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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第11回ASEAN閣僚会議共同コミュニケ要旨

[場所] パタヤ
[年月日] 1978年6月16日
[出典] 外交青書23号,432−433頁.
[備考] 
[全文]

1.各外相はヴィエトナム・カンボディア間紛争の継続及び中国・ヴィエトナム間の緊張の増大に懸念を表明し,これらの問題が関係国によつて平和的手段により近い将来に解決されるべき旨の希望を表明した。

2.各外相は東南ア中立地帯構想の実現に対するASEAN諸国のコミットメントを再確認した。またASEAN諸国と域内他の諸国との間の接触に満足の意を表明し,この接触の促進に合意した。同構想に対し国際的承認を得るため努力すべき旨合意した。

3.各外相はインドシナ難民の第三国に対する再移住の促進に関しUNHCR(国際難民高等弁務官)その他の機関が迅速な措置をとるよう呼びかけた。

  また,同難民のASEAN諸国への流入が減少していないことに対し重大な懸念を表明し,国際社会が難民の再移住に関し,一層の共同努力をし,ASEAN諸国の重荷を軽減するよう呼びかけた。

4.会議は,ASEAN協力の促進に関し,経済閣僚会議の効果的役割を高く評価し,特に71品目及び755品目の特恵関税に合意したことに注目した。また,ASEAN工業プロジェクトに関する基本協定,インドネシアの尿素プロジェクト及びマレイシアの尿素プロジェクトに関する二つの補足協定を承認した。これら諸協定は,各国の憲法手続が完了した後,各国外相により署名される。

5.会議はASEAN海底ケーブル建設計画の達成状況を了知した。

6.各国外相は,ASEAN文化基金の設立に合意した。

7.各外相は共通基金の設立及び個別商品問題の交渉の遅延に対し,失望の念を表明するとともに,同基金に関するグループの77の立場に対し完全な支持を表明した。

8.各外相はMTN(多角的貿易交渉東京ラウンド)交渉において,米国,EEC,日本等がそのオファーを改善し,この交渉が具体的かつ意味ある成果を上げるよう求めた。

9.第2回ASEAN・米国ダイアログが閣僚レベルで8月3,4日の両日ワシントンで開催される。また,会議は来る11月20日,ASEAN・EEC間の閣僚会議を開催することに合意した。また,各外相は豪州,カナダ,日本,ニュー・ジーランド,国際機関との協力関係の進展に満足の意を表した。

10.会議は一部の開発途上国乃至そのグループからアプローチのあつたASEANとの対話を樹立したい旨の申入れに対しては,適当な考慮を払うべき旨合意した。

11.パプア・ニューギニアのオレワレ外相が開会式にオブザーバーとして出席した。

12.次回閣僚会議は,1979年にインドネシアで開催される。