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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 米空母エンタープライズ寄港受入れに関する外務省情報文化局発表

[場所] 
[年月日] 1967年ll月2日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),730頁.外務省公表集,昭和42年下半期, 38−9頁.
[備考] 
[全文]

  米国原子力水上軍艦の本邦寄港について

外務省情報文化局発表

 政府は十一月二日,米国の原子力水上軍艦がわが国に寄港することは差支えないと決定し,この旨を米国政府に通報した。

 昭和四十年十一月,エンタープライズ等原子力水上軍艦が第七艦隊に配属になった際に,米側より非公式に将来原子力水上軍艦の本邦への寄港が必要となるかも知れない旨連絡があった。

 その後,去る九月七日在京米大使館オズボーン臨時代理大使が東郷北米局長を訪れ,米国は原子力空母エンタープライズ等原子力水上軍艦を乗組員の休養および艦艇の兵站補給および維持を目的として,日本に寄港させたい旨申入れるとともに,これら軍艦の目本寄港は安保条約に基づく事前協議の対象となるものではないが,通常の原子力潜水艦の場合と同様に,日本国民の関心を承知しているので,条約上の権利を行使する前に日本政府と本問題を協議したいと述べた。

 政府は,安全性確認のため米国政府に照会を行ない,又原子力委員会の見解をも参考として,慎重に検討した結果その安全性について確信を得るに至ったので,エンタープライズ等原子力水上軍艦の本邦寄港に同意することとしたものである。

 これらの軍艦の本邦寄港は,原子力潜水艦の場合と同様に核兵器の持込みとは全く関係がなく,米国政府は安全保障条約の下における事前協議にかかる事項については,日本政府の意に反して行動することはないことを今回重ねて明確にした。

 わが国は,安全保障の基調を日米安全保障条約体制におき,米国は安全保障条約により日本防衛の義務を負うとともに,わが国の安全ならびに極東の平和および安全の維持のためにわが国において施設・区域の使用を認められており,従って政府としては原子力水上軍艦についても,安全性につき確信を得たので,米国の他の一般の軍艦と同様に,その寄港を認めることは当然であると認め,今回の決定を行なったものである。

 なお,今回の政府決定に先立ち,米国政府はわが国からの種々の照会に対する回答をエード・メモワールにとりまとめあらかじめ日本政府に通報している。