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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 村山内閣総理大臣による阪神大震災復旧・復興に関する基本方針表明記者会見

[場所] 
[年月日] 1995年2月9日
[出典] 村山内閣総理大臣演説集,237−247頁.
[備考] 
[全文]

○総理 国民の皆さん、五千人を超える尊い犠牲者と甚大な被害をもたらした今回の地震から三週間余りが経過をいたしました。本日はこれまでの取組みに対する私自身の思いを率直に申し述べさせていただくとともに、この未曾有の支援の中で、私の決意を明らかにし、皆様の御協力をお願いいたしたいと思います。

 まず、改めて、亡くなられた方々と、その御遺族に対し、心から哀悼の誠を捧げますとともに、負傷された方々や、今なお不自由な避難生活を続けておられる皆様方に、心よりお見舞を申し上げます。被災者の方々におかれましては、この寒さも厳しい中、何かと御苦労は多いことだと思いますが、常に冷静さを保ち、お互いに助け合い、励まし合っておられる姿に私も救われる思いであります。一日も早く日常の暮らしを取り戻していただけるように、内閣を挙げて救援対策を始め、復旧・復興対策を強力に推進してまいる決意でございます。被災者の皆様も、どうか今後とも生活の再建と明日の町づくりに向け、共に頑張っていただきたいと思います。

 更に、自らも被災者でありながら、不眠不休で頑張っておられる県や市町村の職員の方々を始め、警察、消防、自衛隊、医療関係者など、震災対策に携わっておられる現場の方々、また、被災地で活躍しておられますボランティアの方々の活動には、本当に頭の下がる思いであります。心から感謝を申し上げます。どうか、くれぐれも御健康に留意され、引き続き御活躍されますことを心からお願い申し上げます。

 また、今般の震災に際しましては、世界のほとんどの国より、心のこもったお見舞いの言葉をいただくともに、七十に上る国、地域、及び国際機関、更には多くのNGO、民間の方々より御支援の申し出をいただいております。この場をお借りして、世界各国の関係者の方々に改めて心から感謝の気持ちを表したいと思います。

 同時に、まさに国民的運動と言ってもよいほどに、全国の各地から寄せられましたいくたの御支援、御声援につきましても、厚くお礼を申し上げたいと存じます。

 今回の地震発生以来、政府といたしましては、発生当日、直ちに非常災害対策本部を設置したことを始め、私自身を本部長として、全閣僚で構成される緊急対策本部や、専任の担当大臣、更には各省庁の担当責任者を中心とする現地常駐の対策本部を設置をしてまいりました。政府が一丸となり、地元との連携を密にしながら、被災者の救出、援護、各施設の早期復旧などに総力を挙げて取り組んでまいりました。

 ただ、災害発生の当初について、いろいろと御批判があることは私も十分承知をいたしております。即時に的確な情報を得ることや、初期動作に誤りなきを期することは、危機管理の要諦であります。そうした御批判には、謙虚に耳を傾け、見直すべきところは率直に見直すとともに、責任の制度疲労と言うべき点についても、この際思い切って抜本的に見直し、今後の危機管理体制、防災体制などに万全を期したいと思います。

 既に内閣には、そのためのプロジェクト・チームを発足させ、来週にも結論を得ることとしておりますし、防災計画の見直しにも着手をいたしたところでございます。これまでの具体的な対応としては、住宅、医療、ライフライン、交通、雇用、被災地方への支援などの面で、出来得る限りの措置を講じております。また、被災者の皆様に、将来への希望をお持ちいただくためにも、今後の復旧、復興の見通しを出来るだけ具体的にお示しをするよう努力してまいりたいと思います。特に支援策の実施に当たりましては、私は高齢者、障害者、乳幼児を抱えた方々など、災害に弱い立場にある方々に優先的に心を配り、きめ細かなぬくもりのある対応をするよう、緊急対策本部などを通じて繰り返し指示をしてきたところでございます。

 しかしながら、個々の点で、お気持ちに添わないところや、行き届かないところもあろうかと存じます。どうかお気づきの点や御意見がございましたら、御遠慮なくお申し出をいただきたいと思います。

 当面、被災住民の方々に、一刻も早く、少しでも落ち着いた生活を営んでいただけるよう、住宅の供給を最優先課題として取り組んでおります。とりわけ、応急仮設住宅については、三月中に三万戸を建設する計画を立て、本日までのその発注を終了いたしました。既に一部では入居も開始されております。更に、先ほど貝原兵庫県知事より、当面一万戸を追加してほしいとの要請がありましたので、早速対応することといたしました。また、東京ドーム七杯分とも言われるがれきの処理でありますが、これは復旧、復興の極めて重要な第一歩と言うべきものでございます。個人や中小企業のものまで、全額公費で処理するなど、今までにない思い切った措置を講じたところでございます。

 こうしたがれきの処理や応急仮設住宅用資材を運ぶためには、道路交通の確保が重要であります。このような復旧、復興に是非とも必要な車両の道路を優先的に使用することによって、皆様には御迷惑をお掛けしますが、どうか被災地の一般車両の運行を極力控えていただくよう御協力をお願い申し上げたいと存じます。

 このように、当面緊急を要する対策につきましては、逐次備えつつあると思いますが、これからは、救援策の一層の充実を図るとともに、災害に強い町づくりを念頭に置いて、本格的な復旧、復興策にも全力を挙げて取り組んでいかなければなりません。

 復興計画の策定を始めとする新たな町づくりの主体は、勿論、県市町村などの地方自治体でありますが、国としても、これらの自治体と十分連携を取りつつ、最大限の支援を行うと共に、国の責任において成すべき施策につきましては、大胆に実行していくべく、強力な体制を取ってまいります。そのため、具体的には内閣全体として総合調整を行う「阪神・淡路復興本部」を出来るだけ早く設置したいと考えております。この本部は、私が本部長となり、閣僚全員を本部員とするもので、政治的リーダーシップの下、必要な施策を強力かつ効率的に実施してまいります。このための法律は、二月中旬にも閣議決定すべく作業を進めておりますが、是非国会の御協力をお願いしたいと思います。また、復興に関し、大局的、あるいは専門的見地から、御意見をいただくためにも、有識者数名から構成する復興委員会を早急に設けるべく、所要の政令を明日閣議決定し、早速御検討に入っていただく考えであります。これらの組織の中心に、政府は一体となって被災地域の復旧と復興を急ぐ決意でございます。

 次に、復旧、復興を進めるための特別立法についてでありますが、ただいま申し上げました復興本部の設置のほか、よりよい町づくりを計画的に進めるための特例、被災者のための税の減免の特例、更には今回の災害に伴う補助、融資等についての特例等を考えております。いずれも被災地域の復興の基盤づくりと、被災者の方々の生活再建になくてはならない措置でありますので、それぞれ出来るだけ早く法案としてまとめるべく作業を急いでおり、準備が整い次第国会の御審議を仰ぎたいと考えております。

 今回の地震災害の復旧、復興に向け、財政面におきましても、最善を尽くしてまいりたいと考えており、応急仮設住宅、道路、港湾などの年度内災害復旧事業や、がれきの処理など、当面必要とする予算措置をすべて盛り込んだ平成六年度第二次補正予算の編成に、現在鋭意取り組んでおるところでございます。限られた期間での困難な作業ではありますが、この第二次補正予算を何とか二月二十四日までに国会に提出できるよう努力をし、国会の御協力をいただいて、速やかな成立をお願いしたいと考えております。

 次に、税金につきましても、被災地の納税者の皆様に配慮した特別特例措置等を取ることとしております。具体的には、まず、確定申告等の期限の延長の措置を速やかに実施したほか、今回の震災による被害について、平成六年分所得税、及び住民税を減免することが出来るようにいたします。個人や企業等、被災された皆様には、さまざまな御事情があると思いますので、これらにも適切に対応し、また、税務の現場においても、納税者の立場に立って、被災者の皆様からの御相談に応じてまいりたいと考えています。

 更に、今回の地震によりまして被害を受けた企業の立ち直りに向けて、金融、税制など、国として出来るだけのお手伝いをしてまいりたいと考えています。特に中小企業者の立ち直りは復興の重要な鍵であり、政府としては、まず給与支払いや仕入れなどのための当面の資金需要に応じるとともに、地方公共団体との連携や、政府系中小企業金融機関等の活用により、過去の災害よりも引き下げた実質二・五%の低利融資制度、無担保、無保証人での信用保証制度を設けることといたしました。更に、融資制度については、県、市、国との新たな協力により、一層の金利引き下げが期待されます。これに加え、税制上の特例の活用や、中小企業者の値上げや、疑問に個別に応じるための経営相談の実施を始め、きめ細かな施策を総合的に講じてまいります。

 雇用対策も、被災者の立ち直りのためには最も重要な課題の一つでございます。具体的には企業の雇用や新卒者の採用を確保するため、助成金制度などを最大限活用してまいります。

 以上、申し上げましたことに加え、教育、安全、交通対策など、各般にわたる復旧、復興のための諸施策を全力を挙げて推進してまいります。

 また、地元自治体の要望に対しても、国の政策の基本を踏まえながら、可能な限り応えていくとともに、今後復興本部や復興委員会で提言される方策については、政府としても積極的に対応してまいります。

 なお、この際復興の決意を新たにするためにも、本年十一月のAPECの国際会議につきましては、予定どおり大阪で開催することを改めて申し上げておきたいと思います。

 私は希望さえ失わなければ、やがてはどんな困難も克服出来ると信じております。被災者の皆様方におかれましても、どうか希望を持ち続け、新しい未来を築いていただきたいと思います。

 政府としても、県、市、町と手を携え、そのお役に立つべく、可能なあらゆる手立てを尽くして、精一杯の努力をしてまいります。

 また、被災地域は経済、交通のかなめであるだけに、この地震の影響がさまざまな形で全国民の皆様の生活や経済活動に及びつつあります。皆様におかれましては、この復旧、復興はまさしく我が国を挙げての緊急の課題として、今後ともなにとぞ御支援、御協力のほどをよろしくお願い申し上げたいと存じます。

 最後に、私はこのたびの大惨事をどのように反省し、どのような教訓を得て乗り越えていくか、そして、どのような未来を想定していくかに、我が国の将来が掛かっていると言っても過言ではないと思います。

 その意味で、我々にとって誠に厳しい試練ではありますが、全国民の皆様と共に、新たな未来を切り開いていくことこそが、不幸にも亡くなられた方々や、被災者の方々に報いる唯一の道であると信ずる次第でございます。

 全力を挙げて復旧、復興のために取り組んでまいります。どうぞ皆さんも元気を出して頑張っていただきたいと思います。

 以上です。

 −− それでは、幹事社の方から二、三質問させていただいて、その後、質問があればほかの社からも質問をしてもらうという順番で進めたいと思います。

 最初に、政府の初動体制についてお聞きしたいんですけれども、今回の阪神大震災では、初動の段階で自衛隊の本格的な出動があれば、あれほどの犠牲者は出なかったのではないかと厳しく指摘されている訳なんですね。これには官邸に初動の段階で必要な情報が入ってこなかったという危機管理体制上の問題もあるのではないかと思うのですけれども、今回の地震に関しまして、政府の初動体制にどのような反省点があったとお考えになるのか。

 もう一点、今後この危機管理体制の見直しに向けて、どのようなことを考えておられるのか、出来るだけ具体的にお願いします。

○総理 今回の災害では、地震発生後、直ちに地元警察及び消防はその救助活動を開始をしておりますし、地域外からの応援部隊も速やかに現場に向かい、救助、消火活動等を行いました。自衛隊も兵庫県知事からの災害派遣要請を受ける前から、必要に応じて自発的に各種の対応を行ったところでございます。

 私は警察、消防、自衛隊のこの防災関係に、関係者は、自らも被災者であるにもかかわらず、地震災害による困難な状況にありながら、出来る限りの努力をされておると思いますし、現在も不眠不休でこの活動を続けておると思います。

 また、官邸にありましては、私は地震発生当日の午前六時すぎにテレビを見て、直ちに秘書官に情報収集を命じ、その結果の報告や、官房長官からの報告を踏まえ、午前十時の閣議において、非常災害対策本部の設置を決定を、各種施策を講じたところでございます。ただ、こうした初動期の対応について、今もお話がございましたように、いろいろの御批判のあることも十分承知をしており、そうした御批判にも謙虚に耳を傾け、見直すべきところは率直に見直していかなければならぬと考えております。

 このため、現在新たな災害緊急事態に際し、官邸と関係機関が直ちに対応出来るようにするため、関係省庁において検討を行っているところでございますが、大地震が発生した場合、まず地震の被害の規模を把握することの出来るシステムを確立し、それを直ちに官邸と連絡する情報連絡体制を徹底するため、プロジェクトチームを設置をいたしておりますが、その在り方について今、検討いたしているところであります。来週にも結論を出したいと考えております。

 いずれにいたしましても、私は今回の経験を踏まえ、こうした危機管理体制の問題だけではなくて、防災計画や防災訓練の問題、都市防災化の課題等々、この際、抜本的な見直しを行っていかなければならない課題が多々あると考えており、政府といたしましては、今後ともこうした災害対策全般の強化に向け、強い決意で臨む所存でございます。

−− 復興対策についてお聞きしますけれども、復興対策は地元と協力してやっていかれる訳ですけれども、政府としてはどういうビジョンをお持ちなのか。それから、それに当てる財源、地元の試算では十兆円近い巨額になるということですけれども、与党の中からも増税による財源の捻出などという指摘もある訳ですが、総理自身としては財源問題をどのようにお考えでしょうか。

○総理 既に地方公共団体におきましては復興対策本部を設置するなど、復興に向けた動きも出ております。国としても、こうした実態の状況にも対応して、今回の地震で多大な被害を受けました阪神・淡路地域の復興を一刻も早く推進することが緊急の課題であるという考えに立ち、こうした地元の努力を踏まえながら、地元で立てられた計画を十分尊重しながら、全面的に支援していくほか、国として取り組まなければならない方策については、積極的に推進をしてまいりたいと考えているところでございます。具体的には、国として県や市の復興事業の支援や、国の復興施策について、総合調整を行うために、国家的見地から、有識者の御意見を伺う阪神・淡路復興委員会を明日の閣議で決定し、設置することといたしております。

 また、政府一体となってこうした取り組みの推進をするためにも、私が本部長となった復興本部を早急に設置したいと考えておりまして、現在このための立法準備を急いでいるところでございます。

 なお、復旧、復興に必要な財政事情を賄うに要する財源は、どこに求めていくかという御質問でございますが、必要な財源はきちんと確保することが第一であります。また、財源の求め方につきましては、国民の皆様の御理解を得られるものとしていくことが大事だと思います。

 そうした考え方を基本といたしまして、幅広い見地から現在検討いたしておるところでございます。

 −− 今回の震災で政府の対応のまずさに関して野党側からは総理の政治責任を追及するという声も出ているんですけれども、総理御自身は、この政治責任論についてどうお考えでしょうか。

○総理 国会の委員会でも御質問がございました。私は繰り返し申し上げてまいりましたけれども、今回の地震によりまして、五千人を超える犠牲者と未曾有の被害がもたらされたという結果を重く厳しく受けとめておるところでございます。政府に課せられました課題は、内閣を挙げて、まず被災者の救援対策に全力を挙げる。引き続き復旧、復興対策に全力で取り組んでいくこと、これが私に、これから与えられた課題であるというふうに存じます。総力を挙げてこのために頑張っていきたいと思っております。

 −− 復旧、復興の目途というのは、当面いつごろ目途をつける、あるいはつけられるのか、そして、今の責任論とも関連しますが、その目途がついたときに、そういう批判は受けるとか、それから初動とか、あの辺のところは国会でもお認めになっておる。そこと、一応目途をつけた場合の、その後の責任の取り方ですね、具体的にどういう行動で表わしていくのか、その辺のお考えは。

○総理 地元の方では、復興計画も立てつつある訳です。したがつて、そうした地元の動きに対応して、一体となって進めていけるような体制をつくっていきたいと考えておりますから、先ほど申し上げましたように、復興本部、それから有識者による復興委員会等々設けまして、そして、強力に推進をしていくということが第一であります。

 こうした地震等、予知出来ないような災害については、災害があったときに、直ちに情報が集約できて、そして必要なところに情報の伝達ができる、こういう危機管理の仕組みをしっかり作っていく必要があると痛感をいたしました。

 ですから、チームを作って、そして来週中にもその結論を出したいとして今、作業を急いでおります。明日起こった場合にどうするかという緊急の課題についても対応できるような体制をこの際思い切ってつくる必要があるということは痛感をいたしておりますから、そういう考えで臨んでいきたいと思っています。

 −− 財源について、幅広い見地でという話ですが、例えば、特別減税の凍結とか、消費税の引き上げの前倒し実施とか、そういった具体的なことは総理の頭の中にはあるんですか。

○総理 私は国会の委員会でも、消費税については、平成九年から四%、それから地方消費税が一%、上げるという法律は決定している訳です。しかも見直し条項も入っている訳でありますから、消費税率を前倒しにして上げるということは考えておりません。

 いろんな意見がございますから、そうした意見をそれぞれ斟酌しながら検討し、必要な財源は確保しなければいけません。その財源については、これはどういう財源で賄うことが一番いいのか、いろんな意見がございますから、そうした意見を十分検討しながら、国民の皆さんに納得できる、御理解のいただけるような結論を出して、措置していくことが大事ではないかと考えております。今ここで具体的に申し上げる段階にはないことについては御理解をいただきたいと思います。

 −− 総理、改めて聞きますけれども、一段落したときの責任の取り方とか、そういうことを総理自身が今お考えなのかというと、総理の先ほどの中でも、何でも困ったことを言ってきてくださいという話があったんですが、これが一番国民の生の声だと思いますけれども、そういうのをいかにして吸い上げて生かしていくか、ここが問題な訳です。その吸い上げ方という、そこらあたりについて、総理自身はどういうふうにお考えか。

○総理 まだ集団で避難生活をされている方が相当おられる。ある意味ではもう限界に来ているのではないか。できるだけそれぞれの住宅に入っていただいて落ち着いた生活ができるような条件をつくっていくことが大事だと思います。限られた人数で、全国から応援の方も見えていますけれども、そうしたことに本当に配慮されて行き届いた対応ができていないところもあるのではないかというふうに思います。

 したがって、可能な限りそういうことのないようにきめ細かな配慮をし、そして本当に困っている方、本当に不安を持っておられる方、そういう方々に対してお応えできるような仕組みをしっかり作っていく必要があるということは当然だと思います。当面必要なことについては、私は今の法律、制度の中でやれることは精一杯やってほしいと、どうしても今の制度では無理だということについては、これは見直しをしてでも、やはりやる必要がある。さっき申し上げましたチームの中でそういう点も検討してもらっている訳です。そして、出来るだけ被災された皆様方の気持ちに応え得るような施策というものをしっかりやっていきたいと思っています。

 −− 最初の責任の取り方で、何かお考えかどうか。

○総理 当面必要な救援対策について万全を期す。同時に、何と言ってもこれだけの災害を受けた訳ですから、しかも日本列島は一番火山も多いし、地震の多発する日本列島ということを考えた場合に、これまでの防災計画全体も見直して、そして地震に強い、そういう町づくりをする必要がある。全体的に見直す必要があると考えておりますから、そういう仕事を引き続いて積極的に推進していくということが私に与えられた課題であるし、取るべき責任ではないかというふうに考えております。

 −− 初動体制に政治のりーダーシップを今回は取れたとお考えですか。

○総理 政治のりーダーシップを取るために、災害基本法に基づく非常災害対策本部を設置し、小里国務大臣に今一生懸命やってもらっています。そして、大臣のりーダーシップで十分対応できるようにすると同時に、私が本部長になった緊急対策本部を設置して、全閣僚がその部員になって、そしてそれぞれ所管の省の仕事については、大臣の判断と決断で対応できるようにしていく体制を取ったのもそのためでありまして、今回は、そんな意味で政治的リーダーシップを確立してやっていると思っています。