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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 自動車及び同部品に関する橋本龍太郎通産大臣及びマイケル・カンター米国通商代表の共同発表

[場所] 
[年月日] 1995年6月28日
[出典] 日米関係資料集 1945−97,1323−1324頁.
[備考] 
[全文]

 橋本龍太郎日本国通商産業大臣及びマイケル・カンター米国通商代表は,1995年6月26,27及び28日の会合後,次の共同発表を行う。

 両大臣は,それぞれの国の雇用,生産,及び国の富に対する直接及び間接的貢献を含め,それぞれの国の経済において果たす自動車分野の中心的な役割を認識する。両大臣はこの分野における貿易を拡大し,競争を促進し,並びに世界経済を成長させることの重要性を認識する。両大臣はこの目的を達成するためには,両国政府及びそれぞれの国の民間分野における協調的な努力を必要とすることを認識する。

 橋本大臣は,自動車分野における国際情勢に取り組む民間分野の努力のための指針となる四つの原則,すなわち世界化(グローバリゼーション),現地化,産業協力,透明性を主張し,カンター大使はそれぞれの原則に同意した。

 この点に関し橋本大臣とカンター大使は,日本において及び進出企業(トランスプラント)を通じて競争的な外国製部品の購入を増加するために,90,92,94年に日本の自動車会社によって発表され,とられた計画に留意し,同計画を評価した。両大臣はこの計画の下での購入の増加を歓迎する。

 両大臣はさらに,完成車,主要部品及びサブアセンブリーの海外生産を増大し,部品の調達をさらに現地化し,並びに組み付け部品及び補修部品として日本において使用される競争的な外国製品の購入をさらに増加する計画を,日本の自動車会社が最近追加的に発表したことを歓迎する。日本の自動車会社はまた,部品の購入に関する透明性を確保し,その購入が資本関係に基づき供給者に対して差別的ではないことを確保することも発表した。

橋本大臣とカンター大使は,米国の自動車会社が日本において競争的な製品,価格,サービスを提供することにより,日本市場におけるプレゼンスを拡大する計画,意図を表明す

る声明を発表したことを喜ばしく思う。

 両大臣は,米国または日本の企業により新たに発表された計画が約束でなく,いずれの国の貿易の是正に関する法律の対象でもないことを認識し,理解する。むしろこれらの計画は,市場の状況その他の要因に関する研究に基づく企業の営業上の予測,意図である。両大巨は市場の状況の変化がこれらの計画の達成に影響を与えるかもしれないことを認識し,理解する。

 最後に,上記で言及した民間部門の努力とは別に,両大臣は米国政府及び日本国政府が,本日,自動車・同部品に関する包括協議を成功裡に決着させたことを発表することを喜ばしく思う。上述の民間部門の努力は包括協議の一部ではないが,両大臣は包括協議が日本の補修部品市場に影響を有する整備工場の規制緩和などの両国政府によってとられる「措置」と呼ばれる種々の政府の行動を扱っていることを再確認する。「措置」の実施状況の評価は,達成された進展の評価と並んで,定性的及び定量的基準の総合的な検討に基づく。それらの基準は,例えば自動車・同部品の貿易,在米日系進出企業(トランスプラント)による部品調達,為替レートを含む市場の状況,競争的な供給条件で競争的な製品を提供するための米国市場・同部品製造者の努力等を扱っている。