復興開発銀行(EBRD)におけるロシア向け新規案件への対応に関し,我が国としてもEUと協調した対応をとることとします。

(3)第三に,ロシアによるクリミア併合を決して承認しないとの立場から,クリミア産品の輸入の制限措置を導入します。

4 これらの措置に必要な閣議了解等の手続は可能な限り早く行うべく関係省庁間で調整を進めます。

5 我が国として,ウクライナ情勢が外交的対話を通じて早期に正常化することを真に期待します。特に,一刻も早い双方向の停戦と和平に向けた対話,武器や戦闘員の越境停止と国境管理の厳格化等が実施に移されることが必要です。また,ロシアが分離派武装勢力に対し,マレーシア航空機撃墜事件に関する国際的調査に協力するよう,影響力を行使することを強く求めます。