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日本政治・国際関係データベース
東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室

[文書名] 琉球刑法並びに訴訟手続法典

[場所] 
[年月日] 1955年3月16日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),690−706頁.琉球政府総務局「琉球政府公報」,4月23日.
[備考] 
[全文]

○琉球列島米国民政府布令第百四十四号(一九五五年三月十六日)

   刑法並びに訴訟手続法典

第一条 一九四九年六月二十八日付,軍政府布令第一号,首題「刑法並びに訴訟手続法典」及びすべてのその改正をここに廃止し,この布令をもつてこれに代える。但し,この布令の施行以前において,軍政府布令第一号(改正を含む。)に基き,生じたすべての犯罪及びすべての刑罰,没収,罰金又は債務は,該布令の廃止に拘らず,該布令に規定するところに基き,これを告発し,これを執行することができる。

第二条 ここに添付され,この布令の一部である刑法並びに訴訟手続法典をここに公布する。

第三条 この布令は一九五五年四月九日の二十四時をもつて効力を発する。但し,この布令の前二条による布令の廃止及び代置により,告発が適切で合法的であるかについて疑問を生ずるような時間に犯罪が生じた場合,又は犯罪行為が二十四時以前に開始されそれ以後に至つても完了しない場合には,どの布令を適用すべきかを明らかにするため,かかる犯罪は一九五五年四月九日に犯されたものとみなす。

副長官の命により発布する。

首席民政官

米国陸軍准将

W・M・ジョンソン

 第一部 民政府裁判所

第一章 基 本 法

一,一,一 琉球列島の領土及び領海並びに住民に対する行政,立法及び司法のすべての権限は,合衆国政府に付与され,琉球列島民政長官及び琉球列島米国民政府を通じて行使される。

一,一,二 一九四五年四月一日現在施行されていた現行法はそのまま琉球の法律として有効とする。但し,民政府,琉球政府及びその前身たる機関の制定する法令によつて,改正,修正その他改変されたものについては,その限りでない。

  第二章 民政府裁判所の構成及び裁判権

一,二,一 民政府裁判所は上級裁判所及び琉球列島民政副長官の権限をもつて任命する簡易裁判所から成る。

一,二,二 上級裁判所 上級裁判所は,合衆国の雇傭する者で,琉球列島民政副長官の権限をもつて召集する一人以上の米合衆国の市民をもつて構成する。死刑又は十年を超える禁錮刑をもつて処罰すべき罪を犯した事件は,三人以上をもつて構成する法廷において審理されなければならない。

一,二,二,一 上級裁判所は,民政府裁判所の管轄下におけるすべての犯罪につき,これを審理し,合法的刑罰を課することができる。

一,二,三 簡易裁判所 簡易裁判所は,合衆国の雇傭する者で,副長官の権限をもつて任命する一人の米合衆国市民をもつて構成する。

一,二,三,一 簡易裁判所は,民政府裁判所の管轄下におけるすべての犯罪を審理し,死刑或いは一年を超える禁錮若しくは一万円を超える罰金又はその両刑の併科以外の合法的刑罰を課することができる。

一,二,四 地域に対する裁判権 各民政府裁判所の裁判権は,全琉球列島領域及び琉球列島の内外にある琉球の船籍を有する船舶の上に及ふ{前1文字ママとルビ}ものとする。

一,二,五 人に対する裁判権 各民政府裁判所の裁判権は琉球列島におけるすべての人に及ぶものとする。但し,左記の者を除く。

A 聯合国の軍事法典又は陸軍若しくは海軍軍法の適用を受ける者。但し,この例外規定は,副長官が審理すべく付託した者に対する裁判権を剥奪するものではない。

B 外交上の免除を有する者

一,二,六 罪に対する裁判権 民政府裁判所は,左記の罪に対し裁判権を有する。

A 民政府の権限により又は基き公布された布告,布令又は指令に基く罪

B 一,一,二条に規定する琉球列島の刑法の規定に基く罪。但し,副長官又はその代行者が事件の審理を民政府裁判所に命じた場合に限る。

一,二,六,一 民政府布告,布令,指令,命令若しくはその他の規程又はこれ等の改正は左記の手続を経た上で法律となり,施行される。

A 必要に応じて,副長官又は民政官の署名

B 琉球政府行政主席に文書交付後二十日の経過。但し,施行期日が定められている場合には,交付完了後同期日から施行される。

第三章 訴訟手続

一,三,一 総則 民政府裁判所における訴訟は,一般に一九五一年の合衆国軍法会議提要(将来改正される場合には,その改正)に示された訴訟手続に従うものとする。但し,琉球民裁判所の訴訟手続及び迅速且つ公正な裁判の必要性に基き,裁判所が適正且つ妥当と認める修正を加えることができる。被告人は,公正な審理を受け,答辯をなす機会が与えられるので,軍法会議において必要とする証拠物件及びこの他訴訟上の防禦手段の容認に対する制限について必ずしも従う必要はない。

一,三,二 公判 各民政府裁判所の審理は,別に副長官又は裁判所が指示する場合を除き,これを公開しなければならない。

一,三,三 被告人の権利 民政府裁判所における被告人はすべて左記の権利を与えられる。

A 裁判又は予審に先だち,起訴状を手交される。

B 裁判前に弁護士と諮ること及び自己の選択する弁護士に裁判において自己を防禦させること。裁判所は,被告人の要請又は裁判所自らの意向により裁判において被告人を防禦する弁護人を選任することができる。

C 防禦を準備するために裁判所に対し延期を願い出ること。この願いは裁判所がその裁量により許可又は拒絶することができる。

 D 自己の欲する証人を帯同し,又は裁判所に要請しこれを召喚せしめること。

E 裁判において自己のために証拠を提出すること。但し,それは強制されることはない。

F 訴訟手続の進行を自ら理解できない場合には,自己の利益のために,自己の又は裁判所の通訳にこれを翻訳してもろ{前1文字ママとルビ}うこと。

G 起訴に関して押収された財産を裁判所の適当な処分を受けるため,裁判所に搬入してもろ{前1文字ママとルビ}うこと又は裁判所の判定に基き,これを返還してもろ{前1文字ママとルビ}うこと。

一,三,三,一 琉球政府に正式に登記してない者が,不法を承知で若しくは故意に弁護士業を営む場合又はその法律上の役務の提供若しくは法律上の助言のために金銭若しくは物品による謝礼を受け又は受けようとする場合には,断罪の上,二万円以下の罰金刑若しくは六箇月以下の懲役又はその両刑に処することができる。

一,三,四 公訴の時効

A 何人も故意殺人以外の罪に対しかかる罪が犯されてから三年以内に起訴がなければ,訴追し,裁判し,処罰されることがない。但し,合衆国政府又は民政府の財産を詐取する罪については,六年とする。

B 犯人が琉球列島の領域外にいる場合には,前項の期間はその進行を停止する。

一,三,五 裁判所の権限

民政府裁判所は,政党なる司法行政運営のために必要な命令を発し,行為をなし,且つ,正当なる司法行政の原則を侵害しない限り,保釈を許可し,保釈金を受領没収し,文書をもつて又は文書によらずして証人の出頭を命じ,宣誓をなさしめ,証拠品の処分を命じ,法廷{前1文字ママとルビ}侮辱を罰することができる。

一,三,五,一 布告,布令又は指令に基き,罪が罰金をもつて処罰すべきである場合には,罰金を課す裁判所は罰金の納付に関して正当と思われる指示を与え,罰金の全部又は一部を納付しない場合は,被告人に対し,裁判所の権限により課し得る期間中入獄を命ずることができる。刑罰の宣告に罰金の納付が含まれその納付がなされない場合には,未納金百二十円に付一日を超えない割合で被告人を懲役に付すことができる。これは,別に規定する裁判所の権限の制限に拘らず,宣告を受けた他の懲役に付加される。

一,三,五,二 上級裁判所は,断罪の上,他の刑罰に代つて又はこれに加えて,被告人にその住所を特定地域内に定めることを命ずることができる。

一,三,五,三 被告人が車輛,船舶,物品,商品又はその他の動産の不当又は不法売却,購入,所持若しくは使用の罪について有罪の判決を受けた場合には,民政府裁判所は,他に刑罰を課する代りに又はこれに加えて,正当な所有者への返還若しくは賠償を命じ又は当該財産の没収を命ずることができる。船舶の船長又は運転士が密貿易又は琉球への不法入域につき有罪の判決を受けた場合には,犯罪に使用された船舶の没収を命ずる。没収刑の中止,変更又は免除は琉球列島民政副長官の特権に属し,裁判所はこれを行わない。

一,三,五,四 被告人が特定の地所における不法業務を行う罪につき有罪の判決を受けた場合には,民政府裁判所は,他に刑罰を課する代りに又はこれに加えて,業務の行われた地所の明渡し又は裁判所の定める期間中閉鎖することを命ずることができる。

一,三,五,五 琉球列島又はその一部地域への不法入域の廉により被告人が有罪の判決を受けた場合には,裁判所は,他に刑罰を課する代りに又はこれに加えて,被告人を適当な場所に勾留し,便のあり次第これをその家,郷土又は母国に送還することを命ずることができる。

一,三,六 再審

再審に当つては,各件につき左の各項の手続をとらなければならない。

一,三,六,一 民政裁判所において有罪の判決を受けた者は,判決言渡後三十日以内に,判決取消又は判決変更の理由を述べた民政官あての陳情書を琉球政府行政主席経由で,当該裁判所又は民政官に提出することができる。

一,三,六,二 副長官又は,副長官が指示する場合には民政官は,民政府裁判所の行つたすべての審理の再審権者を勤めるものとする。

一,三,六,三 民政府裁判所の行つた審理に関するすべての記録はこれを民政府行政法務部に提出しその審査を受ける。行政法務部長は記録を審査し,認可,却下又は変更の勧告を添えて,これを再審権者に送達する。

一,三,六,四 再審権者は,いかなる有罪判決もこれを取り消し,判決を執行猶予し,軽減し,変更し,又は無罪の場合を除き,再審理を命ずることができる。

一,三,六,五 再審中でも,民政府裁判所が判決は停止することなく直ちに執行される。但し,死刑の判決は再審権者が再審し,民政長官がこれを確認するまでは執行されない。

一,三,七 防禦

 裁判所が適切凱{前1文字ママとルビ}切と認め且つ,一般的に是認された他の防禦を侵害しない限り,左に掲げる防禦はいかなる被告人もこれを民政府裁判所において行うことができる。

一,三,七,一 確実と見做された罪が国際法に基き特権を与えられたものであるということは,民政府裁判所におけるいかなる起訴に対しても防禦となる。但し,船舶が,琉球の税関法,出入管理法及び検疫法に違反目的又はこれを幇助する目的をもつて琉球列島の領海内を徘徊する場合には,慣習上の海上管轄権の限界に基礎をおいた防禦は効力を有しないものとする。

一,三,七,二不法な家宅捜査によつて得られた被告人に不利な証拠品は民政府裁判所においては容受されないものとする。若し誤つて容受された場合には,記録から正式に抹消され,何ら証拠力のないものとして考慮される。

一,三,七,三 何人も難{前1文字ママとルビ}も自己に不利な唯一の証拠が彼自身の自白である場合には,有罪とされない。

一,三,七,四  何人も実行の時に適法であつた行為又はすでに無罪とされた行為については,刑事上の責任を問われない。又同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問われない。但し,いかなる人といえども,米国民政府裁判所の管轄に属する犯罪につき,同裁判所において,起訴及び審理されたという理由により,民政府裁判所において審理された当該犯罪以前又は以後において同人が犯した別の犯罪につき,琉球民裁判所制に基く裁判所又は民政府裁判所のいずれかによる起訴及び科刑を妨げるものではない。

第四章 令状

一,四,一 逮捕及び捜索

合衆国軍隊要員以外の者で,布告,布令又は指令に基く罪を犯した者若しくは犯そうとした疑のある者は,合衆国軍の将校,逮捕の場所において公安勤務にある合衆国軍隊要員又は勤務中の憲兵,空軍憲兵若しくは沿岸警備員がこれを逮捕及び捜索することができる。然しながら,かかる被疑者が勾留に付される前に,その勾留の場所において被疑者が違反した又は違反しようとした疑のある布告,布令又は指令及びかかる違反行為又は違反未遂行為を確実と見做す理由として充分な,且つ,合衆国軍隊士官の前で告発証人によつて宣誓された事実を記載した逮捕状が提出されなければならない。但し,(a)この規定は合衆国軍隊要員が重罪を犯している者,犯そうとしている者又は犯した者を逮捕することを禁ずるものではない。(b)この規定はいかなる場合においても,民政府布告第十二号(改正を含む)又は民警察官の権限に特に関連のあるその他の法令に規定する前述の件についての民警察官の手続を制限又は禁止するものではない。

一,四,二 家宅捜索

 憲兵,航空憲兵隊,沿岸警備隊その他の軍法執行機関が,正当な居住者の意に反して,軍指定保留地域外の個人の住居に立入ろうと欲する場合には,先ず民政府裁判所又は治安裁判所判事を通して捜索状を得なければならない。重罪を犯して現に追跡されている者を逮捕するため又は重罪の犯されるのを防ぐために当然必要な場合には,陸軍,海軍及び空軍の法執行機関は,令状なくして個人の住居へ無断で立入る権限を有する。

一,四,三 勾  留

逮捕勾留の後四十八時間以内に被疑者が問われている罪が軽罪であるか重罪であるかを決定するために簡易裁判所か又は所轄の民治安裁判所によつて迅速な予備審理が開かれなければならない。罪が軽罪である場合には,裁判所は本法の第一部第三章第三条に基き,直ちに被告人の審理を行うことができる。但し,裁判所が事件審理の通告を受けた以後において,上級の民政府又は民裁判所に事件を移送すべきであると又は何らかの理由により延期すべきであると決定する場合には,裁判所は被疑者を勾留し又は保釈金を納めた上で若しくは納めずに裁判があるまで裁判所が適当と認める期間,これを釈放することを命ずるものとする。

一,四,三,一 何人といえども,その罪が正式に審理され,該罪の下においてこれを更に勾留することを妥当とするに充分な証拠並びに諮問及び審理を避けるために逃走を企てる虞があるという証拠が示された後で,簡易裁判所又は民治安裁判所が正式に勾留状を発行しない限り,逮捕後四十八時間を超えて勾留されることがない。

第二部 罪

第一章 定  義

二,一 左に掲げる定義は本法において絶対の権威を有する。

二,一,一 「民政府法令」とは民政府が公布するすべての布告,布令及び指令をいう。

二,一,二 「合衆国軍隊要員」とは次に掲げる各種の人をいう。

A 合衆国軍隊の現役軍人

B 合衆国政府又はその代行機関,軍部若しくは出先機関の非琉球人民間傭人

C 合衆国政府との契約を履行することを唯一の目的として琉球列島に在住する合衆国の国籍を有する請負業者及び合衆国の国籍を有するその傭人

D 米国赤十字社の傭人として正当に琉球列島内に在住する非琉球人

E 前各号に掲げる者の被扶養者で正当に琉球列島内に在住する者

F 合衆国政府又はその代行機関,軍部若しくは出先機関との契約の下に琉球列島内に在住する非琉球人芸人

 本条において「非琉球人」とは日本の国籍又は市民権を有する者を含まないものとする。

二,一,三 「人」とはすべての個人,組合,会社,法人でない商会若しくは社団又はそれらのすべての責任ある役員若しくは構成員を意味するものと解する。但し,合衆国軍隊要員を除く。

二,一,四 「罪」とは,本法に定める規定に違反するすべての作為又は不作為をいう。但し,かかる作為又は不作為が当局の命による場合を除く。

二,一,五 「過失」とは,他人の身体又は財産の安全を全く無視した為に他人の身体又は財産に傷害又は損害を惹起した無意識的行為をいう。

二,一,六  死刑又は一年を超える懲役をもつて罰せられるすべての罪は「重罪」とし,他のすべての罪は「軽罪」とする。

二,一,七 「不当所持」とは,真の所有者の同意なくその財産を所持していると承知し又は判断しながら,且つかかる財産の使用処分権を該所有者から不定限に奪う目的をもつて,他人の動産を不法に自己のために所持することを意味するものと解する。

二,一,八 「非鉄屑金属類」とは,国籍のいかんを問わず,その軍隊が使用し,以後その使用目的に適しない鉄,鉄合金又はアルミニュ−ム以外の金属から成る陸海軍軍需品又はその断片をいう。

二,一,九 本法にいう「全琉球列島領域」とは,左記境界内のすべての土地,岩石,岩礁,砂洲及び海をいう。

北緯二十八度・東経百二十四度四十分の点を起点として

  北緯二十四度・東経百二十二度の点

北緯二十四度・東経百三十三度の点

北緯二十七度・東経百三十一度五十分の点

北緯二十七度・東経百二十八度十八分の点及び北緯二十八度・東経百二十八度十八分の点を経て起点に至る。

第二章 安全に反する罪

二,二,一 合衆国軍隊に対して武器をおびる者は,死刑又は民政府裁判所が命ずる他の刑に処する。

二,二,二 合衆国軍隊要員を故意且つ不法に殺害し又は重罪を犯す過程においてこれを死に至らしめる者は,死刑又は民政府裁判所の命ずる他の刑に処することができる。

二,二,三 合衆国軍隊要員である婦女を強姦し又は強姦する意志をもつてこれに暴行を加える者は,死刑又は民政府裁判所の命ずる他の刑に処する。

二,二,四 合衆国政府,民政府又は琉球政府を武力をもつてすることを主張する勢力若しくは組織に雇われ又はその利益のために偵察行為若しくは破壊行為に従事する者は死刑又は民政府裁判所の命ずる他の刑に処する。

二,二,五 正当に琉球政府の免許を受けずに,銃器,弾薬若しくは爆発物を所持又は保管する者は,断罪の上,五万円以下の罰金若しくは五年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,五,一 銃器,弾薬若しくは爆発物の所持,譲渡又は使用について免許を受けた者が,その免許の条件,制限又はそれによつて与えられた権限に違反した場合には,かかる銃器,弾薬又は爆発物所持の免許を受けていない場合と同様に,第二部第二章第五条に基きこれを起訴し,処罰するものとする。

二,二,六 合衆国又は合衆国軍隊要員の財産を窃取し,横領し,不当に所持し,又は故意に破壊し若しくは破損する者は,断罪の上,五万円以下の罰金若しくは十年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,六,一 合衆国又は合衆国軍隊要員の財産で,その価格が三千円以下のものを窃取し,横領し,不当に所持し,又は故意に破壊し若しくは破損する者は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処する。 二,二,六,二 単に合衆国政府又は合衆国軍隊要員の自動車の不当所持により有罪となつた者は,かかる車輛が被告人の手に入つてから正当な所有者又は保管人に返還されるまでの間に損傷を受けなかつた場合には,五千円以下の罰金若しくは六箇月以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,七 合衆国又は合衆国軍隊要員からの贓物を不当に購入し,販売し,他人のために隠匿し,質に取り又は運搬する者は,断罪の上,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,八 公認の管理者又は居住者から正式に許可を受けないで,禁止区域として指定された場所若しくは地域に立入り又はそこで発見される者又は合衆国軍隊若しくはその要員に割り当てられた家屋,倉庫その他構内に侵入する者は,断罪の上,二千五百円以下の罰金若しくは三月以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,九 合衆国政府,民政府又は琉球政府に対する叛乱に琉球列島の住民を煽動し又は他人をして煽動せしめた者又はかかる目的のために公の示威運動又は集会を組織し若しくは指揮し又は他人をして組織若しくは指揮せしめた者は,断罪の上,十万円以下の罰金若しくは十年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,十0 給水,燃料配給,電光電力,衛星,運輸若しくは通信又はこれと類似した事業を含む公共事業又は施設の運営を故意に妨害する者又はかかる事業の設備若しくは施設を破壊若しくは損傷する者は,断罪の上,五万円以下の罰金若しくは五年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,一一 合衆国政府又はその軍部若しくは代行機関が発行した鋳貨又は紙幣を偽造し又は偽造と知つてかかる鋳貨又は紙幣を所持する者は,断罪の上,五万円以下の罰金若しくは五年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,一二 兇器又は身体に重大な傷害を与えることのできる器具をもつて合衆国軍隊要員に不当に暴行を加える者は,断罪の上,十年以下の懲役に処する。

二,二,一二,一 合衆国軍隊要員に不当に暴行を加える者は,断罪の上,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,一三 合衆国政府又はその軍部若しくは代行機関の権限の下に行為する者に賄賂を提供し又はこれを脅迫する者は,断罪の上,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,一四 公の騒乱を惹起するか又は暴行行為に導くと思料される行為をなす者は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,一五 事件の争点についての資料として,民政府裁判所又は合衆国軍法会議において故意に事実に反した陳述をなす者又は訴訟についての事実資料として,合衆国又はその代行機関若しくは軍部によつて又はそのために行われる正式の訴訟手続過程において故意に書面による又は署名入りの虚偽の陳述をなす者は,断罪の上,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,一六 合衆国政府又は民政府に対し,故意に虚偽の又は詐れる請求をなす者は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,一七 合衆国の権限の下に行為していると詐る者は,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,一八 合衆国政府又は民政府に対して誹毀的又は煽動的印刷物又は文書を発行若しくは配布し又は発行若しくは配布せしめ又は発行若しくは配布する意図でこれを所持する者は,断罪の上,五万円以下の罰金若しくは五年以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,一九 正当な許可なく,掲示された民政府の権限により発行する告示,布告,布令又は指令を取去,破毀又は汚損する者は,断罪の上,一千円以下の罰金若しくは一箇月以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,二0 合衆国以外の九にの国旗又は軍旗は,政府庁舎又は構内でこれを掲揚し,使用し又は公的若しくは政治的性質を有する集会または行列でこれを使用することはできない。但し,民政副長官の特別の許可を得た場合はこの限りでない。

右は政治的意味を伴わない限り,個人の家屋又は個人的集会における国旗の使用を禁止することを意味するものではない。本条の規定に違反した者は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは六箇月以下の懲役又はその両刑に処する。

二,二,二一 逮捕に抵抗する者又は民政府の権限の下に逮捕された又は逮捕されようとする者の逮捕を妨害し又は故意にその逃走を援助する者は,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,二二 民政府裁判所の命により正当に勾留されている者又は同裁判所により裁判が行われるまで未決勾留に付されている者が,勾留されている刑務所又は場所から逃走する場合には,断罪の上,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,二三 民政府裁判所の審理又はその他の処置を受けるため再出頭することを保証する約束又は宣誓の下に正当に釈放された者が該約束又は宣誓を破り故意に命ぜられた再出頭を回避する場合には,保証金を没収した上で六ケ月以下の懲役に処することができる。

二,二,二四 過失により,合衆国又は合衆国軍隊要員の財産を破損する者は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,二五 過失により,合衆国軍隊要員に傷害を与える者は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,二六 過失により,合衆国軍隊要員を死に至らしめた者は,断罪の上,五万円以下の罰金若しくは五年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,二七 本条の規定に違反する者は,断罪の上,二年以下の懲役若しくは二万円以下の罰金又はその両刑に処することができる。

二,二,二七,一 何人も許可なく琉球列島の地理的境界を出入してはならない。本条の出入許可とは琉球列島民政副長官の命により発行する許可書とする。本項の規定は単に琉球列島を通過する外国船に乗船している者には適用しない。

二,二,二七,二 何人も琉球列島民政副長官の命による又は民政府法令に基く出入許可の条件に違反してはならない。

二,二,二七,三 何人も出入許可を獲得又は保持するために故意に虚偽の情報を提供してはならない。

二,二,二七,四 何人も琉球列島民政副長官の指定する出入管理官によるその出入許可の確認を受けずに琉球列島を出入してはならない。

二,二,二七,五 何人も,本条の規定に違反して琉球列島に不法入域した者を匿まつたり隠れ場を与えたりしてはならない。

二,二,二八 民政府法令に基き罪となる行為を為すことを共謀し又は該行為の遂行を教唆し,幇助し若しくは惹起する者は,正犯と見做し刑罰に処する。

二,二,二九 民政府法令に基き罪となる行為の未遂は既遂と同程度に罰すべき罪を構成するものとする。

二,二,三0 重罪を犯す意図をもつて,夜間合衆国軍隊要員の住居に侵入する者は,断罪の上,十年以下の懲役若しくは十万円以下の罰金又はその両刑に処することができる。

二,二,三一 重罪を犯す意図をもつて,合衆国軍隊要員の住居又は合衆国政府若しくは合衆国軍隊要員のその他の建造物若しくは構内に侵入する者は,断罪の上,五万円以下の罰金若しくは五年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,三二 会社,組合,クラブ,党又は労仂{前1文字ママとルビ}組合の役員,組織者若しくは構成員である者が,かかる機関の名において又はそのために,次に掲げる行為をなす者は,断罪の上,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

 A 該当機関が政党として登録されていないに拘らず政治活動に従事すること。

 B 政治的又はその他の目的で,米合衆国又は民政府を侮蔑するといつた方法で事実を偽つた陳述を含む演説を行ちたり印刷物を配布すること。

二,二,三三 民政府の許可書なくして,無電送信器を所持し又はこれを無電送信に使用する者は,断罪の上二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,三四 憲兵,海軍沿岸巡察,民警察の一員その他民政府が特別警察官として認可した者によつて解散を命ぜられた暴徒,集団その他の集会の一員で,直ちにかかる暴徒,集団又は集会から立ち去りその住居又は居住の場所へ戻ることを拒避{前1文字ママとルビ}する者は,断罪{前1文字ママとルビ}の上,一千円以下の罰金若しくは一ケ月以下の懲役又はその両刑に処することができる 。

二,二,三五 あらかじめ,琉球政府の許可を得ずして新聞,雑誌,書籍,小冊子又は廻状を発行又は印刷する者は,断罰の上,五千円以下の罰金若しくは六箇月以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,三六 本条第二部第二章第十八条又は第三十二条Bによつて禁止されている性質の新聞,雑誌,小冊子,又は廻状を琉球に輸入する者は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処するものとする。

二,二,三七 許可なくして,撮影禁止の標識のある合衆国政府施設又は同区域内の土地若しくは水域,物体又は風景の全部又は一部を撮影し,画き,略図し,地図に表わし又は設計図を作製する者及び許可なくして前述の土地若しくは水域,物体又は風景の写真,原板,未現像フイルム,見取図,地図又は設計図を意識して所持する者は,断罪の上,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,三八 或る国家,政府又は政治的区画がその登録船舶を識別するため正式に採用した旗,信号旗又は標識を,正当に当該国家,政府又は政治的区画の許可を受けることなく掲揚する船舶の船長,運転者又は船主は断罪の上,五万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,三九 非鉄屑金属類を回収する合衆国又はその代行機関若しくは契約者を妨害又は遅延させるような行為をなす者若しくはなさしめる者又は当然非鉄屑金属を回収する合衆国又はその代行機関若しくは契約者を妨害し又は遅延させる結果をもたらすと思われる行為をなす者若しくはなさしめる者は,断罪の上,三万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,四0 一九五一年十月一日又はそれ以後の日付をもつて非鉄屑金属類の所持,保有,使用又は保管若しくは管理を認める琉球列島米国民政府が正式に発行する免許証なくして,非鉄屑金属類を所持,保有,使用又は保管若しくは管理する者は,断罪の上,三万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,二,四一 沖縄に在留する合衆国軍隊要員に酒又は酒類を販売し,商いし,又は物々交換する者は,断罪の上,五千円以下の罰金若しくは六ケ月以下の懲役又はその両刑に処することができる。但し,卸業者の軍クラブ及び食堂への販売並びに琉球軍司令部の発行する有効なA級施設証明書を有する施設の合衆国軍隊要員に対する販売は許可する。但し,この場合の酒はすべて当該琉球法令に基き認可され,収得され,且つ,調合されたものとする。

二,二,四二 A 合衆国政府又はその代行機関,出先機関若しくは軍隊において使用され又は発行される旅券,通行証,許可証,身分証明証若しくは食糧配給カ−ド,免許証又はこれに類似の書類を偽造し,変更し,不当且つ故意に発行し,又は受給者として記名された者以外にこれを譲渡する者

B 合衆国の認める他の政府によつて発行された身分証明書類,旅行許可証又はこれに類似した性質の書類を偽造又は変更する者

C これらの旅券,許可証,通行証及び身分証明書若しくは食糧配給カ−ド,免許証,身分証明書類及び旅行許可証又はこれに類似した性質の書類の所持権者以外の者の利益のために不当に使用する目的をもつて,これらの公文書を所持している者は,断罪の上,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。なお,裁判所はこれらの書類を没収し,効力を有するものであれば,これを所持権者又は発行機関に返却するものとする。

二,二,四三 合衆国軍隊又はその聯合国軍隊の発行する通行証,身分証明書,免許証及び許可証又はこれに類似した書類を不当且つ故意に所持し,質物として受納し,受領し,又はその所持権者,関係軍部又は警察以外の者に譲渡する者は,断罪の上,五千円以下の罰金若しくは六ケ月以下の懲役又はその両刑に処することができる。

   第三章 経済及び財政政策に反する罪

二,三,一 通貨 本節の左記規定を犯す者は断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,三,一,一 債務の弁済において何人も,民政府の法令によつて法貨に指定された通貨を受領することを拒否してはならない。

二,三,一,二 何人も民政府の法令に別段の規定がない限り,法貨でない通貨と法貨とを交換してはならない。

二,三,一,三 民政府の法令によつて是認された場合を除き,いかなる国の通貨又は硬貨も,琉球列島からこれを輸出し若しくは輸入し,又は外国と金融上若しくは通商上の取引をすることはできない。

二,三,一,四 何人も琉球列島内の取引において,民政府によつて法貨に指定されていない通貨を受領し若しくは支払い,又はかかる受領若しくは支払いの契約をしてはならない。

二,三,一,五 琉球列島において「アメリカ合衆国」銘のある通貨を所持し又は受領することを禁ずる。

二,三,一,六 民政府の法令に別段の規定がある場合を除き,琉球列島内において合衆国軍票を所持し又は授受することを禁ずる。

二,三,一,七 民政府の法令によつて特に是認された場合を除き,何人も日本円を所持してはならない。

二,三,二 (省略)

二,三,三 財産管理官 権限なくして,且つ,故意に左記各項の規定を犯す者は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,三,三,一 何人も財産管理官又はその補佐官の職務執行に干渉し又は妨害してはならない。

二,三,三,二 何人も財産管理官に既に帰属した財産又は財産管理官が管理することを権限付けられている財産に,干渉し,除去し,損壊し又は隠匿してはならない。

二,三,四 商取引 合衆国軍隊用として琉球列島に輸入されたもので,一般住民の使用に供するため民政府によつて放出されていない食糧品,衣服類,物品若しくはPX品を購入し,販売し若しくは物物交換する者は,断罪の上,五千円以下の罰金若しくは六月以下の懲役又はその両刑に処するものとする。

二,三,五 本節の左記各項の規定を犯す者は,断罪の上,二年以下の懲役若しくは二万円以下の罰金又はその両刑に処することができる。

二,三,五,一 米国民政府の許可なくして真鍮,青銅,銅,鉛,マンガン若しくは亜鉛等のスクラツプ(切屑)又は鋳塊を,群島領域外の目的地にあて積送りすることを禁ずる。

二,三,五,二 前項に列挙された金属類が同項の禁令に反して群島領域外への搬出を予定されていることを察知しながら,又は充分な根拠をもつてこの予定事実を確信しながら,該金属類を購入し,売却し,取引し,物物交換し若しくは運送することを禁ずる。

二,三,六 不実の申告 民政府の法令によつて税の申告又は税額計算明細書の提出を要求されている者が,税金の全部若しくは一部の支払を免かれるために,故意に虚偽の申告をし又は虚偽の明細書を提出した場合は断罪の上,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,三,七 所得税 民政府の法令により,所得に対する税若しくは見積税額の算定,賦課又は徴収に必要な報告若しくは申告,記録の保管又は情報の提供を要求されている者が,かかる要件の履行を怠り又は納税期に納税しない場合は,断罪の上,十万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,三,八 法人税 法人団体の職員若しくは従業員にして,法人税若しくは清算所得税の賦課又は徴収に関し,納税,申告,記録保管若しくは情報提供の職務にある者が,法令に定められた時期に納税,申告,報告若しくは記録の保管をすることを故意に怠つた場合は,断罪の上,十万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

第四章 道徳に反する罪

二,四,一 定義 本布令の第二部第一章に規定された定義に加うるに,左記各項の定義をも権威あるものとして有効に適用するものとする。

二,四,一,一 「売淫」とは,婦女が利得のためにする性交の行為をいう。

二,四,一,二 「淫売婦」とは,利得のために自分の肉体を性交の具{前1文字ママとルビ}に供する婦女をいう。

二,四,一,三 「女げん{前2文字強調}」又は「媒淫者」とは,淫売婦のために客を引き又は淫売婦の利得の分け前にあずかる者をいう。

二,四,一,四 「淫売宿」とは,淫行の目的をもつて人々の寄り集る建造物又は淫売の行われる場所をいう。

二,四,二 左記各項の規定を犯す者は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,四,二,一 いかなる婦女も合衆国軍隊要員と売淫をなし又は売淫に従事することを禁ずる。

二,四,二,二 何人も淫売婦と合衆国軍隊要員とを取り持つ女げん{前2文字強調}又は媒淫者として行動することを禁ずる。

二,四,二,三 淫売宿を構えて合衆国軍隊要員を出入させることを禁ずる。

二,四,二,四 合衆国軍隊要員との売淫の目的をもつて,婦女を輸送することを禁ずる。

二,四,二,五 何人も,合衆国軍隊要員のために,野卑な,卑猥な,猥褻な又は不道徳なシヨウ(見世物)を準備し又はかかるシヨウに関与することを禁ずる。

二,四,三 左記各項の規定を犯す者は,断罪の上,十年以下の懲役に処することができる。

二,四,三 一 何人も,十八才未満の少女を,本人の同意如何にかかわらず,淫売宿もしくはその他売淫の行われる場所で売淫又は卑猥若しくは不道徳な行為をすることを故意に誘発し,勧誘し,説得し又は承諾させることを禁ずる。

二,四,三,二 何人も,売淫の目的をもつて,十八才未満の少女を本人の同意如何にかかわらず,又は十八才以上の婦女を,本人の意に逆らつて輸送することを禁ずる。

二,四,三,三 何人も売婬{前1文字ママとルビ}の行われる場所に婦女を,本人の意に逆らつて留置し,又はかかる留置の目的をもつて肉体的に虐待し,又は麻酔剤若しくは酒類を供与し,且つ,服用させることを禁ずる。

二,四,三,四 何人も人身を売買し又は他人を奴隷的労役若しくは不本意の強制的労役を契約することを禁ずる。本項の規定に関し,未成年者は自らの行為によつても又はその親若しくは後見人の行為によつてもかかる労役の契約に同意することはできない。

第五章 公衆の保健に反する罪

二,五,一 癩病 本節の規定を犯す者は,断罪の上,五千円以下の罰金若しくは六月以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,五,一,一 何人も正当なる許可なくして,癩療養所として指定された場所又は地域に立入り又は居在{前1文字ママとルビ}することを不法とする。又,癩患者があらかじめ正当なる許可を得ることなくして,癩療養所を離れることも不法とする。

二,五,二 性病 本節の規定を犯す者は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,五,二,一 性病疑似患者若しくは性病患者は,民{ママとルビ}の性病関係診療所若しくは病院に赴いて検診若しくは治療又はその両方を受けなければならない。

二,五,三,民政府の法令によつて是認された場合を除き,何人も合衆国軍隊要員に性病の治療を施し,又は性病の治療の目的として薬剤若しくは器具を供与する場合は,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処することができる

二,五,四 民政府の法令によつて建築を禁止されている地域内に住宅用,農業用若しくは商業用の建造物若しくは営造物を建築する者又は民政府の法令に反して立入禁止地域内で農業を営む者は,断罪の上,五千円以下の罰金若しくは六月以下の懲役又はその両刑に処することができる。この場合においては,判決云渡しと同時に才判所は,該不法建築に使用された総ての材料の没収を命令することができる。

第六章 車両及び交通規則に反する罪

二,六,一 本節左記各項の規定を犯す者は,断罪の上,五千円以下の罰金若しくは六月以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,六,一,一 何人も正当且つ有効な運転免許証なくして公道で車両の運転をしてはならない。軍車両を運転する場合には,正当且つ有効な通行許可証を所持しなければならない。

二,六,一,二 何人も割り当てられた予定の道筋を外れて軍車両を特別な又は個人的な回遊のために運転してはならない。

二,六,一,三 何人も事前の許可なくして軍車両からその部分品を取り外し又は除去してはならない。

二,六,一,四 何人も米国軍隊に属する又は米国軍隊によつて供給される工具,備品,ガソリン,油脂類及びその他車両に必要な供給品を,許可されてない目的のために使用してはならない。

二,六,一,五 何人も軍車両を,通行許可証の交付後に不当に遺棄又は放棄してはならない。

二,六,一,六 何人も製造元の識別一連番号又は合衆国政府登録番号が許可なくして取り除かれている車両を所有してはならない。

二,六,二 左記各項の禁令を犯す者は,断罪の上,五千円以下の罰金若しくは一月以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,六,二,一 車両は総て道路に右側を運行し又は駐車するものとする。

二,六,二,二 車両の最大限度は,標識による別段の指示がない限り,総べて時速三十哩とする。

二,六,二,三 「駐車を禁ずる」旨の公式標示がある地域に駐車をしてはならない。公道に駐車する場合は,該道路上の交通を妨害し又は危害を蒙らさないように注意しなければならない。

二,六,二,四 運転手は憲兵若しくは民警察官又はこれと同等の資格をもつて行動することを権限づけられる者の総ての且ついかなる指示,訓令にも服従するものとする。

二,六,二,五 運転手に五百呎以上の見通しが利く場合の他は,何時いかなるときでも他の車両を追い越してはならない。

二,六,二,六 いかなる車両も,他の運転手の眼をくらまし又は眩惑するような燈光を使用してはならない。

二,六,二,七 運転手は,車両運転中左記の方法による手信号を用いるものとする。

 (a) 左廻りー車両の側から手と腕を水平に差し伸ばす。

(b) 右廻りー車両の側から手と腕を上の方へ差し伸ばす。

 (c) 停車又は速度を急に落す信号ー車両の側から手と腕を下の方へ差し伸ばす。

二,六,二,八 運転手は,公道に公式に掲示された交通取締標識に従うものとする。

二,六,二,九 何人も所轄当局の許可なくして交通取締標識を汚損し,破壊し若しくは除去し又はかかる標識を立ててはならない。

二,六,二,一0 運転手は,公道のわん{前2文字ママとルビ}曲部若しくは匂配又は最小限五百呎の見通しの利かないいかなる地点においても,車両を反対方向に転換してはならない。

二,六,二,一一 車両の前部の座席には三人以上座つてはならない。但し,前部に三人分の座席が設備されている私有の車両の場合には,そこに四人以上座つてはならない。

二,六,二,一二 いかなる貨物自動車も対価を得てこれを客人の輸送に使用してはならない。

二,六,二,一三 本来又は通常労務車{前1文字ママとルビ}の輸送に使用すべきトラックの運転手及び運転者は強制的に全乗客を適当に着席させ,且つ,該トラックの両側及び后{前1文字ママとルビ}部には手摺若しくはその他適当な囲柵並びに昇降の安全を期すために踏台,階段若しくは相当の昇降装置を設備しなければならない。

二,六,二,一四 何人も乗客の使用に指定又は予定されていない車両若しくはその或る部分に乗車してはならない。又,如何なる運転手もかかる車両への乗車を故意に許可してはならない。但し,この規定は,該車両の修理,維持若しくは運転等の職務執行上必要な従業員又は積載貨物用の場所に席を占めている者に対しては適用しないものとする。

二,六,二,一五 交通事故によつて人身の傷害を来たした場合においては,被害者を除き,該事故に捲込まれた者又は該事故を目撃した者は,憲兵若しくは民警官によつて放免されるまでは事故の現場を去つてはならない。但し,事故がパトロ−ルされないいわゆる,非警ら{前1文字強調}地域若しくは遠隔の地域に起る場合は,事故関係者は被害者を救助し又は当局に報知するために現場を離れることができるが,その前に他の総ての関係者に自己の氏名及び住所を告知し,それから直ちに最寄りの憲兵若しくは民警察署に事故を報告するものとする。

二,六,二,一六 公道の下り勾配を運行中の運転手は車両のギヤ−を中立の位置に留め又はクラツチを踏んで,車両を惰走させてはならない。

二,六,二,一七 軍施設地域に出入する車輛は,門口に哨舎があれば,そこで完全に停車し,立哨者の許可があるまでは,前進してはならない。

二,六,二,一八 私道若しくは車道から公道に入り又は公道を横切ろうとする車両の運転手は,該公道を接近して来る総ての車両及び該私道若しくは車道を横切ろうとする総ての歩行者に先行権を譲らなければならない。

二,六,二,一九,二台の車両が異つた公道から同一の交叉道路へ入る場合は,右側の車両が先行権を有するものとする。但し,互に反対方向から接近して来る車両の一方が左廻りをしようとする場合には,他方の車両が先行権を有するものとする。

二,六,二,二0 障碍のない公道に接近した場合においても,車両はすべて完全に停車し,危険のないことを充分見極めたときに該公道に入るものとする。

二,六,二,二一 通行中のトラツクはすべて,その尾部に附いている開戸を閉め,且つ,安全ボルトを締めるものとする。但し,法的に許容された績{前1文字ママとルビ}載貨物の容量の都合により,かかる安全装置が不可能のときは,本項の規定の適用を除外するものとする。

二,六,二,二二 公道を運行中の車両は総て,機械の調子が良好且つ安全な状態にあるものとする。

二,六,二,二三 運行中の車両は総て,道路の表面からライトの中心部まで二十四吋乃至五十四吋の同じ高さで車体前部の両脇に設備された二個の白いヘツド・ライト即ち前燈をつけるものとする。警察,応急及び消防のために公認された車両は,前方から見えるように紅いライトをつけることができる。オ−トバイ,三輪車及びモ−タ−付き自転車には一個だけ前燈を設備しなければならない。

二,六,二,二四 運行中の車両はすべて,その尾部に少くとも一個の汚れていない赤いテイル・ライト即ち尾燈をつけ,後方少くとも五十呎の地点からはつきり見えるようにしなければならない。

二,六,二,二五 番号燈,後退燈又は方向指示器(燈)を除く外,車両の後方から見得る燈はすべて,赤色でなければならない。

二,六,二,二六 外側の車幅が,八十吋を越える車両は,すべて,車幅燈を掲げなければならない。車幅燈は,前部にあつては,燈色,後部にあつては赤色とする。

二,六,二,二七 公道を運行中の車両は総て,故障のない警笛及び後方をはつきり見るためのいわゆるバックミラ−を装備しなければならない。

二,六,二,二八 任務遂行中の応急車は総ての公道において先行権が与えられるものとする。応急車が接近して来たときは,運転手は自分の運転している車両を公道の右側に寄せ附け,応急車が通過するまで停車するものとする。

二,六,二,二九 いかなる車両も,左側車輪の線を超え又は右側車輪の外線から六吋を超えて伸長する貨物を積載して公道を運行してはならない。

二,六,二,三0 いかなる車両も,清水以外の内容物が路上にこぼれ落ち又は曳きづ{前1文字ママとルビ}れる虞のあるような方法で,該貨物を積載し,運転し又は動揺させてはならない。

二,六,二,三一 高さ十八呎を超える車両はいかなる公道をも,ライカム,ポスト・エンヂニヤの許可なくして運行してはならない。

二,六,二,三二 車両は塵埃,雨水,暗さ又は道路の状態を考慮して,穏当且つ安全な方法で運行するものとする。

二,六,二,三三 本項別段の規定によつて許可された場合を除き,いかなる車両にもサイレンを設備してはならない。又,いかなる運転手も車両上にサイレンを使用してはならない。但し,公認の応急車又は警察車にはサイレンを備え附けることができる。火災警報への呼応,犯罪人若しくは被疑者の追跡又は傷病者の運搬等の公務執行中の車両以外にはサイレンを使用してはならない。

二,六,二,三四 無限軌道車は,ゴムの触軌面を有するのでなければ,舗装道路上を運行しないものとする。前述の触軌面を持たないこの種車両の輸送には,平荷台を有する被けん{前2文字ママとルビ}引車を使用するものとする。短距離の移動又は横断は,無限軌道の突起が道路面を破壊しないようにゴム軌道以外のものにあつては,板材を敷いて行うものとする。この規定によらない場合については,ポスト・エンヂニヤ−の許可を得なければならない。

二,六,二,三五 いかなる運転手も相当な安全をもつて操作し得る場合でなければ,公道に停止,位置若しくは駐車している車両を前進させ又は後退させてはならない。

二,六,二,三六 同方向に進行中の他の車両を追い越そうとする車両の運転手は,安全な間隔をおいてその左側を通過し,追い越された車両から充分安全な距離に達した場合にのみ,再び右側運行に戻るものとする。

二,六,二,三七 追い越される車両の運転手は,信号を聴き取り次第,右側に避けて,追い越そうとする車両に道を譲り,該車両が完全に通過するまでは速度を増加してはならない。

二,六,二,三八 運転手は,同方向に進行中の他の車両に対し,彼我両方の速度,交通状況及び道路の状態を然るべく考慮の上,充分且つ適当と思われる距離以上に接近してはならない。

二,六,二,三九 運転手は,歩行横断の標示の有無に拘らず,交叉点においては道路の横断歩行者に先行権を譲らなければならない。

二,六,二,四0 歩行者は,歩道がある場合には,これを使用しなければならない。歩道が設備されていない場合には,前方から接近して来る車両に向つて左側を通行するものとする。三人以上並んで歩行してはならない。

二,六,二,四一 反対方向に進行中の車両の運転手は互に右側を運行し,各運転手はなるべく公道の主要通行部分の少くとも二分の一を他方に譲るものとする。反対方向から接近して来る車両と遭遇地点の幅巾が狭隘で,両車の擦れ違いが不可能のときは,上り勾配を進行する車両の運転手は,下り勾配を運行する車両が擦れ違つて通過できる地点まで,自分の車両を後退させなければならない。

二,六,二,四二 運行中の車両の運転手及び乗客は,いかなる酒精飲料も飲んではならない。

二,六,二,四三 運行中又は停止中の車両からビ−ル罐,壜その他の物体を投げることを禁ずる。

二,六,二,四四 何人も本来貨物運搬用に指定された車両に,その運行中,立乗りし又は運転台若しくは貨物積載用場所以外の部分に乗車してはならない。但し,貨物を積載したトラツクの場合は,貨物取扱と必要な労務者は安全な方法で該積荷の上に座ることができる。本項の規定の違反者及び故意にかかる違反を許容する運転手は,犯罪者として刑事上の責任を負わされ得るものとする。

二,六,二,四五 旅客輸送専用に指定されたバス型自動車には乗客の立乗りを許可する。但し,運転手の左右の展望が常に自在に利くようにするため,運転手席と客席とを仕切る適当な手摺を設備し,なお,出入口に開閉口があれば,運行中はこれを閉めておくようにしなければならない。

二,六,二,四六 沖縄において使用される自転車は総て,各フエンダ−(泥除けカバ−)に直径一吋以上の赤い反射鏡面を取り附け,前后{前1文字ママとルビ}から接近して来る車両からはつきり見えるようにしなければならない。

二,六,二,四七,沖縄において使用される馬車は日没后{前1文字ママとルビ}は総て,その最后尾の部分に直径三吋以上の赤い反射鏡面を少くとも一個,后{前1文字ママとルビ}方に向けて取り附けなければならない。

二,六,二,四八 畜車及び蓄類の操縦車{前1文字ママとルビ}は,できるだけ主要道路をさけかゝる道路を使用するときは,道路をできるだけ右寄りに,通行しなければならない。

二,六,二,四九 自転車乗りはできるだけ公道の右端に近く通行し,停止中又は同方向に進行中の車両を通過する場合は,充分の注意を払うものとする。自転車乗りは,二人以上並んで通行し,又然るべき指定され且つ装備された座席の数を超えて他人を同乗させてはならない。自転車に常設された本式の座席以外の部分に跨り又は座つてはならない。自転車に乗つている者は公道において,該自転車又は自分の身体を運行中の車両に低触させ又は凭せ掛けてはならない。乗用当時の状況から判断して適切且つ妥当と思われる以上の速度で自転車を運転してはならない。小路,車道又は建物内から出て来る自転車乗りは,これらの小路,車道又は建物を横断する歩道若しくは歩道地帯に接近したときは,該歩道や歩道地帯に入ろうとする総ての歩行者に先行権を譲り,又自転車乗りが公道に入ろうとするときは,該公道を接近して来る総ての車両に先行権を譲らなければならない。自転車の駐車によつて車両又は歩行者の交通を妨害してはならない。

二,六,三 合衆国の所有に係る車両の運転手が,乗客又は貨物の運搬に対する報酬として,正当な許可なくして,金銭又は物品を請求し又はこれを受領した場合には,断罪の上,一万円以下の罰金若しくは一年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,六,四 贓{前1文字ママとルビ}品,猥褻文書,賭博用具,密貿易品,闇物資及びその他の不法物品を運搬するために,又は売淫を目的として婦女を輸送するために,合衆国若しくは合衆国軍隊要員の所有に係る車両を故意に使用する者は,断罪の上,二万円以下の罰金若しくは二年以下の懲役又はその両刑に処することができる。

二,六,五 酒類又は麻酔剤の使用により心身が影響を受けているときに車両を運転する者は,断罪の上,三万円以下の罰金若しくは三年以下の懲役又はその両刑に処することができる。