データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] インドシナ難民の日本定住対策についての記事資料

[場所] 
[年月日] 1980年6月17日
[出典] 日本外交主要文書・年表(3),1145−1146頁.外務省公表集・昭和55年,208−9頁.
[備考] 
[全文]

 政府は、六月十七日(火)の閣議においてインドシナ難民の定住対策を更に推進するため、次の措置をとることを了解した。

一、定住枠の拡大

  従来五百人としていた定住枠を千人に拡大するとともに、引続き定住の促進に努める。

二、定住許可条件の緩和

  アジア諸国に一時滞在しているインドシナ難民の定住許可条件を次のように改める。

 イ、日本人の配偶者、親若しくは子又は日本人若しくは日本に適法に在留する外国人の親族で相互扶助が可能と認められるもの(養子を含む)。

 ロ、次のいずれかに該当する者であって、確実な呼寄せ人があるもの又は生活を営むに足りると認められる職に就くことが見込まれるものおよびその配偶者、親若しくは子又は同行するその他の親族で相互扶助が可能と認められるもの。

  (イ) かつて、在外日本国公館又は在外の日本企業等に相当期間雇用されたことのある者。

  (ロ) かつて、留学生、研修生として相当期間日本に適法に在留したことのある者。

  (ハ) かつて、日本人の個人的使用人として相当期間雇用されたことのある者。

  (ニ) かつて、日本政府若しくは日本政府機関の援助によって設立された技術研修機関等で日本人専門家から、又は青年海外協力隊員から、相当期間日本語、職業上の技術、柔道等を学んだ者。

  (ホ) 右記(イ)、(ハ)および(ニ)のほか、かつて日本人と共同して又は日本人の直接の指揮、指導の下に相当期間働いた者。

  (ヘ) その他、日本語の会話能力がある等、日本社会への適応力があると認められる者。

 ハ、長期にわたり保護者となるにふさわしい善意の者であると認められる里親のある者。

三、ベトナムからの家族呼び寄せ

  ベトナム在住のベトナム人であって、国際連合難民高等弁務官事務所とベトナム社会主義共和国との間の一九七九年五月三十日付了解覚書に基づき、家族との再会のため本邦に入国を希望するものについて、右記了解覚書に定める手続に従うことを条件に善良な社会人として生活を営むと認められる者であって、次のいずれかに該当する者については、その入国を許可することができるものとする。

 イ、日本人の配偶者、親又は子(養子を含む)

 ロ、日本に適法に在留する外国人の配偶者、親又は未婚の子(養子を含む)であって、相互扶助が可能と認められるもの。

 ハ、右記イ又はロに随伴する親族で、その家族構成等からみて、人道上特に入国を認めることが相当と認められるもの(相互扶助可能な場合に限る)。