データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第7回包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議 玄葉外務大臣演説

[場所] ニューヨーク
[年月日] 2011年9月23日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

議長,

御列席の皆様,

 1.大震災及びそれに伴う原子力発電所事故に際しては,世界中の皆様から暖かい{前3文字ママ}支援や連帯の表明をいただきました。CTBTO暫定技術事務局(PTS)には,津波や原発事故に起因する放射性物質の拡散に関する正確かつ客観的な情報をいち早く国際社会に発信していただきました。これに際して,我が国からのデータも活用されました。この場をお借りして,心から感謝申し上げます。

議長,

 2.非常に残念なことに,CTBTは未だに発効していません。CTBTが署名に開放されて既に15年が経過しています。2009年4月のオバマ大統領のプラハ演説以来,「核兵器のない世界」への機運が盛り上がってきています。今こそ,核兵器国,非核兵器国の対立を乗り越え,すべての国がCTBT発効促進に向けて共同行動(United Action)をとらなければなりません。各国が一同に会し,国際社会に対して一致したメッセージを発信することは,核実験禁止の国際的な規範化に向けて,極めて重要です。

議長,

 3.CTBTの発効のために,私は,何よりもまず,発効要件国のうちの未批准の9カ国に対して,早急な批准を訴えます。批准が進んでいない背景には様々な要因があるものと考えます。米国やインドネシアは,既に行政府として批准の意向を表明しています。これは大変勇気づけられることです。国際社会としては,こうした国々を後押しすることが重要です。

 4.地域の安全保障環境を理由に署名や批准を拒んでいる国には,CTBT自体が地域の信頼醸成や安全保障環境の改善に大いに役立つものであることを粘り強く説明するべきでしょう。

 5.すべての国が国家・地域・グローバルのレベルでのCTBT発効促進に向けて努力することが求められます。これは昨年のNPT運用検討会議で採択された行動計画でも求められていることです。

 6.同時に,CTBT発効までの間,規範としての核実験禁止を確固たるものとすることも重要です。そのために,何よりもまず現行の核実験モラトリアム宣言を維持することは,すべての核兵器保有国の責務です。仮にモラトリアムが破られた場合には,国際社会は一致団結して核実験を強く非難しなければなりません。

 7.北朝鮮による2006年及び2009年の核実験の発表は,核実験禁止の規範化に向けた国際社会の流れに真っ向から逆行するものです。これは国際的に強く非難されるべきです。北朝鮮の核実験に対して採択された国連安保理決議第1718号及び第1874号をすべての国が着実に実施することを求めます。

議長,

 8.我が国は,2009年の発効促進会議で「発効促進イニシアティブ」を表明しました。これに基づき,発効要件国への総理や大臣レベルの働きかけを精力的に行ってきました。また,必要なCTBT検証のための国内運用体制の整備のための支援を途上国に対して行ってきました。例えば,未署名・未批准国の地震専門家を毎年招聘しています。我が国は,今後も,こうした取組を力強く継続していきます。

 9.こうした取組は,一国のみで実施するより,多くの国の協力を得て行うことで,効果が倍増します。我が国は昨年豪州とともに,行動志向的な地域横断的グループである軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)を立ち上げました。CTBT発効促進を含む,昨年のNPT運用検討会議の歴史的な合意の実施に貢献すべく,このグループは,CTBT発効促進を含む,昨年のNPT運用検討会議の歴史的な合意の実施に貢献していきます。

 10.我が国は,CTBT発効促進に向けた共同行動の先頭に立っていくとの決意を表明します。このため,NPDIメンバー国と緊密に連携し,また,ここにおられるすべての国と協力していきます。

 ご清聴ありがとうございました。