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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 北方領土返還要求全国大会における岡田克也大臣挨拶

[場所] 東京
[年月日] 2010年2月7日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 外務大臣の岡田克也です。鳩山総理が先程熱弁をふるって、政権の基本的考え方をお述べになりました。私がそれを繰り返すことは避けたいと思います。

 鳩山総理も言われましたように、メドベージェフ大統領と鳩山総理との間でニューヨークとシンガポール、2回にわたり首脳会談が行われました。大変雰囲気のいい会談であったと思います。お互いが信頼関係をしっかりと構築し、そして真新しい発想でこの問題についても取り組んでいくことが確認されました。私は素晴らしい首脳会談であったと受け止めております。ただ、具体的にそれがロシア政府全体の考え方になってるかどうかと言いますと、それはなかなか難しい問題があるというように思います。

 去年の暮れにモスクワにまいりまして、ラブロフ外相と北方領土の問題を中心に最初の交渉を行いました。もちろんそれまでに、実務的な交渉は行ってきたわけであります。私が申し上げたのは鳩山総理も言われた車の両輪、政治と経済を車の両輪として動かしていこうということであります。経済面では、これからロシアは太平洋国家としてやっていきたいという強い気持ちがある。そうならば日本としても協力する用意はある。しかし、もう一方の車である政治、この中心はつまりこの領土問題であります。領土問題についてしっかりと前進がない限り経済という片方の輪だけでは車は進まない。だから、その問題についてしっかり議論しようと申し上げたところでございます。なかなか厳しいやり取りになりました。先程共産党の紙先生が言われましたけれども、ロシア政府の原理原則というか、基本的考え方というのは、これは変っていないわけでございます。そのことについて一つ一つ反論しながら交渉は続きました。

 私は初回の交渉はこういうものだと思っておりますが、しかし最後に申し上げたことは、せっかく今日本側に鳩山総理がおられ、他方にメドベージェフ大統領やプーチン首相がいる。この顔触れの中でこの問題を前に進めなければ、またチャンスが失われてしまうかもしれない。だから今のうちに外相同士もしっかり議論をしようと確認したところでございます。ぜひこの問題を前に進めることができるように、解決することができるように、日本政府としてもしっかりと取り組んでまいりますことをお誓い申しあげて、私のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。