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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「東シナ海平和イニシアチブ」推進綱領

[場所] 台北
[年月日] 2012年8月21日
[出典] 台北駐日経済文化代表処
[備考] 
[全文]

 東シナ海情勢への懸念が次第に高まっていることに対し、「領有権は中華民国にあり、争議を棚上げ、平和・互恵、共同開発」の原則に基づき、馬英九総統は2012年8月5日に「東シナ海平和イニシアチブ」を提起し、関係各国に以下の呼びかけを行った。

関係各国が自制し、対立行動を引き上げない。争議を棚上げし、対話ルートを放棄しない。国際法を遵守し、平和的方法で争議を処理する。コンセンサスを求め、「東シナ海行動準則」を検討し定める。メカニズムを構築し、東シナ海の資源を共同で開発する。

 「東シナ海平和イニシアチブ」の効果と影響を深化させるため、この推進綱領を提起するものである。

一、推進のステップ

「東シナ海平和イニシアチブ」の推進は、2段階に分ける。説明は以下の通り:

 (一)平和の対話、互恵の協議

 この段階は、平和的な方法で東シナ海の争議を処理することを、より一層推進拡大し、1つのルートおよび二重のルートによる対話ルートの確立を推進し、関係各国が東シナ海の主要テーマについて、二国間あるいは多国間の協議メカニズムを促し、相互信頼と共同利益の強化を図る。

 (二)資源を分かち合い、共同で開発

 この段階は、各種の対話と協議の制度化を通して、関係各国による実質的な協力計画の推進を促し、共同で資源開発のメカニズムを構築し、東シナ海を範囲とする平和の協力網を形成する。

二、主要テーマ

 (一)漁業:二国間と多国間の漁業会談および、その他の漁業協力交流を開き、漁業協力と管理メカニズムを構築する。

 (二)鉱業:台湾北部海域における共同調査測量を推進し、協力して開発および管理するメカニズムを構築する。

 (三)海洋科学研究と海洋環境保護:多国間による東シナ海関連の海洋と生態研究計画を実行する。

 (四)海上の安全と非伝統的安全:二国間および多国間による法律執行機関の交流および海難救助の協力を推進し、海上安全および海上犯罪取締りの協力メカニズムを構築する。

 (五)東シナ海行動準則:1つのルートおよび二重ルートによる対話メカニズムの推進を図り、争議を平和的に解決するメカニズムを話し合う。相互信頼を強化し、関係各国による「東シナ海行動準則」の調印を促す。

三、推進目標

 中華民国政府は国際社会における「ピースメーカー」として、「東シナ海平和イニシアチブ」および推進綱領を提起し、関係各国が「対抗を話し合いへと変える」「臨時的な措置により紛争を棚上げする」方法を採り、地域の平和と安定を維持していくよう希望している。長期的には、現在ある「台湾と日本」「両岸(台湾と中国大陸)」「日本と中国大陸」3組の二国間対話をより一層進め、多国間協議へと邁進し、東シナ海の平和と協力を実行する。

【総統府 2012年9月7日】