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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] FSXに関する日米交渉,次期支援戦闘機システムの共同開発に関する交換公文

[場所] 
[年月日] 1988年11月29日
[出典] 日米関係資料集 1945−97,1156−1157頁.外務省条約局『条約集・昭和63年二国間条約』,2971−2977頁.
[備考] 
[全文]

日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づく次期支援戦闘機システムの共同開発に関する交換公文

(略称)米国との次期支援戦闘機システム共同開発取極

昭和六十三年十一月二十九日 東京で

昭和六十三年十一月二十九日 効力発生

昭和六十三年十二月十二日  告示

(外務省告示第六三一号)

(日本側書簡)

 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は,千九百五十四年三月八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定(以下「MDA協定」という。)に言及する光栄を有します。同協定は,各政府が,他方の政府に対し,援助を供与する政府が承認することがある装備,資材,役務その他の援助を,両政府の間で行うべき細目取極に従つて,使用に供するものとすることを特に規定しています。

 日本国政府及びアメリカ合衆国政府の代表者は,日本国の防衛能力を強化するために必要な次期支援戦闘機システム(以下「システム」という。)の日米両国による共同開発に関する計画(以下「計画」という。)について討議を行いました。この討議の結果による日本国政府の了解は,次のとおりであります。

1 3の規定に基づき締結される細目取極に従い,日本国政府は,アメリカ合衆国政府の協力の下,計画の実施のために必要な資金を全額負担すると共に,システムの開発を計画し,実施する。

2 計画は,日本国及びアメリカ合衆国の企業が参加して実施される。

3 この了解は,MDA協定及びこれに基づく取極(千九百五十六年三月二十二日に東京で署名された防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を含む。)に従つて実施され。{ママ}その実施のための細目取極は,両政府の権限のある当局の代表者により締結される。

4 この了解及びこれに基づき締結されるすべての取極に基づき日本国政府が行う財政上の債務の負担又は支出は,日本国の憲法上の規定に従つた予算の承認を得たところにより行う。

 本大臣は,この了解がアメリカ合衆国政府により受諾される場合には,この書簡及び受諾する旨の閣下の返簡が両政府間の合意を構成するものとみなし,その合意が閣下の返簡の日付の日に効力を生ずることを提案する光栄を有します。

 本大臣は,以上を申し進めるに際し,ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

  千九百八十八年十一月二十九日に東京で

              日本国外務大臣 宇野宗佑

 アメリカ合衆国特命全権大使

    マイケル・J・マンスフィールド閣下

(米国側書簡)

(訳文)

 書簡をもつて啓上いたします。本使は,本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。

(日本側書簡の引き写し部分)

 本使は,アメリカ合衆国政府が前記の了解を受諾することを同政府に代わつて確認し,閣下の書簡及びこの返簡が両政府間の合意を構成するものとみなし,その合意がこの返簡の日付の日に効力を生ずることに同意する光栄を有します。

 本使は,以上を申し進めるに際し,ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

  千九百八十八年十一月二十九日に東京で

              アメリカ合衆国特命全権大使

                マイケル・J・マンスフィールド

 日本国外務大臣 宇野宗佑閣下