データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ASEAN+3連結性パートナーシップに関する首脳声明

[場所] プノンペン
[年月日] 2012年11月19日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

 我々、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国、中華人民共和国、日本国、大韓民国の国家元首及び行政府の長は、2012年11月19日に、カンボジアのプノンペンにおけるASEAN+3協力15周年記念の機会に、

 ASEAN連結性強化において相互に補強するASEANの対話パートナーとの関係に加え、ASEAN主導の多層的な地域メカニズムの重要性を認識し、

 第20回ASEAN首脳会議において、ASEAN首脳によって採択された、統合プロセスを加速化し、ASEANの対外的関係を強化するため、ASEAN連結性マスタープランのタイムリーな実施に高いプライオリティを与えたプノンペン・アジェンダを想起し、

 ASEAN+3協力の15周年記念のこの機会に、東アジア・サミット(EAS)が地域における共同体構築に重要な役割を果たすことを考慮しつつ、ASEANを推進力とし、ASEAN+3プロセスを主要な手段とし、東アジア共同体構築という長期目標に対する我々のコミットメントを再確認し、

 ASEAN連結性が東アジアにおける連結性強化の発展における基盤であり、連結性強化が東アジア共同体構築における鍵となる要素の一つであることを認識し、

 ASEAN域内及び東アジアのより広域な地域枠組内の統合を補完し支持する、2010年の「ASEAN連結性マスタープランの採択に関するハノイ宣言」及び2009年の「ASEAN連結性に関するASEAN首脳声明」を改めて想起し、

 ASEAN連結性マスタープランの効果的な実施によるASEAN連結性を優先事項としつつ、ASEANとEASパートナー国との間のより一層の結びつきを発展させる「連結性マスタープランプラス」のコンセプトの将来的な可能性を検討することを含め、2011年に採択され、ASEAN連結性におけるEASパートナー国の役割を促進する「ASEAN連結性に関する第6回東アジアサミット(EAS)宣言」を歓迎し、

 ASEAN+3とEASの枠組みを補完し、相互に強化する、ASEAN+1の枠組みの下のASEAN連結性協力に関する実施中の取組の重要性を再確認し、

 地理的近接性、相互依存関係の増大及びASEAN+3協力下の既存の広範囲に及ぶメカニズムは、ASEAN連結性マスタープランの実施に貢献し、地域連結性を促進し、その結果、地域を東アジア共同体の実現という共通の長期的目標に向けて緊密化させるASEAN+3連結性パートナーシップの発展に相互に有益であることを認識し、

 以下のとおりここに宣言する。

 1.ASEAN連結性マスタープランの実施におけるASEANの取組を支援する。

 2.ASEAN+3枠組下の全ての協力分野とメカニズムにおいて、連結性の強化を優先事項とする。

 3.連結性に関するプロジェクト、特にASEAN連結性マスタープランの物理的、制度的、人と人との連結性の3つの戦略の柱の下、特定された15優先プロジェクトのタイムリーな実施をとおして連結性を強化するため、ASEAN+3パートナーシップを発展させる。

 4.ASEAN連結性プロジェクトの実施を支援するため、ASEAN+3の枠組みの下、さらなるファイナンスのメカニズム/モダリティの可能性を検討するよう我々の関係閣僚に指示する。

 5.連結性プロジェクトにおける民間セクターの関与と官民パートナーシップ(PPP)を含むインフラ資金調達を促進するための手段を研究するよう我々の関係閣僚に指示する。

 6.ASEAN連結性マスタープランの3つの柱を対象とする関係分野におけるASEAN+3連結性パートナーシップ協力を推進する方策と手段について提言するため、様々なメカニズムを通じた研究グループの設立の検討を関係閣僚に指示する。

 7.ASEANとプラス3を含むその自由貿易協定(FTA)パートナー国との間の経済活動を促進させるため、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の構築等に向けた実施中のプロセスを支援する。

 8.地域における連結性発展にとっての障害を予防するため国境を越える犯罪との闘いに関するASEAN+3協力を強化し、キャパシティ・ビルディングの強化、官民パートナーシップ、透明性、説明責任におけるベスト・プラクティスの共有を通じたグッド・ガバナンスの促進といったような、連結性強化によって影響を受ける分野における協力を更に強化する。

 9.単位交換制度の促進、ASEAN+3の大学間の、質保障を含む教育に関するASEAN+3行動計画の実施とともに、ASEAN+3大学ネットワーク(AUN+3)の設立を支援する。

 10.シェムリアップ市を2012年のASEAN+3の枠組みにおける東アジア文化都市とすることを歓迎するとともに、新たなイニシアティブである東アジア文化都市に関して更に議論することで一致した。

 11.2012年をASEAN+3訪問年に指定することを歓迎する。

 12.ASEANとプラス3の国々との人と人との連結性促進の鍵となる手段の一つであるASEAN+3観光協力に関する覚書署名に期待する。

 13.EASパートナーと協力して将来における「連結性マスタープランプラス」を策定する可能性を検討するとともに、ASEAN+3連結性パートナーシップとASEAN+3協力作業計画ン(2007-2017年)と相乗作用を与えるよう関係閣僚に指示する。

 14.ASEAN連結性調整委員会(ACCC)がASEAN+3の枠組みの下での連結性における取組を調整するため、プラス3の国々と協働するよう慫慂する。

 (了)