データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ジャカルタ市歓迎式典における鈴木内閣総理大臣の挨拶

[場所] ジャカルタ
[年月日] 1981年1月10日
[出典] 鈴木演説集,175頁.
[備考] 
[全文]

 チョクロプラノロ知事閣下、令夫人ならびに御臨席の皆様

 本日は、私と妻のためにかくも荘厳かつ温かい歓迎を戴き有難うございます。

 未だジャカルタを訪れる機会を持ったことのない日本人は、ジャカルタについては二つのイメージを抱いております。即ち、太陽の光がさんさんと降りそそぐ緑豊かな街のイメージと、急速に発展し高層ビルの建設のつち音が鳴り響く躍動的な街のイメージであります。本日、私が車中より見たジャカルタは、この二つのイメージが、市民の皆さんの努力によって、立派に調和のとれた美となっていることを教えてくれました。どのような街を造るかは、結局のところ、その街に住む人が決めるものであります。住民の心が健全で、街を愛する気持ちが強ければ、調和のとれた美しく快適な街造りが進展することでありましょう。

 私は、本日、有能なるチョクロプラノロ知事閣下の指導の下に、ジャカルタ市民が古い伝統と歴史を忘れず、活力あふれる街造りに励んでおられることを知ったのであります。今後とも更に一層の発展をお祈り致します。

 近年、日本・インドネシア両国関係の緊密化に伴い、多くの日本人がジャカルタに在住しております。

 私は、常日頃、これらの在留邦人が、インドネシア国民との友情を深め、良きジャカルタ市民として生活することを願っておりますが、この機会に、チョクロプラノロ知事閣下をはじめとするジャカルタ市民の方々の御指導を改めてお願い致します。

 最後に、知事閣下及び令夫人ならびに皆さまのご健康と首都ジャカルタの発展を祝して、私の挨拶を終わります。