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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ドイツ連邦共和国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約,西側3連合国への口上書

[場所] 
[年月日] 1970年8月7日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),979−981頁.わが外交の近況15,435−7頁.
[備考] 和訳文
[全文]

 ドイツ連邦共和国大使館は、(アメリカ合衆国)大使館に敬意を表するとともに、本国政府の命により、下記口上書を手交し、かつその内容を可及的速かに貴国政府に伝達されるよう懇請する光栄を有する。

 「ドイツ連邦共和国は、ドイツ連邦共和国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の条約の署名を目前にひかえ、次のことを通達する光栄を有する。

 ドイツ連邦共和国外相は、交渉においてドイツ全体及びベルリンに関する4ヵ国の権利と義務に関する連邦政府の立場を説明した。平和条約による規整が未だ存在しないため、両当事国は、締結されるべき本条約がフランス共和国、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、ソヴィエト社会主義共和国連邦、及びアメリカ合衆国の権利及び義務に抵触しないことを前提とした。

 ドイツ連邦共和国外相は右に関連しソ連外相に1970年8月6日、『4ヵ国の権利の問題はドイツ連邦共和国及びソヴィエト社会主義共和国連邦が締結する本条約とはいかなる関係も有せず、また条約に抵触するものではない』旨述べた。

 ソヴィエト社会主義共和国連邦外相は、右に関連し、『4ヵ国の権利の問題はドイツ連邦共和国との交渉の対象とはならなかつた。またソ連政府はこの問題が討議されるべきではないことを前提とした。さらに、ソヴィエト社会主義共和国連邦とドイツ連邦共和国が締結する本条約は4ヵ国の権利の問題に抵触するものではない。これが、本問題に関するソ連政府の見解である』旨述べた。」

 ドイツ連邦共和国大使館はこの機会を利用して、ここに重ねて(アメリカ合衆国)大使館に向かつて敬意を表する。

(同様の口上書が在モスクワ・フランス大使館、イギリス大使館にも送付された。)