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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ソマリア・ハイレベル会合における玄葉外務大臣ステートメント

[場所] 
[年月日] 2011年9月23日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

議長,

ご列席の皆様,

 はじめに,ソマリア・ハイレベル会合を主催された潘基文国連事務総長のイニシアチブ,並びにこれまでソマリア問題に取り組んできた国連の努力に敬意を表します。

 ソマリア国民は20年にわたる内戦に苦しむ中,過去60年で最悪の大干ばつに襲われました。こうした自然災害は今年3月11日の東日本大震災を経験した日本国民にとっても決して他人事ではありません。また,ソマリアの安定は,国際社会の安全保障を脅かすテロや海賊の抜本的解決のために不可欠であり,国際社会が一致して取り組むべき課題です。

 国際社会や周辺国の粘り強い努力の結果,先般,イスラム過激派が首都モガディシュから撤退しました。国際社会はソマリア暫定連邦「政府」(TFG)と連携してこの流れをソマリアの更なる安定化につなげていくべきです。TFGのロードマップに従い,和平プロセスが実現するよう,国際社会としてTFGを支援し続けることが重要です。

 我が国は,こうした観点から,ソマリアにおける人道危機への対応及び中長期的な安定のために必要な支援を実施しており,2007年以降治安の強化,人道支援及びインフラ整備を柱として,約1億8,400万ドルの支援を実施してきています。

 また,我が国は,アフリカ連合(AU)及び政府間開発機構(IGAD)を中心として,アフリカが自らイニシアチブを発揮し,ソマリア問題に取り組んでいることを高く評価します。特に,ソマリアの安定のためには,アフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)の強化が重要です。治安向上に向けたアフリカによる今後の取組を推進するために,我が国も拠出しているAMISOM信託基金が一層有効に活用されることを期待します。また,安保理等の場において,AMISOM派遣国の意見をより一層踏まえた議論が行われることを期待します。

 最後に,我が国はソマリア和平実現に向け,国連をはじめとする国際社会と共にたゆまぬ努力を続けていくことを改めて約束いたします。御清聴ありがとうございました。