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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アジア福祉教育財団設立40周年・難民事業本部設置30周年記念式典における中曽根外務大臣挨拶

[場所] 東京
[年月日] 2008年12月12日
[出典] 外務省
[備考] 西村外務大臣政務官代読
[全文]

1.本日ここに、アジア福祉教育財団が設立40周年を、また難民事業本部が設置30周年を迎えられたことを心からお祝い申し上げます。

2.今から40年前、このアジア福祉教育財団は、ベトナム戦争による戦災孤児等の救済を目的として設立され、まだ戦闘の激しい最中、サイゴン市郊外に職業訓練所の建設・運営に着手し大勢の戦災孤児や母子の方々の救済に取り組まれました。その後、アジア各国の福祉関係者の招へい等を実施するなどして、アジア地域内の社会福祉の向上に多大な貢献をされてこられました。

3.また、30数年前、インドシナ三国では相次いで政変が発生し社会主義体制となり、新しい体制の下で迫害を受ける恐れのある人々や新体制になじめない人々が周辺国への流出を始めました。これにより我が国では、インドシナ難民の受け入れが課題となっていたところ、貴財団は政府からの難民定住支援事業の委託を快く引き受けていただき、貴財団内に難民事業本部を設置し、以来、貴財団は国内に受け入れのためのセンターを開設するなどして、1万人を超えるインドシナ難民の受け入れ、定住支援のための最善の努力を果たしてこられました。

4.その後、政府が貴財団に委託する事業は、難民認定申請者の保護や条約難民に対する定住支援へと、順次拡大してまいりましたが、このような活動が、これまで素晴らしい実績を挙げてこられたのは、貴財団のシンボルマークである「愛」の文字のとおり、奥野誠亮名誉会長、綿貫民輔理事長をはじめ、役員の方々、職員一人ひとりの皆様の献身的なご尽力によるものであり、さらには国連難民高等弁務官事務所、関係団体並びに各方面の、貴財団に対するご理解と大きなご支援の賜物であると思います。

5.我が国が、国際社会において一層責任ある役割を果たしていく上で、貴財団が培われた実績、知見は貴重な財産であると確信しております。今後とも引き続き、我が国の国際協力の場面で、ご協力をお願い申し上げますと共に、貴財団及び関係者の皆様の今後益々のご活躍、ご発展を心からお折りしつつ、私からのご挨拶とさせて頂きます。