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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] コメの自由化反対に関する国会決議,第百十三回国会 参議院会議録第七号

[場所] 東京
[年月日] 1988年9月20日
[出典] 日米関係資料集 1945−97,1154−1155頁.官報(号外),1988年9月20日.
[備考] 
[全文]

第百十三回国会

参議院会議録第七号

米の自由化反対に関する決議案(三塚博君外十名提出)

○議長(原健三郎君) 米の自由化反対に関する決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。三塚博君。

〔三塚博君登壇〕

○三塚博君 ただいま議題となりました米の自由化反対に関する決議案につきまして,自由民主党,日本社会党・護憲共同,公明党・国民会議,民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表し,提案の趣旨をご説明申し上げます。

 案文を朗読いたします。

  米の自由化反対に関する決議案

 本院は,第九十一回国会において国民生活の安定のため,食糧自給力の強化を図り,我が国農業・漁業の発展と生産力の増強に向けて政府が万全の施策を講ずるべきことを決議し,また第百一回国会において,特に国民の主食であり,かつ,我が国農業の基幹作物である米の需給安定を図るため,食糧行政に万全を期すべきことを決議した。

 米及び稲作は,我が国にとって食生活,農業生産,地域社会,国土保全等多方面において格別に重要な地位を占めているばかりでなく,日本文化とも密接な関係を有し,また,健全な我が国社会の維持発展を支えるものとして,国民全体の重大関心事である。

 このような重要な作物である米について,生産者の多大な努力により,全水田面積の三割に及ぶ厳しい生産調整による需給均衡政策,内外価格差の縮小をめざす合理化政策を懸命に進めているところである。

 このような情勢下において,今般伝えられる米国内の我が国に対する自由化要求の動きは,極めて遺憾であり,認められない。

 よつて政府は,二度にわたる本院の決議の趣旨を体し,断固たる態度で臨むべきである。

 右決議する。

以上であります。

 国民の主食であり,我が国農業の基幹作物である米については,本院において既に需給安定に関する決議をしているところでありますが,米国内における我が国に対する自由化要求の動きもあり,生産者はもちろん国民一般に不安を与えないためにも,米の自由化反対に関する本院の姿勢を内外に表明していくことが必要であると考えるものであります。

 本決議案の提出に当たりましては,議院運営委員会の理事各位等の間で鋭意協議を重ね,自由民主党,日本社会党・護憲共同,公明党・国民会議,民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五党共同提案として提出いたすことになったものであります。

 何とぞ,議員各位の御賛同をお願いを申し上げます。(拍手)

○議長(原健三郎君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議はございませんか。

〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よつて,本案は可決いたしました。

 この際,農林水産大臣から発言を求められております。これを許します。農林水産大臣

佐藤隆君。

〔国務大臣佐藤隆君登壇〕

○国務大臣(佐藤隆君) ただいまの御決議に対しまして,所信を申し述べます。

 我が国において格別に重要な地位を占める米及び稲作について,現在,生産者の多大な努力により,消費者の御理解と御支援を得ながら,需給均衡努力や合理化努力を懸命に行っているところであります。

 政府といたしましては,このような情勢を踏まえ,ただいま採択されました御決議の趣旨を体し,遺憾のないよう対処してまいりたいと考えております。(拍手)