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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 一九六九年十一月二十一日発表のニクソン米合衆国大統領と佐藤日本国総理大臣による共同声明に関する合意議事録

[場所] ワシントンDC
[年月日] 1969年11月19日
[出典] 外務省,いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書,74-75頁.
[備考] 
[全文]

米合衆国大統領

 われわれが共同声明で述べたとおりて{前1文字ママ}、米国政府の意図は、実際に沖縄の施政権が日本に返還されるときまでに、沖縄からすべての核兵器を撤去することである。そして、それ以降は、共同声明で述べたとおり、日米安全保障条約と関連する諸取決めが沖縄に適用される。

 しかしながら、日本を含む極東諸国の防衛のため米国が負っている国際的義務を効果的に遂行するために、米国政府は、極めて重大な緊急事態が生じた際、日本政府との事前協議を経て、核兵器の沖縄への再持ち込みと、沖縄を通過させる権利を必要とするであろう。米国政府は、その場合に好意的な回答を期待する。米国政府は、沖縄に現存する核兵器貯蔵地である、嘉手納、那覇、辺野古、並びにナイキ・ハーキュリーズ基地を、何時でも使用できる状態に維持しておき、極めて重大な緊急事態が生じた時には活用できるよう求める。

 日本国総理大臣

 日本国政府は、大統領が述べた前記の極めて重大な緊急事態の際の米国政府の諸要件を理解して、かかる事前協議が行われた場合には、遅滞なくそれらの要件を満たすであろう。

 大統領と総理大臣は、この合意議事録を二通作成し、一通ずつ大統領官邸と総理大臣官邸にのみ保管し、かつ、米合衆国大統領と日本国総理大臣との間でのみ最高の機密のうち取り扱うべきものとする、ということに合意した。

一九六九年十一月十九日

ワシントンDCにて

Richard Nixon

Eisaku Sato