データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所
機密文書研究会 東京大学・法学部・北岡伸一研究室

[文書名] オキナワ返かん交渉

[場所] 
[年月日] 1969年9月19日
[出典] 外務省,いわゆる「密約」問題に関する調査報告対象文書(2.1960年1月の安保条約改定時の朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する「密約」問題関連),文書2−6
[備考] いわゆる「密約」問題に関する調査報告の際に公開された文書。公開されたものは外務省電信写用紙にタイプした文書。漢字、送りがなの用法、誤記と思われるものも含めてできるだけ忠実にテキスト化した。欄外の書き込みの記録は本文前に記載しオリジナルの記載箇所を<>内に記した。
[全文]

<1ページ目 欄外上>

*1*

527{前3文字囲み線あり}

<1ページ目 欄外左>

外審、外審、事務次官

北一、参

条、参

<1ページ目 欄外右>

※{※は花押}●●{前2文字解読不能}

総番号(TA):41955

69年9月19日20時25分 米国発

69年9月20日09時47分 本省着

主管

米局長

外務大臣殿 下田大使

オキナワ返かん交渉

第2964号 特秘 至急

往電第2947号に関し、

タナカ大使より、

1、18日本使ジョンソン次官と接触の際同次官は核{前1文字囲み線あり}の問題につき冒頭往電と同様の趣旨を述べ、本使よりこの問題は日本側の最も重要視するところであり、総理訪米まで確定的でないという状態が続くことは困難な事情を生ずるので早目に見通しがつくことが必要であると述べたのに対し、同次官は日本側の事情は了解しているが、核は米国内も微みような性格を持つているので、大統領としては対内的考慮よりも公式には総理との会談で決めるとの立場をとらざるを得ないと思われる。いずれ大統領に対し交渉の状況を説明し、核についても協議する予定であり、日本側事情は自分としては了解していると答えた。

2、19日フインと話合つた際、先方は核につき前記1、と同趣旨を述べ、本使より大統領の決定事項であるとしても、国務省として大統領にリコメンドする案があるはずで*1*あると打しんしたところ、先方はこれをこう定し、EMERGENCY持込み{前12文字下線あり}に言及すると共にこの問題は米側の国内事情より時をかけて処理せねばならず、総理訪米の間ぎわまでずれるおそれなしとしないと述べた。

3、本使より、秘密協定を{前5文字下線あり}つくることは好ましくないとの日本側立場に言及せるところ、フインは米側としては核{前1文字囲み線あり}についてコミュニケに書かない以上{前23文字下線あり}、実質的合意をうら付けるものを必要とする。戦闘作戦行動{前6文字囲み線あり}についてはコミュニケの表現が米側としてほぼ満足すべきものとなりつつあるので、秘密協定はつくらなくともよいというのが国務省内の大勢である。ただし、1960年ペーパー{前9文字下線あり}はそのままにしておきたいとの考え方であるが、日本側が強く廃止を要求する場合、国務省としてはその方向で努力することとなると思う。しかし国防省がこれが廃止に反対する特殊な理由があるか否かは確認していないと述べた。

4、コミュニケのベトナム{前4文字囲み線あり}の項の表現につき17日スナイダーは米国案は国防省も反対出来ないように大統領の演説の一部をそのまま引用したものであり、しばらくそつとしておいてよく考えた方がよいと思うと述べ、19日フインは日本案と米国案をCOMBINEした表現も考えられると述べた。

*1*

5、19日フインによれば、マイヤー大使は今次会談終了後有力者を含む多数の議員{前2文字囲み線あり}と会合したが、17日の国務省朝食会には約50名の議員が出席し、議会の関心も高まりおる趣にて、国務省の接触範囲は建前の問題もあり、現在まで主として外交委員会に限られているが、いわゆるタカ派と目されるMUNDT議員の如きも、マイヤーとの個別会談の結果、理解を示すに至り。議会への了解工作は目下のところ概して順調に進みおる由。

 国連へ転電した。

(了){前3文字手書き}

{*1* 下記の6行が各ページ欄外上に記載}

<特>{本文では<>はマル}

極秘

電信写

注意

1.本電の取扱いは慎重を期せられたい。

2.本電の主管変更その他については検閲班に連絡ありたい。

{本文の数字、下線、囲み線は手書きによる}