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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] イエメン・フレンズ第4回閣僚会合 玄葉大臣ステートメント

[場所] 
[年月日] 2012年9月27日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

(民主化の取組)

初めに,サウジアラビア政府及び英国政府の本会合主催に感謝します。我が国は,本年2月の選挙にてハーディー大統領が選出されたことを心から歓迎するとともに,同大統領が進めている改革を引き続き支援してまいります。国民対話開催に向けた準備が進展していることを評価するとともに,イエメン国民が和解を成し遂げ,一丸となって新たな国造りに邁進することを強く期待します。

我が国は,大統領選挙支援のために約114万ドルを拠出しました。加えて,本年度,最高選挙・国民投票委員会副委員長への本邦研修を行うなど次回大統領選挙及び国会選挙の円滑な実施に向け貢献してまいります。

(治安の改善)

我が国は,ハーディー大統領が「テロとの闘い」に積極的に取り組んでいることを評価するとともに,治安の回復に一層努力されることを期待いたします。それにより我が国は本格的に二国間援助を再開し,より積極的にイエメン政府の改革努力を支援することが可能となります。

治安分野では,近年,我が国は海賊・海上テロ対策支援に力を入れてまいりました。我が国は,2008年度からイエメン沿岸警備隊職員に本邦研修を行っており,本年度も幹部職員3名への本邦研修を行う予定です。イエメン政府から強い要請のあった巡視艇供与については,治安の安定が確認されれば,調査団の派遣を検討する考えです。

(人道支援による安定への貢献)

昨年来の混乱により,多くの国民が深刻な貧困,食糧不足に見舞われ,依然として危機的状況にあると認識しています。治安の安定のためには,貧困の緩和や格差の解消により,人々が生活の向上を実感し明日への希望を持つこと,絶望から過激主義に取り込まれないことが重要です。

我が国は,国連人道問題調整事務所の緊急人道支援アピールに迅速に応えて,計約2,330万ドルを拠出しました。これは,アピールに応じたドナーの供与総額の約7%を占めます。

本日,我が国は,新たに世銀・日本社会開発基金経由で300万ドルを乳幼児の栄養失調改善のため供与することを表明いたします。

また,イエメンにおける危機的な人道状況を踏まえ,追加的な食糧支援を行う用意があります。さらに,イエメン政府の援助吸収能力向上を目指しイエメン政府の援助関係者10名の本邦研修を行います。

これらの支援が人々の生活の改善,ひいてはイエメンの安定に貢献することを期待します。

我が国は,中東・北アフリカ地域において,平和的な政権移行を進めているイエメンが地域の安定勢力となることを強く期待しています。