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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 財政構造改革会議最終報告に関する記者会見(橋本龍太郎)

[場所] 
[年月日] 1997年6月3日
[出典] 橋本内閣総理大臣演説集(上),683−693頁.
[備考] 
[全文]

○総理 それでは、臨時の記者会見をお願いしましたが、どうもありがとう。

 今日は、財政構造改革会議で取りまとめた財政構造改革の推進方策について、まず発言をさせていただきます。

 この財政構造改革会議をスタートさせたのが本年の一月ですから、延べ五か月間、非常に集中した論議を行っていただいたわけですが、お陰様で今日、推進方策がまとまり、先程閣議決定まで進みました。内閣総理大臣という立場、同時に財政構造改革会議の議長として報告をさせていただきます。

 こうした報告をしなければならなくなったその元は、申し上げるまでもありませんが、我が国を取り巻く環境が大きく変化したということにほかなりません。出生率が一・四二人、少子化が大変な勢いで進んでいます。

 一方で、大変これは喜ばしいことですけれど、昭和三十八年に初めて我が国が統計を取り始めたとき、百歳以上の方は百五十三人しかおられなかった日本、昨年の敬老の日には七千三百七十三人、この数字が示すとおりに高齢化も進んでいるわけです。

 他方、経済の面から見れば、国際化の進む中、まさに大競争時代に我々は直面している。経済構造改革が求められるゆえんもここにあります。

 そうした中で、国と地方の屋台骨である財政を見てみると、借金の総額は長期債務ベースで平成九年度末に四百七十六兆円、国内総生産五百十五兆円に間もなく迫ろうかという状況であります。財政構造、すなわち社会保障や公共投資、教育といった各経費の構造について見直しを怠れば、二十一世紀に入って経済が破綻するという試算結果が幾つかの場面で示されていることは、もう皆さんご承知のとおりですし、子どもや孫の時代を考えるなら、我々はこんな状況を続けるわけにはいきません。

 このために、まず聖域なき徹底した歳出の見直しを行うことによって、赤字体質を変えること、次に各経費を圧縮するにしても大幅に削減する分野と、逆に将来を考えるとき、科学技術のように逆に増加した方が望ましい、めりはりを付けて財政の構造を変えるということに着手しなければ、活力のある二十一世紀の展望は開けないわけです。

 そんな問題意識を持って、財政構造改革会議において政府与党の枢要なメンバーにお集まりいただき、従来の枠組みにとらわれず徹底的な議論をしてきました。

 今日取りまとめました財政構造改革の推進方策、これは社会保障、公共投資、文教といった主要経費ごとに具体的な予算の削減、抑制を金額をもって定め、各経費のめりはりを付ける。これまで私たちが行ったことのない内容になっています。

 これらの歳出の改革と縮減の具体的方策を実現することによって、当面、来年度予算の一般歳出の伸びを今年度に比べてマイナスにする。同時に、二〇〇三年度までに財政赤字対GDP比を三%以下とする。財政健全化目標への達成の軌道がようやくこれによって可能になってきたと、そのように考えています。

 幾つか皆さんにお願いをしなければならないのですが、項目を手短に説明させてください。

 まず第一に社会保障について、これは六つの改革の一つとして、社会保障構造改革を進めています。財政の視点からも社会保障構造改革が必要であり、安定的運営の出来る社会保障制度を構築すること、これを目指すことがこの中に明記されています。今、医療については社会保障構造改革の第一歩として、国会で法改正をご審議をいただいておりますが、更に十年度以降、薬価基準制度の抜本的見直しなどの諸改革に真正面から取り組むことにしています。

 年金についても大変難しい問題があり、少子高齢化の下でこのままの給付水準を維持していけば、若い人々の保険料負担が極めて重いものになってしまいます。何歳から支給を受けることがいい、またどの程度の額を給付することがいいのか。こうした課題に取り組まなければなりません。これは既に十一年度に再計算を予定されている、こうした内容です。

 二番目に公共投資ですが、近年、景気対策のために大幅な追加が行われています。この公共投資の水準をおおむね景気対策のための大幅な追加が行われてきた以前の国民経済に見合った適正な水準にまで引き下げることを目指します。このため、公共投資基本計画の期間を三年間延長し、当初の計画期間十年間で見ますと六百兆円から四百七十兆円程度へ投資規模を実質的に減らしていきます。また、公共事業関係の長期計画についても計画期間を延長し、投資規模を実質的に減らします。

 更に、公共事業予算の配分についても重点化をさせていただかなければなりません。例えば、経済構造改革を進めるという視点をもって、物流の効率化対策に資するものを中心に優先的、重点的に整理をしたいと考えています。公共投資予算の各年度の予算額としては集中改革期間中、各年度その水準の引き下げを図っていき、まず十年度においては対九年度に比べマイナス七%を上限といたしております。

 なお、これと並行して公共事業の建設コストの縮減については、九年度以降三年間に少なくとも一〇%以上の縮減を目指すことを既に関係の閣僚会議で決定をし、その方向に進みつつあることも皆さんご承知のとおりです。

 三番目に、防衛関係費です。我が国の安全保障上の観点と経済、財政事情などを踏まえますと、二十五兆一千五百億円の中期防衛力整備計画について、今後三年間は防衛関係費の水準を抑制するという考え方の下に、残り期間の物件費の一割相当額、これは約九千二百億円になるわけですが、この一割相当額の縮減を行うべきか、本年中にこの内容を見直すことにいたしました。

 また、集中改革期間中、防衛関係費は対前年度同額以下に抑えることとしています。

 四番目の問題はODAです。我々は今まで世界一多くのODAの供給国として量的な拡大を続けてきました。今後は、量から質への転換を図ることにし、平成十年度から三年間の集中改革期間中、ODA予算は各年度その水準の引き下げを図りながら、特に十年度予算については対九年度比一〇%マイナスの額を上限とすることにしています。その際、ODAの質の向上、予算配分の重点化・効率化、民間資金の活用などを通じて、我が国がこれまでにお約束をしたODAの円滑な執行を確保する。これは当然でありますけれども、今後ともODAの効率的な実施に努め、我が国の国際貢献の姿勢を損なうことのないよう、万全を期していきたいと思っています。

 最後に、五番目として農林水産関係予算についてであります。

 ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策につきましては、農業農村整備事業を中心に対策期間を二年延長するとともに、新しい国際環境に対応し得る農業経営の確立、地域特性の活用により資するよう、事業の内容の見直しを行います。まず総事業費六兆百億円における農業農村整備事業と、そのほかの事業との事業費の比率、現在これは六対四になっていますが、これをおおむね五対五にすることにいたしました。ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策の予算上の取扱いについては、事業内容の見直しと併せて予算編成過程で検討することとし、この旨を財政構造改革会議において私から発言しております。

 以上、大きな点について簡単にご説明申し上げましたが、他の項目についても、今後の財政構造改革の方向性を深く掘り下げてお示しをいたします。

 そこで、我々が一緒に考えなければならないことは、景気対策という問題についてです。私どもは、これまで不況に対して財政の出動で対応してきました。今後は、安易に財政に依存するのではなく、民間需要中心の中長期的な安定調整につなげていくためには、規制緩和を始めとした経済の構造改革を積極的に進めていく。これによって景気の安定を図ってまいります。

 今、お話を申し上げました財政構造改革の推進方策は、いずれも極めて厳しい痛みを伴う苦しい改革であります。国民の皆様にもこの状況を是非ご理解いただき、痛みを分かち合っていただくことを心からお願いを申し上げなければならない、そうした大変厳しい選択であります。

 世界に例を見ない超高齢化社会を迎えようとしている中で、今のままの財政構造を放置し、財政赤字の拡大を招くならば、二十一世紀の経済・国民生活が破綻することは必至です。そうした状況の中で、我々はあらゆる手段を使いながら活力のある豊かな国民生活を実現していくことに全力を傾けなければなりません。それが私たちの子どもたちや、あるいは孫たちの時代に対する責任、そうした思いでこの構造改革に取り組んでまいりました。

 そして、この財政構造改革の試練を乗り越えることが、我々の二十一世紀に対する責任である。こうした点について、是非ともご理解とご協力をいただくことを心からお願いを申し上げる次第です。どうぞよろしくお願いします。

 −それでは、幹事の方から最初に二問質問させていただきます。

 一つは、今お話があったように、これまでも補正予算とかで景気対策を行ってきたことが、結果的に財政状況の悪化につながったのではないかという指摘もあるんですが、一つは今後の補正予算などの編成に臨む姿勢、それから今もお話がありましたが、ウルグァイ・ラウンドの農業対策費を今年度の補正に入れるのかどうかということが会議の議論にあったわけなんですが、今のお話ですと、その結論は先送りにしたということになるんでしょうか。

○総理 先送りという言い方は私はちょっと合わないように思います。もともと財政法二十九条、ここで私、講義をする気はありませんけれども、法律上、または契約上、国の義務に属する経費の不足を補う、あるいは予算作成後に新たに生じた理由によって特に必要になった経費の支出、あるいはその債務の負担を行うために国は補正予算の作成が出来る法的な理由ですね。

 そして、確かに我が国がバブル崩壊後、経済状況に対応するために景気対策として大型の補正予算を何回も編成をし、これによって景気のてこ入れをしてきたことは私、決して否定しません。

 しかし、その結果、ある程度景気は立ち直った、そういう局面もありましたけれども、公債残高は非常に増えて、急増して今、財政状況は本当に危機的な状況にあります。

 そして、これは日本だけではなくて現在、欧米諸国それぞれが実は財政健全化に取り組んでいるさなかですし、その景気対策についても規制緩和などを使って市場のシステムなども活用して努力をしておられます。我々は例えば財政制度審議会からも、こういう財政による景気刺激策ばかりをいつも使っていると、体質が結果として活力がなくなってしまうよと、そういったご指摘も既にいただいています。

 こうした状況の中で、私は本当にこれから安易に財政に依存しない、まさに規制緩和その他、使える手段を使いながら、民間需要中心の長期的な安定成長というものにつなげていきたいと思っています。ですから、私はこれから先も予算編成、そして予算成立後に生じた理由というものに基づいて補正予算をつくることは、これから先もあり得ることですから、補正予算というものを全く否定するものではありません。法律の趣旨を厳正に判断しながら適切に考えていきたい。

 そして、ウルグァイ・ラウンドの農業合意対策、これについては先程も申し上げたように、ウルグァイ・ラウンドそのものの事業内容の見直しというものが大いにあります。その見直しと合わせて予算編成の過程で検討をする。財政構造改革会議において私が申し上げたのはそういうことです。また、それでご了解をいただきました。

 −引き続いてもう一問、幹事社の方からお伺いします。

 公共投資、ODA、農業などの項目で、歳出の削減目標が示されましたけれども、この中には長期計画の期間の延長による削減などが見られます。野党などからは、歳出の内容にまで踏み込んだ質的な財政構造改革が不十分ではないかという指摘もあるようですが、今後どのような形でめりはりの付いた構造改革を進めるのか。総理のお考えをお聞かせください。

○総理 まず第一に申し上げたいのは今、財政構造改革会議、そして閣議を開いて決めたので、そういう批判があると、この中身を皆さん全部ご存じだったんでしょうか。だとすれば、ちょっと内閣の機密保持体制に問題がありますね。さっき数字を入れたものまで含めて皆さんご存じだったら。

 ただ、まず私が申し上げたいことは、財政赤字の縮減を進めること自体が財政構造改革の課題だということで、歳出の量的な削減に取り組むことが非常に大事だということです。

 そして、いろいろな言い方をなさろうとすれば出来るかもしれません。全文をよく見ていただきますと、経費ごとの具体的な削減策に相当踏み込んで決定していますし、また、背景となっている長期計画にまでさかのぼって縮減するかを決めるという手法を取っています。

 こうした中身をきちんと見ていただくと、この長期計画を延長した後、どんなにそれぞれの事業の伸び率が変化をするか。恐らく見ていただけると思います。

 例えば我々は本当に生活環境という意味からも、例えば下水だとか都市公園だとか、縮減を図る中でも伸ばしていかなければならない予算があるわけです、公共事業の中でもね。恐らくきちんと数字を見ていただくと、廃棄物のように今、国民的な課題になっているものは、相当なプラスの数字だと思いますよ。延長後においても、二年延長した結果、一年当たりの事業量が減ったという中でも、恐らく二けたの相当大きな数字になりはしないでしょうか。

 だから、是非そういうところまで見て、不十分であるかどうかご批判をいただきたいと思います。

 −それでは、各社さんご自由にどうぞ。

 −それでは、日米関係で何点か触れさせてもらいます。

 アメリカは既に財政主導によって赤字拡大策を取ってきたんですが、もともとこのことについて今回の六年間の予算を組むことに対して、アメリカとの関係はどんなふうに見ていられるのか。これはちょっとホスト・ネーション・サポートの問題も、これも聖域なしで見直すのかどうか。

○総理 まず順番を引っくり返させていただきます。

 ホスト・ネーション・サポートという項目は独立して存在していますので、我が国の安全を守る経費としてですね。その中での配分の問題として受け止めていただくことが、今申し上げる中では一番正確な表現だと思います。

 それから、日本の経済運営、これは当然国際関係も十分考えながら我々は行動していくんですけれども、我々の国のための経済運営だというのがまず第一だということです。

 そして、先般ワシントンでも私は随分こうした問題で議論をしました。我々は中長期的に見て、短期間の為替の振れにより数字が拡大したりということはあり得ます。

 しかし、中長期的に経済構造を変えていくなら、内需主導の経済をきちんと安定成長の路線に乗せることが我々の目的です。そのためにすべての改革を進めていくという議論をし、その上で細かい議論は、大蔵大臣対財務長官の議論に譲りますが、しかし、基本的に私は貿易サービス収支の黒字が、アメリカ側から見れば赤字、日米関係を不安定にするような水準に、よほど為替の変動幅が大きく、あるいは恣意的に扱われるといったような状況がない限りにおいて、私は十分説明の出来る状況を双方が感じていくことが出来ると思います。経済関係というのはこちらだけの問題ではなくて、相手側もあります。どこであれ。

 ですから、アメリカ側の皆さんにも努力をしていただく部分は、していただかなければならない。我が国も節度を持った行動をしなければならない。これはそういう問題じゃないでしょう。

 −総理、六つの改革ということをおっしゃったんですが、今回のことで中央省庁の改廃などについてのつながりはどうですか。

○総理 直接これが、例えば行政改革の中における中央省庁の再編にそのまま連動するものではありません。直接連動するものではありません。しかし、例えば社会保障関係費、あるいは公共投資予算、文教予算、大きく山をつくりながら、それぞれの目標を決めてきました。そうした中で、やはり類似の性格の予算、当然ながらそうした省庁は、今後相談をされながらいろいろな行動をされるでしょう。

 また同時に、財政構造改革という、この問題だけをとらえるのではなくて、当然ながらこれを進めていくためには制度改正が必要になる部分、民間活力を必要とする部分、すなわち規制緩和等によって民間活力を必要とするもの、地方分権を進めていかなければならないもの、そういう問題点がみんな交差しているわけですから、そういった意味では、これが少なくとも行政改革の中で、あなたの言われる中央省庁の再編にマイナスに働くことはないと思っています。

 −先程言われた公共投資のことなんですが、ちょっとお尋ねしたかったのは、国民経済に見合った適正な水準とおっしゃったわけですが、これを何年くらいの水準、例えば九二年とか、あるいはGDPでどれくらいとか、あるいは欧米に比べてどうとか、何かそういう分かりやすい言葉でおっしゃっていただきたいということ。

 もう一つは、旧国鉄債務ですね。国民負担にならざるを得ないという閣議決定をくり返してきているわけですが、今年中に成案を得るということも決まっていますね。これを処理しないでは、歳出がかなり、数千億円とか一兆円とかふくらんでくる可能性があると思うんです。どういうことで出てきたのか、それにもよると思いますが、この場合に、来年度の一般歳出をマイナスにする、前年度にマイナスにするとか、あるいはGDPが、二〇〇三年度に三%以下に抑えると。そういうものへの大きな影響が出てくるのではないかと思うんですが、そういう意味では今回の最終報告と本当に言えるんだろうかという気がするんですが、いかがでしょうか。

○総理 ちょっと順番を引っくり返させていただいて、旧国鉄の債務の問題を取り上げられましたが、そういう視点から問題を提起されるとするなら、もう一つの問題は国有林野の抱えている累積債務の問題もあるでしょう。そして、それぞれにこの財政構造改革の推進方策の中には、我々はしいて自分たちの考え方を書き込んでいます。今の時点で言うなら、確かにそれは考えられる施策を列記しながら、本年中に成案を得るという考え方で整理をしていく。その限りにおいて、あなたのご指摘は間違った指摘ではありません。そして、その処理の方向によって問題をはらむ可能性があるということも私は否定をしません。

 ただ、同時に先程ご説明をした今回の計画というもの、あえてそこまで申し上げませんでしたけれども、例えば今年に比べて来年度歳出のふくむら要因というものは、現実にそれ以外にも存在します。例えば参議院選にかかる経費、これは今年ありませんでした。そして、来年は参議院選挙の年ですから、来年度この経費は新たな歳出要因です。単年度の歳出要因です。多分六百億前後になるでしょうか。そういうものを合わせていくと、歳出増の要因というものが恐らく二千億円程度既に見込まれているものがあります。

 そして、旧国鉄の、あるいは国有林の問題を除いて整理をしていったら、現在の私どもが示した方策というものの中で、そういうもの、プラスになるものを加え、それから恐らく科学技術関係、これはほかは皆減額をする中で、増額をするつもりの部分ですから、そういう要因を加えても、今年の予算に比べると二千億円前後の三角を立てられるということでしょう。

 そういう以外に今、あなたが語われたような問題点があることは否定をいたしません。

 それから、何年という数字を取るのは多少不正確になりますけれども、今、IDで見たとき、欧米、公共投資で引っ張っている分というのが、GDP比二ないし三くらいでしょうか。今、ちょっと六%を日本は超えていたんじゃないかな。六・四ぐらいあったんじゃないかな。

 せめてここからの出来るだけ早い時間に五%くらいまでは下げていきたい。そういう気持ちは私自身の中にあります。

 ただ、同時にそれを聞かれたんで、一つ付け加えさせていただくと、よく公共工事の長期計画自体を縮小する、あるいは中断させる、こういう選択肢を取るべきだという意見を我々もいただきました。私どもそういうご意見も議論をしましたが、その長期計画を皆延長するという決断、延長という決断でこれに対応する選択肢を選びました。それは我々はそれだけまだ社会資本整備を行いたい部分を持っている。行っていかなければならない。ただ、今の財政状況において、それほど多額の資金を投入する余力がない。そうした中で、それぞれの公共事業の長期計画というものは、延長という手法で対応したことも、そして、結果的に計画年次における実質的な縮減を図ったことも申し添えておきたいと思います。

 −総理、縮減が基本ということですが、今回の歳出削減策を評価されると一体何点くらいですか。

○総理 分からない。少なくても私らとしては、出来る限りの努力をしてきたということでありますから。

 −それでは、最後の一問にしたいと思います。

 −明日、財政再建法案が提出されると思うんですけれども、それに向けて野党に対してはどういう働きかけをされますか。

○総理 野党に働きかけをする前に、今日、まとめたものを法案の形にする作業がこれからあります。

 それから、これを具体的な概算要求基準にして各省に提示して、概算要求を取りまとめさせるという作業があります。一歩ずつ進めましょうよ。一遍に中身を法案の形にすることも出来ないし、野党というのも、少し早過ぎるんじゃないかな。

 どうもありがとう。