データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 牛場・ストラウス共同発表

[場所] 東京
[年月日] 1979年6月2日
[出典] 外交青書24号,399‐400頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.政府調達及び関連市場

 (A) 日本国政府及び合衆国政府は,日本国,合衆国及び他の主要国の間で電気通信分野における市場を含む相互の市場への進出機会に関し相互主義が適用されるべきであることに合意する。

  (1) 日本国政府及び合衆国政府は,この目標実現のためのプログラムの一環として,「東京ラウンドの政府調達に関する協定」の発効の日の前,すなわち,1980年12月31日までに同コードの下での電気通信分野における調達体の範囲につき合意に達することを目指して,1979年7月に開始される作業計画に従つて努力する。

  (2) 合衆国政府は,現在日本国が行つているオファーの範囲を相互主義実現のための前記プログラムの枠内における具体的な措置とみなす。日本国政府は,合衆国電気通信企業が行う市場進出機会の供与を前記のプログラムの実施上該当関係にあるものとみなす。合意が成立しない場合には,前記のオファーは,拘束力を持たないものとなることが了解される。

 (B) 日本国政府及び合衆国政府は,前記の作業プログラムの過程において,また,今般の合意の積極的な精神に沿つて,次のことにつき最善の努力を払うことに合意する。

  (1) 日本国における自営の電気通信設備市場及び合衆国におけるこれに対応する市場において他国製造業者による販売を容易にすること。

  (2) 高度な技術及びノウハウの面で最新のものを有する他国企業に対して調達に連なる研究開発への参加を認めること。

  (3) 他国企業が適切かつ適時に入札を行い得るため,当該企業に対して,自国の市場要件を満たす方法につき指導を行うこと。

 (C) 両国政府は,「政府調達に関する協定」の実施及び運用について予定されている3年後の検討(第9部6(b)),(電気通信分野における日米両国市場の相互の市場進出機会が公正かつ衡平かどうかを判定するための二国間の電気通信分野における貿易に関する日米両国による評価を含む。)の時までに,相互主義実現のための前記のプログラムの完全な実施を目指して作業を行うことに合意する。

2.ステージング

 (A) 日本国政府は,1979年4月1日現在の実行税率から引下げを行うことにより,関税の引下げを実施する意図を表明した(個別産品交渉においてステージングにつき特段の合意が行われた場合を除く。)

 (B) 日本国政府は,また,他の交渉相手国との間で達成される最終的バランスを考慮しつつ,可能な範囲で最大限,初年度及び第2年度の引下げを1980年に一度に行うことによつて引下げの実施を速めることを決定した。

3.その他の事項

 (A) 葉巻き及び紙巻きたばこ

     日本国政府及び合衆国政府は,日本における輸入葉巻き及び紙巻きたばこについて,価格,流通及び販売の問題を含む諸問題に関する討議を速やかに開始することに合意する。

 (B) スタンダード

     日本国政府及び合衆国政府は,「貿易に対する技術的障害に関する協定」の規定に沿つて,1980年1月1日までに,検査手続及び認証制度に関する双方にとり受諾可能なかつ相互性のある取組み方について交渉を行うことに合意する。

 (C) 石炭

     日本国政府及び合衆国政府は,両国にとつての石炭貿易の重要性を認識し,合衆国からの対日石炭輸入を奨励するよう努めることに合意する。