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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] エネルギー安全保障、クリーン開発及び気候変動に関する日米共同声明

[場所] 仮訳
[年月日] 2007年4月27日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

 本日、ブッシュ大統領と安倍総理は、エネルギー安全保障、クリーン開発及び気候変動という相互に連関した課題に対処するには、持続的かつ実効的な地球規模の行動が必要であることで一致した。日米両国は、我々の経済が依存しているエネルギーが、効率性、その供給の多様性及び技術の進歩を促進することによって、信頼でき、利用可能で、安全なものであることを確保するために努力している。同時に、両国は、大気汚染、及び電力・輸送システムから排出される温室効果ガスの問題への対策において、実質的な前進を遂げている。我々は、大気中の温室効果ガスの濃度を、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において安定化させるという究極的な目的に引き続きコミットし、この目的のために前進する途をさらに検討する。

 日米両国はまた、我々の家庭、ビジネス及び自動車においてより良い方法でエネルギーを供給するために必要なクリーンエネルギー技術を進展させている。我々は、それらの技術の完全な商業化に対するコスト面での障壁を低減させるための政策誘因措置をとることにより、それらの技術の開発と普及を加速化させている。我々は特に、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギー、代替・再生可能燃料、水素、温室効果ガスをほとんど排出しない(ゼロエミッション)石炭、原子力及び核融合エネルギーを進展させることの重要性を指摘する。我々は、義務的プログラム、インセンティブ、官民技術協力を含む幅広い政策手法・措置を活用し、国家として定められた目的を前進させるために、ともに努力する。我々は、アジア太平洋におけるエネルギー効率の目標と行動プログラムの策定に向けた動きに鑑み、エネルギー効率の経済的、技術的及び気候に対する利点についての定量的研究を共同で行う。

 日米両国は、先進的なクリーンエネルギー技術の商業化を促進するために、国際的なパートナー、特に主要なエネルギー消費国とともに建設的に取り組む。この関連で、我々はまた、G8、国連気候変動枠組条約、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ、国際エネルギー機関、アジア太平洋経済協力会議、持続可能な開発会議、そしてその他の多国間のパートナーシップを活用する。我々は、2004年のシーアイランド・サミットで設定された発生抑制・再使用・再生利用(リデュース・リユース・リサイクル)の3Rイニシアティブの目標を再確認する。これは、既存の環境及び貿易上の義務及び枠組みと整合性のとれた形で、再生利用・再生産のための物品及び原料、再生利用・再生産された製品、並びによりクリーンで効率的な技術の国際的な流通に対する障壁を低減することを含む。我々はまた、2008年に日本で開催されるG8サミットで「気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関するグレンイーグルズ対話」に関する報告がなされることに留意する。

 我々はまた、モントリオール議定書の下で、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の削減を、エネルギー効率と気候変動の目標を支援する形で加速することによって、オゾン層の1980年以前のレベルへの回復を確保するべく努力する。我々は、全球地球観測システム(GEOSS)の開発におけるリーダーシップを引き続き発揮する。

 日米両国は、二国間の気候変動に関する日米ハイレベル協議の価値を認識し、この対話をさらに高め、強化し、効率化する。米国は、この声明のさらなる実施について議論するために、6月のG8サミット前に、高官からなる代表団を日本に派遣する。