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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 環境と開発に関するリオ宣言(L.33/Rev.1)

[場所] 
[年月日] 1992年6月14日
[出典] 外交青書36号,431‐434頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

前文

 環境と開発に関する国連会議は、1992年6月3日から14日までリオ・デ・ジャネイロで開催され、

 ストックホルム宣言を再確認すると共にこれを発展させることを求め、

 各国、社会の重要部門及び国民間の新たな水準の協力を作り出すことによって新しい公平な地球的規模のパートナーシップを構築するという目標を持ち、

 全ての者のための利益を尊重し、かつ地球的規模の環境及び開発のシステムの一体性を保持する国際的合意に向けて作業し、

 我々の家である地球の不可分性、相互依存性を認識し、

 以下の通り宣言する。

第1原則

 人類は、持続可能な開発への関心の中心にある。人類は自然と調和しつつ健康で生産的な生活を送る権利がある。

第2原則

 各国は、国連憲章及び国際法の原則に則り、自国の環境及び開発政策に従って、自国の資源を開発する主権的権利及びその管轄又は支配下における活動が他の国、又は自国の管轄権の限界を越えた地域の環境に害を与えないようにする責任を有する。

第3原則

 開発の権利は、現在及び将来の世代の開発及び環境上の必要性を公平に充すことができるよう行使されなければならない。

第4原則

 持続可能な開発を達成するため、環境保護は、開発過程の不可分の部分とならなければならず、それから分離しては考えられないものである。

第5原則

 全ての国及び全ての国民は、生活水準の格差を減少し、世界の大部分の人々の必要性をより良く充すため、持続可能な開発に必要不可欠なものとして、貧困の根絶という重要な課題において協力しなければならない。

第6原則

 開発途上国、特に最貧国及び環境の影響を受け易い国に特別な状況及び必要性に対して、特別の優先度が与えられなければならない。環境と開発における国際的行動は、全ての国の利益と必要性に向けて取られるべきである。

第7原則

 各国は、地球の生態系の健全性及び完全性を、保全、保護及び修復する地球的規模のパートナーシップの精神に則り、協力しなければならない。地球環境の悪化への異なった寄与という観点から、各国は共通のしかし差異のある責任を有する。先進諸国は、彼らの社会が地球環境へかけている圧力及び彼らの支配している技術及び財源の観点から、持続可能な開発の国際的な追求において有している義務を認識する。

第8原則

 各国は、全ての人々のために持続可能な開発及び質の高い生活を達成するために、持続可能でない生産及び消費の様式を減らし、取り除き、そして適切な人口政策を推進すべきである。

第9原則

 各国は、科学的、技術的な知見の交換を通じた科学的な理解を改善させ、そして、新しくかつ革新的なものを含む技術の開発、適用、普及及び移転を強化することにより、持続可能な開発のための各国内の対応能力の強化のために協力すべきである。

第10原則

 環境問題は、それぞれのレベルで、関心のある全ての市民が参加することにより最も適切に扱われる。国内レベルでは、各個人が、有害物質や地域社会における活動の情報を含め、公共機関が有している環境関連情報を適正に入手し、そして、意思決定過程に参加する機会を有しなくてはならない。各国は、情報を広く行き渡らせることにより、国民の啓発と参加を促進し、かつ奨励しなくてはならない。賠償、救済を含む司法及び行政手続きへの効果的なアクセスが与えられなければならない。

第11原則

 各国は、効果的な環境法を制定しなくてはならない。環境基準、管理目的及び優先度は、適用される環境と開発の状況を反映するものとすべきである。一部の国が適用した基準は、他の国、特に開発途上国にとっては不適切であり、不当な経済的及び社会的な費用をもたらすかもしれない。

第12原則

 各国は、環境の悪化の問題により適切に対処するため、全ての国における経済成長と持続可能な開発をもたらすように協力的で開かれた国際経済システムを促進するため、協力すべきである。環境の目的のため貿易政策は、恣意的な、あるいは不当な差別又は国際貿易に対する偽装された規制手段とされるべきではない。輸入国の管轄外の環境問題に対処する一方的な行動は避けるべきである。国境を越える、あるいは地球規模の環境問題に対処する環境対策は、可能な限り、国際的な合意に基づくべきである。

第13原則

 各国は、汚染及びその他の環境悪化の被害者への責任及び賠償に関する国内法を策定しなくてはならない。更に、各国は、迅速かつより断固とした方法で、自国の管轄あるいは支配下における活動により、管轄外の地域に及ぼされた環境悪化の影響に対する責任及び賠償に関する国際法を、更に発展させるべく協力しなくてはならない。

第14原則

 各国は、深刻な環境悪化を引き起こす、あるいは人間の健康に有害であるとされているいかなる活動及び物質も、他の国への移動及び移転を控えるべく、あるいは防止すべく効果的に協力すべきである。

第15原則

 環境を保護するため、予防的方策は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害が存在する場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない。

第16原則

 国の機関は、汚染者が原則として汚染による費用を負担するとの方策を考慮しつつ、また、公益に適切に配慮し、国際的な貿易及び投資をゆがめることなく、環境費用の内部化と経済的手段の使用の促進に努めるべきである。

第17原則

 環境影響評価は、国の手段として環境に重大な悪影響を及ぼすかもしれず、かつ権限ある国家機関の決定に服す活動に対して実施されなければならない。

第18原則

 各国は、突発の有害な効果を他国にもたらすかもしれない自然災害、あるいはその他の緊急事態を、それらの国に直ちに通報しなければならない。被災した国を支援するため国際社会によるあらゆる努力がなされなければならない。

第19原則

 各国は、重大な国境を越えた環境への悪影響をもたらしうる活動について、潜在的に影響を被るかも知れない国に対し、事前の時宜にかなった通知と関連情報の提供を行わなければならない。

第20原則

 女性は、環境管理と開発において重要な役割を有する。そのため、彼女らの十分な参加は、持続可能な開発の達成のために必須である。

第21原則

 持続可能な開発を達成し、全ての者のためのより良い将来を確保するため、世界の若者の創造力、理想及び勇気が、地球的規模のパートナーシップを構築するよう結集されるべきである。

第22原則

 先住民とその社会及びその他の地域社会は、その地域及び伝統に鑑み、環境管理と開発において重要な役割を有する。各国は彼らの同一性、文化及び利益を認め、十分に支持し、持続可能な開発の達成への効果的参加を可能とさせるべきである。

第23原則

 抑制、制圧及び占領の下にある人民の環境及び天然資源は、保護されなければならない。

第24原則

 戦争は、元来、持続可能な開発を破壊する性格を有する。そのため、各国は、戦時における環境保護に関する国際法を尊重し、必要に応じ、その一層の発展のため協力しなければならない。

第25原則

 平和、開発及び環境保全は、相互依存的であり、切り離すことはできない。

第26原則

 各国は、全ての環境に関する紛争を平和的に、かつ、国連憲章に従って適切な手段により解決しなければならない。

第27原則

 各国及び国民は、この宣言に表明された原則の実施及び持続可能な開発の分野における国際法の一層の発展のため、誠実に、かつ、パートナーシップの精神で協力しなければならない。