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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第13回ARF閣僚会合議長声明

[場所] クアラルンプール
[年月日] 2006年7月28日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.2006年7月28日、マレーシアのクアラルンプールにおいて、アセアン地域フォーラム(ARF)第13回会合が開催された。本会合では、マレーシア国外務大臣サイド・ハミド・アルバール閣下が議長を務めた。

2.本会合には、ARFのすべての参加メンバーから外務大臣及びEU・CFSP上級代表が出席した。また、ASEAN事務局長も出席した。代表団リストは、別添1のとおりである。

3.2006年7月27日には、クアラルンプールにおいて、第13回ARF会合に出席する防衛・軍事当局者の会合も開催された。

4.閣僚は、バングラデシュがARFの第26番目の参加国としてARFに参加することが認められたことを歓迎し、バングラデシュより、ARFの目標の達成に貢献し、ARFによって既に行われた全ての決定及び声明に従い、かつ、これに同意するとのコミットメントが表明されたことに留意した。

ARFプロセスの概観

5.閣僚は、地域の主たる多国間の政治・安全保障に関するフォーラムとしてのARFの重要性を再確認するとともに、その更なる強化につき同意した。閣僚は、ARFの主要な原動力としての役割を果たすASEANへの支持を改めて表明し、ARFのすべての出席者に対し、ARFの発展段階に向けた進化の中でARFプロセスを前進させるため引き続きの協力と貢献を促した。

6.閣僚は、政治・安全保障に関する対話及び協力並びにアジア太平洋地域における信頼醸成の増進において、ARFで大きな進展が見られたこと及びこのためにARFが果たしてきた役割に満足しつつ留意した。閣僚は、コンセンサスによる意思決定及び内政不干渉の基本原則を引き続き誠実に遵守していくことに同意した。この関連で、閣僚は、ARFがすべての参加国にとって快適なペースで前進すべきであることを再確認した。

7.閣僚は、共通の関心事につき包括的な議論を行い、ARFがその議論を地域問題、特にアジア太平洋地域及び地域に影響のある国際問題に集中させることが必要であることを強調した。閣僚は、アジア太平洋地域が直面している挑戦はより複雑かつ相互に関連するようになっており、一層の地域協力が必要となっていることを認識した。

地域的及び国際的な安全保障問題に関する議論の主要点

8.閣僚は、2006年5月にインドネシアのジョグジャカルタ及び中部ジャワを襲った地震並びに2006年7月17日にインドネシアのジャワ島南部海岸を襲った津波により生命や財産が失われたことにつき、インドネシア共和国政府及びその国民に対して哀悼の意を表した。閣僚は、あらゆる種類の災害への取組に当たり、兵庫行動枠組の実施を通じ、緊急時への備え、緊急支援、復旧及び復興並びに災害のリスクの低減を含め、ARF参加国同士が協力すること並びに国連人道問題調整事務所を含めた地域及び国際社会のその他の関係する機関との間で取組を調整することの重要性を強調した。

9.閣僚は、第10回ASEAN首脳会合で採択された「ビエンチャン行動計画」に基づく「ASEAN安全保障共同体に向けた行動計画」の実施に重要な進展があったことに支持を表明するとともに、満足した。閣僚は、地域の平和、安定、民主主義及び繁栄の維持及びさらなる前進のための取組において安全保障分野における協力を高める必要性を強調した。さらに閣僚は、2006年5月9日にクアランプールでASEAN国防大臣会合が成功裏に開催されたことを歓迎した。

10.閣僚は、東南アジア地域における国家間関係を統括し、東南アジア諸国間及びASEANと他のARF参加国との間における協力、親善そして友好を促進するための極めて重要な行動規範として機能する、東南アジア友好協力条約(TAC)の目的及び原則の重要性を再確認した。この関連で閣僚は、2005年12月10日に、豪州が、クアランプールでの第11回ASEAN首脳会合の場において、TACに加入したことを歓迎した。豪州のTACへの加入は、地域の平和、安全及び安定のためにTACが引き続き意義あるものであることのさらなる証左である。

11.閣僚は、フランスがTACに加入することを決定したことを歓迎した。閣僚は、TACに加入するとのEUの意思を歓迎した。

12.閣僚は、朝鮮半島における進展につき意見交換を行った。閣僚は、朝鮮半島の非核化が、アジア太平洋地域の平和と安定を維持する上で不可欠であることを強調し、対話を通じた核問題の平和的解決に対する支持を表明した。閣僚は、2005年9月19日に北京で開催された六者会合で全会一致で採択された朝鮮半島の非核化に関する共同声明を支持することを再確認し、共同声明の遵守と早期の実施の重要性を強調した。閣僚は、また、関係するすべての当事者に対し、前提条件なく六者会合を再開するよう求めた。閣僚は、2006年7月28日にクアラルンプールにおいて一部のARF参加国の間で行われた、北東アジア情勢に関する非公式の議論を歓迎し、これが六者会合の早期再開に向けて貢献し得るとの期待を表明した。

13.ほとんどの閣僚は、北朝鮮が2006年7月5日にミサイルの発射実験を行ったことについて懸念を表明し、そのような実験は、地域の平和、安定及び安全に悪影響をもたらす可能性があると信じた。閣僚は、2006年7月15日に国連安保理決議1695が全会一致で採択されたこと及び北朝鮮がこの決議を拒否したことに留意した。閣僚は、北朝鮮に対して、ミサイル実験に関するモラトリアムに復帰するよう促した。

14.一部の閣僚は、中東における、状況の悪化及び鎮静化しない暴力、特に、パレスチナ占領地及びレバノンにおける不均衡で、無差別かつ過大な武力の行使に対して重大な懸念を表明した。このような行為は、和平プロセスを再開するためのあらゆる努力に対する重大な脅威となる。

15.閣僚は、無辜の市民の死傷及び市民の財産やインフラの破壊を引き起こしてきたあらゆるテロ、暴力及び破壊活動を非難した。閣僚は、すべての当事者に対して、最大限の自制を行い、特に、これ以上の無辜の市民の犠牲及び市民の財産やインフラへの損害の発生を回避し、状況のさらなる悪化につながる可能性のある行為を控えるよう促した。

16.閣僚は、紛争を終結させるために行われている様々なイニシアティブに留意した。この関係で、閣僚は、2006年7月26日にローマで中東情勢に関する国際会議が開催されたことを認識した。

17.一部の閣僚は、停戦を呼びかけ、国際社会と国連安保理に対して、すべての紛争当事者に停戦を遵守させ、最終的には、公正で、持続性のある包括的な平和を地域にもたらすための取組を行うよう促した。

18.閣僚は、交渉による結果が、地域の長期的な平和、安全及び安定を確保するための唯一の道であると強調した。閣僚は、国連安保理決議1664及び1680に明記された、唯一かつ排他的なレバノン政府当局の権限下でのレバノンの主権、領土保全、統一及び政治的な独立を厳格に尊重するとの呼びかけを再確認した。閣僚はまた、イスラエル及びパレスチナに対して和平プロセスへの復帰、及び国連安保理決議1515に示されたイスラエル・パレスチナ紛争に対する恒久的な二つの国家による解決に向けたカルテットのロードマップの実施を促した。

19.閣僚は、ミャンマーでの最近の進展について意見交換を行った。閣僚は、国民和解プロセスの進捗の速度に懸念を表明し、近い将来、民主主義へ平和的に移行していく具体的な進展が見られることへの希望を表明した。閣僚は、拘束されている者の早期解放及び全ての関係する当事者との効果的な対話への呼びかけを繰り返した。閣僚は、この問題が第39回ASEAN閣僚会合で広範に議論されたことに留意し、この関連で、第39回ASEAN常任委員会の議長が果たした建設的な役割に対して支持を表明し、2006年3月23日及び24日の同議長によるミャンマー訪問の成果についてさらに議論した。閣僚はまた、2006年5月18日から20日にミャンマーを訪問した国連政務局長によるイニシアティブ及びミャンマーが同局長を再度受け入れる準備ができていることに留意した。

20.閣僚は、ミャンマーが自らが直面する多くの複雑な課題に対処するに当たり時間及び政治的余裕が必要であることを認識した。閣僚は、ミャンマーが国際社会に効果的に関与できるようになるように、それらの課題に対処するためのミャンマーの取組が進展することに期待を表明した。この関係で、ARFは、必要に応じ引き続き前向きに関与していく。

21.閣僚は、ジョゼ・ルイス・グテレス東ティモール外務・協力大臣の先の就任に祝意を表した。閣僚は、東ティモールの最近の肯定的な発展に留意し、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、ポルトガルが、東ティモールへ軍隊及び治安部隊を派遣した迅速な支援を歓迎した。閣僚は、新しい首相及び閣僚が任命されたこと並びに彼らが国内情勢の正常化のため迅速に取組むことを望んでいることを歓迎した。

22.閣僚は、2005年8月にマニラで、2006年2月に中国・海南島で各々開催された2つの作業部会を含む「南シナ海における当事者間の行動宣言(DoC)」の完全な履行に向けたASEAN及び中国による措置を歓迎した。閣僚は、2006年5月30日にカンボジア・シエムリアップで開催された、DoCの履行を加速化するための「DoCの履行に関する中国・ASEAN・SOM会合」に留意した。閣僚は、DoCの履行により、ASEAN及び中国が「南シナ海における行動規範」の最終的な採択の方向に向かうことについて期待を表明した。

23.閣僚は、和解及び民主的で独立したイラクの将来像の構築に向けた政治プロセスにおいて重要な措置を講ずる上でのイラク国民の決意に勇気づけられた。閣僚は、2005年12月15日にイラクで選挙が実施され、イラク国会議員が選出されたことを歓迎した。閣僚は、5月20日にイラクにおいて挙国一致の政府が成立したことを歓迎した。

24.閣僚は、政治プロセスにおける肯定的な進展が、一般のイラクの人々が直面している困難を軽減することへの希望を表明した。閣僚は、市民及び礼拝所に対する継続的攻撃を含むイラクの治安状況に深い憂慮を表明した。閣僚は、イラクの当局等に対して、イラクの治安状況を改善するためにできるすべててのことを行うよう促した。閣僚は、2006年6月25日にヌーリー・アル・マーリキー首相が公表した国民和解計画を歓迎し、すべてのイラクの人々に対して平和的で民主的な方法を通じて政治的な違いを解決するために、共に努力するよう促した。

25.閣僚は、無辜の人命の悲惨な損失及び財産へ損害を引き起こした2006年7月のムンバイでのテロリストの攻撃を強く非難し、攻撃の犠牲者、その家族及び友人に深い同情と哀悼の意を表明した。閣僚は、テロリズムは、その原因、動機、もしくは目的いかんに拘わらず、すべての国民や国家に対する脅威であり、また、平和、安定、安全及び経済的繁栄を確保する上で国際社会共通の関心事項であることを再確認した。

26.さらに閣僚は、あらゆる形態及び発現様式のテロリズムを引き続き強く非難するとともに、テロリズムを個別の宗教や民族と関連づけるべきではないことに合意した。一部の閣僚は、テロリズムの根本原因に取り組む必要性を強調した。閣僚は、異なる宗教及び文化を無差別に標的にすることを防ぐため、文明間の対話を促進し、理解を広めるための国際的な取組みを引き続き行うことを支持し、さらなる呼びかけを行った。この関連で、閣僚は、4月26日から28日に北京において開催されたテロ及び国境を越える犯罪に関する第4回ARF会期間会合における議論に留意した。閣僚はまた、国連憲章及びそのほかの普遍的に認められている国際法に従って、国際テロリズムを予防、停止及び撲滅することに対するコミットメントを再確認した。

27.閣僚は、クアラルンプールにおける第13回ARF閣僚会合開催中の2006年7月28日に、国際テロリズムに対する闘いへの協力のためのASEANカナダ共同宣言への署名が行われたこと及び同共同宣言に明示された活動の計画的な実施を歓迎した。

28.閣僚は、クアラルンプールの東南アジア地域テロ対策センター(SEARCCT)、バンコクの国際法執行アカデミー(ILEA)、インドネシアのスマランのジャカルタ法執行センター(JCLEC)などのテロ対策に関する地域センター間の協力に支持を表明し、更に継続的な協力を呼びかけた。

29.閣僚は、小型武器の不法使用が、いまだに世界のすべての地域で人間の安全保障に対する重大な脅威となっていることを認識した。閣僚は、「小型武器の非合法取引を防止し、除去し及び撲滅するための国連行動計画」及び国連決議60/81の実施に向け努力するとのARFの強いコミットメントに満足しつつ留意した。この関連で、閣僚は、2005年11月2日から4日にプノンペンで開催された小型武器に関するARF・CBMセミナーで採択された勧告の重要性について強調した。

30.閣僚は、テロリスト又はその他の非国家組織が携帯式地対空ミサイル(MANPADS)を入手使用することを防ぐにあたり、MANPADSの移転管理を強化することが重要であると再確認した。閣僚は、MANPADSの非国家組織への拡散は、国際民間航空及び地域のすべての国に対する脅威であることに留意した。

31.閣僚は、ARFが海上の安全保障の問題に継続的に焦点を当てることを歓迎し、この問題を、沿岸国の権利及び利用国の正当な問題意識を尊重する協力的な枠組みの中で取り扱うことの重要性を再確認した。また、閣僚は、2005年8月1日から2日までのインドネシアのバタムでの会合を歓迎した。同会合ではマラッカ海峡の沿岸国の外相が、沿岸国の主権及び国際社会の正当な関心の間のバランスを維持しながら、航行の安全、環境保護及び海上の安全保障を確保するためのマラッカ海峡の管理における基本的原則を改めて表明した。さらに閣僚は、沿岸3か国とタイによる4カ国の軍隊間の海上安全保障に係る協力の促進に関し、2005年8月1日から2日にクアラルンプールで同時並行的に開催された関係4か国国防軍の長による会合を歓迎した。さらに閣僚は、安全、安全保障及び環境保護の促進に関し、2005年9月7日から8日に、インドネシアと国際海事機関(IMO)が主催した「マラッカ及びシンガポール海峡に関するジャカルタ会合」を沿岸国と利用国との協力の延長として歓迎した。

32.閣僚は、大量破壊兵器及びその運搬システムの拡散は、テロリストに渡る可能性も含めて、依然として深刻な安全保障上の課題であると述べた。閣僚は、すべての国に対し、核テロリズムと闘うための最新の2本の普遍的文書、すなわち、2005年4月13日に国連総会で採択された「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」及び2005年7月8日にウィーンで採択された「核物質の防護に関する国際条約の改正」に加入するよう促した。閣僚は、国連安保理決議1673の採択を歓迎した。同決議により、安保理は、国連安保理決議1540の要請を改めて強調し、その上で、特に非国家主体に対するものを含め、大量破壊兵器の拡散防止に向けた国際社会の決意を再確認した。かかる観点から、閣僚は、1540委員会の努力への支持を表明し、すべての国に対し効果的かつ完全な決議の実施を確保するよう呼びかけた。

33.核兵器不拡散条約(NPT)の締約国の閣僚は、同条約が地球規模の安定と安全のための礎として有効であることを再確認しつつ、2005年の運用検討会議における議論を念頭において、NPTを更に強化するために一層努力する必要性を表明し、また、同条約のすべての規定の遵守とその履行を強化するために更なる努力を行うことについて合意した。閣僚は、核の拡散を防止し、核軍縮及び原子の平和利用を促進する上でのNPT及び国際原子力機関(IAEA)の重要な役割に対する継続した支持を改めて強調した。

34.閣僚は、核実験及び兵器目的のための核分裂性物質の製造に関する既存のモラトリアムの維持を呼びかけた。閣僚は、地域の関係国間で自発的に達成した取り決めに基づき設けられ、国際的に認識された非核兵器地帯(NWFZs)の概念に対する支持を再確認し、このような地帯が地球規模及び地域の平和と安全保障の強化に貢献することを強調した。さらに閣僚は、東南アジア非核兵器地帯条約の議定書について、核兵器国と条約締約国との間で引き続き協議することが重要であることを改めて確認した。

35.閣僚は、鳥インフルエンザが引き続き地域各国に対して重大な潜在的脅威となっていることにつき合意した。閣僚は、すべてのARFのイニシアティブが、既存のイニシアティブと重複するのではなく、それらを補完するものとなるように既存の多数国間機関と連携することの重要性を認識した。閣僚は、人や動物のインフルエンザの症例に関する報告における透明性、WHOとの迅速な疫学データの共有、発生しつつある流行病の予防及び封じ込めのための能力開発並びに潜在的な発生に対する早期介入を確保することが重要であることに同意した。

現インターセッショナル年度(2005年7月−2006年7月)における活動

36.閣僚は、現インターセッショナル年度(2005年7月−2006年7月)の間に開催されたトラックI及びトラックII活動の成功に満足の意を表明した。閣僚は、フィリピン及び米国の共同議長により、米国のホノルルで2005年10月26日から28日まで、及び、フィリピンのマニラで2006年3月1日から3日まで開催された「信頼醸成措置及び予防外交に関するARFインターセッショナル支援グループ(ISG on CBMs and PD)」での作業を賞賛した。閣僚は、共同議長による総括報告書に留意し、その勧告を支持した。共同議長による報告書は別添2のとおり。

37.閣僚は、ARFプロセスにおける防衛当局者による貢献を歓迎した。この点に関し、閣僚は、2006年5月18日に、マレーシアの主催によりサバ州カランブナイで行われた第3回ARF安全保障政策会議(ASPC)の成果につき満足した。閣僚は、ARFの防衛政策当局者間のハイレベルの交流が信頼醸成と相互理解の更なる促進に貢献し、これによりアジア太平洋地域及び世界の平和と安定の維持に貢献している点につき満足しつつ留意した。

38.閣僚は、2005年11月30日から12月2日にインドネシア・バンドンで開催され、インドネシア及び中国が共同議長を務めた、「災害救助に関する第5回ARFインターセッショナル会合(ISM on DR)」の成果を歓迎した。共同議長による報告は別添3のとおり。閣僚は、豪州、インドネシア、マレーシア、米国及び中国が、災害救助においてARFの活動を更に進めるための当座の間の取組の調整役となることを引き受けたことに留意した。さらに閣僚は、「災害管理及び緊急対応に関するARF声明」を、別添4のとおり採択した。

39.閣僚は、2006年4月26日から28日まで北京で開かれた「テロ対策及び国境を越える犯罪に関する第4回インターセッショナル会合(ISM on CTTC)」におけるブルネイ及び中国による共同議長としての報告に留意し、その勧告を支持した。共同議長による報告書は別添5のとおり。

40.閣僚は、国際テロリズムに対する闘いにおける協力を強化するというARF参加メンバーの決意を表明した「サイバー攻撃及びテロリストによるサイバー空間の悪用との闘いにおける協力に関するARF声明」及び「テロリズム対策に対する人間中心によるアプローチの促進に関するARF声明」を採択した。声明は、別添6及び別添7のとおり。

41.閣僚は、2005/2006年のインターセッショナル年度に完了した以下の諸活動に留意した。

‐軍民活動に関するワークショップ(2005年9月11日−14日、フィリピン・マニラ)

‐サイバーテロリズムに関するセミナー(2005年10月3日−5日、フィリピン・セブ)

‐ミサイル防衛に関するセミナー(2005年10月6日−7日、タイ・バンコク)

‐第9回国防大学等学長会議(2005年10月10日−13日、ベトナム・ハノイ)

‐海上安全保障協力のための訓練に関するワークショップ(2005年10月26日−28日、インド・コーチ)

‐小型武器ワークショップ(2005年11月2日−4日、カンボジア・プノンペン)

‐輸出管理専門家会合(2005年11月17日−18日、シンガポール)

‐海上安全保障のキャパシティ・ビルディングに関するワークショップ(2005年12月19日−20日、日本・東京)

‐大量破壊兵器の不拡散に関するセミナー(2006年3月27日−29日、シンガポール)

次期インターセッショナル年度の作業計画

42.閣僚は、「信頼醸成措置及び予防外交に関するインターセッショナル支援グループ(ISG on CBMs and PD)」が引き続き作業を行うことに合意し、インドネシア及びEUが次期インターセッショナル年度において「ISG on CBMs and PD」の共同議長を務める旨の申し出を歓迎した。また、閣僚は、2006年11月1日から3日にインドネシア・バタム島において、第1回目の「信頼醸成措置及び予防外交に関するインターセッショナル支援グループ」が開催され、2007年の第1四半期にフィンランドで第2回会合が開催されることにつき留意した。

43.閣僚は、ISM on DRを継続する重要性を認識し、ISM on DRが、回復力のある地域としての災害への備え及び緊急管理を構築する方途を見出すために引き続き取り組むべきことにつき合意した。さらに閣僚は、インドネシア及び中国が次期インターセッショナル年度において、2006年9月18日から20日まで中国・青島で開催される第6回ISM on DRの共同議長を務めることに留意した。

44.閣僚は、テロ及び国境を越える犯罪との闘いにおける協力の更なる強化を進めるために、ISM on CTTCが、その作業を継続すべきであることにつき合意した。閣僚は、2007年に日本の東京で第5回ISM on CTTCの共同議長を務めるとのシンガポール及び日本の申し出を歓迎した。

45.閣僚は、ARFの活動にかかるすべての提案は最初にインターセッショナル支援グループ・レベル/インターセッショナル会合レベルで議論され、高級事務レベル会合で合意されなければならないとの手続を再確認した。閣僚は、別添8にある次期インターセッショナル年度(2006年7月−2007年7月)の作業計画を承認した。

ARFプロセスの将来の方向性

46.閣僚は、2000年7月31日にブルネイで採択された「ARFプロセスのストックテーキングに関する9つの提言」を引き続き実施することにつき合意した。閣僚は、ARF議長が「ARF議長の役割の強化」に関するペーパーに記されたマンデートを実施するにあたって、更に同議長に対する協力及び支援を行っていくことに合意した。閣僚は、ARF議長が強化された役割を果たすための標準的な業務手順の整備に期待した。この関連で、フィリピンは、「ARF議長フレンズの付託事項」についての協議を継続する。閣僚は、ARFプロセスの進展に関する開かれた対話について満足の意を表明するとともに、予防外交の段階及びそれを越えた段階へ向けてARFプロセスを更に前進させることについてコミットした。

47.我々は、予防外交に向けたARFの進展を歓迎した。閣僚は、ARFが予防外交において行動し、活動するにあたり、ARFにとって指針となる既に採択された「予防外交の概念と原則」の重要性を想起し、予防外交に関する具体的な措置を整備することに期待を示した。さらに、閣僚は、第1回ARF専門家・著名人(EEP)会合がマレーシアと韓国との共同議長によって2006年6月28日から30日まで韓国の済州島で開催されたことを歓迎した。閣僚は、この会議の成果について共同議長のマレーシアから説明を受けた。閣僚は、別添9の共同議長サマリー報告に示されるARFの将来の方向及びEEPの役割に関するEEPの勧告に留意した。さらに閣僚は、ARF・SOMに対して、勧告を検討し、次のARF閣僚会合においてその実行可能性についての評価を提出するよう求めた。

48.閣僚は、ARF参加メンバー間の透明性及び信頼醸成を促進するため、「ARF年次安保概観(ASO)」を引き続き発行することにつき同意し、ASO第7巻の発行を歓迎した。

49.閣僚は、安全保障にかかる他の地域的機関及び国際機関との連携、及びトラックIとトラックIIとの連携の強化を継続する必要性を強調し、別添10のとおりARF・SOMにおいて採択された「ARFにおけるトラックIとトラックII及び安全保障にかかる他の地域的機関及び国際機関との連携強化」に関するタイのコンセプト・ペーパーを歓迎し、関連するARF機関に対し、そこに示されるガイドラインと形式に従って続行することを委ねた。

50.閣僚は、ARFユニットがARF議長を支援し、ARFの組織的な記憶を発展させていることを賞賛した。これには、定期的に更新される「ARFの決定及びその現状に関する一覧表」(ARFネットで入手可能)や、www.aseanregionalforum.orgにおいてARFインターネットホームページ及び仮想通信ネットワークを整備していることを通じた取組が含まれる。閣僚は、いくつかのARF参加メンバーがARFユニットに対し支援を行っていることを確認し、他の参加メンバーにも同様のことを行うよう奨励した。

51.閣僚は、ARFのプロジェクト、活動及び決定を実施する目的のためのARF基金の進捗、特に、別添11のARF基金プロジェクトブリーフのための標準フォーマットの採択を歓迎した。

52.閣僚はARFへの参加申請は、確立された基準に従い、各事案毎に考慮されることに留意した。この関係で、閣僚は、ASEANがスリランカを第27番目のARFの参加国となることを一致して受け入れたことを歓迎し、これに同意した。スリランカの参加は第14回ARFにおいて正式なものとなる。

53.閣僚は、ARFプロセスの進展に関し開かれた対話が行われたことに満足の意を表明するとともに、参加メンバー間相互の信頼及び信用を引き続き醸成しつつ、コンセンサスの原則に則り、かつすべての参加メンバーにとって快適なペースで、ARFプロセスを予防外交の段階、さらにはその先に向けて前進させるとの決意を示した。