データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「平成24年北方領土返還要求全国大会」における玄葉外務大臣挨拶

[場所] 
[年月日] 2012年2月7日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 まず,本日ご出席頂いている皆様,日頃から北方領土問題の解決に向け様々なご活動を頂いている皆様に,深く感謝申し上げます。

 言うまでもなく,北方領土問題は日露間の最大の懸案事項です。私は先月,根室管内を訪問し,洋上から北方領土を視察しました。その際に,洋上で小泉千島連盟理事長が「このまま色丹島に帰りたい」とつぶやかれました。私は,この言葉を一生忘れることはありません。皆様の北方領土に対する切実な思いをお聞きし,改めて,ロシア側と交渉を,強い意志を持ち進めなければならないとの思いを強くしました。

 1月28日,私は,日本を訪問したラヴロフ外相と外相会談を行いました。ラヴロフ外相に対し,領土問題を解決し平和条約を締結することが,両国間に真の友好関係を構築するために今まで以上に必要であることを強調しました。その上で,お互いに,これまでの諸合意及び諸文書,法と正義の原則に基づき,静かな環境の下議論を進めていくことで一致しました。

 アジア太平洋地域の安全保障環境が変化しつつある中,私はロシアとの関係を重視しております。また,ロシアのアジア太平洋地域に対する関心も高まりつつあります。

 これからロシアとの交渉を進めていく上では,国内世論が割れないことが重要です。外交交渉の責任は政府が持ちますが,国民の皆様におかれましては,国民世論が割れないようご協力をお願いいたします。

 最後に,北方領土返還の実現に向け引き続きご支援とご協力を賜りますよう改めてお願い申し上げ,私からの挨拶とさせていただきます。

   平成24年2月7日 外務大臣 玄葉光一郎