データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 米財界人との午餐における三木内閣総理大臣挨拶

[場所] 
[年月日] 1975年8月7日
[出典] 三木内閣総理大臣演説集,109−110頁.
[備考] 
[全文]

 デイヴィッド・ロックフェラー会長並びに御列席の各位

 本日は,お忙しい中にもかかわらずお集りいただき,この非公式の意見交換の場をもうけていただきましたことに対し,謝意を表したいと思います。世界の勢は急速に変りつつあります。特にアジアにおきましては,いわゆる「ポスト・ヴィエトナム」の時代を迎え,全く新しい政治,経済関係の枠組みが生まれつつあります。この関連で私は次の二つのことを申し述べたいと思います。

 第一に,現在東南アジアでみられる変化と趨勢は,アジアの諸国民が米国から離れようとしていることを意味するものではないということであります。逆にアメリカが引続きアジアの安定と経済的繁栄のために貢献していくことが強く望まれており,また,それが重要不可欠なことと認識されております。実際,ヴィエトナムにおける戦闘の終結により,米国は,太平洋アジア全域にわたる平和建設及び国家建設のために,一層多様でかつ柔軟な役割を果すことができるといえましょう。

 第二に,わが国としても,この目的のために,米国とともにより一層貢献をしていく所存であります。われわれの援助が望まれ,かつ,それが建設的に利用されうるところには,出来るかぎり援助の

手を差しのべる方針であります。このことは日米共同の責任であると思います。

 本日は,皆様方との間で,自由濶達な意見交換が行われることを望むものであります。御質問がありましたらできる限りお答えいたしたいと思います。