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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本国とアメリカ合衆国との間の綿製品の貿易に関する日本国政府と合衆国政府との間の取極

[場所] 
[年月日] 1963年8月27日
[出典] 日米関係資料集 1945−97,556−559頁.外務省条約局,条約集・昭和38年二国間条約,第41集第36巻.日本繊維新聞,1963年8月28日
[備考] 
[全文]

日本国とアメリカ合衆国との間の綿製品の貿易に関する日本国政府と合衆国政府との間の取極

 長期取極第四条の「この取極の基本的目的に合致する他の条件に基づく相互に受諾可能な取極」を認める規定に基づき,次の取極が,同取極の規定に従うことを条件として,千

九百六十三年一月一日から始まる三年の期間両政府によって適用される。

1 この取極の目的は,日本国と合衆国との間の綿製品の貿易の秩序ある発展をもたらすことにある。この目的を達成するため,

 a 合衆国政府は,日本国と合衆国との間の綿製品の貿易の秩序ある発展を促進することにつき日本国政府と協力するものとし,また,

 b 日本国政府は,この取極の規定に従うことを条件として,千九百六十三年一月一日から始まる三年の期間,合衆国への綿製品の輸出に対する年間合計枠{枠にわくとルビ}並びに主要な群に対する年間枠{枠にわくとルビ}及びこれらの群に含まれる特定の製品に対する年間枠{枠にわくとルビ}又は上限を維持することとする。

2 千九百六十三年の年間合計枠{枠にわくとルビ}は,二億八千七百五十万平方ヤードとする。この枠{わくとルビ}は,次のとおり四の主要な群に細分される。

                 百万平方ヤード

第一群 − 綿織物           一二五・五

第二群 − 家庭用品(合衆国の綿広幅織物製品に通常含まれるもの。)               

                     四一・○

第三群 − 衣料品           一一一・○

第四群 − 綿製雑品           一○・○

 合計                 二八七・五

 これらの主要な群の中で,特定の製品に対する年間枠{枠にわくとルビ}又は上限は,附表Aに掲げられている。第一群,第二群,第三群及び第四群に対する枠{わくとルビ}は,年間合計枠{枠にわくとルビ}の中で,五パーセントを限度として超過することができる。ただし,この「融通率」の規定は,附表Aのそれぞれの群の中で掲げる「その他」の類についてのみ増加を認めるものとする。

 前記のそれぞれの群は,附表Bに定義する次の種目をその内容とするものとされる。

   第一群 − 第五種目から第二十七種目までの種目

   第二群 − 第二十八種目から第三十六種目までの種目及び第六十四種目の一部

   第三群 − 第三十九種目から第六十二種目までの種目及び第六十三種目の一部

   第四群 − 第一種目から第四種目までの種目,第三十七種目及び第三十八種目並びに第六十三種目の一部及び第六十四種目の一部

3 千九百六十四年の合計枠は,千九百六十三年の合計枠{枠にわくとルビ}より三パーセント増加せしめるものとする。千九百六十五年の合計枠{枠にわくとルビ}は,千九百六十四年の合計枠{枠にわくとルビ}より五パーセント増加せしめるものとする。千九百六十四年及び千九百六十五年についてのこれらの増加は,群に対するそれぞれの枠{わくとルビ}並びに群の中のそれぞれの枠{わくとルビ}又は上限について適用される。

4 この取極の目的のため平方ヤード以外の単位(たとえば,ダース,個,ポンド等)を相当する平方ヤードに換算することが必要なときは,相当する平方ヤードヘの換算は,附表Cに掲げる率による。

5a 両政府は,この取極の実施から生ずる問題があるときはいつでも,協議を行なうものとする。

 b この取極の範囲内のいずれかの製品(附表Aに枠{わくとルビ}又は上限が掲げられている類に含まれる製品を除く。)の日本国からの輸出の過度の集中又は特定の種類の織物で作られた製品の日本国からの輸出の過度の集中が,合衆国の国内市場の攪乱{攪にこうとルビ}を起こし,又は起こすおそれがあるときは,合衆国政府は,日本国政府に対し,適当な措置を決定するため書面により協議を要請することができる。そのような要請には,その要請の理由及び正当性に関する詳細なかつ事実に即した説明書(第三国からの輸入についての関係資料を含む。)を付さなければならない。そのような協議が行なわれている間,日本国政府は,当該製品の輸出を,協議が要請された月に先だつ十五箇月の期間の最初の十二箇月間における同製品の輸出の百五パーセントをこえない年間水準又は協議が要請された月に先だつ十二箇月間における同製品の輸出の九十パーセントをこえない年間水準のいずれか高い方の年間水準に,四半期を基礎として,維持することとする。

 c bの規定は,控え目に使用されるべきものとする。日本国政府は,附表Aの規定の実質がbの協議の結果重大な影響を受けることとなると認めるときは,附表Aの修正についての討議を前記の協議に含めることを要請することができる。

6 両政府は,この取極が成功裡{裡にりとルビ}に実施されるかどうかは統計上の問題についての相互の協力に依存するところが大きいことを認める。したがって,各政府は,他方の政府が要請する入手可能な統計資料をすみやかに提供することに同意する。特に,合衆国政府は,日本国政府に対し,日本国及び第三国からの綿製品の毎月の輸入についての資料を提供するものとし,日本国政府は,合衆国政府に対し,合衆国への綿製品の毎月の輸出についての資料を提供するものとする。

7 この取極で特定の枠{わくとルビ}又は上限が掲げられているいずれかの類の製品に関し,合衆国政府は,日本国と合衆国との間の綿製品の貿易の秩序ある発展のため,この取極の運用の結果をたえず検討するものとし,また,日本国政府に対し,一年に一度,そのような製品の輸入,生産及び消費についての入手可能な統計その他の関係資料で当該輸入の関係産業に及ぼす影響を明らかにするものを提供するものとする。

8 日本国政府は,この取極に掲げる枠{わくとルビ}及び上限の結果として日本国が第三国と比べて不当な立場におかれていると認めるときは,この取極を合理的に修正すること等の適当な是正措置を執るため,合衆国政府との協議を要請することができる。

9 両政府は,この取極で規定されている場合を除き,長期取極の条項が日本国と合衆国との間の綿製品の貿易に適用されるものとすると了解する。合衆国政府は,この取極の附表Aの範囲内の製品の日本国からの輸出が同取極の枠内{枠にわくとルビ}で行なわれている限り,それらの製品について長期取極第三条の規定を援用しないものとすることに同意する。

10a この取極は,千九百六十五年十二月三十一日まで効力を存続する。ただし,いずれの一方の政府も,他方の政府に対し六十日前に書面による予告を与えることにより,前記の日以前においても,いずれかの暦年の初めにこの取極を終了させることができる。

  b 各政府は,いつでも,この取極の修正を提案することができる。他方の政府は,そのような提案に対して好意的な考慮を払うものとする。