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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第2回ASEAN+3蔵相会議共同声明

[場所] チェンマイ
[年月日] 2000年5月6日
[出典] 財務省
[備考] 財務省仮訳
[全文]

1.昨年11月マニラのASEAN+3非公式首脳会議で発出された「東アジアにおける協力に関する共同声明」に沿って、我々、ASEAN、中国、日本、韓国(ASEAN+3)の蔵相は、経済金融情勢に関して意見交換し、東アジア地域におけるさらなる協力について議論するため、チェンマイで会議を開催した。

2.ブルネイのアブドゥル大蔵省代表大臣が会議の議長を務めた。

東アジアの金融協力の強化

3.我々は、東アジア地域の経済・金融情勢についてのADBによるプレゼンテーションに感謝し、各国で予想以上に強い回復がみられることを歓迎した。この経済成長をさらに持続するために、我々は、特に、資本フローのモニタリング、自助・支援メカニズム及び国際金融改革の分野において、政策対話及び域内の協力活動を強化することに合意した。

4.資本フローのモニタリングについては、我々の専門家が、東アジアにおける資本フローのモニタリング・メカニズムにつき意見交換するため、今年4月のおわりにマニラで会合を行い、東アジア地域における域内のモニタリングの枠組みを確立するための可能なアプローチについて議論した。我々は、資本フローに関する整合性のとれたタイムリーなデータ及び情報の交換を促進するために、ASEAN+3の枠組みを活用することに合意した。

5.東アジアにおける経済及び金融に関する良く調整されたモニタリング・システムの確立に向けた第一段階として、我々は、東アジアの域内サーベイランスを促進するためのコンタクト・パーソンのネットワークを作ることに合意した。このことは、我々の経済についてのレビューや政策対話の有効性を高めることになろう。

6.ASEAN+3の枠組みを通ずる東アジアにおける自助・支援メカニズムを強化するために、我々は既存の国際的な制度を補完する域内の金融上のアレンジメントを確立する必要性を認識した。スタートとして、我々は「チェンマイ・イニシアティブ」を通じて、我々の通貨当局間の既存の協力の枠組みを強化することに合意した。このイニシアティブには、全てのASEAN加盟国を含みうるよう拡大されたASEANスワップアレンジメントとASEAN、中国、日本、韓国との間の二国間のスワップ及びレポ取極のネットワークが含まれる。

7.我々は、ASEAN事務局に対して、東アジア地域の金融安定を確保するために十分かつ時宜を得た金融支援を行うための我々の能力を高めうる他の適切なメカニズムに関する研究をリード・調整することを要請した。

8.人的資源及び政策対話・協議のための研究協力の重要性に鑑み、我々は、相互の関心事項に関する研究や研修を行うため、研究・研修機関のネットワークを作ることに合意した。この文脈で、我々は、金融当局者向けの研修やセミナー及び財政の健全性の確保や公的債務管理、金融政策の改善といった緊急の必要に応えるための専門家の派遣による、金融部門での技術支援拡充にかかる日本の支援の提供に対して感謝した。我々は、また、研修プログラムを通じて、地域の金融・銀行・財政当局者に対し技術支援を供与しようという中国及び韓国の申し出を歓迎した。