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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 沖縄返還に関する米国と日本との協定調印に際してのランパート高等弁務官の声明

[場所] 
[年月日] 1971年6月17日
[出典] 外交青書16号,502頁.
[備考] 高等弁務官府訳
[全文]

 米国と日本との間の沖縄返還協定の調印は,歴史的に重要な出来事である。この協定は,米国の施政権の日本への返還を達成するために必要な基本的諸取決めを明確にしており,日米両国の立法府による必要な承認とその他の適切な手続きを経た上で,沖縄住民が長い間求めてきた復帰の目標を達成することがこれによつて可能となる。

 この協定は,長期間にわたる交渉の最終的成果を意味するものであり,その間,沖縄住民の必要や願望に対して可能な限りあらゆる考慮が払われてきた。沖縄復帰準備委員会は,その審議を通じて,また屋良行政主席その他の沖縄代表の意見を日米両国政府に伝えることによつて重要な役割を果してきた。

 復帰は,米国と沖縄住民との関係に新時代をもたらすこととなる。施政権が日本に返還されるほかに,日本と米国との間の相互協力及び安全保障条約並びにそれに関連した諸取決めがそのまま沖縄に適用され,在沖縄米軍は本土駐留米軍と同じ地位におかれることとなる。

 返還協定の調印によつて,今や,日米両国間に存在している友好と協力のきずなを維持するとともに,沖縄住民の生活と福祉を増進するような形で復帰を実現するための基礎固めができた。

 今から復帰までの期間になすべきことは多々ある。高等弁務官として,また準備委員会の米国代表として,[私は,私たちすべてが残された復帰準備作業を推し進める上で在沖縄米国当局の全幅の支援と協力を約束するものである。