データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ビルマ賠償終了についての外務省情文局発表

[場所] 
[年月日] 1965年4月16日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),565−566頁.
[備考] 
[全文]

一、ビルマに対する賠償は、昭和三十{前1文字ママとルビ}年に締結された日本とビルマ連邦との賠償協定に基づき、昭和三十年四月十六日から実施されてきたが、四月十五日に十年間の供与期間を終了し、総額七百二十億円の供与が完了した。協定の実施が成功裡に完了したことについてティー・ハン(Thi Han)ビルマ外相は四月十五日、椎名外相に対し感謝のメッセージをよせてきたので、椎名外相は四月十六日ティー・ハン外相にあて協定の実施にあたつてのビルマ官民の協力に感謝する旨のメッセージを送つた。

二、賠償協定の支払い予定額は、十年間に年平均七十二億円となつていたが、実際の賠償年度別支払い額は次のとおりであつた。

 第一年度(昭三〇・四・一六−昭三一・三・三一) 二億三、二二五万円

 第二年度(昭三一・四・一−昭三二・九・三〇) 一一億九、五九四万円

 第三年度(昭三二・一〇・一−昭三三・九・三〇) 一一五億二、七〇一万円

 第四年度(昭三三・一〇・一−昭三四・九・三〇)  七一億四、九五三万円

 第五年度(昭三四・一〇・一−昭三五・九・三〇)  七七億三、三二〇万円

 第六年度(昭三五・一〇・一−昭三六・九・三〇)  五三億二、五四一万円

 第七年度(昭三六・一〇・一−昭三七・九・三〇)  六七億九、五六五万円

 第八年度(昭三七・一〇・一−昭三九・三・三一) 一三九億五、〇五一万円

 第九年度(昭三九・四・一−昭四〇・四・一五)   七六億九、〇五〇万円

   計 七二〇億円

三、賠償資金で供与されたプロジェクトの最大のものはバルーチャン水力発電所で、昭和三十五年三月に第一期工事を終え、現在八万四千キロワットの出力で稼動している。このほか、トラック・バス、家庭用電気器具およびポンプ・耕うん機等の組み立て工場が建設され、また各種の資材が供与されたが、その主なものの所要経費は次のとおりである。

 バルーチャン水力発電所 一〇三億八、九〇〇万円

 トラック・バス組立工場 五八億二、八〇〇万円

 電気器具組立工場 三〇億九、六〇〇万円

 ポンプ・耕うん機組立工場 一五億八、九〇〇万円

 その他のプラント類(米糠、油工場、織物工場、缶詰工場、砂糖工場その他) 一四億〇、〇〇〇万円

 機械類および運搬用機器 三〇六億八、二〇〇万円

 鋼材・陶磁器・繊維製品 一三五億九、五〇〇万円

 肥料等化学製品      一〇億一、八〇〇万円

 魚缶詰           七億〇、〇〇〇万円

なお、調達されたこれらの資材の中にはビルマ鉄道復旧にあてられたものが相当の額に上つている。