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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日本・シンガポール訓練センター開所式における鈴木内閣総理大臣の挨拶

[場所] シンガポール
[年月日] 1981年1月13日
[出典] 鈴木演説集,181−182頁.
[備考] 
[全文]

 大臣閣下、御来席の皆様並びに訓練生諸君

 本日、ここに日本とシンガポールの間の友好・協力関係を象徴する日本・シンガポール訓練センターの開所式に出席できますことは、私の喜びとするところであります。

 本センターは、日本とシンガポールが協力して、シンガポール政府が推進する「新経済政策」に必要な熟練工の養成に当たることが目的であり、既に順調に訓練が開始されていると聞いております。

 シンガポールは、日本と同じく、人的資源以外にとりたてて言うべき資源がなく、このため、シンガポール政府は、一九六五年の独立以来、国造りの基礎となる人つくりに大きな努力を傾注してきておられると承知しております。日本政府は、かかる人つくり重視の政策に対し強い共感を覚えるものであり、従来から、シンガポールに日本人専門家を派遣し、また、シンガポール人研修員の日本国内における訓練を行う等、各種の技術協力を行ってまいりました。

 わが国は、今後とも、シンガポール政府の人つくり政策に積極的に協力していく所存であり、このようなわが国のシンガポールに対する協力の姿勢を示すものとして日本・シンガポール・ソフトウェア技術研修センター、国立シンガポール大学工学部の拡充計画等に対し協力を実施しております。

 私は、日本国内において、シンガポールから日本に訓練や勉強にこられる若人のかたがたが立派な実績をあげておられるとの話を耳にしておりましたが、本日、当センターにおいて、日本で耳にしたことが真実であることを示す訓練生諸君の研鑽ぶりを実際に目のあたりにし、貴国の将来は誠に希望に満ちたものであるとの感を一層深く致しました。

 私は、本日の訪問の機会に、当センターの訓練施設の一層の充実に協力するため、新たに八千万円相当の機材を供与したいと思います。

 当センターがシンガポールの発展のために貢献することを心から祈念して、私の挨拶を終わりたいと思います。