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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] マラッカ海峡沿岸3カ国外相会議のプレス・ステートメント

[場所] 仮訳
[年月日] 1975年2月19日
[出典] 日本外交主要文書・年表(3),754‐755頁.月刊国際問題資料,1975.3,15‐6頁.
[備考] 
[全文]

1、マラッカ・シンガポール海峡における航行の安全およびオイルによる汚染防止につき協議ならびに協力するとの沿岸3ヵ国の間の合意にもとづき、インドネシア共和国、マレーシアおよびシンガポール共和国の外務大臣は、1975年2月19日シンガポールで会合した。インドネシア共和国外務大臣アダム・マリク閣下、マレーシア情報大臣兼外交担当特務大臣トウンク・アハマド・リタウディン・ビン・トゥンク・イスマイル閣下ならびにシンガポール共和国外務大臣S・ラジャラトナム閣下がこの会議に出席した。

 沿岸3ヵ国の官吏はこの外務大臣会議の準備のため2月17〜18日に会合した。

2、会議は航行安全対策に関する諸事項を詳細に討議し、これとの関連で沿岸国の諸利益を保護する必要性を強調した。

3、この関連において、3ヵ国大臣はマラッカ・シンガポール海峡における航行分離計画が設定さるべきことならびにこの方向で速やかに措置が講ぜられるべきことにつき合意した。

 これら海峡における航行の安全性を高めることの必要性ならびに国際海運界の利益は考慮されるであろう。

4、超大型原油運搬タンカー(VLCC)に対してはある種の制限が課されるべきこと、ならびにかかる制限についての研究は技術専門家グループによって行なわれることが合意された。

 同海峡における航行の安全性を強化するため精密な(sophisticated)航行支援およびその他の措置の必要性についても考慮された。

5、(各種)油による汚染事故に際しての補償問題もまた討議された。3ヵ国大臣はオイル・タンカーによって惹起された損害に対する現行の保険制度は不十分であり、妥当な損害賠償を確保するための措置が講ぜられるべきであるとの見解を表明した。

6、3ヵ国大臣は、その油が3ヵ国の海域に流出した結果、損害をもたらした日本の原油運搬タンカー祥和丸の最近の座礁事故について討議した。3ヵ国大臣はこの海洋環境は3ヵ国にとり重要であることにかんがみ、この事故の結果生じた費用と損害に対し迅速、公正かつ妥当な補償が行なわれるべきであることを強調した。

7、3ヵ国大臣はマラッカ・シンガポール海峡における緊急な航行安全対策の必要性を裏付ける同事故につき深い懸念を表明した。

8、3ヵ国大臣はオイルによる汚染を規制するため3ヵ国間における協議、調整、協力の必要性を認識し、マラッカ・シンガポール海峡における各種油による汚染を防止し、防御するための各国の緊急事故防止対策を調整することを合意した。

9、3ヵ国大臣はこれらの分野における3ヵ国間の努力の調整および協力を行なうために、マラッカ・シンガポール海峡における航行安全ならびに海洋汚染規則に関する閣僚級の協議会を設立することに合意した。