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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 米空母エンタープライズ佐世保寄港に関する官房長官談話

[場所] 
[年月日] 1968年1月18日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),746頁.外務省情報文化局「外務省公表集」,昭和43年上半期,154頁.
[備考] 
[全文]

 米国原子力水上軍艦の本邦寄港について

内閣官房長官談

 本日在日米国大使館から,外務省に対し,明日原子力空母エンタープライズがフリゲート艦トラックストンおよびハルゼーを伴って,佐世保に寄港する旨正式に通告してきた。

 原子力水上軍艦の寄港については,昨年九月米国側から本邦に寄港させたい旨の申し入れがあり,これに対して同年十一月寄港に異議のない旨を回答しておいたものである。

 原子力水上軍艦の安全性については,これまで十数回に及んだ原子力潜水艦の本邦寄港の経験と原子力委員会の慎重な検討の結果,問題がないことを再確認しているものであり,これら原子力水上軍艦の本邦寄港は,原子力潜水艦の場合と同様,核兵器の持込みとは関係なく,また今回の寄港申し入れの際米国側は,日米安保条約の下における事前協議の対象となる事項については,日本政府の意に反することはしない旨を重ねて明確にしている。

 寄港に当って一部で企図されているような基地突入,乗員の上陸阻止等の暴力的行動は全く不法であり,国際信義の上からも許すことはできない。逸脱した行動により社会秩序を乱し,地元市民各位に迷惑をかけることなどがないよう強く要望する。

 政府としては,いかなる不法行為も絶対に許さず治安確保のため万全の警備体制をとることとしている。国民各位の一層の御理解と御協力を切に希望するものである。