データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ASEAN+3防災に関する国際会議 議長サマリー

[場所] 東京
[年月日] 2010年8月30日〜9月1日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

1. ASEAN+3防災に関する国際会議は、日本政府(外務省)の主催のもと、内閣府、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)、国際協力機構(JICA)、アジア防災センター(ADRC)の緊密な協力により、ASEAN+3各国の政府関係者、学識者、オブザーバー国(オーストラリア及びインド)及び国際機関等の参加を得て、2010年8月30日〜9月1日に東京で開催された。

2. 本会議において、兵庫行動枠組(Hyogo Framework for Action: HFA)2005-2015中間レビューに貢献することを目的として、兵庫行動枠組(Hyogo Framework for Action: HFA) 2005-2015の前半年におけるこの地域の進捗と課題を分析し、後半年の兵庫行動枠組の新たな課題を明確化するための議論を行った。本会議の参加者は、国レベル及び地域レベルにおいて進捗があったことに賛同した。また、気候変動への適応は、各国の防災政策と連携させ、防災面での地域協力を通じて推進するべきであることが指摘された。

3.地方自治体や、人々の主体性や責任感の向上を通じたコミュニティー・アプローチに対する支援は、防災のための有効なメカニズムとなりうることが同意された。

4. 2010年5月5日〜7日、中国・北京にて開催されたASEAN+3都市防災セミナーにおける中国のイニシアティブを歓迎し、その提言、特にASEAN+3諸国の専門家のネットワークを構築するとの提言を想起した。

5. 2010年10月25日〜28日に仁川(韓国)にて開催される第4回アジア防災閣僚会議について、その成功と有益な成果が達成されることへの期待が示された。

6. アジア地域の防災協力においてADRCが果たす重要な役割や、JICAによる日本の政府開発援助(ODA)を通じた二国間防災協力の貴重かつ意義深い活動について再認識した。

7. 情報通信技術(ITC)を防災目的に活用する提案を含め、日本による、地域における防災協力への貢献とイニシアティブを歓迎した。

8. 2009年12月24日に発効したASEAN災害緊急対応協定(AADMER)の進捗を歓迎し、ASEAN諸国による防災能力強化のための近年のイニシアティブを歓迎した。

9. ISDRによる「災害に強い都市」に関するグローバル・キャンペーンを歓迎し、ASEAN諸国がこのキャンペーンに参加し、国内の都市やモデル都市の参加を推薦するよう奨励した。

10. ASEAN+3のこれまでの努力とイニシアティブを考慮しつつ、2007年11月のシンガポールにおける第11回ASEAN+3首脳会議にて採択された東アジア協力に関する第二共同声明と作業計画(2007-2017)において防災協力がASEAN+3協力の最優先項目であることを再確認し、ASEAN+3の防災協力が「連結性マスタープラン」('Master Planof Connectivity')と整合的であることを確認し、ASEANの中心性とASEAN議長国であるベトナムの主導により作成された今年の提言「ビジョンからアクションへ」を尊重しつつ、ASEAN+3各国が特に都市及びコミュニティにおける防災協力をさらに推進するべき旨同意した。これらに基づき出された提言は以下の通り。

a)ASEAN+3各国が、ボトム・アップのアプローチや人を中心とするアプローチを考慮し、防災プロジェクトの実施を促進するよう奨励する、

b)ASEAN+3各国が、情報、知見及び技術の共有によって、防災に関する地域協力をさらに強化するよう奨励する、

c)ASEAN+3協力基金の財政支援により、都市・コミュニティにおける予防面に焦点を当てた防災を主題としたプロジェクトの実施を検討する、

d)この会議で出された提案のフォローアップを行うため、東アジア・シンクタンク・ネットワークをはじめとする既存のASEAN+3協力枠組を活用する、

e)参加国が、気候変動適応と防災の関連について調査・研究を実施するよう奨励し、また、

f) 防災分野におけるASEAN+3各国の努力に対する、他のパートナー国による更なる協力と国際機関による更なる支援を奨励する。

他の関係国が更なる協力を推進し、国際機関が防災分野におけるASEAN+3による取り組みを更に支援することを奨励する。

(了)