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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 菅内閣総理大臣年頭記者会見

[場所] 
[年月日] 2011年1月4日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

【菅総理冒頭発言】

 明けまして、おめでとうございます。今年が、皆さんにとってすばらしい年になることを、まず心から祈念をいたしたいと思います。

 年頭に当たって、私が目指す国の在り方について、3つの理念を申し上げます。

 まず、平成23年を平成の開国元年としたい、最小不幸社会を目指す。そして、不条理を正す政治、この3点であります。今、世界の多くの国が日本に追いつけ追い越せと成長を続けています。そういう国々のリーダーと話をすると、自分たちは日本を目標にして、モデルにして頑張ってきたんだと口々に言われます。そうです。これまで多くの国に財政的な援助や技術的な援助をしてきた兄貴分が我が国日本だと言えます。私はこれからも、そうした国々の成長を支援する。同時にそれらの国々のエネルギーを逆に我が国のエネルギーとして、日本の成長につなげていくことが今、必要だと考えております。

 そのためには、貿易の自由化の促進。そして一方では、若者が参加をできる農業の再生。この2つをやり遂げなければなりません。平成23年を、そうしたヒト・モノ・カネばかりではなくて、明治維新や戦後に続く、日本人全体が世界に向かってはばたいていくという、そうした開国を進めていく元年としたい。そしてこの開国を進めるためには、貧困あるいは失業といった不幸になる要素を最小化することが何よりも必要です。社会保障について、今後の不安が広がっております。昨年の参議院選挙では、やや唐突に消費税に触れたために、十分な理解を得ることができませんでしたが、今、社会保障の在り方と、それに必要な財源を、消費税を含む税制改革を議論しなければならないという、そのことは誰の目にも明らかであります。幸いにして、自由民主党も公明党も、そうした姿勢を示されております。今がまさにそのときだと思います。しっかりした社会保障を確立していくために、財源問題を含めた超党派の議論を開始をしたい。野党の皆さんにも参加を呼びかけます。

 そして、アジア太平洋をめぐる安全保障についても、我が国のためだけではなく、この地域全体の安全・安定を考えた行動が必要です。日米同盟の深化は、そうしたアジア太平洋地域の安定のためにこそ必要だと、こういう観点で推し進めてまいります。

 このような開国を進めていくに当たって、もう一つ考えておかなければならないことがあります。それは、国民の皆さんがおかしいなと思っていることに対してしっかりと取り組んで行くことであります。

 私は、東京都に所在する硫黄島で多くの遺骨が残されていることを知ったときに、なぜこんなことになっているんだろうと不思議に思いました。総理になって、特命チームをつくって、アメリカの公文書館で調査をして、大きな埋葬地を見つけることができました。先日、私も出かけた追悼の式典を行いました。御遺骨を家族の元に返すことは国の責任です。

 また、若い人が学校を卒業しても仕事がない。子どもを産んでも預かる場所がない。あるいはいろいろな難病について十分な手当がなされていない。こういった問題についてもしっかりと取り組んでいきたい。私自身、特命チームをつくり取り組んでおりますが、これからもこうした不条理と思われる問題で、直接私が取り組むことがふさわしい問題については、しっかりと新たな特命チームをつくって進めてまいりたい、このように考えております。

 そして、もう一つ不条理ということに関して言えば、政治とカネの問題があります。私が初めて衆議院選挙に立候補したのは、ロッキード選挙と呼ばれたその選挙であります。政治とカネを何とかしなければ、日本の民主主義がおかしくなってしまうという思いから、30歳のときに初めて立候補いたしました。

 今、なお、政治とカネのことが国民の皆さんから不信の念を持って見られている。これでは、これから多くの改革を進める上で、国民の皆さんにも痛みを分かち合っていただくことがとてもできません。今年をそういった政治とカネの問題にけじめをしっかりつける年にしたい。小沢元代表にも、自らの問題について国会できちんと説明をしていただきたいと考えております。

 最後に、国会について申し上げます。私も野党の議員が長く、そのときどきの政府を厳しく批判してまいりました。そのことを通して、国民の皆さんに時の政権の政策の矛盾などを示していきたいと考えたからであります。

 しかし、今、振り返ってみますと、政局中心になり過ぎて、必ずしもそうした政策的な議論が十分でなかった場面も党としてあるいは私としてあったのかなと思っております。今、政権交代が繰り返される中で、ほとんどすべての党が与党、野党を経験いたしました。その国会が残念ながら必ずしも政策的な議論よりも、とにかく政局的に解散を求めるあるいは総辞職を求めるといったことに議論が集中しているのは、必ずしも国民の皆さんの期待に応えていることにはならないと思います。私たちも反省をします。同時に、与党、野党を超えて、国民の目から、皆さんの目から見て、国会がしっかりと国民のために政策を決定しているんだと、こういう姿を与野党を超えてつくり上げていきたい。野党の皆さんにもご協力をお願いします。

 その中で、特に2点について具体的にお願いしたいと思います。1つは、国会での質疑のその質問要旨を、質問をされるせめて24時間前には提示をいただきたいということであります。先の臨時国会で予算委員会などでは、前の日のその質疑を翌朝5時に起きて、そして、それを見て頭に入れるのが精一杯という時間の拘束がありました。これでは本当の意味での議論ができません。イギリスでは、3日前までに質問要旨を出すというのが慣例になっておりますけれども、せめて24時間前にそうした質問要旨を出すということを、与野党を超えての合意と是非していただきたいと思います。

 また、国際会議などが大変重要になっております。トップセールスという言い方も強くされております。そういう閣僚が海外に出ることについて、国益にかなうことであれば、与野党を超えて、国会の日程も工夫をして送り出す。このような慣例も是非、生み出していただきたい。

 そして、このことは国会自身の役割であると同時に、国民の皆さん、あるいはメディアの皆さんの目から見て、もっとそうした国会の在り方についてこうあるべきだ。そのことを是非、第三者的な目からも積極的に発言をいただければと、このように考えております。

 以上、年頭に当たっての私の考え方を申し上げさせていただきました。あとは皆さん方からのご質問をいただきたいと思います。

 ご清聴ありがとうございました。

【質疑応答】

(内閣広報官)

 それでは、質疑に移ります。質問される方は私の方から指名させていただきますが、まず所属とお名前をおっしゃってからご質問の方をよろしくお願いいたします。

 それでは、松山さん、お願いします。

(記者)

 総理、明けましておめでとうございます。フジテレビの松山です。

 総理、内閣改造について質問させていただきます。総理は通常国会に向けて強力な体制をとおっしゃいましたけれども、何に重点を置いて、人事をいつごろ行うことを想定していらっしゃるんでしょうか。また、内閣改造に当たっては現在の閣僚からの増員も想定されているのか。また、党人事についても刷新するお考えでしょうか。野党が審議に応じない構えを見せる中、仙谷、馬淵両大臣の問責については、国会審議に支障になると判断すれば交代の可能性も視野に入れているのでしょうか。お願いします。

(菅総理)

 通常国会は、国民の皆さんの生活に最も重要な予算の審議の場であります。その予算をしっかり審議をして、そしてできるだけ迅速に成立をさせ、国民生活にプラスになるようにしたい。その目標に向かって最も強力な体制をつくりたいというのが私の基本的な姿勢であります。それに当たっていろいろな要素を考えなければいけないというご指摘はそのとおりでありますけれども、基本的なそうした姿勢を持って、具体的な問題はこれからさらに熟慮していきたい。そう思っております。

(内閣広報官)

 それでは、次の方、お願いします。

 それでは、山下さん、お願いします。

(記者)

 北海道新聞の山下です。

 民主党の小沢一郎元代表の国会招致問題についてお聞きします。小沢氏は、国会の状況次第で通常国会冒頭や予算成立後に政倫審に出席するという姿勢を示しておりますけれども、総理はあくまで無条件での通常国会前の出席を求める姿勢を貫かれるのでしょうか。小沢氏がこうした条件付きの出席の姿勢を崩さない場合は、どう対応するおつもりでしょうか。政倫審での議決や、さらには証人喚問なども想定されているんでしょうか。また、小沢氏が強制起訴となった場合、民主党代表として総理が小沢氏の離党勧告もしくは除名を言い渡すことも考えられているのでしょうか。お聞かせください。

(菅総理)

 小沢元代表は、自ら国会で説明するということを言われているわけですから、その言葉どおりの行動を取っていただきたいと思います。また、起訴が実際に行われたときには、やはり政治家としての出処進退を明らかにして、裁判に専念されるのであればそうされるべきだと考えています。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 それでは、そちらの方、どうぞ。

(記者)

 フジテレビの和田でございます。

 目標を達成するにはスケジュールというものが非常に大事だと思うんですが、先ほどもちょっとお述べになりました消費税改革、社会保障改革、それから普天間基地の移設問題、どんなスケジュールで結論をお出しになるご予定でしょうか。

(菅総理)

 先ほど申し上げましたように、社会保障とその財源、財源の中には消費税を含む税制改革が含まれますが、これは一体的なものだと考えています。我が党の中でもそういう考え方で党の方針を固めておりますし、多くの政党もそうした社会保障とそれに伴う財源問題を一緒に議論しようと。そういう姿勢でありますので、それはどちらが前後ということはありません。

 普天間の問題は5月28日の日米合意を踏まえながら、しかし、同時に沖縄における基地が長い間、本土に比べて多く残されているというこの問題は、やはり日本全体として受け止め、考えなければならない問題だと思っております。できる限りの負担軽減、このことを併せて積極的に取り組んでいきたいと考えています。

(記者)

 お伺いしたいのは、結論の時期なのですが、目標としての、それぞれの。

(菅総理)

 社会保障とその財源の問題は、できればできるだけ早い時期に与野党を含めた超党派の協議を開始したい。そして、6月頃までを一つの目途にして、一つの方向性を示したいと、このように思っております。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。それでは、松浦さん、お願いします。

(記者)

 共同通信の松浦です。

 ねじれ国会で予算関連法案がどうにも通らないという状況になった場合は、衆議院解散総選挙というのも選択肢に入ってくるのでしょうか。

(菅総理)

 私の念頭には、解散のかの字もありません。

(内閣広報官)

 それでは、次に外国プレスの方。廣川さん、お願いします。

(記者)

 ブルームバーグの廣川と申します。

 TPPの問題についてお聞きします。この問題は、総理の掲げる平成の開国に対する本気度をはかる試金石とも思える問題かと思いますけれども、仙谷官房長官は農業改革の基本方針がまとまる6月前後に交渉参加の是非を判断するのが望ましいという考えを示されています。総理はこの問題、交渉参加の是非をいつごろまでに判断しようと考えていらっしゃるのか。また、大きな影響を受ける農家の方々の理解を得るために、どう説明し、どう対策を打っていくお考えなのか。こちらを教えてください。

(菅総理)

 現在、TPPに参加する場合に必要となる農業対策の具体策を検討している状況であります。そういう議論を踏まえながら、最終的な判断を6月頃というのが一つの目途だと思います。できるだけ早い時期にそうした状況が生まれればいいと考えております。

(内閣広報官)

 それでは、次の方、お願いします。それでは、山口さん、お願いします。

(記者)

 NHKの山口です。

 総理は先の臨時国会で、熟慮の国会ということで話し合いを求めていかれましたけれども、今回の通常国会も引き続きそういう姿勢で臨むのかどうかということと、それから自民党は対決姿勢を強めていまして、冒頭から審議拒否も辞さずということなんですが、そうなった場合には対決型になっていくのか。その辺のところをお聞かせください。

(菅総理)

 基本的には先ほど冒頭も申し上げましたように、国会という場がある程度、政党ですから政権を争うという側面があっても、それは致し方ないところでありますけれども、やはり先進国で政権交代を繰り返されているところの国を見ると、例えばイギリスなどでは新たに政権交代が行われれば、次の選挙は大体5年先ということで、議論は行われるけれども、すぐに辞めろとか辞めるなという議論はあまり行われておりません。多くの国がある一定期間は政権交代が行われれば、そちらの党が政権を担うと。何年かやってみて、次の選挙の機会にそのことを国民に問うと。これが政権交代の建設的な運営の仕方ではないかとこのように思っております。そういう意味で、基本的にはしっかりと政策を議論していきたいという姿勢は、変わりありません。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 五十嵐さん、どうぞ。

(記者)

 読売新聞の五十嵐です。

 総理は先ほど、小沢元代表の問題について、起訴された場合は、政治家としての出処進退を明らかにして裁判に専念されるのであれば、そうされるべきだとおっしゃいましたけれども、これは議員を辞職すべきだというお考えを示したということでよろしいんでしょうか。

 それと、不条理を正すということであれば総理は取組むというふうにおっしゃいましたけれども、小沢さんの問題について、総理はどういう働きをされたいと思っていらっしゃるのでしょうか。

(菅総理)

 私が初めて当選した1980年当時、田中元首相が闇将軍と呼ばれておりました。やはり、そういう姿を見て、私は日本の政治を変えなければならないという思いを一層強くしたことを今でも記憶いたしております。

 そういった意味で、どなたが何をということを超えて、もうこういった問題は、日本の政治の社会で、カネの問題が何か議論をしなければならないという状態そのものを脱却したいというのが私の思いです。そういった意味で、小沢元代表に関して起訴がなされたときには、ご本人が自らそうしたことも考えられて、自らの出処進退を決められることが望ましいということを申し上げたところです。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 上杉さん、どうぞ。

(記者)

 フリーランスの上杉隆です。

 開国元年という言葉は、非常にいいなと心に響きましたが、総理は野党時代から、情報公開、そして今、クリーンでオープンということで訴えていますが、是非そこで伺いたいのが、情報公開の観点から、官房機密費の公開、さらには官房長官会見の創設、そしてこの記者会見のフェアなオープン化ということをお約束されましたが、これを守っていただく時期がそろそろ来たのではないかと思います。

 先ほど小沢さんに、言ったことは守っていただきたいと総理自らおっしゃいましたが、総理御自身、この件に関してやるかやらないか、この場でお聞かせいただけますでしょうか。

(菅総理)

 会見の在り方について、何度かこの場でご質問といいますか、提案をいただきまして、私もできるだけオープン化すべきだという姿勢で、私自身の会見は臨んでおります。また、閣議あるいは閣僚懇の席でも、各閣僚にできるだけそういう姿勢で臨むようにということを申し上げているところです。

 官房機密費の問題は、いろいろな経緯、いろいろな判断がありますので、官房長官と十分考え方を合わせて対応していきたいと思っております。

(内閣広報官)

 それでは、次の方お願いします。

 後藤さん、どうぞ。

(記者)

 時事通信の後藤です。2011年度の予算案についてお伺いします。

 年末の段階で、仙谷官房長官と岡田幹事長は、修正の可能性に言及されました。それについては、総理もお考えを共有されているのでしょうか。

(菅総理)

 予算をつくった立場からすれば、最も国民の皆さんにとってふさわしい予算ということで、閣議決定をしたわけです。と同時に、国会の場で多くの政党の皆さんにも理解をいただき、できればより多くの皆さんに賛成をいただきたいというのも、もう一つの大きな要素であります。そういうことを、両方のことを考えながら、対応を決めていきたいと思っています。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 坂尻さん、どうぞ。

(記者)

 朝日新聞の坂尻といいます。野党との連携についてお伺いします。

 昨年の末に、たちあがれ日本との連立話というのが浮上しましたが、これはたちあがれ側が連立は拒否するということを確認して終わっています。今回は、この件をもって、なかなか野党との連携は端緒をつかむのは難しいと思われますが、総理としては、連立ということはもう断念して、政策ごとの部分連合という道を目指されるのか、あるいはなお引き続き連携できる野党と連立政権を組むという道を目指されるのか、どちらを目指されるお考えなんでしょうか。お聞かせください。

(菅総理)

 昨年のいろいろな動きも、政策的に一緒にやっていけないかということの話を基本として進めてきたと理解しています。その姿勢は、どの党に対してもこの国会でも変わりません。

(内閣広報官)

 それでは、次の方。

 青山さん、どうぞ。

(記者)

 日本テレビの青山です。

 先ほど内閣改造について、総理は具体的なことはこれからさらに熟慮したいとおっしゃいましたけれども、実際、具体的に仙谷官房長官の問責決議というのは既に可決しているわけです。ただ、問責決議はこのままの状態だとこの通常国会でも何本も出てきて何本も可決する可能性だって勿論あるわけです。現段階でそれこそ本予算を審議する通常国会を前にして、問責決議に対するどのような菅政権としてスタンスで臨んでいくのかというのは非常に大事な観点かと思うんですが、現在の菅総理のお考えをお聞かせください。

(菅総理)

 いろいろな識者の皆さんからいろいろな考え方を私に参考になるのではないかということで示していただいているケースもあります。1つの例を申し上げますと、衆議院ではいわゆる内閣不信任案というものがあって、それが可決すれば総辞職をするか、それとも一方では衆議院を解散することができるという規定は勿論皆さんご存じのとおりであります。しかし、参議院の問責については、例えばそれが内閣に対するものが成立したとしても、総辞職をするか解散をするという形にはなっておりません。つまり、参議院に対しての解散ということは憲法上規定されておりません。

 ということは、もし参議院が問責をしたときに、それが即辞任をしなければならないということになるとすれば、それは衆議院よりもより大きな権限を持つことになるのではないか。これは今の憲法の構造からして、必ずしもそういうことを今の憲法は予定していないのではないかという、こういう意見もいただいております。いずれにしても、こういったいろいろな意見をやはり党の方あるいは国会の方で議論していただく場面もあっていいのではないかと思っております。

(内閣広報官)

 それでは、次の方、どうぞ。

 一番奥の方、そちらの方。

(記者)

 専門誌の酪農経済通信の斎藤と申します。

 先ほど総理は開国という言葉をお使いになられましたが、開国と農業の再生の両立を図るという観点でいえば、今後、国内対策と国民負担等も含めて多額の財政措置も必要になるという考えも出てくるかもしれないんですが、そうした点も今後推進本部や実現会議で議論になりまして、先ほど6月に予定されているという話もありましたが、基本方針の策定の中で税制改正等も含めて議論になっていくということで考えてよろしいのでしょうか。

(菅総理)

 日本の農業を再生するという目標に向かって、あらゆるそれに関わることを議論する必要があると思っています。と同時に、先ほど申し上げましたが、現在、日本の農業が抱えている問題は、例えば就業している人の平均年齢が66歳という若い人が農業に従事したくてもなかなかする機会を持ちにくい、そういった問題もあります。

 また同時に、6次産業化と言われるような経営の在り方についても、もっと推し進めなければなりません。そういった意味で、いろいろな財政的な問題も勿論、議論としてあるいは必要となる場面はあり得ますけれども、ただそれで物事が進むというよりも、根本的な農業の構造をどのようにすれば世界に開かれたものになっていくのか。私、本当に感じるのは、多くの外国の人がやってきて、日本の料理ほどおいしいものはないと。日本の食べ物ほど安心しておいしいものはないということを口々に言われます。そういう意味では、農業も開かれた農業にしていくことが、私は可能だと考えています。

(内閣広報官)

 それでは、時間が過ぎておりますので、最後の質問とさせていただきます。

 そちらの方、どうぞ。

(記者)

 琉球新報の稲福といいます。

 先ほど総理は不条理を取り除きたいという話をされていましたが、沖縄に米軍基地が集中することも不条理なことだと思います。これは5月の日米合意どおり辺野古に移設されたとしても、沖縄に集中するという状況は変わりません。総理はこのことについて不条理だと考えますでしょうか。

 あと1点、日本全体で受け止め、できる限りの負担軽減をという話もありましたが、もう少し具体的にどのようなことに取り組めば負担軽減になるのか、総理の考えをお聞かせください。

(菅総理)

 私も多少ではありますけれども、沖縄の歴史などに触れた書物も拝見をさせていただきました。戦後に限って見ても、日本へ復帰された後においても本土における、つまり沖縄以外の米軍基地が大きく削減された中で、沖縄の基地が余り減らされなかったというこのことは、私にとっても政治家の一員として大変慙愧に堪えない思いをいたしておりまして、そのことは沖縄でも申し上げたところです。そういう意味で不条理という言葉で言い尽くせるかどうかわかりませんが、その1つだと考えております。

 そういう思いをしっかり私自身持ちながら、それでは具体的にどのようにしていくかということで、先だって沖縄で私なりの考え方を申し上げさせていただきました。何としても全体としては沖縄の基地負担を引き下げる方向で、できることをできるだけ迅速に進めていきたいというのが基本的な姿勢です。

(内閣広報官)

 それでは、これをもちまして記者会見を終了いたします。ご協力大変ありがとうございました。