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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日比賠償協定,日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定及び同協定の実施に関する細目に関する交換公文についての合意議事録.

[場所] マニラ
[年月日] 1956年5月9日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),750頁.条約集,33−33.
[備考] 
[全文]

 日本国全権委員及びフィリピン共和国全権委員は、本日署名された日本国とフィリピン共和国との間の賠償協定に関する交渉において到達した次の了解を記録する。

1 同協定第三条に関し、

 同条1及び2にいう「両政府が合意するもの」又は「両政府間の合意により」とは、第四条1に定める実施計画を協議により決定することをいう。

2 同協定第四条2に関し、

 両政府は、第二年度及びその後の各年度の実施計画を、当該年度が始まる少くとも六十日前に決定するように努力するものとする。このため、フィリピン共和国政府は、当該年度が始まる少くとも百二十日前に同政府の実施計画案を日本国政府に送付するものとする。

3 同協定第五条2に関し、

(a)同項(b)にいう取極とは、賠償契約が認証された時に存在している取極をいう。取極は、その締結前に正当に認証された賠償契約についてそ及して適用されることはないものとする。

(b)使節団は、少くとも三通の契約書案を日本国政府に認証のため提出するものとする。

(c)日本国政府による認証は、原則として十四日以内に行われるものとする。

4 同協定第五条3に関し、

 両政府は、正当に下されたすべての仲裁判断を最終的なものとし、かつ、執行することができるようにするため必要な措置を執るものとする。

5 同協定第九条2、3及び4に関し、

 同協定に基く役務又は生産物の供与に関連してフィリピンにおいて必要とされる日本国民は、日本人技術者及び専門家のみとする。

6 同協定第九条4に関し、

 同項にいう日本国の法人は、フィリピンにおいて賠償計画の実施に当る日本国の法人又は賠償契約に基いて役務を供与する日本国の法人とする。

7 同協定の実施に関する細目に関する交換公文II支払の4に関し、

 「両政府間の合意により」とは、使節団の経費並びにフィリピン人技術者及び職人の訓練に関する経費については、それらの経費の具体的な細目に関する両政府間の所要の取極の作成によることをいう。

千九百五十六年五月九日にマニラで

高碕達之助

フェリノ・ネリ