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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 福田総理大臣のマレイシア訪問に際してのプレス・リリース

[場所] クアラルンプール
[年月日] 1977年8月10日
[出典] 外交青書22号,366−367頁.
[備考] 仮訳,抜粋
[全文]

1.福田赳夫日本国総理大臣は,1977年8月6日,7日の両日,クアラ・ルンプールにおいて行われたASEAN首脳との会談に臨んだ後,引続きフセイン・オン・マレイシア首相閣下の招待により,夫人とともに1977年8月9日及び10日マレイシアを公式訪問した。福田総理大臣夫妻には鳩山威一郎外務大臣,園田直内閣官房長官,田中龍夫通商産業大臣の他政府の高官が随行した。

2.福田総理大臣夫妻は,8月10日マレイシア国王・王妃両陛下に拝謁を賜つた。

3.福田総理大臣は,同日フセイン・オン首相と会談し,両国が共通の関心を有する国際的,地域的な幅広い諸問題及び二国間に存在する諸問題について意見交換を行つた。この首脳会談には日本側より鳩山外務大臣,園田官房長官,田中通商産業大臣,マレイシア側よりアハマド・リタウディン外務大臣,ハムザ・アブ・サマ貿易・産業大臣,ムサ・ヒタム第一次産業大臣,ラザレイ・ハムザ大蔵大臣,チョン・ホン・ニヤン総理府無任所大臣,モハール首相特別経済顧問が出席した。

4.福田総理大臣は,今回の訪問によつて,日本とマレイシアとの間に存在する友誼と相互信頼との関係を改めて確認し得たことを喜ぶとともに,このような両国間の友好関係を更に揺ぎないものとするために,日本国政府が,マレイシア政府と政治,経済,文化等あらゆる分野にわたつて一層緊密な協力を行つてゆく用意があることを明らかにした。

5.福田総理大臣は,フセイン・オン首相より第3次マレイシア計画の概要と同計画の進捗振りにつき説明を受けた。総理大臣は,マレイシアの開発努力を高く評価するとともに,日本としてもマレイシアの進歩と繁栄のために引き続き協力を行う用意があることを明らかにした。

6.総理大臣は,今後とも,日本からマレイシアに対する民間直接投資が,マレイシアの経済・社会の発展に見合つた形で,促進されることを期待した。

7.総理大臣は,近年,日本とマレイシアとの貿易が増大し,特に昨年マレイシアから日本への輸出が著しい伸びを示したことを歓迎するとともに,今後とも両国間の健全な貿易関係が拡大してゆくことを望んだ。

8.福田総理大臣は,日本とマレイシア両国経済人の間の恒常的な意志疎通の場として日・マ経済委員会が8月3日設立の運びとなつたことを高く評価するとともに,同委員会を通じ,今後両国経済界の関係が一層緊密なものになることを希望した。

9.福田総理大臣は,近年のように日本とマレイシアとの経済関係が緊密になればなるほど,両国関係を更に幅広い基盤の上に築くためのあらゆるレベルでの両国国民間の交流が愈々重要になつてきているという認識の下に,日本国政府としては,今後ともマレイシア政府との協力により,人的,文化的交流を促進するとともに,民間における友好親善のための努力を支援することを明らかにした。

10.福田総理大臣は,フセイン・オン首相に対し,夫人とともに来る9月後半に日本を公式に訪問するようにとの招待を行い,フセイン首相は,この招待を喜んで受諾する旨述べた。