データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第9回日・アセアン経済大臣会合(AEM-METI)

[場所] バンダルスリブガワン
[年月日] 2002年9月13日
[出典] 経済産業省
[備考] 仮訳
[全文]

1.アセアン経済閣僚と日本の経済産業大臣の間の第9回会合は、2002年9月13日にブルネイのバンダルスリブガワンにおいて開催された。会合においては、ブルネイのラーマン産業・一次資源大臣と日本の平沼赳夫経済産業大臣が共同議長を務めた。

アセアンと日本の貿易投資関係{前14文字下線有り}

2.閣僚は、グローバルな経済環境と各地域の状況について意見を交換した。閣僚は、アセアンと日本が重要な貿易相手であり続けていることに留意した。2001年の両地域間の総貿易量は1,084億米ドルであった。2001年には、アセアンの全輸出の16%を日本が占め、一方で、日本の全輸出の16%をASEANが占めた。2001年の日本の対アセアン投資は、アセアンへの総投資額の18%に相当する。

3.アセアン各国は、2002年1月に小泉総理が提案した「日・アセアン包括的経済連携構想」を歓迎した。閣僚は、アセアンと日本の経済関係はポジティブであり、この関係を強化することは重要であるとの見方を共有した。

日アセアンCEP専門家グループ共同報告書{前20文字下線有り}

4.閣僚は、日アセアン経済連携強化(CEP)専門家グループの共同報告書を歓迎し、FTAの可能性を含むスタディの肯定的な結果に意を強くした。本スタディの試算に従えば、日アセアン経済連携強化(AJCEP)により、アセアンの対日輸出は44.2%増加し、日本の対アセアン輸出は27.5%増加する。また、アセアンのGDPは1.99%増加し、日本のGDPは0.07%増加する。経済的便益を越えて、AJCEPは、両地域間の共同体意識の醸成に貢献し、東アジアの経済的安定を支える重要なメカニズムを提供する。閣僚は、AJCEPが、過去数年間増加してきた物とサービスの貿易、国境を越える投資を更に促進することに留意した。AJCEPによって、国内外の投資家によるアセアン及び日本への投資を一層呼び込むことが期待される。

5.閣僚は、アセアン及び日本が、対象分野と対象国の包括性などの基本原則に従い、AJCEPの実現に向けた具体的手順と内容の基礎となる枠組みの検討を開始するべき旨首脳へ提言することに合意した。枠組みは2003年中に作成され、その結果を首脳の検討に付すために提出する。FTAの要素を含み得る連携を実現するための措置の実施は、各国の経済レベルやセンシティブ分野に配慮しつつ、10年以内のできるだけ早い時期に完了するべきである。この目的のために、閣僚は、経済関係の政府代表から構成される委員会を2003年中に設置する旨を首脳に提言することに合意した。

日アセアン経済産業協力委員会(AMEICC){前22文字下線有り}

6.日アセアン経済産業協力委員会(AMEICC)は、第9回日・アセアン経済大臣会合の一部として開催された。閣僚は、AMEICCの下でのプロジェクトが適時効果的に実施されてきたことに感謝の意を表した。特に、アセアンにおける中核的人材育成機関(COE)の強化とネットワーク化が、アセアンの人材育成を促進する役割を果たしてきたことに留意した。閣僚は、COE間のベストプラクティスを共有することを通じてアセアンのCOEを一層強化し、ネットワーク化するための日本の新しいイニシアティブ(COEフォローアッププログラム)を歓迎した。また、閣僚は、新規加盟国を支援し、アセアンの競争力を強化するためのAMEICC活動の進展に留意した。

7.閣僚は、AMEICCの各ワーキンググループが、AMEICCワークプログラムの各プロジェクトの実施を一層促進し、貿易投資の円滑化・促進の活動を推進するよう促した。

その他の経済協力分野{前10文字下線有り}

8.閣僚は、SOME‐METI会議を通じたエネルギー問題での効果的な協力を歓迎するとともに、協力がさらに深化することへの期待を表明した。

9.閣僚は、日ASEAN間の「アセアン基準認証協力プログラム」に関する日本の協力イニシアティブを歓迎した。閣僚は、日本が、協力イニシアティブを推進していること、ペーパーレス貿易を促進するための「TEDI」、アセアンにおける工業製品のデザイン振興などのプロジェクトにアセアンの参加を促していることに留意した。

閣僚リスト{前5文字下線有り}

会議への出席閣僚は以下のとおり。

i)ラーマン産業・一次資源大臣(ブルネイ)

ii)チャン・プラシット商業大臣(カンボジア)

iii)ドロジャトゥン・クントロヤクティ経済担当調整大臣(インドネシア)

iv)平沼経済産業大臣(日本)

v)スリヴォン・ダラヴォン工業手工芸大臣(ラオス)

vl)ラフィダ通商産業大臣(マレイシア)

vii)エーベル国家平和発展評議会議(SPDC)議長府付大臣(ミャンマー)

viii)ロハス貿易産業大臣(フィリピン)

ix)ジョージ・ヨー通商産業大臣(シンガポール)

x)アディサイ商務大臣(タイ)

xi)ルオン・バン・トゥー商業省次官(ベトナム)

xii)セヴェリーノ事務局長(ASEAN事務局)