データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 海洋基本計画(第4期)

[場所] 
[年月日] 2023年4月28日
[出典] 内閣府
[備考] 閣議決定
[全文] 

目次

はじめに・・・1

第1部 海洋政策のあり方・・・3

1.海洋基本法上の基本理念に基づく我が国の取組状況及び海洋を巡る最近の情勢・・・3

(1)総合的な海洋の安全保障・・・3

(2)海洋の産業利用の促進・・・6

(3)海洋環境の維持・保全・・・7

(4)科学的知見の充実・・・7

(5)北極政策の推進・・・8

(6)国際協力・国際連携・・・9

(7)海洋人材の育成と国民の理解の増進・・・9

2.本計画の策定及び実施に関し十分に認識すべき事項・・・10

3.海洋に関する施策についての基本的な方針・・・12

3-1.「総合的な海洋の安全保障」の基本的な方針 ・・・14

(1)海洋の安全保障・・・14

(2)海洋の安全保障の強化に貢献する施策・・・17

3-2.「持続可能な海洋の構築」の基本的な方針 ・・・21

(1)カーボンニュートラルへの貢献・・・21

(2)海洋環境の保全・再生・維持・・・22

(3)水産資源の適切な管理・・・24

(4)取組の根拠となる知見の充実・活用・・・24

3-3.着実に推進すべき主要施策の基本的な方針・・・27

(1)海洋の産業利用の促進・・・27

(2)科学的知見の充実・・・28

(3)海洋における DX の推進・・・29

(4)北極政策の推進・・・30

(5)国際連携・国際協力・・・31

(6)海洋人材の育成・確保と国民の理解の増進・・・32

(7)新型コロナウイルス等の感染症対策・・・34

第2部 海洋に関する施策に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策・・・35

1.海洋の安全保障・・・35

(1)我が国の領海等における国益の確保・・・35

(2)国際的な海洋秩序の維持・発展・・・38

(3)海上交通における安全・安心の確保・・・41

(4)海域で発生する自然災害への防災・減災・・・43

2.海洋状況把握(MDA)の能力強化・・・45

(1)情報収集体制・・・45

(2)情報の集約・共有体制・・・45

(3)国際連携・国際協力・・・46

3.離島の保全等及び排他的経済水域等の開発等の推進・・・47

(1)離島の保全等・・・47

(2)排他的経済水域等の開発等の推進・・・49

4.海洋環境の保全・再生・維持・・・51

(1)海洋環境の保全等・・・51

(2)沿岸域の総合的管理・・・56

5.海洋の産業利用の促進・・・59

(1)海洋資源の開発及び利用の促進・・・59

(2)カーボンニュートラルへの貢献を通じた国際競争力の強化等・・・61

(3)海上輸送の確保・・・65

(4)水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化・・・67

6.海洋調査及び海洋科学技術に関する研究開発の推進等・・・70

(1)海洋調査の推進・・・70

(2)海洋科学技術に関する研究開発の推進等・・・72

7.北極政策の推進・・・77

(1)研究開発・・・77

(2)国際協力・・・78

(3)持続的な利用・・・79

8.国際的な連携の確保及び国際協力の推進・・・81

(1)海洋の秩序形成・発展・・・81

(2)海洋に関する国際的連携・・・81

(3)海洋に関する国際協力・・・83

9.海洋人材の育成と国民の理解の増進・・・85

(1)海洋立国を支える専門人材の育成と確保・・・85

(2)子どもや若者に対する海洋に関する教育の推進・・・87

(3)海洋に関する国民の理解の増進・・・88

第3部 海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項・・・90

1.海洋政策を推進するためのガバナンス・・・90

(1)総合海洋政策本部の機能強化・・・90

(2)総合海洋政策推進事務局の機能・体制の強化・・・90

(3)参与会議の機能の充実・・・91

(4)各施策の工程管理と主要な海洋政策の推進状況の多角的な評価を通じた重点的に取り組む施策の明確化・・・91

2.関係者の責務及び相互の連携・・・92

3.施策に関する情報の積極的な公表・・・92


はじめに

 四面を海に囲まれ、世界第6位の広大な管轄海域を有する我が国にとり、国土の保全と国民の安全を確保すべく海を守っていくこと、経済社会の存立・成長の基盤として海を活かしていくこと、貴重な人類の存続基盤として海を次世代に継承していくこと等が強く求められている。

 このため、平成19年に新たな海洋立国日本の実現を目指して制定された「海洋基本法」(平成19年法律第33号)に基づき、内閣総理大臣を本部長とする総合海洋政策本部を設置し、同本部の事務局機能を担うため、内閣官房に総合海洋政策本部事務局(現内閣府総合海洋政策推進事務局)を設置し、あわせて、有識者からなる参与会議を置いた。

 また、海洋基本法に基づき、海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、これまで、平成20年3月に第1期海洋基本計画、平成25年4月に第2期海洋基本計画、平成30年5月に第3期海洋基本計画(以下「第3期計画」という。)をそれぞれ閣議決定し、海洋に関する諸施策を推進してきた。

 第3期計画策定から5年が経過した今日の海洋政策を巡る状況を俯瞰すると、まず、我が国周辺海域を取り巻く情勢はより一層厳しさを増しており、我が国の海洋に関する国益はこれまでになく深刻な脅威・リスクにさらされている。また、世界全体の経済構造や競争環境に大きな影響を与える変化が生じている。

 こうした状況に対応するため、我が国は今まさに、産学官の英知を結集して、海洋政策の大きな変革・オーシャントランスフォーメーション・OX(Ocean Transformation)を推進すべき時であり、2021年より開始された「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年(以下「国連海洋科学の10年」という。)」も梃子に、海洋の安全保障の強化、海洋資源開発等新たな産業の育成や既存産業の更なる発展、環境関連技術開発、持続可能な開発目標(SDGs)に係る国際的な取組に向けた積極的な貢献等により実現していく必要がある。

 第4期海洋基本計画(以下「本計画」という。)第1部においては、海洋政策のあり方として、海洋基本法上の基本理念に基づく我が国の取組状況及び海洋を巡る最近の情勢を踏まえ、本計画の策定及び実施に関し十分に認識すべき事項を掲げ、その上で、本計画の主柱ともいうべき「総合的な海洋の安全保障」及び「持続可能な海洋の構築」並びに海洋の主要施策について基本的な方針を定める。

 また、第2部においては、海洋基本法第3章に規定する総合的・計画的な推進を図るべき基本的施策の範囲を網羅しつつ、今後おおむね5年間に、集中的に実施すべき施策、関係機関の緊密な連携の下で実施すべき施策等を具体的に定める。

 さらに、第3部においては、海洋政策を推進するためのガバナンスとして、総合海洋政策本部の機能強化、総合海洋政策推進事務局の機能・体制の強化、参与会議の機能の充実、各施策の工程管理と主要な海洋政策の推進状況の多角的な評価を通じた重点的に取り組む施策の明確化について定めるとともに、関係者の責務、相互の連携及び情報の積極的な公表など、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を定める。


第1部 海洋政策のあり方

1.海洋基本法上の基本理念に基づく我が国の取組状況及び海洋を巡る最近の情勢

 海洋基本法は、その目的を、国際的な協調の下に新たな海洋立国を実現することの重要性に鑑み、我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上を図るとともに、海洋と人類の共生に貢献することと定めている(第1条)。

 その上で、6つの基本理念(「海洋の開発及び利用と海洋環境の保全との調和」、「海洋の安全の確保」、「海洋に関する科学的知見の充実」、「海洋産業の健全な発展」、「海洋の総合的管理」、「海洋に関する国際的協調」)に則し、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施することを定めている(第2条から第7条まで)。

 これら6つの基本理念を前提・根幹としつつ、第3期計画では、その第1部2「海洋に関する施策についての基本的な方針」において、主柱となる「総合的な海洋の安全保障」*1*及びその他の主要施策として6項目について基本的な方針を掲げた。以下、第3期計画期間における施策の取組状況と海洋を巡る最近の情勢を概観する。


(1)総合的な海洋の安全保障

ア 海洋の安全保障

(我が国の領海等における国益の確保)

 防衛省・自衛隊では、戦後最も厳しく複雑な我が国周辺海空域の安全保障環境に対応して防衛力の抜本的強化を図っている。海上保安庁では、「海上保安体制強化に関する方針」(平成28年12月21日海上保安体制強化に関する関係閣僚会議決定)に沿って海上保安体制の強化を行い、令和4年12月からは、「海上保安能力強化に関する方針」(令和4年12月16日海上保安能力強化に関する関係閣僚会議決定)に沿って海上保安能力の強化を進めている。また、水産庁では、我が国の排他的経済水域内における外国漁船等による違法操業に対して、漁業取締体制を強化している。さらに、中国・ロシアによる示威活動を含めた諸課題に対して、自衛隊や海上保安庁等の関係省庁間で連携して対応している。

 しかしながら、我が国の領海等における国益はこれまでになく深刻な脅威・リスクにさらされている。具体的には、中国海警局に所属する船舶(以下「中国海警船」という。) による領海侵入、我が国への示威活動を意図したとみられる中露艦艇の連携した航行、大和堆等における外国漁船等による違法操業のほか、外国調査船による我が国の排他的経済水域内での我が国の同意を得ていない海洋調査活動等が頻発している。また、北朝鮮による弾道ミサイル等の度重なる発射を含んだ一連の行動により、我が国、地域及び国際社会の平和と安全が脅かされている。

 自然災害に関しては、この数年間でも、平成30年台風21号や令和元年東日本台風、令和元年の山形県沖地震や令和3年2月及び令和4年3月の福島県沖地震、令和3年の福徳岡ノ場火山の噴火及び軽石の大量漂着や令和4年のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火及びそれに伴う潮位変化等の災害が発生した。こうした台風・高潮並びに地震・火山噴火 及びそれらに伴う津波を始めとする自然災害に対応するため、継続的な観測の実施、省庁横断的な連絡体制の整備や被害の防止・軽減を図る対策を着実に推進している。一方で、激甚化・頻発化または切迫する各種災害のリスクは引き続き存在している。

 また、近年、国内外において、荒天時の重大事故や新型コロナウイルス感染症の蔓延等海上の安全・安心を揺るがす事態が発生している。平成30年台風21号により関西国際空港の連絡橋に貨物船が衝突する重大事故が発生した。また、令和4年4月に北海道知床半島沖において、小型旅客船が沈没し、乗員・乗客計26名が死亡・行方不明となる、我が国では近年類をみない重大事故が発生した。これらの重大事故を踏まえ、関係省庁は、再発防止を含めた安全対策を検討している。また、新型コロナウイルス感染症に関しては、不測の事態に備える取組を進めている。このように、海上の安全・安心に係る事項についても、第3期計画閣議決定後、新たに取り組むべき課題として顕在化した。

(我が国の重要なシーレーンの安定的利用の確保)

 我が国は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向け、シーレーン沿岸国等との信頼・協力関係の構築のため、シーレーン沿岸国等に対する能力構築支援や、国際機関への要員派遣等のほか、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動等の国際協力活動への参加、平素の交流等により一層取り組んでいる。また、力による一方的な現状変更やその試みに対しては、同盟国・同志国等と連携し、毅然と対応している。

 一方で、シーレーンの安定的利用に関して、脅威・リスクが顕在化している。例えば、中国による東シナ海での力による一方的な現状変更の試みや南シナ海での力を背景とした一方的な現状変更及びその既成事実化、社会環境等に起因する海賊及び海上武装強盗、テロ組織その他の国際的犯罪組織による不法行為、地域紛争等に起因する我が国関係船舶等の円滑かつ安全な運航への影響等が挙げられる。また、国際社会のパワーバランスの変化が加速化・複雑化し、特にインド太平洋地域においては、中国の軍事力増強等により、軍事バランスが急速に変化している。このように、安全保障上の課題が広範化・多様化し、一国のみでの対応は困難といえる。

(海洋利用の自由の確保のための国際的な海洋秩序の強化)

 我が国は、法とルールが支配する海洋秩序を形成・強化し、もって我が国にとって安定的な海洋利用の自由が確保できる海洋の安全保障の環境を維持すべく、同盟国・同志国等と連携しつつ、外交努力や人的貢献等能動的な行動をとり、国際的な枠組みを活用した関係国・機関との連携に積極的に取り組んでいる。

 一方で、国際関係において対立と協力の様相が複雑に絡み合う時代において、グローバルなパワーの重心が、我が国が位置するインド太平洋地域に移る形で、国際社会は急速に変化し続けている。加えて、普遍的価値やそれに基づく政治・経済体制を共有しない国家が勢力を拡大し、国際社会におけるリスクが顕在化しており、国際法上の根拠が必ずしも明らかではない海洋権益等に関する主張が展開される等、秩序を動揺させかねない動きがみられる。

イ 海洋の安全保障に貢献する施策*2*

(海洋状況把握(MDA*3*)体制の確立)

 これまで第3期計画を踏まえた政府の取組方針を策定し、海洋由来の脅威・リスクのいち早い察知を含む海洋監視能力の向上等の情報収集体制の強化、海洋状況表示システム「海しる」*4*の運用開始等の情報の集約・共有体制の強化及び外国MDA関係機関との協力等の国際連携・協力の強化に取り組んでいる。

 海洋状況表示システム「海しる」関連では、API*5*の活用やデータ標準化等官民のデータ連携を推進するとともに、海洋由来の自然災害に対応するための海洋調査を継続的に実施している。

(領海及び排他的経済水域等の外縁を根拠付ける国境離島の保全・管理)

 排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律(平成22年法律第41号。以下「低潮線保全法」という。)等に基づき、全国185箇所の低潮線保全区域における状況調査、南鳥島及び沖ノ鳥島における特定離島港湾施設の整備・管理、沖ノ鳥島における海岸保全施設の維持・整備等を継続的に実施している。

 有人国境離島地域については、我が国の領海・排他的経済水域等に関する活動の拠点としてその保全等に寄与するものである。そのため、有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法(平成28年法律第33号。以下「有人国境離島法」という。)に基づき、平成29年4月に内閣総理大臣により決定された有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する基本的な方針に基づき、特定有人国境離島地域の地域社会の維持を支援するための交付金制度を同年より運用している。

 令和3年6月に、重要施設の周辺や国境離島等において区域指定を行い、当該区域内の土地等についての利用状況の調査や利用規制等の措置を講じる旨を定めた重要施設周辺

 及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号。以下「重要土地等調査法」という。)が成立し、令和4年9月に全面施行された。

 低潮線とともに国境離島の保全及び活動拠点機能の強化等は、我が国の広大な排他的経済水域等における海洋資源の利用等の利益をもたらすこととなり、それは同時に、我が国の領域を保全することにもなるため、重要である。

(経済安全保障)

 安全保障と経済を横断する領域で様々な課題が顕在化する中、自律性の確保と優位性ひいては不可欠性の獲得に向けて、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和4年法律第43号。以下「経済安全保障推進法」という。)が施行された(令和4年8月以降、段階的に施行)。

 また、令和3年度に、我が国が国際社会において中長期的に確固たる地位を確保し続ける上で不可欠な要素となる先端的な重要技術について、科学技術の多義性を踏まえ、民生利用のみならず公的利用につながる研究開発及びその成果の活用を推進する「経済安全保障重要技術育成プログラム」が創設された。

これらに象徴されるように、経済安全保障に係る施策を総合的・包括的に進める必要が高まっている。


(2)海洋の産業利用の促進

 カーボンニュートラルの実現に向けた動き、デジタル化やデータ活用の急速な進展等、世界全体の経済構造や競争環境に大きな影響を与える変化が生じている。

 洋上風力発電については、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(平成30年法律第89号。以下「再エネ海域利用法」という。)(平成31年4月施行)に基づき、促進区域の指定、事業者の選定等、導入促進に向けた取組を進めている。

 造船・海運・港湾分野においては、海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律(令和3年法律第43号。以下「海事産業強化法」という。)(令和3年8月施行)に基づく造船・舶用・海運事業者等に対する新たな計画認定制度を開始したほか、ゼロエミッション船の商業運航に向けた取組、自動運航船の実用化に向けた取組等を進めている。また、世界で初めて液化水素運搬船が建造された。さらに、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や、水素等の受入環境の整備等を図るカーボンニュートラルポート(CNP) の形成に向けた取組を進めている。

 海洋資源の開発については、鉱業法を改正(令和4年法律第46号)し、適用鉱物としてレアアース(レアアース泥を含む。)を追加したほか、レアアース泥の概略賦存量の評価や解泥・揚泥試験を行った。また、コバルトリッチクラストの掘削性能試験に世界で初めて成功したほか、新たな海底熱水鉱床の発見、砂層型メタンハイドレートの有望濃集帯の調査や長期陸上産出試験に係る生産システムの設計・構築等の実施、表層型メタンハイドレートの生産技術について有望技術を特定し研究開発を実施している。

 このほか、大規模CCS(Carbon dioxide Capture and Storage : CO2の回収・貯留)実証試験で30万tのCO2圧入を達成しているほか、漁業法等の改正(平成30年法律第95号)(令和2年12月施行)による新たな水産資源の管理システムの構築を進めている。

 このように、海洋分野においても、新たな産業の育成や既存産業の更なる発展、CO2排出削減のための環境関連技術開発等への期待がより一層高まっている。

 また、安全保障の裾野が経済・技術分野へ急速に拡大しているほか、ロシアによるウクライナ侵略等もあり、顕在化したサプライチェーン上の脆弱性への対応、資源・食料・エネルギーの安定供給の確保、海洋産業における生産基盤の強靭化等、我が国の自律性の確保・優位性の獲得がより一層求められている。


(3)海洋環境の維持・保全

 国際的な動向等を踏まえ、国内では、「生物多様性国家戦略2012-2020」(平成24年9月閣議決定)、「気候変動適応計画」(令和3年10月閣議決定)等に基づく施策を実施している。また、海洋環境の保全に関する様々な取組(サンゴ礁の保全や瀬戸内海等での里海づくり活動の推進、海洋保護区の設置及びプラスチック資源循環戦略の策定等)を行っている。

 地球規模課題に対する海洋環境の保全や人間の安全保障に対する関心が高まる中、様々な国際枠組み(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定*6*」や生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された「愛知目標*7*」、人間中心の普遍的な開発目標としての「持続可能な開発目標(SDGs)」等)の下で、気候変動への対応や海洋ごみ対策等に各国が取り組んでいる。


(4)科学的知見の充実

ア 海洋科学技術・イノベーションの重要性

令和2年6月に改正された科学技術・イノベーション基本法(平成7年法律第130号)に基づき、令和3年3月に第6期科学技術・イノベーション基本計画を閣議決定した。同計画では、海洋観測を海洋科学技術の最重要基盤として捉え、海洋分野におけるデータ駆動型研究を推進することを通じて人類全体の財産である海洋の価値創出を目指すこと、及び産学官連携を強力に推進して海洋分野のイノベーションの創出を目指すこととした。このように、海洋に関する様々な観測や研究開発、必要となる基盤技術の開発等、海洋科学技術・イノベーションの推進が益々重要となっている。

イ 海洋調査・観測に基づく科学的知見の充実

 これまで多様な目的の海洋調査・観測として、海底地形、海底地質等の調査や気候変動・海洋環境の変化の把握のための海潮流の観測及び汚染物質の調査、沿岸や外洋あるいは深海に至る海洋環境の変化に対応する海洋生態系の多様性変化や挙動の現状把握に関する調査等を着実に実施している。また、海洋調査・観測データの共有及び利活用を推進した。

 海洋調査・観測は、海域の総合管理や管轄海域の境界画定、気候変動等の海洋における諸課題への政策決定を行う上で引き続き重要である。

ウ 海洋科学技術に関する研究開発の推進

 気候変動や海洋エネルギー・鉱物資源開発、海洋由来の自然災害等への対応に資する研究開発を推進している。また、海洋科学技術の共通基盤を充実、強化するとともに、中長期的視点に立ち、基礎研究の推進や人材育成も行っている。


(5)北極政策の推進

 我が国は、「我が国の北極政策」(平成27年10月総合海洋政策本部決定)に基づき、研究開発、国際協力、持続的な利用の3つの分野を中心に取組を進めてきている。特に、観測データの空白域である北極域の観測・研究の推進を通じた地球規模課題の解決等を通じて、我が国の国際プレゼンスの向上を図っている。また、北極海航路の更なる利用を推進するため、「北極海航路に係る産学官連携協議会」を定期的に開催し、民間事業者、研究機関、関係省庁等の意見・情報交換を実施してきている。

 令和3年度から日本で初めてとなる北極域研究船の建造に着手した。同年5月には、アイスランドとともにアジアで初めて日本で「第3回北極科学大臣会合」を開催し、国際協力のために必要な行動を具体化した共同声明を取りまとめた。

 北極環境の急速な変化という地球規模課題への対応や、また、その一方で、急激な海氷の減少に伴う北極海航路の利活用や資源開発等の可能性に対し、北極圏国のみならず非北極圏国でも関心が高まっている。

 他方、ロシアによるウクライナ侵略の影響で、北極評議会を始めとする一部の北極関連活動が休止する等、北極を取り巻く情勢は先行きが不透明な状況となっている。


(6)国際協力・国際連携

 幅広い海洋政策に関する課題に取り組むに当たり、国際協調を旨とする我が国は、あらゆる機会を活用し、国際ルールに則して対処し、新たな枠組みやルール等の形成における「法の支配」の確立を主導している。海洋分野においても、「海における法の支配」と「科学的知見に基づく政策の実施」を国際社会の普遍的な基準として浸透させるため、能力構築支援や国際協力活動への参加その他の平素の交流を継続することを通じて、法執行能力、海洋観測、生物多様性の保全等、様々な分野において各国との信頼関係や協力関係を構築している。

 具体的には、違法・無報告・無規制(IUU)漁業*8*への取組においては、地域漁業管理機関、アジア太平洋経済協力(APEC)及び国連食糧農業機関(FAO)等、二国間のみならず、地域間、及び多国間の枠組も活用し、基本的な価値観と我が国の経験の共有を推進している。

 また、国連海洋法条約を中心とした国際ルールを適切に実施するため、国際連合等における海洋に関する議論に積極的に対応するとともに、海洋科学調査、海上安全対策、海洋プラスチックごみ対策、深海底鉱物資源開発等の分野で、ユネスコ政府間海洋学委員会(UNESCO/IOC)、国際海事機関(IMO)、国連環境計画(UNEP)、国際海底機構(ISA*9*)等における海洋に関する国際ルールの策定や国際協力・国際連携に主体的に参画している。


(7)海洋人材の育成と国民の理解の増進

 平成29年3月に公示された小・中学校学習指導要領に基づき、令和2年度からは小学校で、令和3年度からは中学校で、海洋に関する内容の充実が図られた授業がそれぞれ開始された。さらに、平成30年3月に公示された高等学校学習指導要領に基づき、高等学校でも令和4年度から順次授業が開始された。

 このほか、海洋に関する国民の理解と関心を喚起するため、「海の日」や「海の月間」等の機会を通じた理解増進の取組を実施している。

 海洋人材の確保・育成を取り巻く環境として、人口減少・少子高齢化やグローバル化等が大きな影響を与えている。また、昨今、海水浴、海洋レジャーを含め、国民が海を訪れる機会が減少する等、いわゆる「国民の海離れ」の傾向がみられる。


2.本計画の策定及び実施に関し十分に認識すべき事項

 本計画の策定及びその実施に当たっては、海洋基本法に定める前述の6つの基本理念を引き続き踏襲し、広範で長期的な視点に立った海洋政策を進めていく。

 この際、1.で述べた海洋政策の実施状況とその評価を踏まえ、また、最近の情勢の変化を勘案し、さらに、将来に向けて、世界及び我が国周辺の海洋の状況、海洋に関わる産業、技術、人材等の状況がどのように推移していくか等も見据え、以下に掲げる4つの事項をいずれも海洋政策上の喫緊の課題として十分に認識する必要がある。

ア 我が国周辺海域を巡る情勢への対応

 国際関係において対立と協力の様相が複雑に絡み合う時代において、我が国自身の能力と役割を強化し、同盟国である米国や同志国等と共に、我が国及びその周辺における有事、一方的な現状変更の試み等の発生を抑止するとともに、国際社会の主要なアクターとして、同盟国・同志国等と連携し、国際関係における新たな均衡を、特にインド太平洋地域において実現し、安定的で予見可能性が高く、法の支配に基づく「開かれ安定した海洋」を強化する必要がある。このため、関係機関が連携し、防衛力や海上法執行能力等の向上に取り組み、ハード面及びソフト面から、まず我が国自身の努力によって、抑止力・対処力を不断に強化することが必要である。

イ 気候変動や自然災害への対応

 地球温暖化等の気候変動に伴う地球規模の環境変動、これらに伴い激甚化・頻発化が懸念される気象災害、切迫する巨大地震等、不可逆的な地球環境悪化の懸念や生命・身体・財産への自然災害の脅威が増大している。こうした中で、海洋分野においても科学的知見に基づき、事象の予測及び防災・減災の機能の強化並びに脱炭素社会の実現に向けた取組を推進し、国民の安全・安心に貢献することが重要である。

ウ 国際競争力の強化

 世界規模で社会経済情勢・国際関係が急激に変化し、また、デジタル技術の進歩により社会制度や組織文化等が変革していく中で、我が国は、海洋立国としてその存立と成長の基盤に海洋を活かし続けることができるかどうかの分岐点に立たされている。

 海洋立国の実現には、国際競争力の強化、外国への過度な依存からの脱却、あるいは同盟国・同志国等との連携強化といったグローバルな視点から複層的に取り組むことが重要である。とりわけ国際競争力を強化するため、海洋分野における時代に即した持続的で実効性の高い施策や技術力の向上とその社会実装が急務である。

エ 海洋人材の育成・確保

 海洋人材、すなわち、海洋に関わる諸活動の担い手については、少子高齢化による人口減少という量的な課題に加え、産業構造の転換やイノベーションに対応する人材の必要性の高まりという質的な課題が顕著となっており、他の分野と競合・争奪が生じている。海洋人材を育成・確保するため、担い手の裾野を広げる観点から、海洋に関わる諸活動が我が国の興亡に関わり、持続性、発展性があるという社会認識を醸成する必要がある。また、その専門性を高める観点から、人材育成体制を強化するとともに、産学官の関係 者が従前の慣習にとらわれず連携して、若者や他分野の専門人材の価値観に照らして魅力的な環境を提供する必要がある。

 なお、海洋人材の育成・確保と同時に、無人化、自動化及び省人化の取組も進める必要がある。


3.海洋に関する施策についての基本的な方針

 前述の6つの基本理念及び本計画の策定並びに実施に関し十分に認識すべき4つの事項に基づき、海洋に関する施策を総合的・計画的に進めるに当たって、「主柱」ともいうべき海洋政策の方向性を定める。

 本計画においては、以下のとおり、第3期計画の主柱である「総合的な海洋の安全保障」に加え、新たな主柱として「持続可能な海洋の構築」を建て、これらとともに、「着実に推進すべき主要施策」について基本的な方針を定める。この方針に基づく海洋政策は、総合海洋政策本部とその実務を担う総合海洋政策推進事務局(以下「総合海洋政策本部等」という。) が一体となって、司令塔機能を発揮して推進していく。

ア 総合的な海洋の安全保障

 我が国周辺海域を取り巻く情勢はより一層厳しさを増しており、我が国の海洋に関する国益はこれまでになく深刻な脅威・リスクにさらされている。

 このような状況において、経済安全保障、安全・安心の確保、海洋防災の強化を含む様々な分野に横断的にまたがる海洋政策を幅広く捉え、政府全体として一体となった取組を継続していく必要がある。

このため、「総合的な海洋の安全保障」は本計画においても非常に重要であり、第3期計画に引き続きその主柱とする。

イ 持続可能な海洋*10*の構築

 カーボンニュートラルの実現、ロシアによるウクライナ侵略を発端としたエネルギーの確保、産業構造の転換等、世界全体の経済構造や競争環境に大きな影響を与える変化が生じている。

 海洋分野においても、新たな海洋産業の育成や既存海洋産業の更なる発展、CO2削減のための環境関連技術開発、「国連海洋科学の10年*11*」の開始に伴う「持続可能な開発目標(SDGs)」等の国際的なイニシアティブに対する海洋の積極的な貢献等への期待がより一層高まっている。

 このような状況において、脱炭素社会の実現に向けて取り組み、その取組を海洋産業の成長につなげるとともに、国際的な取組を通じて我が国の海洋環境の保全・再生・維持と海洋の持続的な利用・開発を図っていくことを「持続可能な海洋の構築」として、新たに本計画の主柱とする。

ウ 着実に推進すべき主要施策

 主柱である「総合的な海洋の安全保障」及び「持続可能な海洋の構築」とともに、「着実に推進すべき主要施策」として、海洋の産業利用の促進、科学的知見の充実、海洋におけるDXの推進、北極政策の推進、国際連携・国際協力、海洋人材の育成・確保と国民の理解の増進及び新型コロナウイルス等の感染症対策を位置づけ、それぞれについて、基本的な方針を定める。


3-1.「総合的な海洋の安全保障」の基本的な方針

 現在、我が国周辺海域を取り巻く情勢はより一層厳しさを増している。中国海警船による領海侵入、外国漁船等による違法操業のほか、外国調査船による我が国の排他的経済水域内での我が国の同意を得ていない海洋調査活動等、我が国の海洋に関する国益はこれまでになく深刻な脅威・リスクに直面している。

 また、安全保障と経済を横断する領域で様々な課題が顕在化する中、自律性の確保と優位性ひいては不可欠性の獲得に向けて、経済安全保障に係る施策を総合的・包括的に進める必要性が増大している。

 このため、我が国は令和4年12月に新たな「国家安全保障戦略」(令和4年12月16日閣議決定)等を策定し、我が国の安全保障上の目標を達成するために、外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力を含めた我が国の総合的な国力をその手段として有機的かつ効率的に用いて実施する戦略的アプローチ等を明示した。海洋の安全保障に関しては、「国家安全保障戦略」等に示された海洋に関する様々な取組と整合を図った上で、様々な分野に横断的にまたがる海洋政策を幅広く捉える必要がある。具体的には、中核である海洋の安全保障に関する施策に加え、安全保障が必ずしも唯一の、又は主たる目的となっていない施策であっても、海洋の安全保障に資する側面を有するものは、海洋の安全保障の強化に貢献する施策と位置づけ、両者を包含して「総合的な海洋の安全保障」と捉える。この考え方の下、政府全体として一体となった取組を引き続き進める。


(1)海洋の安全保障

 グローバル化の進展や、技術革新の急速な進展は、グローバルな安全保障環境に複雑な影響を与えている。国際社会において対立と協力の様相が複雑に絡み合い、グローバルなパワーの重心が、インド太平洋地域に移る形で、国際社会は急速に変化し続けている。特に、中国の軍事力増強等により、軍事バランスが急速に変化する中で、国境を超える脅威も増大し、もはやどの国も、一国のみで自国の平和と安全を守ることは不可能であり、海洋分野では特にその傾向が顕著である。

 こうした中、「我が国の領海等における国益の確保」のために、我が国を守る一義的な責任は我が国にあるとの認識の下、防衛力や海上法執行能力の強化など必要な施策を推進していく。

 また、「国際的な海洋秩序の維持・発展」のために、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値・原則の維持・擁護を各国と協力する形で実現し、繁栄と経済的存立の基盤となる海洋権益を長期的かつ安定的に確保するとともに、我が国にとって有利な国際戦略環境を創出するべく、必要な施策を推進していく。この際、同盟国・同志国等と連携・協力しながら「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を強く推進していく。

 これらの取組については、ロシアによるウクライナ侵略によって生じた世界的な不確実性の高まり等も踏まえ、不断の見直しが必要である。

 さらに、船舶間及び船陸間の情報通信改善による協調的な安全航行を念頭に自動運航船の実用化等、船舶のDX化の推進や、知床遊覧船事故のような海難等の未然防止を含めた「海上の安全・安心の確保」に係る施策についても、近年その重要性が増してきていることを踏まえて推進していく。

 加えて、我が国は海洋に由来する自然災害(地震・津波・台風・豪雨・高潮・火山噴火等)が発生しやすい自然条件下にあり、近年その脅威が増大している。こうした自然災害のリスクに備えるため、「海域で発生する自然災害の防災・減災」に係る施策についても推進していく。

ア 我が国の領海等における国益の確保

 我が国の領海等における平和と安定を維持し、また、国民の生活・身体・財産の安全及び国民の安心の確保や、漁業、海洋開発等の海洋権益の確保といった国益を長期的かつ安定的に確保するために、まずは主に我が国自身の努力によって防衛力を抜本的に強化する。また、「海上保安能力強化に関する方針」に基づき、海上保安能力を大幅に強化し、体制を拡充するとともに、不測の事態の未然防止やエスカレーション防止を図るため、海上法執行能力の強化を図る。さらに、外国漁船等の違法操業取締りに当たってのリスク管理と体制強化の観点から、漁業取締船の船体の防弾化・放水銃の強化・取締機器の充実を推進することと漁業監督官の安全確保のための、防弾・防刃救命胴衣等の装備を充実させる。

 領海警備に関しては、周辺海域の情勢変化を踏まえ、海上保安庁及び自衛隊の連携が一層重要となってきている。このため、海上保安庁と自衛隊の連携・協力を不断に強化する。その際、あらゆる事態において関係機関が円滑に対応し得るよう、有事の際の防衛大臣による海上保安庁に対する統制を含め、海上保安庁と海上自衛隊との共同対処訓練等、各種事案対応のための関係省庁の取組に加え、意思決定を含めた、より具体的な対処訓練を行う。

 また、我が国の領海等における国益を確保するに当たり、海洋に関連する情報収集・分析・共有体制の構築は引き続き重要であり、その強化を図り、管轄海域における戦略的・網羅的な海洋調査を実施する。さらに、関係省庁が連携し、新たな技術や宇宙を活用した効率的な海洋情報収集体制の強化及び安全で確実な海底・海中・洋上通信網の確保に取り組む。

 加えて、東シナ海等における権益確保のための海洋調査活動を的確に進めるとともに、排他的経済水域等における主権的権利の更なる行使のため、適切な対応について関係省庁で検討する。

 特に安全保障分野においては、外国人労働者による代替は不可能であり、人材の確保・育成は喫緊の課題である。このため、安全保障分野における人材確保の観点から、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やWebサイト等を活用した国民に向けた発信を積極的に実施する。

イ 国際的な海洋秩序の維持・発展

 我が国は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のための、様々な取組を行ってきた。一方で、ロシアによるウクライナ侵略、北朝鮮による核・ミサイル活動の活発化、中国の力による一方的な現状変更やその試み等、我が国周辺の安全保障の課題が広範化・多様化している。このため、同盟国・同志国等との連携に係る関係国担当機関間の情報共有・連携体制を強化する必要がある。

 日本にとって、国際的により望ましい戦略環境を醸成するため、力による現状変更の試みやその既成事実化を試みる国家に対し、各国と連携し、毅然と対応する必要がある。法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の維持・強化のため、二国間・多国間会合や、能力構築支援、海上自衛隊と各国海軍間の共同訓練、戦略的利害を共有するパートナー国への政府要人の積極的な派遣による意見交換、同志国の安全保障能力・抑止力の強化を目的とする政府安全保障能力強化支援(OSA)を実施する。また、海上保安庁による能力向上支援や合同訓練、アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)や日米豪印を始めとした我が国が参加する多国間の海上保安能力強化に向けた取組等を通じ、各国海上保安機関との連携強化等を推進する。さらに、戦略的に重要な港湾施設を有する国家との関係の維持・強化を計画的に推進する。

 また、シーレーン沿岸国等との連携強化を通じ、シーレーン沿岸における安全保障環境の改善に取り組み、シーレーンの安定的利用を確保する。その際、マラッカ・シンガポール海峡に依存している日本の海運物流の不測の事態に備え、代替航路の候補となり得るスールー・セレベス海とその周辺地域との国際協力を強化するのみならず、港湾等インフラの整備や運営への関与を継続・強化する。その際、大型船舶の修繕や救助体制の構築という面も考慮し、推進する。また、東ASEAN成長地域*12*に対する取組、海上保安政策プログラムや海上保安庁モバイルコーポレーションチームによる活動等具体的な国際協力を継続し、太平洋島嶼国を含めインド太平洋地域における面的支援を推進する。さらに、これらの取組を、SNS等を活用し、内外へ積極的に発信する。

ウ 海上の安全・安心の確保

 海に囲まれた我が国にとって、海上の安全・安心の確保は極めて重要であり、引き続き、海上輸送の安全・安心の確保の徹底及び海難等の未然防止に取り組む必要がある。

 近年、荒天時の重大事故等国内外において、海上の安全・安心を揺るがす事故が発生している。また、知床遊覧船事故に関しても、再発防止を含めた安全対策を検討しているが、モーリシャス重油流出事故や、スエズ運河座礁事故は経済的打撃も非常に大きく、こうした事故を防ぐための体制作りにも取り組む。

 具体的には、気候変動による気象・海象条件の変化や海洋利用の多様化等も踏まえつつ、船員教育を含めた海上輸送の安全・安心の確保の徹底、海難等の未然防止及び事故や災害が発生した際のより迅速な救助・救急体制を整備する。

 また、捜索・救難及び航行安全等に関しては、引き続き、平素から我が国周辺の国・地域及びインド太平洋地域のシーレーン沿岸国との連携をより一層図っていく。

 さらに、船舶のDX化を推進していくにあたり、ハッキングによる操船の乗っ取りや、GPS信号の改ざんによる船舶位置の混乱等、サイバーセキュリティへの備えも必要である。

エ 海域で発生する自然災害の防災・減災

 我が国は、海洋に由来する自然災害(地震・津波・台風・豪雨・高潮・火山噴火等)が発生しやすい自然条件下にあり、近年その脅威が増大している。こうした自然災害のリスクに備え、被害の防止・軽減に向けた発災時の対処能力の強化や連携体制の整備・充実、海域・沿岸域の監視・観測に平時から取り組むとともに、自然災害の様態や沿岸部の防災機能の変化を予測し、将来にわたる防災力の維持にも努める。

 特に、南海トラフ地震臨時情報等の自然災害情報の発出を含めた、海域で発生する巨大地震や火山噴火及びそれらに起因する津波等の発生予測・早期検知等を活用した海洋由来の自然災害に対する防災・減災に向けた取組が重要である。そのために、ゆっくりすべり(スロースリップ)やプレート間固着状況の観測も含めた海域・海底観測網の充実・強化、スーパーコンピュータやAI技術等のデジタル技術を活用した解析技術、通信・情報共有システムの高度化等の取組を推進する。


(2)海洋の安全保障の強化に貢献する施策

 第3期計画に引き続き、安全保障が必ずしも唯一の、又は主たる目的となっていない施策であっても、海洋の安全保障に資する側面を有するものを、海洋の安全保障の強化に貢献する施策と位置づけて取り組んでいく。

ア 経済安全保障に資する取組の推進

 国家・国民の安全を経済面から確保する観点から、自由かつ公正な経済活動との両立を図りつつ、経済安全保障推進法の着実な施行など、政府として安全保障の確保に関する経済施策を総合的・効果的に推進する。

 その際、供給途絶による経済への影響が大きい分野については、生産基盤の整備、備蓄、供給源の多様化など我が国にとって重要な物資の安定供給確保に資する取組等を通じ、「自律性」を高める観点や、我が国の技術等の他国・地域に対する「優位性」ひいては国際社会にとっての「不可欠性」を確保する観点の重要性にも留意しつつ、海洋政策を推進していく。その際、海洋関連のプロジェクトの推進にあたっては、フロントローディング*13*の考え方に基づき、産学官の連携の下、研究開発から社会実装までを俯瞰して取り組む。

 さらに、水産資源の適切な管理と持続的な利用は、食料安全保障の観点からも重要性が増大している点にも留意する。

① 海洋資源開発の推進

 エネルギー・鉱物資源は、国民生活や経済活動を支える基盤であり、いかなる状況にあっても、安定供給の確保が不可欠である。

 2050年カーボンニュートラルの実現に向けても、石油・天然ガス等のエネルギー資源は引き続き必要であるため、CCSや環境保全の対策と一体で取り組む。また、レアメタルやレアアース等の鉱物資源は、再エネ発電やEV等電動車の製造のため、安定的な確保が必須である。

 しかしながら、これらエネルギー・鉱物資源は、我が国企業等が一部権益を有するものの、その大宗を海外からの輸入に依存している。また、一部のレアアースやレアメタルについて、選鉱、製錬等の中間処理を特定の国に依存しているものもある。さらに、ロシアによるウクライナ侵略等の影響を大きく受け得る状況にある。

 一方、我が国の領海や排他的経済水域等に天然に賦存する海洋由来のエネルギー・鉱物資源(メタンハイドレート、石油・天然ガス、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、マンガン団塊、レアアース泥等)は、商業化がなされれば、国際情勢や地政学リスクに左右されず我が国の自給率の向上に資する貴重な国産資源である。

 こうした天然賦存資源について、その商業化を目指しつつ、内外の情勢に応じていつでも開発・生産できるようにするための資源量の把握、環境面も含めた技術の確立、体制の整備等の産業化を促進していくことは、経済安全保障の観点からも重要である。

 国産海洋資源開発の産業化に当たっては、オープンイノベーションによる産学の最新技術を随時取り入れつつ、また、他の資源開発の技術も活用できるものは活用する等、フレキシブルな実施体制を確保することが重要である。また、公海に賦存する海洋鉱物資源の開発に向けては、我が国も引き続き国際ルール策定に主体的に貢献していく。あわせて、レアメタル等の中間処理については、我が国はもとより、必要に応じて我が国と友好関係にある国と連携しつつ、サプライチェーン強化に努める。

 さらに、レアアース泥については、これまで戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) にて着実に成果が生み出されている。第3期SIPは、単に資源開発に留まらず、安全保障上重要な海洋観測・監視、海洋の保全及び利活用を進めるためのプラットフォームを構築する上でも重要であり、引き続き更なる技術開発に積極的に取り組む。

 海洋由来のエネルギー・鉱物資源開発プロジェクトは、世界的にも例が少なく先端的であると同時に、不確実性が高く極めて難度の高い技術開発という特性がある。したがって、今後改定される「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」のロードマップにおいては、こうした特性を踏まえ、実証実験を実施する等科学技術力の着実な進展にも注力した上で、商業化に向けた見直しが可能な柔軟性を持たせることとする。

② 海上輸送の確保

 海運は、四方を海に囲まれた我が国の経済・国民生活を支える重要な基盤であり、安定的な海上輸送の確保が重要である。このため、日本船舶・日本人船員を中核とした海上輸送体制を確保する。また、我が国港湾等の戦略的な整備とともに、シーレーン沿岸国等の主要な港湾等のインフラ整備や運営に関与する。

③ 海洋産業の国際競争力の強化

 海運業・造船業を始めとする我が国海洋産業の国際競争力の強化は、経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上の基盤の強化に資するものであり、経済安全保障にも貢献する。

 このため、海洋産業の国際競争力の強化に向けて、海事産業強化法等に基づく各種支援、諸外国の税制や経済環境の変化を踏まえた国際的な競争条件の均衡化のための制度の不断の見直し、さらに、船舶の開発から運航までのライフサイクル全体を高度化するDX造船所の実現やシミュレーション共通基盤の社会実装によるDXの推進等を通じて、国際競争力の強化を図る。

 また、クルーズ船の寄港促進に向けた取組を通じ、インバウンド需要の取込等を図る。

④ 海洋科学技術の振興

 海洋科学技術は、総合的な海洋の安全保障の基盤としての意義がある。経済安全保障に資する重要技術として、自律型無人探査機(AUV)を始めとする海洋ロボティクスや無人観測・センシング技術・衛星利用技術等の先端技術を育成・活用していくとともに、社会実装に向けた戦略を策定し、実行していく。その際、我が国が強みを持つ基幹部品や運用技術等について国産化や海外展開を念頭においた研究開発に取り組む。

また、科学技術の多義性を踏まえ、民生利用のみならず公的利用にもつなげていくことを指向した研究開発の促進を図る。特に、海洋科学技術に関し、安全保障分野及び民生分野の両方で活用可能な技術の研究開発の促進を図ることは、今日極めて重要である。このため、総合的な防衛体制の強化のための府省横断的な仕組みの下、防衛省の意見を踏まえた研究開発ニーズと関係省庁が有する技術シーズを合致させ、官民の海洋関連の研究開発成果を政府横断的に安全保障分野で積極的に活用していく。

イ 海洋状況把握(MDA)能力の強化

 MDAは、海洋に関連する多様な情報を海洋の安全保障のみならず、海洋環境保全、海洋産業振興、科学技術の発展等の海洋政策の推進に活用する包括的な取組である。MDAの前提となる海洋に関連する多様な情報を適時適切に収集・集約することは、脅威の早期察知につながり、総合的な海洋の安全保障の強化に貢献する。

 この重要性に鑑み、「我が国における海洋状況把握(MDA)の能力強化に向けた今後の取組方針(平成30年5月、総合海洋政策本部決定)」の内容も踏まえつつ、宇宙技術も含めた既存の調査・観測・監視体制の更なる強化に加え、AI技術、無人航空機といった新たな技術の積極的な活用、海洋情報の集約・共有のための情報共有のプラットフォームの強化、同盟国・同志国等のMDA関係機関との国際連携及び国内の関係省庁間の連携の緊密化を一層推進する。

ウ 国境離島の保全・管理

 国境離島の保全・管理は、我が国の海洋資源の利用等の利益をもたらすとともに、我が国の領海等の保全に寄与するものであり、引き続き取り組む必要がある。

 保全・管理関係については、低潮線保全法に基づく低潮線保全区域の状況調査や、衛星画像等による国境離島の正確な現状把握、基準点・地図の整備を継続して行う。また、重要土地等調査法に基づき国境離島等の機能を阻害する土地等の利用の防止を進めるとともに、離島を含む国土が国の主権と不可分に結びついていることに鑑み、土地の所有者、利用目的に関する情報の把握を進めること等により、一層の保全・管理を図る。

 さらに、有人国境離島法に基づき、有人国境離島の地域社会の維持に必要な施策を進める。

 なお、保全・管理に当たっては、世界的な気候変動に伴い、海面水位の上昇が課題とされている中、国際機関や我が国行政機関による上昇の予測結果等を幅広く情報収集し、海面水位の状況変化を慎重に見極めた上で適切な措置を検討することが重要である。


3-2.「持続可能な海洋の構築」の基本的な方針

 CO2を始めとする温室効果ガスの排出量増大による地球温暖化に伴い、様々な気象災害や海面上昇等によって生活が脅かされる事態が既に生じ、ますますリスクが高まることが懸念されている。このような事態に対処するために、カーボンニュートラルの実現に向けた取組が喫緊の課題となっている。

 また、温室効果ガスを発生させないクリーンエネルギーによるエネルギーの確保、クリーンエネルギーへの転換を産業競争力の強化に結び付ける政策の推進等、グリーントランスフォーメーション(GX)が、世界全体の経済構造や競争環境に大きな影響を与えている。

 このため、海洋分野においても新たな産業の育成や既存産業のさらなる発展、CO2削減のための環境関連技術開発、「国連海洋科学の10年」の開始に伴うSDGs等の国際的なイニシア ティブに対する海洋の積極的な貢献等への期待がより一層増大している。

 このような状況を踏まえ、我が国においても、SDG14(海の豊かさを守ろう)にも着目しつつ、海洋の開発及び利用と環境保全・再生・維持との調和を図りながら、カーボンニュートラルに向けた取組を我が国の成長と国益につなげることや、水産資源を管理して持続的な利用を可能とすることが求められている。

 また、SDG14を始め関連するSDGsの達成のためには、我が国一国の取組だけでなく国際的な連携の下で世界規模の取組や次世代を担う若者を含む多様な利害関係者の参画が必要である。そして、こうした取組の根拠となる科学的な知見に基づく事実や摂理を充実させることが不可欠である。

 これらに留意して「持続可能な海洋の構築」を推進していく。


(1)カーボンニュートラルへの貢献

 我が国は「2050年カーボンニュートラル」や「2030年度温室効果ガス(2013年度比)46%削減、更に50%の高みに向けて挑戦を続けていく」といった高い目標を設定している。この目標の実現に当たって、海洋分野も重要な役割を果たしていくことが期待されている。

 こうした状況の下、エネルギーシステム・産業構造の転換を海洋産業全体として進め、我が国の海洋産業の更なる競争力強化につなげていくべきであり、そのため、産学官連携の下、海洋政策のあらゆる手段を総動員して取り組む。

ア 脱炭素社会の実現に向けた海洋由来のエネルギーの利用

 海洋由来のエネルギーに関して、既に着実に事業化が進められている洋上風力に加え、潮流、海流、温度差等を利用した発電技術の開発が行われてきている。洋上風力発電は、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札であり、カーボンニュートラルを実現する上でも極めて重要である。これまでも、領海・内水における洋上風力発電の推進に向けて平成30年に再エネ海域利用法を制定し、同法に基づき案件形成を進めてきた。

 また、洋上風力発電の導入目標として、令和2年に策定された「洋上風力産業ビジョン(第1次)」において、2030年までに1,000万kW、2040年までに3,000万kW~4,500万kWの案件形成等の目標が掲げられた。排他的経済水域においても洋上風力発電の活用のニーズが高まってきており、我が国周辺海域の特徴を踏まえれば、浮体式の洋上風力発電が主体になると考えられる。

 このため、安全保障や環境影響等の観点について十分に考慮しつつ、引き続き領海・内水における洋上風力発電の活用や送電網整備の検討等を継続するほか、排他的経済水域への拡大を実現するため、浮体式洋上風力発電の導入目標の設定や国産化に向けた技術開発を促進するとともに、国連海洋法条約等との整合性を整理した上で、法整備を始めとする環境整備を進める。

イ サプライチェーン全体での脱炭素化

 2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、LCA(ライフサイクルアセスメント)を十分考慮し、海洋においてもサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを図ることが重要である。このため、カーボンニュートラルポート(CNP)の計画的な形成、ゼロエミッション船の開発・導入、船舶からの温室効果ガス排出抑制に係る国際ルールの策定、水素・燃料アンモニアの輸送に関する技術開発や実証等に積極的に取り組む。

ウ CO2の回収・貯留の推進

 CO2の排出抑制のみならず、正味としてマイナスのCO2排出量を達成する観点からCCS の活用は重要である。従来型の遮蔽層下の深部塩水層への貯留のみならず、CO2ハイドレートとしての貯留、玄武岩層や凝灰岩層への貯留等のための日本周辺の海域におけるCCS の適地開発を推進するため、三次元物理探査船等を使用した国主導での探査や有望な構造での試掘を機動的に実施する。あわせて、海外におけるCCSの適地開発にも三次元物理探査船を積極的に活用する等、より効率的・効果的な探査を実現し、CCS事業の国際競争力を高める。さらに、2030年までのCCS事業開始に向けて、法整備を含め事業環境整備を加速化する。


(2)海洋環境の保全・再生・維持

 海洋は、生物の多様性の確保や我々の豊かで潤いある生活を支えるかけがえのないものであり、このような恩恵は、複雑かつ多様で常に変化する海洋環境に支えられている。また、海洋は、大気と相互に影響を及ぼしあう等気候に大きな影響を与えていることに加え、地球温暖化の要因とされるCO2等の温室効果ガスを吸収する機能がある一方、地球温暖化に伴う海水温上昇や、海洋酸性化等の影響を受けている。

 そして、陸域における社会経済活動の拡大により、水質汚染やプラスチックを含む海洋ごみ等、地球規模で様々な影響を受けており、一旦海洋環境や生態系が損なわれるとその回復を図ることが非常に困難である。

 このため、我が国は、従来から様々な国際的な枠組みの下で国際社会と連携し、海洋環境や生態系の維持・保全に関する国内外の取組を進めてきたところであり、今後も状況の変化に対応し、保全から更に進んで再生(回復を含む)に向けたより複雑で高度な取組を進めていく。

 また、自然生態系と調和した海洋環境の利用も重要であり、SDGs等の国際的イニシアティブを基にした海洋環境の保全、豊かな海づくりの推進及び沿岸域の総合的管理の推進の3つの観点から、海洋環境の保全・再生・維持を図っていく。

ア SDGs等の国際的イニシアティブを基にした海洋環境の保全

 かけがえのない海洋環境を保全していくため、SDGs、「国連海洋科学の10年」、「国連生態系回復の10年」等を始めとする様々な国際的イニシアティブの下、我が国が指導力を発揮し、国際連携、国際協力の下で、適切な海洋保護区の設定、脆弱な生態系の保全・再生、海洋汚染の防止、海洋ごみ対策、地球温暖化や海洋由来の災害への対応等を推進していく。これらの国際的な目標に対応する国内目標を達成するため、継続的な観測により取得される科学的な知見や、それに基づく予防的アプローチの考え方も取り入れ、海洋の持続可能な開発・利用と保全を基本とした取組を推進する。

 また、その際には、海洋と人類の共生を図る我が国の考え方を適切に反映させつつ、これらの取組を通じて海洋環境保全に積極的に貢献していく。

イ 豊かな海づくりの推進

 我が国は海洋との共生を原点とする海洋国家として、自然生態系と調和しつつ人手を加えることにより、古くから高い生産性と生物多様性を持続的に維持している「里海」を形成してきている。こうした地域に蓄積された知識も活かしつつ、損なわれた沿岸生態系の再生、閉鎖性海域における水質等の保全に加え、自然景観及び文化的景観の保全、水産資源の持続的な利用、里海の保全と利活用の好循環形成等も考慮した豊かな海づくりを推進していく。

 また、海洋の状態が常に変動し、学術的にも未解明な点が多いということを踏まえ、新たな科学技術を取り入れて長期にわたり継続的かつ的確に海洋の状況を把握する体制を整備し、その結果を取組の検証・対策の選択や改善に活かす等、PDCAサイクルを活用した順応的管理を推進していく。

ウ 沿岸域の総合的管理の推進

 沿岸域の海洋環境の保全・再生・維持、自然災害への対応、地域住民の利便性向上等を図る観点から、関係者の理解と協働に基づき、気候変動による将来変化の予測も含めた防護・利用・環境保全のバランスを勘案した上で、陸域と海域を一体的かつ総合的に管理する取組を展開していく。


(3)水産資源の適切な管理

 水産資源は再生可能な資源であり、適切な管理による持続的な利用が食料安全保障の観点からも重要であるため、「水産基本計画」(令和4年3月閣議決定)等に即し、海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理を着実に実施していく。

 具体的には、「新たな資源管理の推進に向けたロードマップ」等に従い、MSY(最大持続生産量)ベースの資源評価に基づくTAC(漁獲可能量)管理の推進、IQ(漁獲割当て) 管理の導入等、科学的知見に基づいた新たな資源管理を推進する。

 また、不漁等海洋環境の変化が資源変動に及ぼす影響に関する調査研究を進めるとともに、ICTを活用したスマート水産業による海洋環境や漁獲情報の収集等、迅速かつ正確な情報収集とこれに基づく気候変動の的確な把握、これらを漁業現場に情報提供する体制構築を図る。

 さらに、実効性ある資源管理のために、国内漁業者等に対する監視体制の強化や外国漁船等の違法操業取締り等に取り組む。


(4)取組の根拠となる知見の充実・活用

 持続可能な海洋の構築に向けて地域や地球規模の海洋問題を解決するためには、国際ルールの遵守に加え、海洋の状況を適切に把握し、海洋の諸現象をよりよく理解することも欠かせない。なぜなら、これらの国際ルールは、科学的知見を基盤として形成されているからである。

 このため、観測データを活用した気候変動等の影響の把握と海洋生態系の保全・利用に向けた研究が重要であり、また、観測データの共有・活用の世界規模の枠組みへの貢献や国際的イニシアティブに基づいて各国の取組を促進させる。そして、この分野での我が国政府開発援助(ODA*14*)による知見の蓄積と提供等の協力を今後も引き続き強化していく。

 これらの視点を踏まえて、北極・南極を含めた全球観測の実施、海洋生態系の理解等に関する研究及び世界規模の枠組みへの貢献の3つの観点から取組の根拠となる知見の充実・活用を推進する。

ア 北極・南極を含めた全球観測の実施

 全球観測の実施に当たっては、関係機関が連携し、地球温暖化によって激しく変わっていく現場の海洋観測データを海洋調査船や無人探査機、フロート等を用い、データの空白域を解消しながら、継続的に取得することが不可欠である。

 このため、我が国がこれまでに構築してきた海洋観測網の維持・強化を図りつつ、北極域・南極域を含む全球規模、重点海域での持続的な観測に取り組む。また、観測技術及び観測データを最大限活かすデータ解析・統合技術の研究開発により、気候変動予測を精緻化・高度化する。

 また、「国連海洋科学の10年」を踏まえ、海洋ビッグデータやシチズンサイエンス*15*(以下「市民参加型科学」という。)による地域の経験知の蓄積や、これらの類型化、可視化及び一元化に取り組む。そして、データ駆動型研究*16*による知見と併せて、海洋の利活用、合意形成の迅速化、科学的根拠に基づく政策策定等に活用し、事業の促進、社会実装につなげる。

イ 海洋生態系の理解等に関する研究の推進・強化

 生物多様性の保全・回復を含めた持続可能な海洋の構築に資するため、長期的視野に立って継続的に海洋生態系の挙動や動態の理解、生態系を支える環境との相互作用等に関する研究開発に取り組む。

 海洋生態系の理解を深め、保全・利用をしていくため、生物・化学データを含む海洋の総合的な観測、データ収集・ビッグデータ化、データ分析技術開発やデジタルツイン*17*等も活用した海洋生態系の構造・機能の理解及び環境変化等に伴う影響評価に関する研究を強化する。

ウ 世界規模の枠組みへの貢献

 海洋ビッグデータの蓄積を進めるとともに、それらを海洋の利活用、社会実装等につなげていくことが重要である。そのため、我が国はユネスコ政府間海洋学委員会(UNESCO/IOC)等が共同で運営する国際的な海洋観測の枠組みである全球海洋観測システム(GOOS)を構成する「アルゴ」やGO-SHIP18等における海洋観測、地球観測衛星を用いた全球的な国際共同観測等に積極的に貢献している。こうした国際共同研究、国際的に通用する研究人材の育成・交流、国際会議の開催・誘致等を通じた国際社会への貢献は、我が国のプレゼンスを高める観点からも重要である。そのため、二国間での取組に加え、多国間の国際的な枠組みの下、人工衛星や海洋調査船、フロート等を活用した国際共同観測による包括的な海洋観測網の構築に貢献する。また、海洋状況表示システム「海しる」や「データ統合・解析システム(DIAS19)」等を活用して国際的に取得された海洋データを共有・活用する取組を推進する。同時に、データの国際規格化やオープンアクセス等の国際ルール構築に我が国が主導的立場を取ることで、将来の運用の容易化や国際競争力の強化を図る。

 SDG14の実現に当たっては、諸外国との相互連携の更なる推進を通じて、SDGs全体の推進に貢献する。具体的には、海洋ビッグデータ、海洋プラスチックごみ、海洋生態系サービスの維持・保全、違法・無報告・無規制(IUU)漁業、水産資源管理、気象災害・津波等の防災・減災への取組、これらに対処する専門家の人材育成等について、世界の国々が参考とし、応用することが可能な日本の優れた取組を、既存のターゲットやSDGグローバル指標を補完する日本の取組、すなわち日本モデルとして推進する。また、SDG14は、他のSDGsとの連関を有しており、各目標の取組相互の連携を一層進める。

 さらに、パリ協定等に基づく脱炭素社会の実現に向けて、海洋分野においてもCCS、ブルーカーボン、海中CO2回収等に係る革新的技術の研究開発を推進する。

 特に、ブルーカーボンについては、藻場干潟の保全等の取組を進めるとともに、深海に確実に輸送される沖合ブルーカーボン(海洋生態系の生物を通じて吸収固定される炭素) の研究開発を展開する。


3-3.着実に推進すべき主要施策の基本的な方針


(1)海洋の産業利用の促進

 「海洋の産業利用の促進」とは、海洋環境の保全との調和を図りながら、海域において行われる海運、水産、資源・エネルギー開発等の様々な経済活動及びそこに製品・サービスを提供する産業の活動を拡大することで、海洋の開発・利用による富と繁栄を目指す活動である。

 水産業については、増大するリスクも踏まえた成長産業化及び地域を支える漁村の活性化を図るため、「水産基本計画」等に即し、複合的な漁業への転換等の漁船漁業の構造改革、沖合養殖の拡大等による養殖業の振興、地域資源と既存の漁港施設を最大限に活用した海業等の取組を推進する。これに加え、横断的な施策として、みどりの食料システム

 戦略*20*、スマート水産技術の活用やDX、カーボンニュートラルへの対応等を推進する。さらに、海洋の産業利用を促進していくためには、高齢化による船員の減少や運航の安全性の向上に対応した自動運航船の導入や、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や、水素等の受入環境の整備等を図るカーボンニュートラルポート(CNP)の形成、さらに、クルーズ船の寄港拡大のように観光を含め海洋を使う様々な産業分野を開拓していくことや、我が国の離島における経済振興等も重要である。また、海洋産業を巡る様々な問題の解決に当たって、官民を挙げた戦略的な取組の促進、企業間交流の支援が必要である。

 海洋は、海運、水産及び資源・エネルギー開発等の様々な経済活動の場であるほか、その利用目的も多様であり、様々な意義を有する。これまでに述べたような経済安全保障における「海洋資源開発の推進」「海上輸送の確保」、「海洋産業の国際競争力の強化」、持続可能な海洋の構築における「海洋由来のエネルギーの利用」、「サプライチェーン全体の脱炭素化」といった取組は、いずれも海洋の産業利用を促進する取組でもある。

 これらの個々の取組をスピード感をもって行いつつ、その上で、海洋産業に係るGDPの現状把握及び産業構造の転換を見据えた将来推計も勘案しながら、官民の関係者が具体的な目標を共有することによって、相乗効果を生みながら富と繁栄を拡大していく。

また、社会変革・技術開発の潮流や我が国海洋産業が有する技術的優位性等の全体像を踏まえた、AUV戦略等の技術開発から社会実装に至るまでの戦略的なビジョンを策定し、その着実な実行を図る。


(2)科学的知見の充実

 海洋科学技術・イノベーションは、我が国の経済・社会の発展、経済安全保障のみならず、自然災害や気候変動への対応、海洋環境・海洋生態系の保全等の地球規模課題やSociety5.0*21*の実現にも貢献する。また、人類のフロンティアである深海や極域の研究の推進は、国民に科学への興味と関心を抱かせるとともに、人類の知的資産の拡大にも貢献する。このため、中長期的視点に立ち基礎研究を推進する。

また、海洋と宇宙との連携、AI・量子等の他分野との融合等を含めた最先端の研究開発を推進するとともに、市民参加型科学の推進を始めとする「総合知*22*」の活用により、研究開発で得られた知見・技術・成果の社会還元・実装を進めていく。この際、国内外の社会情勢や科学技術の変化に柔軟に対応する。

ア 海洋調査・観測体制の強化

 包括的・持続的な海洋調査・観測は科学的知見の充実の基盤であり、政策課題の解決においても必須であることを踏まえて、海洋調査・観測体制の強化に取り組んでいく。

 第3期計画に基づき、海洋調査・観測体制の整備、無人機の開発・導入、海洋情報の一元化、国際標準化に向けた議論等、これまで多岐にわたる施策が着実に実施されてきた。今後も、我が国として、管轄海域に加え、海盆スケールから地球規模スケールで海洋調査・観測の充実を図るとともに、オープン・アンド・クローズ戦略*23*でデータを取り扱うことが、総合的な海洋の安全保障の実現、持続可能な海洋の構築に資するという観点の下、より高度化された技術による定期的・持続的・包括的な観測の実施が求められている。

 このため、海洋観測網の維持・強化、省人化・無人化も含めた技術開発の推進や宇宙技術の活用、国際的な連携体制の構築等の主導等を引き続き進めていく。特に、より高効率・高精度・持続的なデータ取得を実現するための現場観測システムの機能強化は重要である。加えて、海洋調査・観測の基盤を強化する観点から、精密な地理空間情報の整備のため、沿岸域の海底地形の把握を含む水路測量、グローバル測地観測、離島の測地測量、海域重力観測及び海底基準点網の充実等の取組を一層推進する。海洋情報の共有体制についても、海洋状況表示システム「海しる」等の地理空間情報システム(GIS)を活用した取組を更に強化する。

イ 基盤技術、共通技術*24*等による海洋科学技術の振興

 海洋科学技術を振興するためには、基盤技術、共通技術の研究開発を海洋調査・観測や海洋データの利活用と一体的に進めるとともに、これらの技術の社会実装を推進する。このため、他分野の先端技術を柔軟に取り入れつつ、広くかつ深い海洋を包括的に理解できる技術の開発と展開(研究船、AUV、海空無人機等の観測プラットフォームや人工衛星(衛星VDES等)、海底光ケーブル、短波レーダー等を活用した観測システム等)を進める。

 特に、AUV、自律型無人艇(ASV)、遠隔操作型無人潜水機(ROV)等の海の次世代モビリティを含む海洋ロボティクスは、海洋科学技術における重要な基盤技術の一つである。海洋ロボティクスは、沿岸・離島地域の海域での課題解決や、海洋観測・監視、海洋資源探査、洋上風力発電の設置・保守管理等への活用が期待されるため、関係国内産業を育成する必要性が高い。そのため、研究開発や実証に取り組むとともに、早期の社会実装に向けた戦略を策定、実行していく。

 効率的な研究開発の推進や海洋分野におけるスタートアップの促進、人材育成に繋げていくため、試験設備やシミュレーション等の共通基盤を構築する。また、共通基盤の供用や、効率的な保守管理のためのノウハウの共有を行う。

ウ 市民参加型科学の推進

 市民が保有する海洋生物や海洋ごみ等の情報を基に、海洋研究者を含めた地域の海に関わる利害関係者間の対話や協働を推進し、地域の課題解決を図るとともに、「国連海洋科学の10年」が目指す海洋リテラシーの向上と人類の行動変容につなげる。このような、海 洋科学技術における市民参加型科学の取組を進め、持続可能な海洋の構築に向けた「総合知」の創出を目指していく。


(3)海洋におけるDXの推進

 現在、我が国の様々な分野においてDXが進められている。海洋におけるDXは、海域で発生する自然災害の防災・減災、海洋産業における利用、包括的・持続的な海洋調査・観測を含めた科学的知見の充実等に不可欠のものである。

 DXの要はデータであり、データは新産業を産み出す基盤となり得るものである。既に国際海運や養殖を含む水産業等で、データサイエンス*25*を活用した産業が勃興しつつある。産学官でまずは利用してみるという姿勢で、海洋に関するデータの共有・利活用を加速し、データ解析・分析手法の開発も行いながら、膨大な海洋データを用いたデータ駆動型研究を推進することで、付加価値をもった情報を基にしたイノベーションを創出する。

ア 情報インフラ及びデータ解析技術の整備

 DXの推進に当たっては、データの収集・伝送・解析・利活用が重要であり、環境負荷軽減に留意しつつ最先端の海洋科学技術*26*を活用してこれらに取り組むとともに、通信・伝送を含む海洋における情報インフラの整備を推進する。特に、洋上や海中における大容量のデータ通信技術の進展に応じ、同技術を海洋データの伝送に取り入れることで、より効率的・効果的な海洋調査・観測の実現を目指す。

 DXを課題解決につなげるとの観点から、様々な気候変動対策の実効性、海洋由来の自然災害に対する防災・減災の政策の有効性、持続可能な利用に資する水産資源政策の効果等の適切な評価に活用する。そのため、海洋のデジタルツインの構築を念頭に、観測データの解析技術並びに海洋環境、気候変動及び地震予測等に関するシミュレーション技術の高度化に取り組む。

イ データの共有・利活用の促進

 観測や解析を通じて取得されたデータについては、利活用に関する認識を共有して、オープン・アンド・クローズ戦略に基づき品質管理を行った上で即時公開し、幅広い分野での海洋データの利活用を促進する。その際、様々なサイバーリスクを想定したセキュリティ対策等を講じる。また、国際的な海洋データの共有にも貢献する。

 また、海洋データの共有を通じて、我が国独自の海洋空間計画の手法を確立する。その際、これまでに日本各地で行われてきている再エネ海域利用法等の定める促進区域等での取組等を海洋空間計画の一形態として適切に位置付ける。それを踏まえ、複合的な海域利用をより適切かつ効果的に推進するための取組を進める。また、海洋データの一元化の観点から、DIAS等との連携も視野に入れ、海洋状況表示システム「海しる」のさらなる活用・機能強化等に取り組む。


(4)北極政策の推進

 我が国は北極の気候変動の影響を受けやすい地理的位置にあり、北極域における環境変化の影響は我が国にとっても無関係ではない。

 他方、アジア地域において最も北極海に近いことから、北極海航路の利活用、資源開発を始めとして経済的・商業的な機会を享受し得る環境にある。

 現在、ロシアによるウクライナ侵略の影響で、北極評議会(AC*27*)を始めとする一部の北極関連活動が休止する等、北極を取り巻く情勢は先行きが不透明であるが、我が国の北極政策の三つの柱(研究開発・国際協力・持続的な利用)を今後も推進していく方針は維持しつつ、引き続き、関係国との情報交換を進め、あらゆるシナリオに備えた万全の準備を行う。

 具体的な取組としては、観測の空白域の解消に資する北極域研究船の着実な建造や北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)等による観測・研究・人材育成の推進、国際連携による観測データの共有の推進、先住民との連携強化、北極海航路に関する情報収集と産学官協議会を通じた情報提供、関係する各分野での国際ルール形成への貢献及び水産資源の保存管理に係る国際枠組みの実施の促進等を着実に進める。

特に、北極域研究船については、完工後速やかに運用できるように国際研究プラットフォームとしての利活用方策や航行計画を検討する。

また、これらの取組を二国間協議や国際会議の場で発信することで、日本のプレゼンスの向上を図る。


(5)国際連携・国際協力

ア 「海における法の支配」及び国際ルール形成の主導

 国際連携・国際協力は、平和で安定した国際社会の確立を基盤とした我が国国益の実現のために行われるべきものである。

 国際協調主義を掲げる我が国は、海洋分野においても、国際機関における我が国の人的プレゼンスを含め、国際機関や国際会議への積極的な参加・貢献を通じ、国際ルール形成を主導していく。また、海洋に関する紛争や利害の対立等に際しては、国際ルールに則して対処し、主張を通すために力や威圧を用いず、平和的な事態収拾を徹底する。

イ 総合的な海洋の安全保障に向けたインド太平洋地域等の諸外国との連携強化

 インド太平洋海域の海洋安全保障における我が国のリーダーシップを発揮し、対話を促進するため、海洋分野においても、ODAを戦略的に活用する。

 具体的には、諸外国(特にインド太平洋諸国)への海洋に関わる課題解決の支援について、海上法執行、捜索救助、MDA等能力の構築に向けた巡視船を含む機材供与や、海上保安政策プログラム(MSP)の拡充を含む人材育成・交流等の取組を引き続き戦略的に進めていく。その際、効率的かつ効果的な支援のため、総合的な支援戦略の策定及び途上国のニーズに合致した巡視船等を迅速かつ安価に提供するための巡視船の標準化等の検討が重要である。

 また、ODAとは別に、軍等に対する資機材供与やインフラ整備等を通じて、同志国の安全保障上の能力や抑止力の強化に貢献する新たな無償資金協力の枠組みである政府安全保障能力強化支援(OSA)を創設した。OSAを活用し、我が国との安全保障協力関係の強化、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出及び国際的な平和と安全の維持・強化に寄与していく。

ウ 持続可能な海洋の構築に向けた協力強化

 SDG14への貢献に関しては、海洋に関わる多様なリテラシーの向上と各国が抱える海洋に関わる課題(海洋汚染の防止、生態系の保全、水産資源の管理と経済便益の増大及び零細漁業の振興や、防災/減災・海洋産業振興の科学技術開発等)への協力を強化・拡充する。

 あわせて、それらの解決が可能な専門人材の育成・交流等、諸外国の海洋に関わる課題解決に向けた我が国ODAによる知見の蓄積と提供等の協力を継続・強化する。


(6)海洋人材の育成・確保と国民の理解の増進

 海の恵みを子孫に引き継ぎ、海洋立国を実現するためには、その基盤となる海洋人材の育成・確保が重要である。特に、洋上風力発電等の新たなニーズが高まるとともに、海洋においてもDXが求められる現状において、海洋産業の魅力や重要性を発信しつつ、産業構造の転換に対応した高度な海洋人材を育成・確保することや、デジタル化に関心の強い学生を海洋分野に引きつけることは、我が国の成長戦略の柱として必要な取組である。

 海洋人材の育成は、子どもや若者が海に親しみを持ってもらう中で、海に関わる産業の存在や、その重要性、将来性、魅力を認識すること等により関心を持つところから始まる。このため、学校を中心として海洋に関する教育を推進する。

 また、人材育成・確保を含めた海洋政策推進のため、海洋科学技術への市民参加型科学の推進等を通じて、人類のフロンティアとしての海、海洋生態系、海洋に係る我が国の位置づけ、地域に根ざした海洋の歴史・文化等の理解、持続可能な海洋や幅広い海洋に関する知識の習得等、海洋に関する国民理解の増進に努める。

 その際、「海の日」制定の意義を踏まえ、「海の日」の更なる活用方策を検討するとともに、国民が海を身近に感じられるよう、安全への配慮等も含め、海洋に実際に触れあう機会を充実させることが必要である。

ア 海洋人材の育成・確保

① 海洋産業の振興と産業構造の転換への対応

 海洋人材の育成は、受け皿である海洋産業の振興と合わせて取組を進めることが必要である。中長期的な人的投資のための指針を示す上でも、海洋産業に係るGDPの将来推計を明示することは有益である。

 海洋再生可能エネルギー産業、海洋レジャー産業等の新産業の参入を含めた海洋産業の構造転換に対応するため、人材育成と多様な専門分野からの人材確保を促進する。

 新たな科学技術(デジタル技術、AI、量子、センシング技術等)を海洋分野に取り入れてイノベーションを創出することや、海洋産業における省力化・無人化・各種自動化のための技術や全体システムを構築することも重要である。このため、産学連携に係る協議の場の構築を含め産学官が連携して、海洋におけるイノベーションを担う人材を育成していく。

② 海技者教育・専門家の育成

 海運業を支える次世代の日本人海技者の育成・確保のための教育システムを継続・強化するため、施設の老朽化や教員不足等教育現場の課題の解決を図る。

 また、乗船実習教育における多科配乗を緩和・改善する等、大学、独立行政法人海技教育機構を含む産学官が連携して人材を育成していく。

 さらに、自衛官から船員への再就職の支援を引き続き行うとともに、官(気象庁・環境省・海上保安庁等)や学(大学・国立研究開発法人等)における研究者・技術者を育成する。また、異業種間の交流・ネットワーク構築、国際基準策定に関わることのできる人材や国際法・海洋法の専門家の育成を促進する。

③ 海洋におけるDXへの対応

 海洋におけるDXを推進する人材を確保するため、シミュレーション技術を持つ人材を育成することに加え、データサイエンティスト等デジタル分野から海洋分野への人材の参入を推進する。

 特に海洋におけるDX推進は海洋産業の労働環境の改善に結びつくことから、若い世代の参入を促すためにもDXと結びつけた海洋産業の魅力向上や魅力の発信等に努める。

④ 多様な人材の育成と確保

 国際的に遜色のない水準の達成を目指して女性活躍を推進するとともに、産業界はチャレンジ精神のある多様な人材を惹きつけるための十分な処遇やキャリアパス、通信環境整備等の魅力ある労働条件及び労働環境を整備する。また、幅広い分野から意欲のある人材を受け入れて専門的な教育(職場における学び・学び直し*28*、リカレント教育*29*等)を行う。

イ 子どもや若者に対する海洋に関する教育の推進

 海洋立国の将来を担う多くの海洋人材を輩出することが期待されるという観点からも学校を中心とした海洋教育を重視すべきである。小学校、中学校、高校の学習指導要領において、海洋に関する教育についての指導の充実が図られたことも踏まえ、引き続き、学校における海洋に関する教育を推進する。

 また、子どもの関心が多様化する中で、関心のある子どもたちの学びの機会の提供を促進する。このため、子どもたちが海に直接親しむ機会を創出する。また、デジタル技術を活用しつつ地域の大学、研究機関、学会、博物館・水族館、NGO/NPO、観光業等と連携して特色ある海洋教育を実施するためのコンテンツを整備していく。特に、海洋分野としてSTEAM教育*30*へ貢献すべく、産学官が連携して取り組む。

 さらに、教える側の海洋に関する学習の機会を増やすことで、海洋リテラシー向上を図っていく。


(7)新型コロナウイルス等の感染症対策

 我が国において、令和2年1月に新型コロナウイルス感染症の最初の感染者が確認された後、同年2月には、新型コロナウイルス感染症の拡大の初期段階において、横浜港に入港した国際クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号内で集団感染事案が発生し、世界的に前例がない中で、政府を挙げて対応に当たることになった。

 また、世界的にみても、新型コロナウイルス感染拡大に伴う甚大な影響は、人々の生命や生活のみならず、国内の経済、社会、国際政治経済秩序等多方面に波及した。

 海上における輸送や観測等の活動は、陸地から隔離され、船舶という閉鎖的な空間で行われる。こうした特殊な環境で、一旦感染が発生した場合は、急速に拡大し、それが個々の船内の活動の継続を妨げるに止まらず、海運、港湾等の物流機能が停止することにより国民生活、社会経済に甚大な影響を及ぼす可能性がある。

 このため、今後も不測の事態に備える体制作りを継続する観点から、船内環境の特殊性及び船員が社会活動維持に不可欠なエッセンシャルワーカーであることを踏まえ、ワクチン接種の弾力的な実施を始めとした感染症対策を関係機関が連携して徹底していく。

さらに、ダイヤモンド・プリンセス号の事案の教訓を踏まえ、旅客船事業者、港湾関係者等が常に最新の知見に基づいて感染拡大予防に関わる対応策を徹底するとともに、我が国が船内感染者対策に係る国際的なルールの策定の推進に貢献していく。


2部 海洋に関する施策に関し、政府が総合的かつ計画的に 講ずべき施策

1.海洋の安全保障


(1)我が国の領海等における国益の確保

ア 防衛力及び海上法執行能力の向上

○ 防衛省・自衛隊については、国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画に基づき防衛力の抜本的強化を実現していく。特に、南西諸島を含む島嶼部への部隊配備等により、島嶼部における防衛態勢・体制の充実・強化を図る。(防衛省)

○ 特に南西地域における空港・港湾等を整備・強化するとともに、既存の空港・港湾等を運用基盤として、平素からの訓練を含めて使用するために、関係省庁間で調整する枠組みの構築等、必要な措置を講ずる。(国土交通省、防衛省)

○ 海上保安庁については、法執行機関として我が国の安全保障上、不可欠な役割を担っていることを踏まえ、「海上保安能力強化に関する方針」に基づき、巡視船・航空機等の整備といったハード面での取組に加え、新技術の積極的な活用や、警察、防衛省・自衛隊、外国海上保安機関等の国内外の関係機関との連携・協力の強化といったソフト面の取組も推進することにより、海上保安能力の強化を図っていく。その中で、沖縄県尖閣諸島周辺海域における中国海警船の領海侵入事案等に対応するための体制の強化のほか、サイバーセキュリティ上の脅威に対応するための情報通信システムの強靱化や巡視船等の活動に必要な運航費の確保、老朽化した巡視船等の計画的な代替整備なども含めた業務基盤の整備などを進めていく。(国土交通省)

○ 水産庁については、漁業取締本部を設置し、本部体制の下、リスク管理を踏まえ、監督官の安全を十分確保しつつ、漁業取締能力の強化を図っていく。さらに、引き続き海上保安庁と水産庁が連携しつつ、悪質・広域化する外国漁船等の違法操業への対応能力を高めていく。(農林水産省)

○ 弾道ミサイル等の発射の際に、日本近海で航行・活動する船舶への自動化等を通じた迅速な情報伝達を引き続き行う。(農林水産省、国土交通省)

○ 不審船・工作船対応能力を維持・向上するため、情報収集分析体制の強化や不審船対応訓練を継続的に実施するとともに、不測の事態へのシームレスな対応が可能となるよう防衛省・自衛隊と海上保安庁の連携を一層強化する。(国土交通省、防衛省)

○ 離島の周辺地域等における外部からの武力攻撃に至らない侵害や武力攻撃事態への対応については、有事を念頭に平素から警察や海上保安庁と自衛隊との間で訓練や演習を実施し、特に武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領を含め、必要な連携要領を確立する。(警察庁、国土交通省、防衛省)

○ 海上犯罪を未然に防止するため、引き続き監視・取締りを行う。特に、国内密漁事犯・外国漁船等の違法操業、海域への廃棄物の投棄等の海上環境事犯、薬物・銃器等の密輸・密航事犯に対する監視・取締り、外国人活動家等による不法入国事案及び不法上陸事案の対応に引き続き取り組む。また、これらに的確に対応するため、海上保安庁の巡視船艇・航空機、水産庁取締船等及び警察用船舶・航空機等の整備を含め、必要な人員、体制の確保及び輸送手段を含む装備資機材等の整備を推進する。加えて、引き続き海上保安庁と水産庁が連携をするなど海上犯罪取締りに関する関係機関間での連携を強化する。(警察庁、法務省、財務省、農林水産省、国土交通省)

○ 諸外国等が関与する我が国の同意を得ていない海洋調査活動の活発化に対し、現場海域における海上保安庁の巡視船等による中止要求や外交ルート等を通じた抗議・申入れを行うなど、適切に対処していく。(内閣官房、内閣府、外務省、国土交通省)

○ 漂着・漂流船の監視・警戒等を適切に実施することも含め、我が国の沿岸や離島の安全を確保するため、治安維持活動等に従事する要員の増員、装備資機材等の整備、海上保安庁・警察等の円滑かつ緊密な情報共有等による連携体制の構築等をより一層推進する。あわせて、漂着者を介した感染症のまん延のおそれを踏まえ、検疫の面で適切に対応するとともに、地方公共団体・関係機関等との連携の強化により、関係者による迅速な情報共有体制を確保する。このほか、北朝鮮からのものと思料される漂着木造船等の処理が円滑に行われるよう対応する。(警察庁、財務省、厚生労働省、国土交通省、環境省)

○ 海上におけるテロ対策として、関係機関が連携し、テロ関連情報の収集・分析、我が国に入港する船舶の安全確認、水際におけるテロ対策、臨海部の原子力発電所、石油コンビナート等の危険物施設及び米軍施設等の重要施設に対する監視警戒を適切に実施するとともに、核燃料輸送船に対する警備体制の強化を図る。特に、G7広島サミット及び関係閣僚会合並びに2025年日本国際博覧会の開催に当たり、海上におけるテロや犯罪行為の未然防止等の不測の事態へ適切な対応が可能な体制を整備する。(警察庁、法務省、財務省、国土交通省)

○ 国際法及び国内法に基づき、国際航海船舶及び国際港湾施設における保安対策を着実に実施する。(国土交通省)

○ 我が国における安定した国際通信を確保するため、引き続き、国際海底ケーブルや陸揚局の安全対策に、通信事業者等と連携して取り組む。(警察庁、総務省、国土交通省)

○ 人材確保の観点から、洋上で活動する業務について、可能な限り深く知ってもらうため、SNS*31*等を活用した積極的な広報や、大学等との連携・交流を推進する。(農林水産省、国土交通省、防衛省)

イ 情報収集・分析・共有体制の構築

○ 海洋監視体制の充実を図るため、衛星による情報収集の取組や省人化・無人化を考慮した装備品等の研究や導入を推進していく。(内閣官房、国土交通省、防衛省)

○ 主として防衛省・自衛隊、海上保安庁及び内閣官房(内閣情報調査室)等が保有する艦艇、巡視船艇、測量船、航空機及び情報収集衛星を始めとする人工衛星等や沿岸部設置のレーダー等の効率的な運用と着実な増強に加え、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA*32*)や民間等の各種衛星等の活用も視野に入れ、また、同盟国や同志国等と連携し、我が国領海等における海洋監視情報収集体制を強化していく。(内閣官房、内閣府、外務省、財務省、文部科学省、国土交通省、防衛省)

○ 我が国の排他的経済水域・大陸棚を始め、我が国周辺海域における海洋権益確保の戦略的観点から、我が国の海域の総合的管理に必要なものや境界画定交渉に資するものを含め、必要な情報の調査・収集に努めるとともに、取得したデータの管理・分析及びその成果の対外発信能力の強化を図る。(内閣府、外務省、国土交通省)

○ 海洋監視情報共有体制に関しては、防衛省・自衛隊と海上保安庁との間の情報共有システムの整備を進め、両者間の情報共有体制を充実させていく。(国土交通省、防衛省)

○ 広大な海域において外国公船、外国漁船、外国海洋調査船等やテロ等の脅威に対する監視体制を重点的に強化するため、無操縦者航空機を始めとした新技術を活用し、関係機関との連携・協力の一層強化を図ることにより海上保安庁の広域海洋監視能力を構築していく。(国土交通省)

○ 重要な離島及びその周辺海域における監視・警戒を強化する。(国土交通省、防衛省)

ウ 外交的取組を通じた主権・海洋権益の確保

○ 脅威の出現を未然に防ぐための外交的取組を強化していくとともに沖縄県尖閣諸島周辺海域における中国海警船等の領海侵入、排他的経済水域における中国等が関与する我が国の同意を得ていない海洋調査活動、北朝鮮による弾道ミサイルの発射といった我が国の主権及び海洋権益が脅かされる事態が発生した場合には、我が国は外交ルート等を通じて、迅速な抗議・申入れを行っており、今後とも問題の平和的解決のために粘り強い外交努力を行っていく。(外務省)

○ 我が国の主権に関連して、ロシアによる不法占拠が続いている北方領土及び韓国による不法占拠が続いている島根県竹島を巡る問題に関し、引き続き外交的解決を目指し取り組んでいく。(外務省)

○ 我が国を取り巻く海洋の安全保障に関する環境を安定させ、不測の事態を防ぐため、沿岸国との海洋の安全保障に関する対話・協議・協力のチャンネルを重層的に構築していく。(外務省)

○ 周辺国等との間で排他的経済水域、大陸棚等の境界が未画定である中、相手国の国民及び漁船に対して取締り等の措置をとらないこととしている日韓・日中漁業協定上の水域等において資源管理が適切に行われるようにすることを含め、我が国の法的立場や海洋権益が損なわれることがないよう、外交努力を積み重ねていく。(外務省、農林水産省)

エ 同盟国・同志国等との連携強化

○ 同盟国・同志国等と連携し、航行・上空飛行の自由や安全の確保、法の支配を含む普遍的価値に基づく国際的な海洋秩序の維持・発展に向けた取組を進める。具体的には、シーレーンにおける脅威に対応するための海洋状況監視、他国との積極的な共同訓練・演習や海外における寄港等を推進し、多国間の海洋安全保障協力を強化する。また、海上交通の安全を確保するために、海賊対処や情報収集活動等を実施する。(外務省、国土交通省、防衛省)


(2)国際的な海洋秩序の維持・発展

ア 我が国の重要なシーレーンにおける取組

○ 国際機関への要員派遣等の取組のほか、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動等の国際協力活動への参加、その他の平素の交流を通じてシーレーン沿岸国等との信頼関係や協力関係を構築するとともに、中東地域における日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動やシーレーン沿岸国を含めた海上法執行能力向上支援、様々な機会を捉えた海上自衛隊の艦艇による寄港や巡視船の派遣、共同訓練、シーレーン沿岸国の警戒監視能力の向上に貢献する政府安全保障能力強化支援(OSA)等を全省庁横断的に連携して進めていく。(外務省、国土交通省、防衛省)

○ 国際社会と連携し、ソマリア沖・アデン湾での海賊対処行動を引き続き実施する。また、現在、海賊対処のために運営している自衛隊の活動拠点が所在するジブチは、西インド洋及び紅海を臨む要衝であることに鑑み、これまでの活用実績も踏まえつつ、同拠点を長期的・安定的に活用する。連合海上部隊(CMF*33*)と連携した情報収集や、違法な海上活動に関するコンタクト・グループ(CGIMA*34*)、第151連合任務群(CTF151*35*)等の国際的な協力枠組を通じて、関係国との連携の強化を図る。さらに、ソマリア及びソマリア周辺国の海上保安機関の能力向上及び海賊訴追・取締能力向上のため、国際機関を通じた支援及び二国間での支援を引き続き実施する。(外務省、国土交通省、防衛省)

○ 国際海事機関(IMO*36*)を通じた日本の支援により建設されたジブチ地域訓練センター(DRTC*37*)を、地域の海上法執行能力向上等を目的とした拠点として積極的に活用していく。(外務省)

○ 海賊対処法の適切な執行を実効的に行うとともに、海賊多発海域における日本船舶の警備に関する特別措置法(平成25年法律第75号)に基づく民間武装警備員による所要の乗船警備を推進する。また、諸外国の海上法執行機関等との連携・協力の強化やシーレーン沿岸国の海上法執行機関に対する能力構築支援等に取り組む。(外務省、国土交通省、防衛省)

○ アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP*38*)に基づく海賊情報の共有及び関係国と引き続き連携した航行援助施設の維持管理に関する協力並びに人材育成等を通じて、マラッカ・シンガポール海峡等における海賊対策、航行安全対策を実施するとともに、沿岸国の監視能力向上支援や海上法執行能力向上支援を行っていく。(外務省、国土交通省)

○ 太平洋島嶼国においても違法漁業対策や組織犯罪対策等を念頭に海上法執行能力の

向上支援を推進する。(外務省、国土交通省)

○ 我が国にとって重要なシーレーンにおける脅威・リスクの存在を踏まえ、シーレーンを航行する我が国関係船舶の安全確保のあり方について、海上交通の要素も含め、平素から関係省庁間で検討していく。(外務省、国土交通省、防衛省)

○ 我が国が単独でシーレーンの情報を網羅的に収集することは極めて困難であることから、我が国自身の努力に加え、同盟国・同志国等との協力体制を構築し、各国との連携やシーレーン沿岸国の海洋監視情報収集に係る能力向上に資する協力を推進する。

(内閣府、外務省、国土交通省、防衛省)

○ 我が国としても各国への海洋監視情報提供のあり方等の検討を進めるとともに、保全措置を含めた海洋監視情報提供に係る適切な体制を構築していく。(内閣府、外務省、国土交通省、防衛省)

イ 能力構築支援等

○ 我が国にとって重要なシーレーンにおける脅威・リスクの存在を踏まえ、同盟国・同志国・国際機関とも連携して、シーレーン沿岸国に対する能力構築支援等、装備・技術協力を含め、海洋における規律強化の取組を推進していく。(外務省、国土交通省、防衛省)

○ 同盟国・同志国等と連携しつつ、能力構築支援、共同訓練・演習、防衛装備・技術協力を始めとしたビエンチャン・ビジョン2.0(日ASEAN防衛協力の指針)に沿ったASEAN全体の能力向上に資する協力を推進していく。(防衛省)

○ シーレーン沿岸国の海上法執行能力の向上を図るため、海上保安庁モバイルコーポレーションチーム*39*を活用し、同盟国・同志国等と連携した能力向上支援等を推進していく。(国土交通省)

○ シーレーン沿岸国の能力向上のための支援を行うに当たっては、その具体化に向けて、対象となる沿岸国の能力及び当該国のニーズを適切に調査・評価し、関係国・機関が強化すべき能力分野を明らかにした上で支援を行う等、政府全体として、より戦略的・効率的な支援を追求していく。そのため、関係省庁が行っている支援の現状を適切に共有できる体制を構築する。(外務省、国土交通省、防衛省)

○ 上記関連支援の具体的な実施に際しては、同盟国である米国や、同志国、関係諸国との実務レベルでの連携強化の上、支援の調整を行い、不必要な重複を避け、効果的かつ効率的な支援を継続的に追求する。(外務省、国土交通省、防衛省)

ウ 「法の支配」の貫徹に向けた外交的取組の強化

○ G7、日米豪印、東アジア首脳会議(EAS*40*)、ASEAN地域フォーラム(ARF*41*)、拡大 ASEAN国防相会議(ADMM*42*プラス)といった国際的な枠組みや取組を活用した関係国・機関との連携に引き続き積極的に取り組んでいく。(外務省、防衛省)

○ 国際的な海洋秩序の形成に初期段階から積極的に関与するとの観点から、海洋関連の国際機関におけるトップを含む幹部ポストの確保及び日本人職員増加のための取組を引き続き行っていく。(外務省、国土交通省)

○ 国際法に基づく我が国の主張の効果的展開のため、我が国が主催する国際会議や国際法模擬裁判等の実施を通じ、諸外国の法律家との連携を強化し、人材育成に貢献していく。(外務省)

○ アジア諸国の海上保安機関の相互理解の醸成と交流促進により、海洋の安全確保に向けた各国の連携・協力、認識共有を図ることを目的とした「海上保安政策プログラム」を通じ、アジア諸国の海上保安機関職員の能力向上支援を行っていく。(国土交通省)

○ 海上保安機関がソフトパワーとして世界の海の秩序と安全の維持に貢献する観点から、シンクタンク機能を強化し、海洋の安全保障に関わる喫緊の課題に対して、海上保安分野における学術的な研究・分析を行い、その成果を対外的に発信していく。(国土交通省)

エ 戦略的な情報発信の強化

○ 我が国の海洋の安全保障の政策に関して、政府としての統一的なメッセージを出すべく関係省庁の連携を密にし、効果的かつ戦略的な情報発信を強化していく。(外務省)

○ 国際的な港湾は、開放的で、透明で、非排他的な運営の確保という国際スタンダードに適合的なものであるべきとの発信を積極的に行っていく。(外務省)

○ 日本海呼称問題については、我が国領海等における安全保障を確保する前提として、当該海域の呼称に対する正しい理解と我が国の立場への支持を確実に広めるべく、情報発信の強化等の外交努力を引き続き行っていく。(外務省)

オ 政府間の国際連携の強化

○ 法とルールが支配する海洋秩序に支えられた「自由で開かれた海洋」の維持・発展に向け、防衛当局間においては、二国間・多国間の様々なレベルの安全保障対話・防衛交流を活用して各国との海洋の安全保障に関する協力を強化し、海上保安機関間においては、地域の枠組を超えた「世界海上保安機関長官級会合」等の多国間の枠組を活用し、基本的な価値観の共有を推進していく。また、拡散に対する安全保障構想(PSI*43*)を始めとする大量破壊兵器等の拡散防止に係る国際協力に積極的に参画する。(警察庁、外務省、財務省、国土交通省、防衛省)


(3)海上交通における安全・安心の確保

○ 船舶安全性の向上、航行安全確保、海難等の未然防止のための適切な体制・制度の整備や、船舶検査や外国船舶の監督(PSC*44*)の着実な実施、海運事業者に対する運輸安全マネジメント評価の継続的な実施による安全管理体制の構築、事故や災害が発生した際の救助等、さらに、航行に関する安全情報等の周知や航路標識の整備・管理・運用といった、船舶交通の安全確保を始めとする海上安全のための施策や、脱炭素社会実現に向けたLNG・水素等危険物輸送量の増大に伴う海上災害対応の高度化・複雑化といった新たな課題を含め、事故や災害等が発生した際の対応力向上のための施策に取り組む。また、民間団体・関係行政機関と緊密に連携し、安全指導を含め、海難防止に関する意識の向上等、海難防止対策を推進する。そのほか、次世代のAIS*45*であるVHFデータ交換システム(VDES)の具体的な活用やシステム構築に向けた検討を進める。(国土交通省)

○ 令和4年12月に取りまとめた「旅客船の総合的な安全・安心対策*46*」に基づく措置を講じ、旅客船の安全・安心な運航の確保を図る。具体的には、①事業者の安全管理体制の強化、② 船員の資質の向上、③船舶の安全基準の強化、④監査・処分の強化、⑤船舶検査の実効性の向上、⑥安全情報の提供の拡充及び⑦利用者保護の強化といった旅客船の安全対策を ハード・ソフトの両面から重層的に強化し、事故の防止と被害の軽減を図る。(国土交通省)

○ 船舶など海上交通の安全に資するため、海上風・濃霧等の気象の状況、波浪・海面水温等水象の状況を観察し、これらに関する実況、あるいは予報・警報等の情報を適時・的確に発表するための体制、施設及び設備の維持・充実を図る。(国土交通省)

○ 社会的影響が著しい大規模海難の発生を未然に防止するため、海上交通センター等による船舶交通の安全に必要な情報提供、船舶に対する指導等を行う。また、船舶交通の安全のため、一定の船舶に対して義務づけている航路入航前の通報について、Webで通報することができるシステムの整備を推進する。これらを適切かつ効果的に実施するため、同センターの機能充実を図る。さらに、発生時に迅速かつ的確に対応するため、救助・救急体制、海上防災体制の充実・強化を図り、対応に万全を期す。また、民間組織との連携を図るとともに、近隣諸国との協議・訓練を的確に実施し、連携を強化する。

(国土交通省)

○ 海上交通の安全を確保するため、「海洋速報」として海況情報をインターネットで提供するとともに、船舶交通が輻輳する狭水道における潮流の観測体制と情報提供体制を強化する。(国土交通省)

○ 電子海図を含む水路図誌を活用した船舶交通の安全性を向上するため、国際水路機関(IHO*47*)における国際ルールの策定に積極的に参画し、利便性の高い航海安全情報の提供方法を検討するとともに、引き続き、水路の測量及び海象の観測を着実かつ計画的に実施し、次世代電子海図を見据えた高密度の水深情報、時間変化する潮汐情報等の情報充実と情報提供の高機能化に取り組む。(国土交通省)

○ 海難事故が発生した際の巡視船や航空機による捜索救助活動や流出油の防除活動を迅速かつ的確に実施するため、関係省庁連携の下、海象データの不足海域の解消、データを管理するシステムの強化、予測モデルの改良等による漂流予測手法の改善を進め、漂流予測を正確に行う。(国土交通省)

○ 不測の事態に備える体制づくりを継続する観点から、船内環境の特殊性及び船員が社会活動維持に不可欠なエッセンシャルワーカーであることを踏まえたワクチン接種の弾力的な実施を始めとした感染症対策を関係機関が連携して徹底する。(厚生労働省、国土交通省)

○ ダイヤモンド・プリンセス号の事案の教訓を踏まえ、旅客船事業者、港湾関係者等が常に最新の知見に基づいて感染拡大予防に関わる対応策を徹底する。(国土交通省)

○ 自動運航船の実用化に関し、船舶交通の安全確保の観点から、関係する条約に係る議論への対応や海上交通法令の改正等の検討に取り組む。(国土交通省)

○ 洋上風力発電設備の周辺海域では、再エネ海域利用法に基づく協議会等の枠組みを活用し、事業者・地方公共団体等と連携して船舶交通の安全確保を図る。(経済産業省、国土交通省)


(4)海域で発生する自然災害への防災・減災

○ 津波・高潮等の海洋由来の大規模な災害の発生時等の非常事態等に備えて、過去の教訓に基づき適切な司令塔のあり方について検討を行う。特に、G7広島サミット及び関係閣僚会合並びに2025年日本国際博覧会の開催に当たり、大規模な自然災害へ適切な対応が可能な体制を整備する。(内閣府、国土交通省、防衛省)

○ 海洋由来の自然災害への対策については、災害の未然防止、災害の被害予測、災害発生時における被害の拡大防止、被災者の救助活動の強化及び災害の復旧等の観点から、平素から被害軽減のための観測・調査を継続するとともに、必要な対策・措置に取り組む。また、小型船舶を含む船舶等の位置を把握できる体制を構築するほか、適切な対応のための関係府省間の情報共有体制を確立する。(内閣府、文部科学省、農林水産省、国土交通省)

○ 海域で発生する地震やそれに伴う津波の防災・減災に資するため、特に海底での地震・津波・地殻変動観測を定常的に実施し、緊急地震速報や津波警報、南海トラフ地震臨時情報等の防災気象情報を適時適切に発表する体制を維持整備する。(文部科学省、経済産業省、国土交通省)

○ 津波・高潮等による被害をできる限り軽減するため、海岸堤防の整備や耐震化、水門等の統廃合や自動化・遠隔操作化等の海岸保全施設等の整備を推進するとともに、施設の適切な維持管理、海岸防災林の整備等を推進する。また、大規模津波に対しても減災機能を発揮する「粘り強い構造」を有する堤防の整備を推進する。さらに、国土保全の観点から、砂浜保全等の侵食対策を推進する。(農林水産省、国土交通省)

○ 最大クラスの津波・高潮等から人命を守るため、津波災害警戒区域の指定等による津波防災地域づくりを推進し、国において関係部局が一体となって都道府県や市町村への支援体制を構築する。また、最大クラスの高潮浸水想定区域等の指定を推進する。(農林水産省、国土交通省)

○ 気候変動に伴い想定される高潮偏差の増大、波浪の強大化や海面水位上昇といった災害リスクの増大に備えるため、海岸保全基本計画の見直し、気候変動影響を防護目標に取り込んだ海岸保全施設の整備を推進する。また、気候変動に適応した漁港施設の整備を推進する。(農林水産省、国土交通省)

○ 自然災害の激甚化、頻発化により、倒壊、損傷が生じるおそれのある航路標識等の耐災害性強化対策を図るとともに、災害情報等の提供を行う。(国土交通省)

○ 大規模地震時の緊急物資輸送等を確保するため、港湾における岸壁及び護岸等の耐震化を図る。(国土交通省)

○ 非常災害時等における国による港湾施設の管理制度等を踏まえた訓練や基幹的広域防災拠点の運用体制の強化を図るとともに、港湾事業継続計画(BCP*48*)の改善や広域港湾BCPの策定を推進する。さらに、港湾の堤外地等における高潮対策を推進する。(国土交通省)

○ 迅速に緊急支援物資等の海上輸送を行うための体制の強化を図る。また、大規模災害時の輸送等に重要な役割を果たす民間船舶について、地方公共団体と事業者等が連携して、緊急輸送活動等に船舶を活用するための環境整備を進める。(国土交通省)

○ 津波・台風等に対する避難勧告等の適切な運用を始め、船舶の安全対策を図る。(国土交通省)

○ 港湾内の船舶の避難等の津波対策及び地方公共団体による津波ハザードマップ作成に活用するため、津波防災情報図の整備を推進する。(国土交通省)

○ 日本海溝海底地震津波観測網(S-net*49*)、地震・津波観測監視システム(DONET*50*)等の既設の海底地震・津波観測網を着実に運用するとともに、利活用の手法を更に充実していく。また、新たに南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の構築・運用を行う。(文部科学省)

○ 津波、高潮等の状況を観測し、これらに関する実況あるいは予報・警報等の情報を適時・的確に発表する。また、情報の内容の改善、情報を迅速かつ適切に収集・伝達するための体制及び施設、設備の充実を図る。(国土交通省)

○ 巨大地震と津波に対する防災・減災に資するため、全国約1,300点の電子基準点(GNSS 連続観測点)の変位量を自動計算することにより、 地震規模・岩盤のずれをリアルタイムで推定するシステム「REGARD」の運用と、さらなる高度化に向けた開発を継続する。(国土交通省)


2.海洋状況把握(MDA)の能力強化


(1)情報収集体制

○ 主として防衛省・自衛隊、海上保安庁及び内閣官房(内閣情報調査室)等が保有する艦艇、巡視船艇、測量船、航空機及び情報収集衛星を始めとする人工衛星等や沿岸部設置のレーダー等の効率的な運用と着実な増強に加え、JAXAや民間等の各種衛星等の活用も視野に入れ、また、同盟国、同志国等と連携し、情報収集体制強化を通じて、MDA 能力を強化する。(内閣官房、内閣府、外務省、財務省、文部科学省、国土交通省、防衛省)

○ 準天頂衛星の機数増等の取組、衛星搭載センサーに関する技術開発及び船舶自動識別装置(AIS)受信機を搭載した衛星の普及、小型衛星等各種衛星に関する諸外国の取組等を踏まえ、衛星AISによる船舶航行状況をより正確に把握するための実証実験の実施など、MDAにおける衛星情報の更なる利活用について研究や検討を行う。(内閣府、文部科学省)

○ 海水温、海流、海氷等の海況監視、漁業者に対する漁場情報の提供、海洋上を含む地球規模の温室効果ガスの観測や気候変動予測等の分野において、衛星情報の利用を引き続き推進する。(文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 海洋調査の効率化・精緻化を図るためのセンサーやAUV等を活用した自動観測技術の開発に引き続き取り組む。また、AIS等による船舶動静情報の収集や、AI技術を活用した新しい船舶動静の把握手法及びこれらの情報を船舶交通の安全確保に有用に活用することについて検討を進める。(文部科学省、国土交通省)

○ 海洋気象観測船、漂流型海洋気象ブイ、沿岸波浪計、潮位計、気象衛星ひまわり、気象レーダー等を用いた気象・水象観測を実施するほか、地震・津波観測を実施する。(国土交通省)


(2)情報の集約・共有体制

○ 海洋監視情報の集約・共有に当たっては、海洋監視情報の機密性に応じ、関係府省間で機動的かつ迅速な情報共有が可能となる有機的な情報共有体制を構築していくとともに、漁業者からの情報提供を始め、民間機関との連携も強化する。(内閣府、外務省、農林水産省、国土交通省、防衛省)

○ 防衛省・自衛隊と海上保安庁との間の情報共有システムの整備を進め、二者間の情報共有体制を充実させる。(国土交通省、防衛省)

○ MDAの能力強化の一環として、公表されている情報や学術情報を含めた各種ソースからの海洋関連情報を集約する海洋状況表示システム「海しる」の機能強化及び運用を行う。「海しる」の機能強化・運用に当たっては、関係機関等が運用する各種海洋情報サービスや、地理空間情報活用推進基本計画(令和4年3月閣議決定)等に基づき整備される地理空間情報との連携を強化する。「海しる」による海洋情報の提供については、利用者のニーズを調査し把握したうえで、データ内容及び見せ方を含むデータ提供のありかたのアップデートに随時取り組む。加えて、国及び地方公共団体による海洋調査で得られた情報を始め、国等が海洋政策を進める上で収集・整備した海洋情報については、情報の機密性等に応じた適切な取扱いを確保しつつ、「海しる」を通じた関係者間での情報共有を一層推進することによって、海洋政策の効率的な推進と産業活動への利用促進を図る。(内閣官房、内閣府、国土交通省)

○ 観測データの価値を向上するため、係留・漂流ブイ、船舶、衛星等の異なる手法で得られた観測データの統合(数値予報モデルへのデータ同化等)を推進する。また、数値モデルを高精度化する等により、気候変動、海洋酸性化、海況等の実態把握とスーパーコンピュータを用いた予測の精度向上を図るとともに、情報の可視化等その内容の充実に取り組む。さらに、これらの成果の幅広い利用を促進するため、「海洋の健康診断表」等での情報公開に取り組む。(文部科学省、国土交通省)

○ 関係機関の協力の下、日本海洋データセンター(JODC*51*)において各種海洋情報の収集・管理・提供を実施するとともに、海洋情報クリアリングハウスを引き続き運用し、その充実を図る。また、これらの取組と海洋状況表示システム「海しる」との連携を進める。(内閣府、国土交通省)


(3)国際連携・国際協力

○ 海洋状況表示システム「海しる」については、多言語化等の機能強化及び情報の拡充を行い、国際社会との連携に活用する。(内閣府、国土交通省)

○ 二国間及び多国間での取組を効果的に組み合わせ、MDAに関する国際連携・国際協力を強化し、これらの取組を通じて得た海洋情報を多様な海洋政策の実施に適切に活用する。(内閣府、外務省、国土交通省)

○ 諸外国、国際機関等が保有する海洋情報について、各種ルートを通じて情報収集を図る。(内閣官房、内閣府、外務省、財務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省)

○ 我が国自身の努力に加え、MDAに関する同盟国・同志国等との協力体制を構築し、各国との連携やシーレーン沿岸国の海洋状況把握に係る能力向上に資する協力の推進を通じ、MDA体制を強化していく。(内閣府、外務省、国土交通省、防衛省)


3.離島の保全等及び排他的経済水域等の開発等の推進


(1)離島の保全等

ア 国境離島の保全・管理

① 国境離島及び低潮線の安定的な保全・管理の推進

○ 国境離島の保全・管理に当たっては、内閣府が中心となり関係省庁や地方公共団体とも連携の上、測量、巡視、航空写真及び情報収集衛星により国境離島の基線周辺の状況把握を行うことや、国境離島における自然環境に関連した法令等に基づく指定状況等の属性情報をデータベースにより相互共有することを通じて、国境離島の正確な現状把握を行うとともに、その結果について定期的に公表する。また、各国境離島について、その機能が損なわれた場合の影響度等に応じた重み付けを行い、特に重点的な確認が必要と考えられる国境離島について、状況把握の取組を強化するとともに、その機能が損なわれるおそれが生じた場合は、内閣府が中心となり関係省庁と連携の上、対応策を検討する。(内閣官房、内閣府、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省、防衛省)

○ 国境離島を含む我が国の領土を明示し、日本の領土についての正確な理解が国内外に広がるよう、離島における地理空間情報の整備をいっそう推進する。(国土交通省)

○ 排他的経済水域等の外縁を根拠付ける低潮線の保全のため、低潮線保全法及び「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する基本計画」(平成22年7月閣議決定)に基づき、低潮線保全区域内の海底の掘削等の行為規制を行う。また、船舶、ヘリコプター等を活用した継続的な巡視や空中写真の周期的な撮影、衛星画像等による低潮線保全区域の状況を把握するための調査を実施する。(国土交通省)

○ 低潮線の保全を確実かつ効率的に実施していくため、低潮線に係る位置、行政区分、図面、写真、利用状況等の情報及び低潮線の所在する離島に係る名称、位置、施設等の情報について関係機関での共有を可能とするデータベースを維持・更新し、低潮線に関する各種情報を一元的に管理する。(国土交通省)

○ 国土保全上極めて重要であり国が直轄管理している沖ノ鳥島については、海岸法に基づき人為的損壊等を防止するための行為の規制を行うとともに、島の基盤をなすサンゴ礁を保全する。また、海岸保全施設の維持・整備による侵食防止の措置等を推進する。その他離島の海岸保全区域についても国土保全の観点から、低潮線と一体的に侵食対策や保全等を推進する。(農林水産省、国土交通省)

○ 海洋資源の開発及び利用や海洋調査等の諸活動を、本土から遠く離れた離島や海域においても安全かつ安定的に行うことができるよう、人員、物資等の輸送や補給に必要な拠点施設として、特定離島(沖ノ鳥島及び南鳥島)において、特定離島港湾施設の整備を推進するとともに、国による港湾の管理を実施し、その利活用を図る。(内閣府、国土交通省)

○ 有人国境離島法及び同法に基づく「有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する基本的な方針」(平成29年4月内閣総理大臣決定)に則し、有人国境離島地域が有する領海保全等に関する活動拠点としての機能を維持するとともに、特定有人国境離島地域において継続的な居住が可能となる環境の整備を図るため、地方公共団体への支援など保全及び地域社会維持の施策を推進する。(内閣官房、内閣府、警察庁、総務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省)

○ 重要土地等調査法及び「重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本方針」(令和4年9月閣議決定)に基づき、安全保障上重要な施設の周辺や国境離島等における土地等について区域の指定を行い、指定した区域内の土地等の利用状況の調査を実施するなど、同法を着実に執行する。(内閣府)

② 離島における安全確保や観測活動の実施

○ 海上交通の安全確保の観点から、離島に設置されている灯台等の航路標識の整備・管理を行う。(国土交通省)

○ 台風、地震、津波等の自然災害による被害防止・軽減の観点から、離島の気象・海象観測施設等の整備等及び適切な維持管理を進めるとともに、地上・高層の気象観測、温室効果ガス、日射放射等の観測を継続して実施する。(国土交通省)

③ 離島及び周辺海域の自然環境の保全

○ 海洋によって他の地域から隔離され、独特の生態系が形成され、また、サンゴ礁やマングローブ林等における豊かな生態系を有する離島は、陸域から過剰に流入する赤土等の土砂や栄養塩など人間の諸活動、外来種の侵入及び気候変動による影響を受けやすい脆弱な地域であることから、これらの離島の貴重な生態系等の適切な保全、管理、再生により、生物多様性の確保に取り組むことに加え、貴重な漁場として環境の保全・再生及び整備や漁業者や地域住民により行われる藻場、干潟、サンゴ礁等の維持管理等の取組を促進する。(農林水産省、環境省)

○ 離島の優れた自然の風景地や海域景観、自然海岸等を保全するため、海岸の適正利用、自然公園制度の適切な活用を図る。(農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 漂流・漂着ごみや流木の撤去及び島外への輸送や廃棄物処理施設の整備を推進する。(環境省)

イ 離島の振興

① 離島における産業の振興等

○ 定住を促進するための海上輸送費の軽減等戦略産業の育成による雇用拡大等の取組、デジタル技術等の新技術を活用する取組、観光の推進等による交流の拡大促進の取組、安全・安心な定住条件の整備強化等の取組を支援する。(国土交通省)

○ 離島の漁業を維持・再生させるため、離島の漁業集落を対象に、共同で漁業の再生等に取り組む活動に対して支援する。(農林水産省)

○ 離島の産業の振興を促進するための事項が定められた計画に記載されている地区等における製造業、農林水産物等販売業、旅館業、情報サービス業等の用に供する機械等の新増設を促進する。(国土交通省)

○ エネルギーの安定的かつ適切な供給及び環境負荷の低減を図る観点から、離島の自然的特性を活かした再生可能エネルギーの利用を促進する。(環境省)

○ 地域の創意工夫を活かした振興を図るため、離島特区制度について総合的に検討する。(国土交通省)

② 交通通信の確保

○ 離島住民の利便性の確保や地域資源を活用した海事観光の振興等を図る観点から、離島航路、離島航空路の安定的な確保維持を支援する。(国土交通省)

○ 本土に比べて割高となっている離島の石油製品について、安定的かつ低廉な供給を図るため、ガソリン小売価格を実質的に引き下げるための支援等を行う。(経済産業省)

○ 情報の流通の円滑化を図り、高度情報通信ネットワーク等の通信体系を整備するため、超高速ブロードバンド、携帯電話等のサービスの利用を可能とするための施設や伝送路の整備を支援する。(総務省)

③ 医療の確保及び教育文化の振興

○ 離島に住む妊婦が、その島を離れて妊婦健診・分娩する際の経済的負担の軽減を図る。(内閣府)

○ 高校未設置の離島に住む高校生が、島外に通学又は居住する際の経済的負担の軽減を図る。(文部科学省)

④ 基盤の整備

○ 離島の産業振興の基盤となる道路、港湾、農林水産基盤等や定住環境の向上のための生活基盤の整備を推進する。(農林水産省、国土交通省)


(2)排他的経済水域等の開発等の推進

ア 排他的経済水域等の確保等

○ 大陸棚の延長に関し、「大陸棚の延長に向けた今後の取組方針」(平成26年7月総合海洋政策本部決定)に沿って取組を進める。(内閣府、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省)

○ 我が国と他国の排他的経済水域及び大陸棚が重複する海域が存在することに伴う問題については、国際法に基づいた解決を目指す。(外務省)

○ 上記の取組を進めるためにも、排他的経済水域等についても、国連海洋法条約を中心とした国際ルールが適切に実施され、「法の支配」に基づく海洋秩序が維持・強化されるよう取り組む。(内閣府、外務省)

イ 排他的経済水域等の有効な利用等の推進のための基盤・環境整備

○ 排他的経済水域等の有効な利用等を図るため、水産資源の持続的利用、保護及び増大に資する漁場の整備を推進する。(農林水産省)

○ 排他的経済水域等の有効な利用等に係る基盤情報を整備するため、海洋調査の推進と海洋情報の一元化を進め、情報の戦略性等に配慮した上で海洋情報の公開に引き続き取り組む。(内閣府、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省)

○ 排他的経済水域等における主権的権利の更なる行使のための法整備については、まず、個別具体的な課題に対応して進めることとし、このような対応を積み重ねていく中で、主権的権利の更なる行使に関わる法制度のあり方を検討する。また、諸外国においても導入事例のある海洋空間計画については、その実態の把握に努めるとともに、我が国の海洋空間計画として既に取り組まれている管轄海域における法令の適用による規制や利用の実態の整理について、海洋状況表示システム「海しる」における共有・可視化を進める。その上で、排他的経済水域等における他の個別課題への展開や、複合的な海域利用への適用を検討する。(内閣府、外務省、農林水産省、国土交通省)


4.海洋環境の保全・再生・維持


(1)海洋環境の保全等

ア 生物多様性の確保等の推進

○ SDGs、生物多様性条約(CBD*52*)及びCBDの下で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」等の国際枠組み、国連持続可能な開発会議(RIO+20*53*)成果文書等を適切に実施するため、「次期生物多様性国家戦略」等に従い、生物多様性の保全及び持続可能な利用に向けた取組を実施する。さらに、「国連海洋科学の10年」、「国連生態系回復の10年」等の国際的イニシアティブの下、国際会議等において、我が国として指導力を発揮する。(外務省、環境省)

① 海洋保護区の適切な設定及び管理の質的充実の推進

○ 「生物多様性の観点から重要度の高い海域」(平成28年4月環境省公表)を踏まえ、海域の生態系の特性や社会的・経済的・文化的要因を考慮し、また、気候変動の影響への適応策としての重要性も念頭に置き、30by30ロードマップ(令和4年4月生物多様性国家戦略関係省庁連絡会議公表)に基づき、2030年までに管轄権内水域の30%を適切に保全・管理することを目的として、海洋保護区や保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM:Other Effective area-based Conservation Measures)(以下「海洋保護区等」という。)の設定を推進する。(農林水産省、環境省)

○ 沿岸域では、国立公園の海域公園地区の面積を2030年までに倍増させるなど、保護地域の拡充を目指すほか、民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を国が「自然共生サイト」として認定することなどを通じて、管理の充実を推進する。さらに、「国連生態系回復の10年」を踏まえ、劣化したサンゴ礁、藻場等の回復を推進する ことで、生物多様性の保全に資する地域の拡大と質の向上を図る。(環境省)

○ 沖合域では、「生物多様性の観点から重要度の高い海域」等の科学的根拠を踏まえ、海洋保護区の設定を検討するほか、持続可能な産業活動が結果として生物多様性に貢献している海域を海洋保護区等として整理することを検討する。また、海洋保護区等を実効的に管理し、区域内の生物多様性の保全の質を高めるため、既存のデータのほか、ドローン、環境DNAなど新たな技術の活用を含む効率的なモニタリング手法の検討及びその結果を踏まえたモニタリング調査を行う。(農林水産省、環境省)

○ 海洋保護区等は漁業資源の持続的利用に資する管理措置の一つであり、漁業者の自主的な管理によって、生物多様性を保存しながら資源を持続的に利用していくような海域も効果的な保護区等となり得るという基本認識の下、漁業者等への海洋保護区等の必要性の浸透を図りつつ、海洋保護区等の設定を推進するとともに、保護区等における海洋生態系の保全に資する管理の質的な充実に重点的に取り組み、海洋資源を含む海洋生態系に関するモニタリングや管理の有効性に関する指標の検討を行うなど、管理の実効性や効果に関する検証を踏まえた順応的管理を推進する。(農林水産省、環境省)

② 脆弱な生態系の保全への取組

○ サンゴ礁、藻場、干潟、砂浜・砂州・砂堆、マングローブ林等に形成される生態系は、気候変動に伴う海水温上昇や、海洋酸性化等の影響を受けて、脆弱性が高まっており、また、これらの生態系は、生物多様性の確保や水産資源を含む多様な生物の生息・生育の場として重要な機能を有していることから、そうした場の衰退要因を的確に把握しつつ、その保全や再生に向けて積極的に取り組む。(農林水産省、国土交通省、環境省)

○ サンゴ礁においては、「サンゴ礁生態系保全行動計画2022-2030」(令和4年3月環境省策定)に基づき、サンゴ礁生態系の健全性を向上させ、回復力を高めるための人為的圧力の低減を始めとした適応策の実施に取り組むとともに、その劣化の状況を把握するためのモニタリングを推進し、その成果も適応策に活かしていく。(農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 希少動植物の保全のための基礎的な資料であるレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)について、関係省庁が連携し、レッドリスト作成の手引に基づいて、海洋生物も対象としたレッドリストの改訂作業を進める。(農林水産省、環境省)

③ 国家管轄権外区域の海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用の推進

○ 国連海洋法条約の下で、国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)の保全及び持続可能な利用を目的とする条約の内容が合意に達したことを受け、条約上の義務の国内実施のための検討状況等を踏まえ適切に対応する。(内閣府、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、環境省)

イ 気候変動・海洋酸性化への対応

○ 海水温上昇、海洋酸性化等の海洋環境や海洋生態系に対する影響を的確に把握するため、海洋における観測・監視を継続的に実施する。また、気候変動及びその影響の予測・評価に関する取組を進めるとともに、科学的知見を踏まえ、予防的アプローチの考え方も取り入れることに加え、気候変動の将来予測も含めた防護・利用・環境保全のバランスを勘案した上で、海洋における適応策に関する各種取組を実施する。(文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 海洋観測データの充実、更なる精緻化を目指すとともに、効率的な海洋観測の実現のため、観測の自動化技術の開発向上に取り組むとともに、その国際標準化に取り組む。(文部科学省、国土交通省)

○ 気候変動適応法(平成30年法律第50号)に基づき、おおむね5年ごとに気候変動の影響の総合的な評価を実施する。また、海洋における気候変動及びその影響等様々な気候リスク情報を集約し、各主体の適応の取組を支える情報基盤である「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」を充実させる。(環境省)

○ 脆弱な生態系が海水温上昇、海洋酸性化等により深刻な状況にあることを踏まえ、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」、「地球温暖化対策計画」(令和3年10月閣議決定)に即して、気候変動の緩和の取組を実施する。(環境省)

○ 海洋生態系により蓄積される炭素であるブルーカーボンを活用した二酸化炭素吸収に係る取組について、藻場・干潟等及び生物共生型港湾構造物といったブルーインフラを全国の港湾に拡大し、ブルーカーボン生態系の保全・再生・創出を推進する。(国土交通省)

○ 温室効果ガスの排出増大により、気候変動に伴う海水温上昇や、海洋酸性化といった海洋環境問題が引き起こされることについて、広く国民の理解を得ていく努力を行う。(文部科学省、国土交通省、環境省)

○ 地球全体の海洋変動を把握するための国際的プロジェクトである「アルゴ計画*54*」を含め、国際枠組の下で実施される観測データ等の共有に参画・貢献するとともに、ユネスコ政府間海洋学委員会(UNESCO/IOC)等を通じた科学研究の支援を積極的に推進し、科学的根拠に基づいた国際的な合意形成に貢献していく。(文部科学省、国土交通省)

ウ 海洋ごみへの対応

○ 海洋ごみ(漂着ごみ、漂流ごみ、海底ごみ)について、良好な景観や環境の保全等を図るため、実態等が未解明で実質的な回収が困難なマイクロプラスチックへの対応も含め、その削減に向け、多様な主体の参画や連携の下、実態把握、回収処理や発生抑制対策、国際連携を総合的に推進していく。とりわけプラスチックについては、2019年のG20サミットで共有された大阪ブルー・オーシャン・ビジョン*55*も踏まえ、2022年11月に開始したプラスチック汚染に関する条約の交渉を主導し、海洋環境を含むプラスチック汚染を終了させるため、国際的な合意形成に貢献していく。(外務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省)

○ マイクロプラスチックを含む海洋ごみについて、モニタリング方法の高度化等の研究開発を推進するとともに、海洋等環境中の分布状況や、海洋生物や生態系への影響等の調査研究を継続的に実施する。また、G7での取組等を踏まえ、モニタリング手法の国際的な調和の推進等を通じて地球規模での分布状況の解明に貢献する。(文部科学省、環境省)

○ 地方公共団体や事業者等による地域の実情に応じた海洋ごみの回収・処理や、海洋ごみの処理に必要な廃棄物処理施設の整備等を支援する。(農林水産省、環境省)

○ 災害時等における海岸管理者等による緊急的な流木等の処理を支援する。(農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 海洋環境の保全を図るため、漂流ごみや油の回収・処理を実施する。(国土交通省)

○ 国外起因の廃ポリタンク等の海岸漂着物について、実態把握を行うとともに、必要に応じて発生国への申入れ等の対応を行う。(外務省、環境省)

○ 陸域から河川等を通じて海域に流入するごみを含めた海洋ごみの発生抑制の更なる推進のため、使い捨てプラスチック容器包装等の廃棄物の発生抑制(リデュース)や再資源化(リサイクル)、いわゆるポイ捨てを含む不法投棄の防止、河川美化等について、教育やライフスタイルの観点も念頭に置きつつ、関係機関が連携して、普及啓発を含めて総合的に対策を講ずる。(国土交通省、環境省)

○ 国際枠組み等における海洋ごみに関する調査研究、人材育成等に関する協力を通じて、特にアジア地域における海洋ごみの実態把握や排出削減に貢献する。(環境省)

エ 海洋汚染の防止

○ 「ロンドン条約1996年議定書」を国内担保する海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号。以下「海洋汚染等防止法」という。)に基づき、廃棄物の海洋投入処分及び特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄等に係る許可制度を適切に運用するとともに、環境保全の観点からCCS(二酸化炭素の回収・貯留)事業に係る制度的課題等について海洋汚染等防止法の見直しを含む所要の措置を講ずる。(環境省)

○ 海洋汚染防止条約(MARPOL条約*56*)(改正議定書を含む。)及び船舶バラスト水規制管理条約等の国際約束を遵守する観点から、船舶からの油、有害液体物質、廃棄物等の排出に係る規制、廃油処理施設の確保、有害水バラスト処理装置の確認など、適切な対応を図る。(国土交通省、環境省)

○ 油、有害液体物質等による海洋汚染に関しては、「油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」(平成18年12月閣議決定)等に基づき、油等防除活動等を効果的に行うための沿岸海域に係る環境情報の整備、油防除・油回収資機材の整備、関係機関に対する研修・訓練の実施など、流出油等の防除体制を充実する。また、船舶事故等で発生する流出油による海洋汚染の防止等を図るため、関係機関と連携し、大型浚渫兼油回収船を活用するなど、流出油の回収を実施する。さらに、国際油濁補償基金に対する世界有数の拠出国の一つとして、その健全な運営等のために引き続き積極的に参画するほか、船舶油濁等損害賠償保障法(昭和50年法律第95号)に基づく保障契約締結の確認及び保障契約を証する書面の発給、放置船からの油流出への適切な対応等を通じ、我が国へ入港する外航船舶に対して、油汚染事故損害への的確な対応を図る。危険物質及び有害物質の海上輸送に伴って生じる損害への対応のあり方についての検討を進める。(国土交通省)

オ 放射線モニタリング等

○ 海洋における放射線モニタリングについて、関係省庁・機関の連携の下、海水、海底土及び海洋生物のモニタリングを引き続き実施する。特に、東京電力福島第一原子力発電所事故に係るモニタリングについては、長期的な視点を踏まえ、総合モニタリング計画に沿って、関係機関連携の下、同発電所近傍海域や沿岸海域、沖合海域、外洋海域における、海水、海底土及び海洋生物に含まれる放射性物質の濃度の測定を実施する。また、陸地から河川を通じて海へ流出した放射性物質の経路や、広がりの状況等も考慮し、モニタリングの充実・強化を図る。さらに、これらモニタリングの結果、必要となる対策を実施する。(農林水産省、国土交通省、環境省)

カ 海洋の開発・利用と環境の保全との調和

○ 海洋の開発・利用に当たっては、環境への影響を評価する上で必要となるデータを収集するとともに、事業開始後の事後調査を含めて、環境への影響の評価のあり方に関する検討を行う。また、洋上風力発電に係る環境アセスメント制度について、立地や環境影響などの洋上風力発電の特性を踏まえた最適な在り方を、関係省庁、地方公共団体、事業者等の連携の下検討する。(経済産業省、環境省)

○ CCSについて、事業者が実施する環境影響評価や監視の結果の妥当性を適正に判断するため、日本近海における生態系並びに海水及び底質の化学的特性の調査を活用するとともに、適切な事業実施に向けた監視技術の適用方策について検討する。(環境省)

○ 環境影響評価に資する生物化学的データの観測を強化するため、観測機器の整備やセンサーの開発に取り組むとともに、環境影響の評価のあり方に関する検討及びその成果を踏まえ、関係機関との協力の下で国際ルールの形成に貢献する。(文部科学省)

○ 港湾整備に伴い発生する土砂類や、一般廃棄物等を最終処分するための海面最終処分場について、廃棄物の適正な処理の推進と港湾の秩序ある発展に資する観点から海域環境に配慮しつつ、整備を進める。(国土交通省)


(2)沿岸域の総合的管理

ア 沿岸域の総合的管理の推進

○ 沿岸域の総合的管理に当たっては、森・里・川・海のつながり、流域全体の水循環や生態系管理を意識し、問題解決に必要な一定の広がりにおいて、人が関わって、より良い海をつくって豊かな恵みを得るという「里海」づくりの考え方を積極的に取り入れつつ、自然災害への対応、生物多様性の保全や海洋ごみ対策等を含めて総合的に取り組む。こうした取組の推進において中心的な役割を果たすことが期待される協議会活動の普及拡大等を図るとともに里海の保全と利活用の好循環形成等により「里海」づくりの取組が持続可能なものとなることを目指す。また、このような総合的な視点をもって沿岸域の管理を行っている取組事例などを含めて、沿岸域の総合的な管理において活用可能な情報に関するデータベースを構築するとともに、沿岸域に関する情報について、海洋状況表示システム「海しる」等による情報共有を進める。(内閣府、農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 海洋の持続可能な利用・開発・保全を進める必要性が高まっている沿岸・離島地域において、海洋産業に関する産学官のステークホルダーが一体となったブルーテッククラスター*57*の形成を支援し、海洋科学技術の活用によるイノベーション創出や事業化を後押しする。(国土交通省)

イ 陸域と海域との一体的・総合的な管理の推進

① 総合的な土砂管理の取組の推進

○ 陸域から海域への土砂供給の減少や沿岸構造物による沿岸漂砂の流れの変化等による国土の減少や自然環境への影響を軽減するため、関係機関が連携して、砂防施設による流出土砂の調整、ダムにおける堆砂対策やダム下流への土砂還元、港湾・漁港における養浜(サンドバイパス)の実施や航路・泊地の浚渫土の養浜材としての活用、海岸における侵食対策の実施など、総合的な土砂管理に取り組むとともに、土砂移動の実態把握や予測手法の向上に係る研究開発に取り組む。(国土交通省)

② 自然に優しく利用しやすい海岸づくり

○ 海岸域において、海岸法(昭和31年法律第101号)に基づく「海岸保全区域等に係る海岸の保全に関する基本的な方針」(平成12年5月農林水産大臣、運輸大臣(当時)、建設大臣(当時)策定)を踏まえ、全国を71の沿岸域に分割し、地域の意見を反映した「海岸保全基本計画」を策定している。この計画に基づき、災害からの防護に加え、海岸協力団体制度の活用等を通じ、地域住民による利用の促進や環境の維持に係る取組等が調和するよう海岸空間の保全を行う。(農林水産省、国土交通省)

○ 新技術を活用した海岸保全施設等の点検・モニタリング手法等の開発やその普及に取り組み、適時・的確なモニタリングを通じた順応的な海岸侵食対策等の海岸整備を推進することで良好な海岸環境の保全・創出に努める。(農林水産省、国土交通省)

○ 優れた自然の風景地について、自然公園として適切に保全を図る。(環境省)

○ 海岸防災林を含む海岸林、湿地、砂浜、サンゴ礁等が有する非常時における防災・減災の機能及び平時における生態系保全等の機能を評価し、各地域の特性に応じて、自然生態系や地形等を積極的に活用した防災・減災対策を推進する。(農林水産省、国土交通省、環境省)

③ 栄養塩類*58*及び汚濁負荷の適正管理と循環の回復・促進

○ 陸域から流入する汚濁負荷を削減するため、未普及地区での下水道等汚水処理施設の整備や合流式下水道の改善を進めるとともに、農業用排水施設や河川における水質浄化を推進する。(農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 栄養塩類の削減が必要な海域においては、水質を改善するため、下水道等汚水処理施設の整備や高度処理の導入を進めるとともに、関係機関連携の下、陸域と海域が一体となった栄養塩類の循環システムの検討、構築を進める。また、栄養塩類の不足によって水産資源の持続的な利用の確保等が課題となっている海域においては、環境への影響等を考慮しつつ、環境基準値の範囲内で栄養塩類を管理する順応的な取組の事例を積み重ねつつ、きめ細やかな水質管理の方策を検討する。(農林水産省、国土交通省、環境省)

ウ 閉鎖性海域での沿岸域管理の推進

○ 閉鎖性海域では、環境負荷の適正管理や保全・再生に向け、「全国海の再生プロジェクト」や海洋環境整備事業等の諸施策を展開する。また、「きれいで豊かな海」の実現に向けて、水質、海水温上昇、生物生息場の変化等と生物多様性や生物生産性の関係性についての調査及び研究に努めるとともに、科学的な知見を踏まえて方策について検討し、地域における多様な主体が海の将来像を議論し、連携・協働した計画的かつ総合的な取組を推進する。(農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 栄養塩類を適正管理するため、高度処理等の下水道の整備を推進するとともに、湾奥部等における流況改善対策や汚泥場等の浚渫及び覆砂等を実施する。(農林水産省、国土交通省)

○ 海水交換の悪い閉鎖性海域における陸域からの栄養塩類の負荷を適正管理するため、全窒素、全りん及び化学的酸素要求量(COD)について排水規制を実施するとともに、陸域からの汚濁負荷量の把握や水質等の調査を実施する。(環境省)

○ 海域環境の保全・再生に向け、関係者間の連携による推進体制の強化、環境モニタリング、情報共有システムの活用等の包括的な取組と、汚泥浚渫、浚渫土砂等を有効に活用した干潟や藻場等の保全・再生・創出、覆砂、深掘跡の埋め戻し、生物共生型港湾構造物の普及等の個別の取組を総合的に推進する。(農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 広域的な閉鎖性海域である東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海において、第9次水質総量削減*59*の削減目標量(目標年度:2024年度)の達成に向けた取組を実施する。(環境省)

○ 瀬戸内海の更なる環境保全・再生のため、令和3年6月改正の瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号)及び「瀬戸内海環境保全基本計画」の変更(令和4年2月閣議決定)に基づき、生物多様性及び生物生産性が確保された「きれいで豊かな海」の観点から、気候変動による水温の上昇その他の環境への影響等を踏まえつつ、従来からの水質総量削減に加え、栄養塩類を始めとした水質の管理や藻場・干潟等の保全・再生、底質改善等を組み合わせ、地域の多様な主体が連携した総合的な取組となるよう必要な検討・施策の推進を図る。(農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 有明海及び八代海等の再生の観点から、有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律(平成14年法律第120号)に基づく「有明海及び八代海等の再生に関する基本方針」(平成15年2月総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省策定)を踏まえ、再生のための施策を進める。また、有明海・八代海等総合調査評価委員会における検討を踏まえつつ、再生に係る評価に必要な調査や科学的知見の収集等を進める。(総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)

エ 沿岸域における利用調整

○ 沿岸域における地域の実態も考慮した海面の利用調整ルールづくりを推進する。また、地域の利用調整ルール等の情報へのアクセスを改善するとともに、海洋レジャー関係者を始めとする沿岸域利用者に対する周知・啓発を進める。(農林水産省)

○ 小型船舶の安全・環境対策として、小型船舶の海難等による死亡・行方不明者の減少及び環境問題の解消・低減並びに健全な利用振興及び関連産業の活性化を図る。また、プレジャーボートの適正な管理を実現させるため、係留・保管能力の向上と規制措置を両輪とした放置艇対策を推進する。(国土交通省)

○ 洋上風力発電事業を目的とした海域利用の調整に当たっては、漁業者等との調整が円滑に図れるよう情報提供を行う。(農林水産省)


5.海洋の産業利用の促進


(1)海洋資源の開発及び利用の促進

ア メタンハイドレート

○ 日本周辺海域に相当量の賦存が期待されるメタンハイドレートについて、我が国のエネルギー安定供給に資する重要なエネルギー資源として、将来の商業生産を可能とするための技術開発を進める。その際、2030年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指して、国は産業化のための取組として、民間企業が事業化する際に必要となる技術、知見、制度等を確立するための技術開発を行う。(経済産業省)

○ メタンハイドレート開発の持つエネルギー安全保障上の意義に鑑み、外部環境の変化を考慮しながらも、産業化に向けた持続的な開発の推進及び成果の蓄積・維持に努める。その際、技術課題、方法論、スケジュール等の開発の具体的な計画及びその長期的な見通し等については、従来どおり海洋基本計画に基づき策定された「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を改定することにより、明らかにする。(経済産業省)

① 砂層型メタンハイドレート

○ 砂層型のメタンハイドレートについては、各研究開発ステージで得られた研究成果に基づき目標達成状況を評価するなど適切なプロジェクト管理の下、長期間の安定生産を実現するための生産技術の確立、経済性を担保するための資源量の把握、商業化を睨んだ複数坑井での生産システムの開発等について取り組む。その際には、国が行う研究開発の内容については情報開示に努め、オープンイノベーションの観点から、民間企業の優れた知見を最大限取り込むことができる体制を構築する。(経済産業省)

② 表層型メタンハイドレート

○ 表層型のメタンハイドレートについては、2019年度に特定した回収・生産技術の評価結果を踏まえつつ、本格的研究開発を引き続き行い、商業化に向けた更なる技術開発を推進するとともに、海底下の状況や環境影響を把握するための海洋調査を実施する。(経済産業省)

イ 石油・天然ガス

○ 日本周辺の海域における石油・天然ガスの探鉱活動及びCCSの適地開発を推進するため、引き続き、三次元物理探査船等を使用した国主導での探査(令和10年度までにおおむね5万km2/10年)を機動的に実施する。あわせて、海外における探査や民間企業による探査にも同船を積極的に活用するなど、より効率的・効果的な探査を実現し市場での競争力を高めるため、世界水準の機器・技術の導入も含めた体制構築を進める。また、有望な構造への試掘機会を増やすための検討を行う。(経済産業省)

ウ 海洋鉱物資源

① 海底熱水鉱床

○ 国際情勢を睨みつつ、2020年代後半以降に民間企業が参画する商業化を目標としたプロジェクトの開始を目指し、経済安全保障の観点からも、国として必要な時に確実に開発・生産できるようにするため、資源量の把握、環境面も含めた技術の確立、体制の整備等を行う。(経済産業省)

○ 資源量については、これまでの調査で発見した既知鉱床における資源量の精緻化に取り組みつつ、AIやAUVなどの新技術等を活用して新たな鉱床の発見を目指す。(内閣府、経済産業省)

○ 生産技術については、採鉱・揚鉱システムの構築に向け、これまでの取組において抽出された個別要素技術の課題解決に取り組み、循環式スラリー揚鉱システムを中心とした採鉱・揚鉱に関する実証試験を実施する。また、選鉱・製錬についても引き続き課題解決に向けた技術開発を行い、多様な鉱床に適用可能なプロセスの確立を目指す。(経済産業省)

○ 環境保全に対する意識の高まりを受け、引き続き環境影響評価を着実に実施し、国際海底機構(ISA)へデータを提供するなど、国際ルールの策定に主体的に貢献していく。(内閣府、経済産業省)

○ 令和5年度以降の取組について、国際ルールの策定作業の進捗や経済性・市況等の外的要因も考慮に入れた総合的な検証・評価を行い、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を改定して明らかにする。(経済産業省)

② コバルトリッチクラスト及びマンガン団塊並びにレアアース泥

○ コバルトリッチクラストについては、令和6年1月を期限とするISA鉱区の最終絞込みを着実に実施し、その後開発を想定したモデルエリアにおいて詳細調査を実施しつつ、これまでの取組によりポテンシャルが確認されている排他的経済水域内の海域において資源量調査を行う。また、コバルトリッチクラスト専用の採鉱試験機を製作し、実証試験を実施するほか、揚鉱や製錬などについても、引き続き課題解決に向けた検討を行う。マンガン団塊については、ISAの規則に定められたルールに従った調査を行う。また、採鉱及び揚鉱等の要素技術の検討を行うとともに採鉱システム及び揚鉱システムの概念設計の検討を行う。公海に賦存する海洋鉱物資源の開発に向けては、我が国も引き続き国際ルールの策定に主体的に貢献していく。(経済産業省)

○ 南鳥島周辺海域で賦存が確認されているレアアース泥については、将来の開発・生産を念頭に、まずは、各府省連携の推進体制の下で、第3期SIP「海洋安全保障プラットフォームの構築」において、資源量の精査及び生産技術等の開発・実証に向けた取組を行うとともに、海洋鉱物資源の調査等に広く活用可能な、深海環境を含む海洋データ及び海洋環境データを効率的に取得する、複数AUV調査技術や広域海洋環境モニタリングシステムの開発・実証に向けた取組を進める。また、単に資源開発に留まらず、安全保障上重要な海洋観測・監視、海洋の保全及び利活用を進めるためのプラットフォームの構築も見据え、引き続き、更なる技術開発に取り組む。(内閣府、文部科学省、経済産業省、国土交通省)

○ 令和5年度以降の取組について、国際ルールの策定作業の進捗や経済性・市況等の外的要因を考慮に入れた総合的な検証・評価を行い、「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を改定して明らかにする。(経済産業省)

エ CCS適地

○ 日本周辺の海底下に存在するCCS適地はカーボンニュートラルの実現に必要不可欠な資源である。このため、CCSの適地開発を推進するとともに、2030年までのCCS事業開始に向けて事業法整備を含め事業環境整備を加速化し、2030年までに年間貯留量600~1,200万tの確保にめどをつけることを目指す。(経済産業省)


(2)カーボンニュートラルへの貢献を通じた国際競争力の強化等

ア 海洋由来の再生可能エネルギー

① 洋上風力発電

○ 洋上風力発電の最大限の導入拡大と国民負担の抑制を両立するため、発電コストを一層低減させつつ、2030年までに1,000万kW、2040年までに浮体式も含む3,000万kW~ 4,500万kWの案件の形成を目指す。(経済産業省、国土交通省、環境省)

○ 洋上風力発電の排他的経済水域への拡大を実現するため、国連海洋法条約との整合性についての整理を踏まえつつ、法整備を始めとする環境整備を進める。(内閣府、経済産業省、国土交通省)

○ 再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定、事業者公募等の手続きを着実に進めるとともに、洋上風力発電設備の設置及び維持管理に不可欠となる基地港湾の計画的整備を推進する。(経済産業省、国土交通省)

○ 我が国の洋上風力発電の導入拡大に向け、案件形成の初期段階から政府が主導的に関与し、より迅速・効率的に調査等を実施する仕組みとしての「日本版セントラル方式」の確立に向け、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC*60*)による調査等の在り方の検討を進める。また、専用船等を用いた施工手法を確立する。さらに、浮体式洋上風力の導入目標を掲げ、その実現に向け、グリーンイノベーション基金等を用いた浮体式洋上風力発電の技術開発及び実証を行うとともに、廃棄、リサイクルの観点も含め、低コスト化につながる設計・製造・設置・維持管理手法等の確立及び設置・保守等に用いる作業船の国産化や風車基礎、風車部品サプライヤー支援等の強靭な国内サプライチェーン形成に向けた取組を行う。(経済産業省、国土交通省、環境省)

○ 洋上風力発電事業の円滑な建設・維持・管理・運営の見地から、系統制約の克服等必要に応じた環境整備を行う。(経済産業省)

○ 環境影響評価の円滑な実施に向けて、必要な環境情報等を収集・整理し、既に公表・運用している環境基礎情報データベースの更なる拡充を図る。また、洋上風力発電の導入の円滑化のため、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルに関する情報の整備に引き続き取り組んでいく。(環境省)

○ 洋上風力発電設備の審査手続の合理化による事業者の負担軽減のため、洋上風力発電設備に関する技術基準、工事実施及び維持管理の方法に関する基準類について国内外の最新の技術動向も踏まえながら充実・深化させる。(経済産業省、国土交通省)

○ 洋上風力発電事業を目的とした海域利用の調整に当たっては、漁業者等との調整が円滑に図れるよう情報提供を行う。(農林水産省)

○ 洋上風力発電事業による自衛隊や在日米軍の活動への影響を回避できるよう、風力発電の導入拡大と安全保障の両立を図るための施策の推進に取り組んでいく。(経済産業省、国土交通省、防衛省)

○ 洋上風力発電で発電した電気を安定的かつ効率的にエネルギー需要地に届ける観点から、電気を輸送する電気運搬船の普及等やその効率的な輸送に向けた支援を検討する。(経済産業省、国土交通省)

② 潮流・海流・海洋温度差等の海洋エネルギー

○ 実用化の見通しが高い技術を見極めながら、経済性の改善、信頼性の向上等の技術開発、実証試験及び環境整備に取り組みつつ、電力供給コストが高い離島においては、長期連続運転に係る性能や信頼性、コストデータ等の実証研究を推進し、離島振興策との連携を図る。(経済産業省、環境省)

○ 離島における海洋深層水等の地域資源を活用した産業の振興を通じて、海洋産業の振興を図るとともに、再生可能エネルギーの利用の促進を図る。(内閣府、経済産業省、環境省)

イ 海洋産業の国際競争力の強化

○ 我が国造船業が世界屈指の国際競争力のある力強い産業として成長し、引き続き地域の経済・雇用や我が国の安全保障に貢献できるよう、更なる生産性の向上や国内における事業再編などを通じた事業基盤の強化を進める必要がある。そのため、海事産業強化法に基づく事業基盤強化計画・特定船舶導入計画の認定制度を活用しつつ、造船・海運の両輪での好循環の創出に取り組むべく、予算・税制・財政投融資を総動員した総合的な政策を一体的に講じる。(国土交通省)

○ 国際海運においては、国際海運2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、水素、アンモニア等を燃料とするゼロエミッション船の開発を推進するとともに、船舶からの温室効果ガス排出抑制に係る国際ルールの策定を主導する。これらの取組と併せて、水素、アンモニアを含むガス燃料を使用する船舶の生産基盤の構築、水素燃料及びアンモニア燃料の安全かつ円滑なバンカリングの実施を可能とするガイドラインの策定などゼロエミッション船等の普及に向けた環境整備を実施する。また、内航海運においては、地球温暖化対策計画の目標達成等に向けて、更なる省エネを追求した船舶等の導入を進めるとともに、LNG燃料船、水素燃料電池船等の実証・導入等の先進的な取組を促進する。(経済産業省、国土交通省)

○ 船舶のDX化の推進に向け、サイバーセキュリティ等の自動運航船の設計、運航等において留意すべき事項を取りまとめた「自動運航船に関する安全ガイドライン」も踏まえた、自動運航船の実現に向けた取組を強力に推進する。(国土交通省)

○ デジタル技術を活用しつつ、我が国造船業・舶用工業における生産性向上・受注獲得に向けたビジネスの変革と働き方・教育の変革を一体的に推進する。(国土交通省)

○ OECD*61*造船部会において船価動向モニタリング、他国の公的支援措置の通報制度、船舶輸出のための公的金融支援措置等に関する議論を通じて、健全な造船市場の構築、公正な競争条件の確保等に努める。(国土交通省)

○ 我が国全体と地域の経済・産業・生活を物流面から支えるため、海上輸送拠点となる港湾の整備を行うとともに、川上(計画策定段階)から川中(整備段階)、川下(管理・運営段階)に至るまで、我が国の経験、技術、ノウハウを活かし、官民連携による質の高い港湾インフラシステムの海外展開を推進する。特に、港湾の運営については、シーレーンの安全確保の観点からも重要であるため、我が国の港湾運営企業によるノウハウを活かした運営参画が進むよう、案件発掘等の取組を行う。(国土交通省)

○ 脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素等の受入環境の整備等を図るカーボンニュートラルポート(CNP) の形成を推進する。短期的には、低炭素型荷役機械やLNG 燃料船への燃料供給に必要な設備の導入支援に取り組むとともに、中・長期的には、脱炭素化技術の開発の加速化を踏まえ、新たな技術の導入や水素等の受入環境の整備に向けて検討を進めていく。 (国土交通省)

○ 港湾工事における建設現場の生産性向上等に向けて、測量から施工、検査、維持管理に至る建設プロセス全体に3次元データを活用するほか、水中施工機械の遠隔操作化などICT*62*等の新技術の活用を促進し、「i-Construction*63*」の取組を推進する。(国土交通省)

○ AI等の技術を最大限活用することで、ターミナル荷役能力を向上させ、荷役時間を短縮し、トレーラーのコンテナターミナルゲート前での待機を解消することを目的としている「ヒトを支援するAIターミナル」に関する取組を深化させて、現場のニーズを踏まえた効果の高い技術開発等を集中的に推進することで、港湾における更なる生産性向上や労働環境の改善を目指す。(国土交通省)

○ 我が国の港湾の生産性を飛躍的に向上させ、港湾を取り巻く様々な情報が有機的に繋がる事業環境を実現するため、民間事業者間の港湾物流手続、港湾管理者の行政手続や調査・統計業務及び港湾の計画から維持管理までのインフラ情報を電子化し、これらデータ連携により一体的に取扱うデータプラットフォームである「サイバーポート」について、機能改善や利用拡大を進める。(国土交通省)

○ 地震・津波に対する脅威やインフラの老朽化に対しては、新技術も活用した予防保全型の維持管理により、計画的・集中的な老朽化対策を推進するとともに、海象情報の観測技術の向上や耐震強化岸壁など港湾施設における技術開発が不可欠であり、国土交通省国土技術政策総合研究所、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所等を通じた取組を推進する。(国土交通省)

○ 我が国造船業・舶用工業・海運業の新市場・新事業への展開を図るため、政府開発援助(ODA)、国際協力銀行、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)等を活用しつつ、途上国のニーズへ迅速に対応するための巡視船のラインアップも揃えるなど、新興国における船隊整備、海洋開発等の取組を支援する。(外務省、国土交通省)

○ 海洋産業に係るGDPの現状把握及び産業構造の転換を見据えた将来推計も勘案しながら、AUV戦略等の技術開発から国産化による社会実装に至るまでの戦略的なビジョンを策定し、その着実な実行を図る。(内閣府)

○ 海洋産業を巡る様々な問題の解決に当たり、「海洋資源開発技術プラットフォーム」等の官民を挙げた戦略的な取組を推進する。(内閣府、経済産業省、国土交通省)

ウ CCSの推進

○ 第3期SIP「海洋安全保障プラットフォームの構築」において、海洋玄武岩CCSシステムの社会実装を目指し、海洋玄武岩層を活用した大規模CO2貯留・固定化技術に関する基礎調査研究を進める。(内閣府)

○ CCS適地の開発及び利用を推進するとともに、2030年までのCCS事業開始に向けて事業法整備を含め事業環境整備を加速化し、2030年までに年間貯留量600~1,200万tの確保にめどをつけることを目指す。(経済産業省)

○ CCSについては海洋環境の保全・管理を前提としつつ、事業者が円滑に事業を実施できる制度の下、技術の確立及びコストの低減に向けた分離、輸送、貯留及びモニタリング等の技術開発及び実証を着実に進める。(経済産業省、環境省)

○ CCSのコスト、環境保全、安全等様々な面での社会的受容性を獲得するため、関係省庁・事業者等は社会的認知向上に取り組む。(経済産業省、環境省)

エ 海洋を利用した観光等の推進

○ 「観光立国推進基本計画」(令和5年3月閣議決定)に掲げる「訪日外国人旅行者数2019年水準超え」の目標実現に向け、クルーズ船受入の更なる拡充による訪日外国人旅行者の増加を図るため、関係者と協力・連携した訪日プロモーションを促進する。(国土交通省)

○ 「観光立国推進基本計画」(令和5年3月閣議決定)に掲げる「訪日クルーズ旅客を令和7年にコロナ前ピーク水準の250万人」、「訪日クルーズ寄港数を令和7年にコロナ前ピーク水準の67港を上回る100港」の目標実現に向け、クルーズを安心して楽しめる環境づくりを進めるとともに、多様化する訪日クルーズの需要に応じたクルーズ船受入環境の整備、官民連携による国際クルーズ拠点の形成、訪日クルーズ寄港促進の取組を推進する。また、上質な寄港地観光の造成や近年増加する訪日クルーズ旅客の受入れなど、クルーズ船寄港の地域経済効果を最大化させる取組を進める。さらに、「みなとオアシス」や港湾協力団体の活動を通じて、地域住民の交流や観光の振興による地域の活性化を図るとともに、港湾緑地等における民間活力を活用した賑わい空間の創出や「みなとの博物館」等を通じた海洋教育の場の提供など、「みなと」を核とした魅力ある地域づくりを促進する。(国土交通省)

○ 国民の海との接点を拡大するとともに、マリン産業*64*の市場を拡大していくため、「海の駅」を拠点とした体験機会の拡大や、ボートショーを通じた情報発信等を、地方公共団体や関係機関等と連携して推進する。(国土交通省)

○ 海洋に関する魅力ある地域資源を活用した観光地の魅力の向上を図る地域の取組と、それらの観光地を結びつける広域の取組を併せて支援する。(国土交通省)


(3)海上輸送の確保

ア 外航海運

○ 日本商船隊の国際競争力の確保及び安定的な国際海上輸送の確保を図るため、トン数標準税制の実施等を通じ、日本船舶・日本人船員を中核とした海上輸送体制の確保(外航日本船舶を令和5年度から5年間で1.25倍に増加させるとともに、事業者に対して日本人外航船員を平成30年度から10年間で1.5倍に増加させるための取組の促進)を図るとともに、最近の国際海運市場における一層の競争激化及び諸外国の外航海運政策も踏まえ、これまで以上に国際的な競争条件の均衡化等の取組を進める。また、この前提となる自由で公平な競争環境を確保するため、二国間対話等の場を通じて、諸外国の競争を阻害する規制政策の是正等を推進する。(国土交通省)

○ 安定的な海上輸送の確保に向けて、船舶に係る特別償却制度等を通じた日本船主の外航船舶の安定的な確保等に関する取組を促進する。また、安定的な海上輸送の確保に必要不可欠な船舶及び舶用機器の供給を支える造船業・舶用工業について、我が国経済安全保障の観点から、海事産業強化法に基づく基盤強化、経済安全保障推進法に基づく舶用機器の安定供給体制確保等に関する取組を促進する。(国土交通省)

イ 内航海運

○ 令和4年4月に改正された内航海運業法(昭和27年法律第151号)等の施行を受け、法律に盛り込まれた各施策を通じ、内航海運における「取引環境改善」、「生産性向上」及び「船員の働き方改革」といった取組を総合的に進めていくことで、内航海運の安定的な輸送を確保する。(国土交通省)

○ 2024年度からのトラックドライバーの時間外労働の上限規制等の動向も踏まえ、低炭素化に向けた有効なモーダルシフトの受け皿として、内航フェリー・RORO船等の利用促進・需要喚起に向けた取組を推進する。(国土交通省)

○ 地域住民の移動手段の確保や観光立国推進の観点から、不可欠な交通インフラである国内旅客船・フェリーについて、離島航路の維持・確保はもとより、ポストコロナ時代における観光需要を取り込む必要がある。そのため海事観光コンテンツの磨き上げを行うとともに、船内客室の個室化等快適で上質な時間と空間の提供や利用者の利便向上を図るために必要な取組(「船内Wi-Fiの整備」、「キャッシュレス決済の導入」等)を推進することで、旅客船事業の活性化、船旅の魅力向上を図る。(国土交通省)

○ 安定的な国内海上輸送を確保するため、国際的な慣行であるカボタージュ制度を維持する。(国土交通省)

ウ 海上輸送拠点の整備

○ 国際基幹航路の維持・拡大に向けて、国内外から貨物を集約する「集貨」、港湾背後への産業集積による「創貨」、コストや利便性の面での「競争力強化」の3本柱からなる国際コンテナ戦略港湾政策を推進する。(国土交通省)

○ 資源・エネルギー等の安定的かつ効率的な海上輸送網の形成のため、国際バルク戦略港湾において大型船が入港できる岸壁等の整備を推進するとともに、企業間連携による大型船での共同輸送を促進する。(国土交通省)

○ 世界有数のLNG輸入国という強みを活かし、LNGバンカリング拠点*65*の形成に向けた取組を進め、LNG燃料船の寄港の増加による国際競争力の強化を図る。(国土交通省)

○ 地域の経済・産業・雇用を支える自動車産業、農林水産業等の基幹産業の特性や輸送ニーズに応じた国際物流ターミナル、内貿ターミナル等の整備を推進する。また、モーダルシフトの受け皿となる内航フェリー・RORO船による輸送効率化に向けた、情報通信技術や自動技術を活用した次世代高規格ユニットロードターミナルの形成を図る。(国土交通省)

○ 循環型社会構築の推進のため、リサイクルポート*66*を活用した循環資源利用の更なる拡大のための取組を進める。(国土交通省)

○ 安全かつ安定的な海上輸送を確保するため、我が国の国際・国内海上輸送ネットワークの根幹を形成している開発保全航路*67*について、国が一体的に開発、保全及び管理に取り組む。(国土交通省)


(4)水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化

ア 水産資源の適切な管理

○ 国際的にみて遜色のないレベルでの国内における資源管理の高度化と国際的な資源管理を推進するため、その基礎となる資源調査を抜本的に拡充し、資源評価の精度向上を図る。その際、関係省庁・機関が収集している水産資源に関連する海洋データについて、ICT等の先端技術を活用し、情報共有を図りつつ、積極的な活用を図る。また、資源評価を受託実施している国立研究開発法人水産研究・教育機構の役割を資源評価の独立性の観点から明確化するとともに、評価手法や結果の透明性の確保に努める。(文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省)

○ 「令和12年度までに、平成22年当時と同程度(目標444万t)まで漁獲量を回復させる」という目標に向け、資源評価結果に基づき、必要に応じて、漁獲シナリオ等の管理手法を修正するとともに、資源管理を実施していく上で新たに浮かび上がった課題の解決を図りつつ、資源の回復に取り組む。(農林水産省)

○ IQ(漁獲割当て)による管理については、「新たな資源管理の推進に向けたロードマップ」に従い、令和5年度までに、TAC*68*魚種を主な漁獲対象とする沖合漁業に原則導入する。また、条件が整った漁業種類について、安全性の向上等に向けた漁船の大型化を阻害する規制を撤廃する。(農林水産省)

○ 「新たな資源管理の推進に向けたロードマップ」及びTAC魚種拡大に向けたスケジュールに従い、TAC魚種の拡大を推進し、令和5年度までに漁獲量ベースで8割をTAC管理とする。さらに、TAC管理の導入後、管理の運用面の改善や必要に応じて目標・漁獲シナリオの見直しを実施し、水産資源ごとに最大持続生産量(MSY)の達成・維持を目指す。(農林水産省)

○ 太平洋クロマグロについては、資源の回復を着実に図るための制度・体制の充実に取り組むとともに、ニホンウナギ、ナマコ等を含む沿岸域の密漁については、悪質・巧妙な事例や広域での対応が必要となる事例もあることから、都道府県、警察、海上保安庁及び流通関係者を含めた関係機関との緊密な連携等を図る。また、資源管理措置の遵守を担保するため、取締体制の強化や海上保安庁等との連携を通じた取締りの重点化・効率化を図る。(農林水産省)

○ 国際的な水産資源の持続的利用の推進において象徴的意義を有する鯨類に関して、我が国の立場に対する理解の拡大を引き続き推進するとともに、国際法に従って、科学的根拠に基づき鯨類の持続的利用を行う。(農林水産省)

イ 水産業の成長産業化

○ 多様化する消費者ニーズに即した水産物の供給や持続可能な収益性の高い操業体制への転換等の課題に取り組む者を、効率的かつ安定的な漁業経営体となるべく育成し、今後の漁業生産を担っていく主体として位置づけることとし、これらの経営体に経営施策を重点化し、その国際競争力の強化を図る。(農林水産省)

○ 資源管理や漁場改善に取り組む漁業者の経営を支える漁業収入安定対策について、海洋環境の変化等に対応した操業形態の見直しや養殖戦略、輸出戦略等を踏まえた養殖業の生産性の向上など、資源管理や漁場改善を取り巻く状況の変化に対応しつつ、漁業者の経営安定を図るためのセーフティーネットとして効果的かつ効率的にその機能を発揮させる。(農林水産省)

○ 浜ごとの漁業所得の向上を目標としてきた「浜の活力再生プラン」において、海業や渚泊等の漁業外所得確保の取組の促進や、地域の将来を支える人材の定着と漁村の活性化についても推進する。(農林水産省)

○ 漁船の高船齢化による生産性の低下等が問題となっており、高性能化、安全性の向上等が必要となっている。造船事業者の供給能力が限られている現状も踏まえ、今後、高船齢船の代船を計画的に進めていくため、漁業者団体が代船のための長期的な計画を示すとともに、国としても、このような計画の円滑な実施と国際競争力の強化の観点から、必要な支援を行う。(農林水産省)

○ 漁船等における居住環境の改善のため、高速インターネットや大容量データ通信等が可能となる高速通信の整備について、関係省庁等が連携して、新サービス等の効率的な普及に向けた取組を進める。(総務省、農林水産省、国土交通省)

ウ 流通機構の改革と水産物輸出の促進

○ 輸出入も含め違法に採捕された水産物の流通を防止するために、違法、無報告、無規制(IUU)漁業国際行動計画や違法漁業防止寄港国措置(PSM)協定等に基づく措置を適切に履行するほか、特定水産動植物等の国内流通の適正化等に関する法律(令和2年法律第79号)を円滑に履行するとともに、これらの制度の実施状況を検証し、必要があれば改善する。(農林水産省)

○ 海外市場の拡大のため、全国の関係者が一体となったオールジャパンでの水産物の輸出促進に取り組むとともに、HACCP*69*認定施設数の増加を図るため、水産加工施設の改修、研修会、現地指導等に対し支援を行うなど、輸出先国・地域の規制に応じた輸出環境の整備に向けた取組を行う。(農林水産省)

エ 漁港・漁場・漁村の総合的整備

○ 我が国水産業の基盤整備における課題に的確に対応する観点から、重点的に取り組むべき3つの課題として、産地の生産力強化と輸出促進による水産業の成長産業化、海洋環境の変化や災害リスクへの対応力強化による持続可能な漁業生産の確保、「海業」振興と多様な人材の活躍による漁村の魅力と所得の向上を掲げ、漁港・漁場・漁村の整備を総合的に推進する。(農林水産省)

オ 国境監視機能を始めとする多面的機能の発揮の促進

○ 国境監視、自然環境の保全、海難救助による国民の生命・財産の保全、保健休養・交流・教育の場の提供等の、水産業・漁村の持つ水産物の供給以外の多面的な機能が将来にわたって発揮されるよう、一層の国民の理解の増進を図りつつ効率的・効果的な取組を促進する。特に、国境監視に関しては、MDA体制の確立の一環として、漁業者からの情報提供を受けるなど民間機関との連携を強化する。(農林水産省)

カ 漁業・漁村の活性化を支える取組

○ 生態系の構成要素であり、限りあるものである水産資源の持続的な利用を確保し、水産業の成長産業化を図るため、資源評価・管理や持続的養殖業の成長産業化等に資する調査・研究・技術開発を効率的に推進する。(農林水産省)

○ 地域の理解と協力の下、地域資源と既存の漁港施設を最大限に活用した海業等の取組を一層推進することで、海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用した取組を根付かせて水産業と相互に補完しあう産業を育成し、地域の所得と雇用機会の確保を図る。具体的には、地域の漁業実態に即した施設規模の適正化と漁港施設、用地の再編・整序による漁港の利活用環境の改善を行い、漁港と地域資源を最大限に活かした増養殖、水産物の販売や漁業体験の受入れ、海洋環境に関する社会教育の機会の提供など海業等の振興を図る。また、防災施設、防犯安全施設等、漁業者や民間事業者の事業活動に必要な施設整備を実施するとともに、漁港における海業等の関連産業を集積させていくための仕組み作りを進める。この際、漁港における釣りやプレジャーボート等の適正利用を図るべく、駐車場等の受入環境の整備や関係団体との連携によるマナー向上やルールづくり等を進める。これらの取組により、都市漁村交流人口の増大と、漁港等における新たな海業等の取組を展開する。(農林水産省)


6.海洋調査及び海洋科学技術に関する研究開発の推進等


(1)海洋調査の推進

ア 海洋調査の戦略的取組

○ 我が国の排他的経済水域・大陸棚を始め、我が国周辺海域における海洋調査を通じ、海洋権益確保の戦略的観点から、我が国の海域の総合的管理に必要なものや境界画定交渉に資するものを含め、海底地形、資源の分布状況等に係る関連情報の一層の充実に努めるため、「海上保安能力強化に関する方針」に基づく海洋権益確保に資する優位性をもった海洋調査能力の強化、海洋調査に関する戦略的取組を推進する。(内閣府、外務省、国土交通省)

○ 海洋調査を戦略的に実施するため、海洋調査の実施状況や計画について府省庁間で情報共有を行い、必要に応じ横断的に調整を行う。(内閣官房、内閣府、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省)

〇  我が国の排他的経済水域・大陸棚・領海・内水における、外国による又は外国船舶を用いて行われる海洋調査等について、国内ルール等を踏まえ、事前に調査計画の提出を求めること等を通じ、調査を行う主体を把握した上で、関係省庁が所要の審査を行い、我が国として事前同意を与える等の取組を引き続き実施する。(内閣官房、内閣府、総務省、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省)

○ 海洋のモニタリングについては、リアルタイム性のみならず、長期的な観測を積み重ねるとともに、衛星、観測ブイ等を用いた高度な観測技術を最大限活用し海洋を総合的に観測することが重要であり、海洋観測を行う海洋調査船等の適切な運航、効率的な観測に資する自動化技術の向上等に取り組む。(文部科学省、国土交通省)

○ 「国連海洋科学の10年」の7つの成果*70*のためにも、時空間的に疎らである生物分野

を含め、海洋に関する科学データをより深海域まで精度よく観測するため、漂流フロート*71*、係留系*72*、船舶及び海中・海底探査システム*73*による観測を組み合わせた統合的観測網の構築を目指す。(文部科学省)

○ 海洋調査の基盤となる海洋調査船等、有人・無人調査システム等を着実に整備するとともに、新たな調査機器の開発、新技術の導入を推進する。(文部科学省、国土交通省)

○ 国際的な海洋観測計画及び海洋情報交換の枠組に参画し、長期的・継続的に海洋の観測、調査研究等を実施するとともに、観測データの交換及び共有に取り組む。(文部科学省、国土交通省)

○ 海洋資源の開発、海洋権益の確保及び海洋の総合的管理に必要となる基盤情報を整備するため、海底地形、海洋地質、地殻構造、領海基線、海潮流等の調査を引き続き実施する。(国土交通省)

○ 精密な地理空間情報を海陸シームレスに整備するため、その基盤となる高精度位置情報を与える全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)、超長基線電波干渉計(VLBI:Very Long Baseline Interferometry)、人工衛星レーザー測距(SLP: Satellite Laser Ranging)といったグローバル測地観測を着実に実施するとともに、海陸シームレスに正確な標高を与える基準面(ジオイド)の整備や船舶及び航空機による沿岸域の詳細な海底地形データを収集するための水路測量を推進する。(文部科学省、国土交通省)

イ 気候変動・海洋環境の把握のための調査等

○ 気候変動、海洋酸性化等の地球規模の変動の実態を把握するため、世界気象機関(WMO*74*)、UNESCO/IOC等が進める国際的な海洋観測計画に参加し、海洋調査船等による高精度かつ高密度な観測を実施するとともに、中層フロート*75*等の自動観測システムの活用や水中グライダー等の最新技術の導入を進め、海水温、塩分、温室効果ガス濃度等の観測を着実に実施する。(文部科学省、国土交通省、環境省)

○ 我が国周辺海域における海洋環境保全対策を効率的かつ効果的に実施するため、油分、重金属、内分泌かく乱物質等の陸上・海上起因の汚染物質の海洋環境への影響を把握するとともに、バックグラウンド数値の経年変化を把握する。また、海域における放射性物質のモニタリングを実施する。(国土交通省、環境省)

○ 東日本大震災に伴い発生した津波による廃棄物の海上流出や油汚染、東京電力福島第一原子力発電所からの放射性物質の漏出等による海洋環境への影響を把握するため、引き続き有害物質及び放射性物質に関するモニタリングを実施する。(環境省)

○ 閉鎖性海域の海洋環境モニタリングとして、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海における栄養塩類等の水質調査、底質・底生生物調査等を実施する。また、海洋環境整備船による水質調査や海洋短波レーダーによる流況観測等を実施するとともに、国及び地方公共団体が実施した環境調査データを収集・共有する海域環境情報データベースの充実を図る。(国土交通省、環境省)

ウ 自然災害による被害軽減のための調査等

○ プレート境界域における海溝型巨大地震の発生メカニズム解明や地震・津波の発生予測に資する基礎情報を収集・整備するため、海底地殻変動観測、海底変動地形調査、地殻構造探査、津波堆積物調査、地震断層の掘削調査、掘削孔内観測等の充実・強化を図る。(文部科学省、国土交通省)

○ 船舶の航行安全を確保するため、南方諸島及び南西諸島の海域火山を中心に航空機や衛星画像の活用等による定期的な監視、海洋調査船による海底地形、地質構造、海上重力及び地磁気の調査を実施する。(国土交通省)

○ 船舶、沿岸の安全を確保するため、海洋気象観測船、漂流型海洋気象ブイ、沿岸波浪計、潮位計、気象衛星ひまわり、気象レーダー等を用いた気象・水象観測を実施するほか、地震・津波観測を実施する。(国土交通省)


(2)海洋科学技術に関する研究開発の推進等

ア 国として取り組むべき重要課題に対する研究開発の推進

① 気候変動の予測及び適応に関する研究開発

○ 海洋と大気の相互作用、さらに、陸域も含めた地球表層における物質循環やそれに伴う熱輸送・炭素循環、海洋が吸収する二酸化炭素の増加に伴う海洋の酸性化や、それによる海洋生態系への影響等を解明するための観測、調査研究等を強化する。(文部科学省、国土交通省)

○ 気候変動及びその影響に関する人工衛星や海洋調査船、フロート等を活用した観測・監視等を行い、長期的な気候変動の低減のため、気候変動に係るリスク評価の基盤となる情報を収集・整備するとともに、海洋のデジタルツインの構築等を念頭に置き、予測情報の高精度化のための研究開発を推進し、日本の気候変動に関する最新の科学的知見を提供する。また、長期的な気候変動及びその影響への適応策を講じていくため、都道府県等の地域レベルでの影響評価が可能となるように、気候モデルを改良するとともに、各地域のニーズに応じた観測、調査研究等を充実させる。(文部科学省、国土交通省、環境省)

○ 地球温暖化の影響が顕著である北極域における環境変化は、地球温暖化の加速、地球全体の海面水位上昇、極端な気象の頻度増加等、全球的な気候への影響を与えることが懸念されており、全球の気候システムの形成に大きな役割を果たす南極域の重要性も踏まえ、両極域における観測・研究を引き続き実施する。(文部科学省)

○ 海洋分野における、CCS、ブルーカーボン、海中CO2回収等、2050年カーボンニュートラルの実現に資する革新的技術の研究開発を推進する。ブルーカーボンについては、藻場干潟の保全等の取組を進めるとともに、深海等に貯留されるブルーカーボンの研究開発を推進する(内閣府、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省)

② 海洋エネルギー・鉱物資源の開発に関する研究開発

○ 海洋鉱物資源の調査に用いる基盤技術の開発や海底熱水鉱床の成因解明と調査手法の構築など、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC*76*)が行う海洋鉱物資源関係の研究開発を着実に推進するとともに、その成果の産業界への移転を促進する。(文部科学省)

○ 広域科学調査により、エネルギー・鉱物資源の鉱床候補地推定の基礎となるデータ等を収集するため、海底を広域調査する研究船、有人潜水調査船や無人探査機(AUV、遠隔操作型無人探査機(ROV*77*)等)等のプラットフォーム及び最先端センサー技術を用いた広域探査システムの開発・整備を行うとともに、鉱床形成モデルの構築による新しい探査手法の研究開発を推進するなど、海洋資源の調査研究能力を強化する。また、鉱物資源開発に係る環境影響評価技術の国際標準化に向けた取組を進める。(内閣府、文部科学省、経済産業省、国土交通省、環境省)

○ 第2期SIP「革新的深海資源調査技術」の成果を踏まえ、我が国の海洋資源探査技術を更に強化・発展させ、本分野における生産性を抜本的に向上し、我が国の排他的経済水域等にある豊富な海洋鉱物資源を活用するため、令和5年度から新たに第3期SIP「海洋安全保障プラットフォームの構築」を立ち上げ、これまで培った海洋資源調査技術、生産技術等を更に強化・発展させるとともに、持続的な海洋開発と環境保全の両立を図る。安全保障上重要な海洋観測・監視、海洋の保全及び利活用を進めるためのプラットフォームの構築も見据え、引続き更なる技術開発に取り組む。(内閣府、文部科学省、経済産業省、国土交通省)

○ 海洋資源の環境影響評価に資するための科学的研究として、高解像度の調査と長期の環境モニタリングから得られる大規模データとの統合解析を推進する。(文部科学省)

③ 海洋生態系に関する研究開発

○ 海洋生態系のデータについて、水産資源の動態予測、海洋生物遺伝子の医学応用、海洋生物多様性の評価監視システム構築等、更なる利用拡大に向け、用途や分析範囲を明確にした体系的なデータ収集・ビッグデータ化、機械学習等の活用によるデータ補完・分析技術などの研究を行う。また、サンゴ礁を始めとした海洋生態系の保全に必要な海洋生物の生物学的特性や多様性に関する情報の充実を図る。(内閣府、文部科学省、農林水産省、環境省)

④ 海域で発生する自然災害の防災・減災に関する研究開発

○ 海域の地震・津波について、稠密な観測点による高精度・早期観測を通じた、警報の高度化や発生メカニズムの解明を行うため、日本海溝沿い及び南海トラフ沿いにおいて、地震・津波のリアルタイム観測が可能な海底観測網(S-net、DONET等)を運用する。また、南海トラフ地震想定震源域の西側にある高知県沖から日向灘にかけて、新たに南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の構築・運用を行う。さらに、ゆっくりすべり(スロースリップ)やプレート間固着状況の観測も含めた海域・海底観測網の充実、海底光ファイバーケーブルの活用等による海域地震・火山観測の強化、解析におけるスーパーコンピュータやAI技術等のデジタル技術の活用を始めとして、日本列島周辺海域における地震及び津波の発生予測や被害予測に関する調査研究及びそれらに基づく防災・減災対策の研究を行う。(文部科学省、国土交通省)

○ 地球表層から地球中心核に至る固体地球の諸現象について、その動的挙動に関する基礎的な研究を行うことにより、海洋プレートの運動によって引き起こされる地震・火山活動の原因、島弧・大陸地殻の進化、地球環境の変遷や海底下の構造等に関する知見を蓄積するとともに、地震・津波・火山活動等のモデル化と予測・検証を行う。(文部科学省)

○ 海洋由来の災害防止・軽減に資するため、高波、高潮等の予測情報、津波警報、海洋環境情報の高度化等に関する研究等を行う。(国土交通省)

⑤ 経済安全保障に資する研究開発

○ 経済安全保障重要技術育成プログラムにより、AUV、船舶向け通信衛星システム(衛星VDES)、先端センシング技術、高精度航法技術等海洋における脅威・リスクの早期検知を可能とする技術や広域観測・リアルタイムかつ常時継続的なモニタリング等につながる技術を育成する。研究開発成果を社会実装につなげるため、公的利用を含めた様々な利用分野を見据えた柔軟かつ機動的な研究開発を進める。その実施に当たっては、経済安全保障推進法に基づき設置される協議会の枠組みを活用した伴走支援等を行う。(内閣官房、内閣府、文部科学省、経済産業省)

○ 海洋観測・監視、海洋資源探査、洋上風力発電の設置・保守管理、海洋インフラ管理、海洋生態系のモニタリング等への活用が期待されるAUVの社会実装を推進するため、産学官の枠組みを構築し、将来ビジョン、ロードマップ、人材育成を含む戦略を策定する。また、共通技術の開発に向けた関係機関と産学官の連携及び科学技術の多義性を踏まえた公的利用の推進を含めて戦略を着実に実施する。この際、安全保障に繋がるものについては、総合的な防衛体制の強化に資する科学技術の研究開発の推進のため、防衛省の意見を踏まえた研究開発ニーズと関係省庁が有する技術シーズを合致させる。(内閣府、文部科学省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省)

イ 海洋科学技術に関する基盤の充実及び強化

① 基礎研究(市民参加型科学の研究を含む)の推進

○ 独創的で多様な基礎研究を広範かつ継続的に推進するための取組を強化し、人類共通の知的フロンティアの開拓、論文を始め国際的な研究力強化につながる知的資産の創造や重厚な知の蓄積の形成を図る。(文部科学省)

○ 地球深部探査船「ちきゅう」を活用し、国際深海科学掘削計画(IODP*78*)等を踏まえつつ、我が国の海洋科学掘削を推進する。海洋科学掘削により、地球を構成する物質の直接採取、分析及び現場観測を実施し、数値解析手法、モデリング手法等を用いつつ、海洋・地球・生命を関連させた地球の総合的な理解の推進を図る。(文部科学省)

○ 「国連海洋科学の10年」の7つの成果に向けて、海洋研究者が行う市民参加型科学の研究を推進し、持続可能な海洋の構築に向けた「総合知」の創出・活用を進めるとともに、それらの取組を持続的かつ自律的に広げていくための手法の体系化・継承・共有を図る。(文部科学省)

② 海洋におけるイノベーションの促進

○ 海洋産業は理学や工学を含めた広範な総合的研究開発型産業であることに鑑み、研究開発を効率的に進めるとともに総合的な技術力の向上を図るべく、大学・国立研究開発法人等の施設を含む研究機能を強化する。(文部科学省、国土交通省、防衛省)

○ 深海・深海底等の極限環境下における未知の有用な機能、遺伝資源等について研究開発を推進するとともに、イノベーション創出を加速させるため、JAMSTEC等での調査で得られた深海泥等の試料については積極的に民間企業等への提供を推進する。(文部科学省)

○ 民間企業のニーズと研究開発現場におけるシーズをつなぐため、分野を超えたオープンイノベーションの取組が重要であり、コーディネータ機能、サービス提供機能の向上に加え、特許など知的財産の創出及び契約業務体制等の強化を図ることで、分野横断的な研究開発を推進する。(文部科学省)

○ 海洋産業への参入促進を図るため、大学や国立研究開発法人発のベンチャー企業の創出促進に向けた支援を行う。(文部科学省)

○ 沿岸・離島地域における海域利活用の課題解決等のため、海の次世代モビリティ(自律型無人艇(ASV),AUV,ROV等)の社会実装を推進するとともに、我が国の産業育成のため、当該モビリティに関連する主要な要素技術の開発や国産化に資する調査・支援等を行う。さらに、情報プラットフォームを運用し、当該モビリティの沿岸・離島地域への普及等を図る。(国土交通省)

③ 基盤技術、共通技術等に関する研究

○ 民間企業等への技術移転につながる取組及び民間企業等との共同研究開発を推進し、調査の効率化・精緻化を図るためのセンサー開発や無人探査機(AUV、ROV等)の機器開発に取り組む。また、得られた技術の国際標準化に取り組む。(内閣府、文部科学省、国土交通省、防衛省)

○ 高精度で効率的な観測・探査システムの構築を推進するため、音響通信・複合通信システム、計測・センシング、測位、検知・探知、モニタリング、試料採取、分析等に係る先進的要素技術、探査・観測システム等の長期運用に必要となるエネルギーシステムに係る技術、深海底での調査や観測のためのセンサーや観測プラットフォーム設置に係る技術等について、先進的な研究開発を推進する。(内閣府、文部科学省、国土交通省、防衛省)

○ 深海等の未知の領域を効率的に探査するための海中・海底探査システム及びそれらに関連するサブシステム並びに長期にわたり広範囲な海洋空間を高精度で観測するための3次元観測システムの運用を行う。(文部科学省)

○ 巨大地震発生メカニズムの解明、海底下地下生命圏の探査や機能の解明等未踏のフロンティアへの挑戦に向け、大水深・大深度掘削のための基盤技術開発を推進する。(文部科学省)

④ プラットフォームの整備・運用

○ 海洋調査船、無人探査機(AUV、ROV等)、有人探査船、試験水槽、スーパーコンピュータ、大容量の観測データ通信に必要な基盤技術等の研究プラットフォームについて、研究機関等の間で効率的な運用方法等のノウハウの共有を行いつつ、整備・運用を図る。(文部科学省、国土交通省、防衛省)

○ 研究機関・大学等が有する船舶、探査機、スーパーコンピュータ等の施設・設備等について、性能を十分に発揮できるよう計画的に代替整備、老朽化対策等を進めるとともに、限られた研究基盤の有効活用を図るため、共同利用を推進する。(文部科学省)

⑤ 海洋データの共有・利活用の促進

○ オープンサイエンスの急速な拡大を踏まえ、観測・研究活動を通じて得られたデータやサンプル等については、原則として、研究者を始め一般国民が利用しやすい形で整理・保管・提供するとともに、他分野の研究者・技術者の利用促進を図る。また、様々なサイバーリスクを想定したセキュリティ対策を講じる。(文部科学省)

○ 海洋の調査・観測で得られる多様で膨大なデータ(海洋ビッグデータ)の収集、解析等を通じ、ビッグデータ、AI等のSociety5.0を支える基盤技術の強化を図るため、スーパーコンピュータ等を最大限に活用し、海洋地球科学の推進のために必要な先端的な融合情報科学を推進する。(文部科学省)

○ 海洋ビッグデータを用いて、「国連海洋科学の10年」の7つの成果にもつながる多様な経済・社会的課題の解決や新しい価値の創出に貢献するため、地球環境情報プラットフォームであるデータ統合・解析システム(DIAS)等を活用し、他分野との連携・融合を図りつつ、情報の活用を推進する。(文部科学省)


7.北極政策の推進


(1)研究開発

ア 北極域研究に関する取組の強化

○ 北極域研究加速プロジェクト(ArCS II)等により、北極における環境変動と地球全体へ及ぼす影響を包括的に把握するとともに、社会・経済的影響を明らかにし、適切な判断や課題解決のための情報を関係者に伝えることを目指して、自然科学分野と人文・社会科学分野の連携による国際共同研究を引き続き推進する。また、行政と研究の両分野が連携し、我が国の強みである北極域研究を活かして、我が国の北極政策に取り組む。(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)

イ 北極域に関する観測・研究体制の強化

○ 北極環境の変動メカニズムに関する更なる解明に向けた北極域の科学的データを取得し、解析するため、我が国が強みを有する、最先端の衛星の開発や、観測基地、観測船等を用いた継続的な観測の強化に取り組む。このため、極域観測用のAUV等の先進的な技術開発を推進する。また、温暖化監視にも資する極域の海氷観測に不可欠なマイクロ波放射計の高度化を行う。(文部科学省)

○ AUV等を用いた国際的な北極域観測計画への参画を可能とする観測機能や砕氷性能を有する北極域研究船の建造を着実に実施するとともに、各国との連携強化など北極域における国際研究プラットフォームとしての運用に向けた準備を進める。(文部科学省)

○ 国内の複数の大学及び研究機関のネットワーク型の研究拠点による分野横断的な取組や、研究船、水槽施設、スーパーコンピュータ等の研究基盤の共同利用を促進し、北極の課題解決に向けた取組を進める。(文部科学省、国土交通省)

ウ 北極域に関する国際的な科学技術協力の推進

○ 北極圏国を含む関係国との間で、二国間の科学技術協力協定等に基づき極地研究等の関連分野における科学技術協力を推進する。また、北極圏国における研究・観測拠点の確保と研究者等の派遣により、北極に関する国際共同研究を強化する。(外務省、文部科学省、環境省)

○ 科学的データが不足している北極域での研究を効率的に進めるため、各研究機関、各研究者が有するデータを共有する枠組を形成し、国際的なデータ共有の枠組への参画を進める。(文部科学省、国土交通省)

エ 北極域の諸問題解決に貢献する人材の育成

○ 我が国の北極研究が継続的に発展するために、若手研究者の教育に取り組むとともに、ArCS IIの取組等を通じて国外の大学や研究機関へ若手人材を派遣し、北極域の諸課題解決に向けた国際的な議論を牽引できる人材の育成に取り組む。(文部科学省)

○ 北極域の諸問題解決に貢献するため、ArCS IIの取組等を通じて自然科学、人文・社会科学を問わず専門的人材を育成・確保する教育・研究支援策を推進する。(文部科学省)


(2)国際協力

ア 「法の支配」に基づく国際ルール形成への積極的な参画

○ 北極を巡る経済環境、安全保障環境を念頭に、北極海において、国連海洋法条約に基づき、「航行の自由」を含む国際法上の原則が尊重されるよう、北極評議会(AC)を含む多国間のフォーラムや北極圏諸国との二国間の対話を活用し、我が国から積極的に働きかける。(外務省)

○ 北極域における環境変化がもたらす、気候変動等を含む地球環境全体への影響が懸念される諸課題について、我が国の観測・研究に基づく科学的知見を多国間、二国間の枠組を活用して積極的に発信する。北極を巡る議論の主要なプレイヤーとして、広範な国際協力に基づく地球規模課題の解決に貢献すべく、経済活動を始め北極域における我が国の活動拡大を視野に、現実に対応した新たなアジェンダ設定を含む更なる取組の可能性につき検討する。(外務省、文部科学省、環境省)

○ 中央北極海における規制されていない公海漁業を防止するための協定(令和元年締結、令和3年6月発効)に即して、北極海公海における科学的根拠に基づく水産資源の持続可能な利用に向けて必要な対応を行う。(外務省、農林水産省)

イ 北極圏国等との二国間、多国間での協力の拡大

○ 二国間と多国間の最適な組合せを常に念頭に置き、北極圏国を始め北極に携わる諸国との意見交換を更に促進するとともに、北極科学大臣会合*79*、北極サークル*80*、北極フロンティア*81*等の北極に関する国際枠組を最大限活用し、我が国の考え方や観測・研究実績の発信を更に強化し、プレゼンスの向上を図る。そのために、これら会合へのハイレベルの参加や、その主催について検討する等の取組を進める。(外務省、文部科学省)

○ 国際協力の一環として、北極圏に位置する研究・観測拠点の確保や研究者の交流、国際共同研究を推進する。その際、ICTを積極的に活用する。(総務省、文部科学省)

ウ 北極評議会(AC)の活動に対する一層の貢献

○ ACの関連会合(作業部会、タスクフォース等)に対する我が国専門家や政府関係者の派遣機会の増加等、ACの活動に対する貢献を一層強化する。また、ACメンバー国等との政策的な対話を進め、北極の主要なプレイヤーとしての貢献を強化する。(外務省、文部科学省、環境省)

○ 我が国のACへの一層の貢献を可能とする観点から、ACの議論の対象や、オブザーバーの役割についてのAC内での検討の動向を注視するとともに、オブザーバーの役割拡大を含め、ACのあり方に関する議論に積極的に参加していく。(外務省)


(3)持続的な利用

ア 北極海航路の利活用

○ 我が国海運企業等の北極海航路の利活用に向けた環境整備を進めるため、北極域及び北極海航路に関する情報収集を行うとともに、国際情勢等も踏まえつつ、産学官協議会における情報共有を始め、産学官の連携を推進する。(内閣府、外務省、文部科学省、国土交通省)

○ 水循環変動観測衛星(GCOM-W*82*)、陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)等の衛星による海氷観測データを活用し、北極海航路における船舶の航行安全のための海氷速報図作成等に係る利用実証を引き続き行う。(文部科学省)

イ 北極海の海洋環境保全の確保

○ 北極域における気候変動対策に貢献すべく、関係省庁が緊密に連携をし、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」「地球温暖化対策計画」に即して気候変動の緩和の取組を実施する(環境省)

○ 北極評議会の作業部会、その他の関連会合等のフォーラムにおける北極海の海洋環境問題の議論に積極的に参加し、我が国官民の経験や科学的知見、最先端の科学技術の活用を通じ、予防・対応策の検討に一層の貢献をする。(文部科学省)

ウ 北極域の持続的な海洋経済振興

○ 北極域における経済活動拡大のため、我が国経済界に対して、北極経済評議会*83*や北極サークル等の国際フォーラムへの積極的な参加を働きかける。(内閣府、外務省、経済産業省)

○ 政府、民間企業、研究機関が協力して、環境保全や北極域の天然資源開発等に関する情報収集及び活用方策を検討する。(文部科学省、経済産業省)


8.国際的な連携の確保及び国際協力の推進


(1)海洋の秩序形成・発展

○ 国連海洋法条約を中心とした国際ルールを適切に実施するため、国際連合等における海洋に関する議論に積極的に対応するとともに、IMO等における海洋に関する国際ルールの策定や国際連携・国際協力に主体的に参画する。(外務省、国土交通省)

○ 国連国際法委員会(ILC)や、太平洋諸島フォーラム(PIF)において、基線への影響等を含む気候変動による海面上昇への対応について国際的に議論がされている。日本とし ても基線の維持に向けて各国に対し積極的に働きかけを行っている。今後、国連海洋法条約も踏まえ、こうした国際社会での議論や、世界の海面水位上昇に係る気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の知見等の国際的な枠組みの動向も注視しつつ、国境離島の保全・管理について適切な処置を引き続き検討する。(内閣府、外務省、環境省)

○ 海洋の秩序形成・発展に貢献するため、排他的経済水域等を有する島は、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時にあっても水面上にあるものを指し、人工島、施設及び構築物は、島の地位を有しないという国連海洋法条約の規定を始めとする国際ルールに則し、海洋に関する紛争の解決の促進を図る。また、国際司法機関等第三者機関の積極的な活用を重視すべきという考え方を、我が国のみならず、各国も共有することを促進するとともに、国際海洋法裁判所等の海洋分野における国際司法機関の活動を積極的に支援する。さらに、国際法的観点から説得的な主張の展開、国際裁判等に備えた国内の体制を早急に強化するとともに、シーレーン沿岸国が国際法に基づいて適切に対応ができるように、我が国が主催する国際会議や国際法模擬裁判等の実施を通じて、これら諸国の法律家との連携を強化し、また、人材育成に貢献していく。(外務省)

○ 政府のみならずNGOや企業等民間団体を含む幅広い主体が出席するアワオーシャン会議等の場を積極的に活用し、海洋国家としての我が国官民の取組を幅広く発信することで、「海における法の支配」及び「科学的知見に基づく政策の実施」という二つの原則を国際社会全体に浸透させるとともに、国際社会におけるプレゼンスを強化する。(内閣府、外務省)


(2)海洋に関する国際的連携

○ 海洋に関する国際枠組に積極的に参加し、国際社会の連携・協力の下で行われる活動等において主導的役割を担うよう努める。特に、経済的側面を含む我が国の安全の確保の基盤である長大な海上航路における航行の自由及び安全を確保するため、EAS・ARF 等様々な場を積極的に活用し、関係各国と海洋の安全に関する協力関係を強化するとともに、ASEAN地域訓練センターにおけるVTS*84*要員の育成支援等の協力を進める。(外務省、国土交通省、防衛省)

○ 北太平洋海上保安フォーラム、アジア海上保安機関長官級会合、世界海上保安機関長官級会合等の多国間会合や、インド、韓国等との二国間会合を通じ、関係国の機関との連携を深める。また、北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP*85*)や東アジア海域環境管理パートナーシップ(PEMSEA*86*)等への参画等を通じて、関係諸国と海洋環境に係る国際連携・国際協力体制を強化する。(外務省、国土交通省、環境省)

○ マグロ類を始めとする国際的な水産資源の適切な保存管理を推進するため、各地域漁業管理機関において、我が国のリーダーシップによる科学的根拠に基づく議論を主導する。(外務省、農林水産省)

○ 公海域等における高度回遊性魚類等の資源管理の効果を損なうIUU漁業に対して、各国と協調して、地域漁業管理機関等における対策強化等を主導する。(農林水産省)

○ 海上における安全の確保のため、IMOにおける海上人命安全条約(SOLAS条約*87*)及び関連方針等の国際ルールの見直しに積極的に参画する。(国土交通省)

○ 自動運航船の実現に向け、IMOにおいて、安全に関する国際ルールの適切な整備を進める。(国土交通省)

○ 次世代AISであるVHFデータ交換システム(VDES)の国際標準化に向け、IMOにおける条約化や国際航路標識協会(IALA)における技術基準の策定に主導的に参画する。(国土交通省)

○ 船舶の再資源化(シップ・リサイクル)における安全確保及び環境保全を図るため、「船舶再資源化香港条約(シップ・リサイクル条約)」の早期発効に向けて諸外国が抱える課題解決への協力を進め、条約未締結国の締結を促進する。(外務省、厚生労働省、国土交通省、 環境省)

○ 海上でのテロ行為の防止及び海上輸送による大量破壊兵器の拡散の防止に関し、「海洋航行不法行為防止条約2005年改正議定書」等の締結を検討する。(外務省)

○ 世界保健機関(WHO)の国際保健規則(IHR)(2005)は、参加国のWHOへの通報義務や検疫等について規定しているが、健康危機発生時には、国際社会は、国際交通(具体的には、人、手荷物、貨物、コンテナ、輸送機関、物品又は輸送小包の国境を越えた移動)にかかる問題にも対応する必要がある。これらの課題に対応するため、現在WHOの加盟国作業部会において、IHR(2005)の改正の議論が開始しており、我が国も積極的に参加していく。(外務省、厚生労働省)


(3)海洋に関する国際協力

ア 海洋調査・海洋科学技術

○ 気候変動、海洋酸性化、生物多様性等の地球規模課題に対応していくため、WMO、UNESCO/IOC等の関係機関や関係省庁の下で実施されている「アルゴ計画」を始めとした国際的な海洋観測計画、データ交換の枠組等に引き続き参画・貢献する。(外務省、文部科学省、農林水産省、国土交通省)

○ 海洋調査により得られた成果を基に、海底地形名小委員会(SCUFN*88*)への海底地形名の提案を引き続き実施し、海底地形名の標準化に貢献していく。(国土交通省)

○ 近年、世界的に関心が高まっている北極海や、インド太平洋の海洋と大気の変動が環境に及ぼす影響評価を視野に入れた海洋観測研究を推進するため、「国連海洋科学の10年」に貢献するアクションとして承認された国際プログラムや科学技術協力協定等に基づく二国間協力を含め、国内外の関係機関と連携した海洋観測に関する国際協力を推進する。(外務省、文部科学省、環境省)

○ 我が国の地球深部探査船「ちきゅう」と欧米の掘削船を国際的に共同利用するIODP等に、引き続き積極的に参画するとともに、日米欧だけでなくアジア大洋州諸国等を加え

た協力体制を構築する。(文部科学省)

しょ

○ 第2期SIP「革新的深海資源調査技術」で取り組んできた太平洋島嶼国等の技術者等

を対象に実施した技術セミナーを継続的に行い、国際的な科学技術協力を促進する。(内閣府)

イ 海洋環境

○ 生物多様性を保全する観点から、サンゴ礁、広域を移動する動物等の保護に関し、国際協力の下で、海洋環境や生物の調査・研究を行う。(環境省)

○ 世界閉鎖性海域環境保全会議(EMECS)等の国際会議において、我が国の水質総量削

減制度や「里海」づくり等の環境保全施策の情報発信を行う。(外務省、環境省)

しょ

○ 太平洋島嶼国等との間で、島の保全・管理、周辺海域の管理、漁業資源の管理、気候

変動への対応など、我が国と共通の問題の解決に向けて連携・協力を推進する。(外務省、農林水産省、環境省)

ウ 海洋の治安対策・航行安全確保

○ 「アジア人船員国際共同養成プログラム*89*」等を通じて、諸外国における船員の資質向上に貢献する。また、世界海事大学等を通じて、諸外国における海事関係者の資質向上に貢献する。(国土交通省)

○ マラッカ・シンガポール海峡の航行安全の確保を図るため、官民連携の下、同海峡の協力メカニズムにおいて実施されるプロジェクトのうち、航行援助施設の整備に関する協力や、航行援助施設の維持管理に係る人材育成を推進するとともに、同海峡の航行安全対策等を充実するため、日ASEAN統合基金(JAIF*90*)を活用した沿岸国との共同水路測量及び電子海図の作成を着実に実施する。(国土交通省)

○ 港湾保安に関する国際連携を強化するため、能力向上支援、共同訓練の実施等を推進する。(国土交通省)

エ 防災・海難救助支援

○ 我が国の優れた防災技術を、アジアや太平洋島嶼国を始めとする災害に脆弱な国に対

して周知・普及活動を行う。特に、地球温暖化による海面水位上昇に伴い一層深刻化する高潮・高波等による災害を防止するため、アジア・太平洋地域等への高潮・高波予測情報の提供、技術的助言、情報ネットワーク活動の支援等を推進する。(国土交通省)

○ 北西太平洋沿岸国等における防災・減災のため、津波災害が懸念される諸外国への津波情報の迅速な提供、津波警報システム構築への技術支援等を継続する。(国土交通省)

○ アジア・太平洋地域の熱帯低気圧や火山噴火等による災害リスク軽減に資するため、気象衛星ひまわりの観測データを外国気象機関へ提供するとともに、リクエストされた領域に対して機動観測(Himawari Request)を実施する。(国土交通省)

○ 効率的かつ効果的な海難救助を実施するため、各国との間で情報交換・合同訓練等により連携・協力を強化する。(国土交通省)


9.海洋人材の育成と国民の理解の増進


(1)海洋立国を支える専門人材の育成と確保

ア 海洋産業の育成と構造転換に対応した人材の育成・確保及び教育環境の整備

○ 洋上風力発電の設置・運営に関する人材を育成する。(経済産業省)

○ シミュレーション共通基盤*91*に係る開発が実施され、実用化された場合において、これを活用しつつ、海運業・造船業の国際競争力強化のための人材育成について産学官の連携を推進する。(内閣府、国土交通省)

○ 海洋政策を推進する基盤となる国際法・海洋法の研究者を専門家に育成するため、行政実務経験の機会の提供を行う。(内閣府)

○ 海洋に関する大学等において各機関が有する特色を踏まえ、実践力強化のために産学連携を推進し、産業界のニーズ等に留意したカリキュラムの構築など、海洋開発の基盤となる人材や、デジタル・グリーン等の観点から海洋分野をけん引する高度専門人材の育成に資する取組を促進する。(文部科学省)

○ 海洋人材の育成と確保につながるよう、関係省庁の連携により、海洋分野におけるリカレント教育を推進する。(文部科学省、厚生労働省、国土交通省)

○ 海洋や水産に関する専門教育を行う高校、高専や海洋系・商船系・水産系の大学・大学校において、教育環境の整備を含め、産業界が求める人材ニーズ等を踏まえた教育の高度化を図る。(文部科学省、農林水産省、国土交通省)

○ 外板疲労等による老朽化の進行が指摘されている練習船の代船建造を計画的かつ早期に進め、学生等の安心・安全な教育研究環境の整備や新たな設備等の搭載による教育研究の高度化を着実に図る。(文部科学省)

イ 造船業・舶用工業に関わる人材の育成

○ 学生生徒の造船業・舶用工業への就職率の向上のため、職業としての魅力を発信する取組を継続する。造船技能者に対しては、造船技能研修センターの活用等により、高度な専門人材の育成を図る取組を継続する。(国土交通省)

○ 地方運輸局等を主体とした地域の造船企業、地元教育機関等との会合等を通じ、地域の連携体制を強化し、各地域のニーズに即した造船に関する教育の充実、造船人材の確保・育成を図る。(国土交通省)

ウ 船員等の育成・確保

○ 独立行政法人海技教育機構において外航・内航海運のニーズに応じた即戦力・実践力を備えた船員を養成するため、教育の高度化を含む船員教育の見直しや、乗船実習教育における多科・多人数配乗を改善する等、産学官が連携して人材育成に取り組む。(内閣府、文部科学省、国土交通省)

○ 船員教育機関以外の学校や、海運以外の業界を含む幅広い分野から多様な人材を集め、船員として雇用・育成する取組を促進するとともに、船員の労務管理の適正化や船員行政手続のデジタル化等を通じた働き方改革、魅力ある職場づくり等による船員への就業・定着の推進を図る。あわせて、地域の海運事業者等と連携して、若年の船員志望者を増やす取組を推進する。(国土交通省)

○ 若年船員の計画的な確保及び女性船員の活躍促進に向け取り組むとともに、退職海上自衛官等が船員として就業するための環境整備を引き続き行う。(国土交通省、防衛省)

○ 優秀なアジア人外航船員の確保・育成のため、開発途上国の船員教育者の技能向上を図り、より優秀な船員を養成することを目的とした研修を実施する。(国土交通省)

○ 船舶交通の要衝及び難所において船舶を導き、航行の安全を確保することで海運を支える重要な役割を担う水先人の安定的な確保・育成のため、国、水先人、海運事業者等の関係者の連携の下、複数免許取得の促進、募集活動の強化等の確保・育成策に取り組む。(国土交通省)

エ 海洋土木の担い手の育成・確保

○ 海洋土木への理解を深めるため、官民が連携して、学生生徒を対象とした現場見学会や、国や建設事業者の土木技術者との意見交換会等を引き続き実施する。また、潜水士等に対する認知度の向上や海洋土木に関する教育の充実により担い手となり得る若年者層の拡大を図る。(国土交通省)

○ 魅力的な職場とするため、官民が連携して、適切な休日確保等の就労環境改善に引き続き取り組む。(国土交通省)

○ 次の世代へと技術を伝承するため、官民が連携して、若手技術者の現場体験の機会の拡大に引き続き取り組む。(国土交通省)

○ 生産性の向上を図るため、測量から設計、施工、検査、維持管理に至るプロセス全体に3次元データを活用するなど、ICTの導入を拡大していくとともに、ICTに対応できる人材の育成を推進する。(国土交通省)

○ 東南アジア諸国等へのインフラ海外展開を推進するため、プロジェクトの川上から川下まで、各段階を担える人材の育成を更に進める。(国土交通省)

オ 水産業の担い手の育成・確保

○ 新規漁業就業者の漁業への定着率の向上を図り、将来の漁業の担い手として育成していくため、漁業への就業情報の提供や現場での研修を支援する。また、漁船漁業の乗組員不足に対応するため、水産高校生等に漁業の魅力を伝え、就業に結び付ける取組の推進のほか、海技試験の受験に必要となる乗船履歴を早期に取得できる仕組みの実践等により、海技士等の計画的な確保・育成に努める。(文部科学省、農林水産省、国土交通省)

○ 水産業及びその関連分野の人材確保のため、水産業において指導的役割を果たす人材を育成する国立研究開発法人水産研究・教育機構水産大学校や、水産に関する課程を備えた高校・大学において、好事例の普及や質の高い教員の育成・配置等による実践的な専門教育の充実を図るとともに、実習船・練習船の整備を始めとする教育環境の整備を引き続き推進する。(文部科学省、農林水産省)

○ 水産業のICT化を始め、持続的な水産資源の利用や収益性の高い操業体制への転換を進めるとともに、水産業普及指導員による新たな技術・知識の導入についての指導・助言を実施する。(農林水産省)

○ 水産業における女性の活躍の場を更に広げるため、漁獲物の加工や消費者ニーズに対応した商品開発等、女性の特性を活かしつつ能力を発揮できる多種多様な活動を促進する。(農林水産省)

カ 海洋科学技術に関する人材育成

○ 将来にわたって、海洋に関する研究開発を推進し、海洋科学技術による経済・社会的課題の解決等を図るため、専門性と俯瞰力を持った海洋科学技術に携わる人材の質と層を向上させる。また、初等中等教育、高等教育の各段階において、海洋に関する教育を実施し、海洋科学技術に興味を持つ人の裾野を広げる。(文部科学省)

○ 大学及び大学院において、学際的な教育及び研究が推進されるようカリキュラムの充実を図るとともに、産業界等とも連携しながらインターンシップ等の推進や、リカレント教育等の実践的な取組を推進することにより、海洋科学技術に関する先進的な人材を育成する。(文部科学省)

○ 海洋分野の特性に鑑み、調査船内における個別スペースの確保を始め女性が生活しやすい環境に配慮するなど、海洋関係の国立研究開発法人で女性研究者の活躍を推進する。(文部科学省)


(2)子どもや若者に対する海洋に関する教育の推進

○ 2025年までに全ての市町村で海洋教育が実践されることを目指し、「ニッポン学びの海プラットフォーム」の下、関係府省・関係機関間の連携を一層強化する。(内閣府、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)

○ 学校現場で活用できる副読本(インターネット上におけるものを含む。)の開発や、施設見学、キャリア教育・教科等横断的な学習の推進、教員がアクセスして使えるデータ利用・教材作成の手引きの充実等を通じ、教育現場が主体的かつ継続的に取り組めるような環境整備を行う。教える側のリテラシー向上に向けて、教育委員会等向けに、海洋に関するコンテンツ・情報の発信を行う。特に、海洋に関する科学的な理解を深めるため、副読本において、大学・研究機関等における研究開発の最新の状況を児童生徒の発達段階に応じて解説・情報発信する。また、関係府省・関係機関と連携し、STEAM教育を推進する。(内閣府、文部科学省、経済産業省、国土交通省)

○ 海洋に関する教育の総合的な支援体制を整備する観点から、学校教育と水族館や博物館等の社会教育施設、水産業や海事産業等の産業施設、国立研究開発法人等の研究機関、海に関する学習の場を提供する各種団体等との有機的な連携を促進する。(文部科学省、農林水産省、国土交通省)


(3)海洋に関する国民の理解の増進

○ 海洋に関する国民の理解と関心を喚起するため、国民の祝日である「海の日」制定の意義に鑑み、「海の日」や「海の月間」等の機会を通じて、大学・研究機関等が所有する船舶や海上保安庁による灯台等の一般公開、各種海洋産業の施設見学会や職場体験会、海岸清掃活動、海洋環境保全、海洋安全、沿岸域についての普及啓発活動、マリンレジャーの普及や理解増進等の多様な取組を、産学官等で連携・協力の下、実施する。(内閣府、文部科学省、国土交通省)

○ 平成27年12月、第70回国連総会において、人々の津波に対する意識向上と津波対策の強化を目的に、日本を始め世界142か国が共同提案し、全会一致で採択された「世界津波の日(11月5日)」を一つの切り口として、世界各地における「世界津波の日」シンポジウム等の普及啓発活動の推進や自然災害に脆弱な国における津波防災訓練等の実施を通じて、防災分野の様々な分野で国際協力を推進する。(外務省)

○ 一般国民が海に親しむ機会を拡大し、子どもや若者を始めとする多くの人に対し、海・船への興味・関心をより一層高める「C to Seaプロジェクト」を強力に推進するとともに、独立行政法人海技教育機構の練習船等を活用した小中学生等の各種行事への参加等を通じた普及啓発への取組も強化する。また、海事広報における官民の取組と関係者間の連携を強化し、海洋に関する理解増進や海事観光の推進のための継続的な情報発信を行う。(国土交通省)

○ 海洋に関する様々な情報を有する大学・研究機関等において、ICTの利活用を進め、メディア、インターネット等を通じて分かりやすく発信する。特に、ネットメディア、SNS、バーチャルリアリティ(VR)等の利活用を促進する。(文部科学省、農林水産省、国土交通省)

○ 海洋に関する科学技術の魅力や研究活動の実際を分かりやすく伝え、効果的な理解増進に資することを目的として、研究機関等における、広報活動に携わる専門的な人材の活用を推進する。(文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省)

○ メタンハイドレートなどの国産海洋資源開発に関する正確な知識の普及と一般国民の理解増進を図るため、インターネットでの情報発信を始めとした各学校が取り組むエネルギー教育にも資するような広報活動を行う。(文部科学省、経済産業省)

○ 海洋国家である我が国の歴史・文化を知る上で重要な文化遺産である水中遺跡について、遺跡の保存や活用等に関する検討を進める。(文部科学省)

○ 地方公共団体による水族館・科学館のコンテンツの充実、調査船の一般公開、講演会・イベント等の開催、体験型学習等の取組や海洋振興策の検討に対し、大学・研究機関等の積極的な協力を図る。また、地域における産学官連携のネットワークを通じて、地域の特色を活かした海洋教育、普及啓発活動の取組を推進する。(内閣府、文部科学省)



第3部 海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために 必要な事項


1.海洋政策を推進するためのガバナンス

 海洋基本計画は、海洋政策のあるべき姿を打ち立てる国家戦略である。

 海洋政策を包括するとともに、各府省の関連施策に「横ぐし」を刺す機能を有している海洋基本計画を確実に実行するためには、総合海洋政策本部等が一体となって、政府の司令塔としての機能を十分に果たす必要がある。

 そのため、以下のとおり、参与会議や関係府省庁、民間事業者、大学・研究機関等との連携を含む総合海洋政策本部等の機能や体制の強化、参与会議の機能の充実、各施策の工程管理と主要な海洋政策の推進状況の多角的な評価を通じた重点的に取り組む施策の明確化により、ガバナンスの更なる強化に取り組む。


(1)総合海洋政策本部の機能強化

 総合海洋政策本部等と施策を実施する関係府省が、参与会議の識見を十分に得ながら議論を重ね、府省庁間に跨る施策について、高い実効性とスピード感をもって諸施策を確実に実現していけるよう積極的に取り組む。また、重要施策の推進に当たっては、民間事業者や大学・研究機関等との連携を更に深化させる。

 また、国の他の計画のうち海洋に関する施策を含むものは、本計画で示す基本的な方針に沿って策定・推進すると同時に、本計画の推進に当たっては、関連する他の計画との整合性の確保や、連携効果の発揮に十分配慮する。

 総合海洋政策本部が政府の司令塔としての機能を果たすべく、本部会合を機動的に開催する。


(2)総合海洋政策推進事務局の機能・体制の強化

 総合海洋政策本部が政府の司令塔としての機能を発揮するためには、その実務を担う総合海洋政策推進事務局の機能を強化することが不可欠である。

 具体的には、司令塔機能のみならず、複数の関係府省庁間で意見の対立が発生した場合に優先すべき事項が何かを俯瞰して判断し調整する総合調整機能、これらの基盤となる調査機能を一層向上させる必要がある。そのため、総合海洋政策推進事務局の体制に係る人員及び予算の強化を図るものとする。


(3)参与会議の機能の充実

 参与会議は、海洋政策の推進において、海洋に関する施策に係る重要事項について審議し、本部長に意見を述べる役割を担う。その際、政府が時代に即して柔軟に対応できるようにするため、特に政府における様々な取組の中で重点的に取り組むべきものが何か議論し、意見を述べることが期待される。

 そのため、参与会議は、参与以外の幅広い関係者の参画も得て必要に応じてプロジェクトチーム等を設置して専門的なテーマについて審議するほか、海洋基本計画に掲げた施策の実施状況の継続的なフォローや主要な海洋政策の推進状況の評価を通じて重点的に取り組む施策についての審議も行う。

 令和4年度において、更に幅広い専門分野の有識者が参与会議に参画できるよう、参与の定員を10名から12名に増員したが、参与会議がその役割を十分に果たせるよう、関係府省庁は、参与会議に積極的に参画する。


(4)各施策の工程管理と主要な海洋政策の推進状況の多角的な評価を通じた重点的に取り組む施策の明確化

 総合海洋政策推進事務局及び関係府省庁は、本計画に掲げた施策を進めるに当たり、施策の実現に向けた工程とその実施状況の点検結果を明らかにし、必要に応じて見直しを行うことにより工程管理を行う。工程管理の方法は、それぞれの施策の性質も踏まえ、効果的・効率的なものとなるよう工夫する。

 また、施策の実施によって本計画の主要な海洋政策がどの程度推進されているかを多角的に評価するための代表的な指標(KPI)等を設定し、その状況を参与会議、総合海洋政策推進事務局及び関係府省庁が確認する。

 海洋に関する施策は、総合的な取組が必要であるが、こうした工程管理や評価を通じて本計画の計画期間の各年度において重点的に取り組む施策を明確化した上で、有限である政策的な資源を優先的・集中的に投入し、海洋政策を推進していくものとする。


2.関係者の責務及び相互の連携

 海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するためには、政府機関のみならず、地方公共団体、大学・研究機関等、民間事業者、公益団体、国民等の様々な関係者の英知と総力を結集することも極めて重要であり、官民、産学官公の様々な連携を図りつつ、それぞれの役割に応じて積極的に取り組むことが重要である。

 地方公共団体は、国と地方の役割分担の下、地域の実態や特色に応じて、海岸等における漂着ごみの処理に努める等の良好な海洋環境の保全、地域の重要な産業である水産業や地域資源を活用した海洋関連観光等の海洋産業の振興、陸域と海域を一体的かつ総合的に管理する地域の計画の策定、地域の特色を活かした人材の育成等に努めることが重要である。

 海洋産業の事業者は、海洋資源開発や海洋由来エネルギー利用の着実な推進、環境負荷の低減技術の開発等の環境対策等を通じた海洋環境の保全、水産資源の適切な管理、効率的・安定的な海上輸送の確保、情報技術の進展等を活かした新たな事業展開等に努めることが重要である。

 大学・研究機関等は、海洋国家の実現に向けて海洋科学技術に関する研究開発の推進等に努めることが重要である。

 国民は、海洋に関する会議やイベントへの参加、海洋産業の事業者との交流、身近な海洋環境保全活動の実施等のボランティア活動等を通じて、国の施策に協力することが重要である。

3.施策に関する情報の積極的な公表

 海洋基本計画は、広く国民に周知されるよう印刷物、インターネット等様々な媒体を通じて情報提供する。その際に、国民にとって分かりやすく、また、親しみやすいものとなるよう、図表、写真等を積極的に取り入れた海洋基本計画のポイントを取りまとめた資料を作成し、公表する。

 また、施策に関わる関係者が相互に連携を図りながら施策を推進できるよう、関係者間で情報を共有する基盤を構築することが重要である。このため、主要な海洋政策の推進状況について、適切な方法により公表する。

 さらに、「海洋レポート(海洋の状況及び政府が海洋に関して講じた施策)」に関して、政府や関係機関における取組やその状況等について資料として取りまとめ、毎年度公表する。



{梃子 にてこ とルビあり}
{嶼に しょ とルビあり}
{海業に うみぎょう とルビあり}
{輻輳に ふくそう とルビあり}
{疎に まば とルビあり}
{*1* 3-1.参照}
{*2* 「海洋調査、海洋観測」、「科学技術、研究開発」、「人材育成、理解増進」については、それぞれ(3)(4)(7)に記載する。}
{*3* Maritime Domain Awareness の略。海洋の安全保障、海洋環境保全、海洋産業振興・科学技術の発展等に資する海洋に関連する多様な情報を、取扱等に留意しつつ効果的な収集・集約・共有を図り、海洋に関連する状況を効率的に把握すること。}
{*4* 海上保安庁にて整備・運用している、衛星情報を含めた海洋情報の集約・共有・提供のための情報システム。}
{*5* アプリケーションプログラミングインターフェイス。プログラムの機能をその他のプログラムでも利用できるようにするための規約であり、特定の機能を利用することができる。}
{*6* 世界共通の長期目標として、産業革命前からの平均気温の上昇を2°Cより十分下方に保持すること、1.5°Cに抑える努力を追求すること等を定めたもの。(2015年12月採択)}
{*7* 2020年までに生物多様性の損失を止めるための効果的かつ緊急の行動を実施するという20の個別目標のこと。2010年10月にCOP10が開催された愛知県名古屋市にちなんだ名称。}
{*8* 違法・無報告・無規制(IUU:Illegal, Unreported, Unregulated)漁業とは、無許可操業、無報告又は虚偽報告された操業、無国籍の漁船、 地域漁業管理機関非加盟国の漁船による操業等によって、国際規制を受けずに行われる漁業活動のこと。}
{*9* International Seabed Authority の略。国連海洋法条約及び同条約第11部の実施協定の規定に従って、深海底における活動を組織し及び管理する機関。国連海洋法条約が「人類の共同の遺産」と規定した深海底(全ての沿岸国の大陸棚の外側にあっていずれの国の管轄権も及ばない海底及びその下)の鉱物資源の管理等を目的とする。}
{*10* 1987年に「環境と開発に関する世界委員会」(委員長は当時のブルントラント・ノルウェー首相)が公表した報告書で取り上げられた概念に「持続可能な社会」という言葉がある。この言葉は「環境と開発は共存し得るもの」として環境に配慮した節度のある開発や社会が重要という考え方に基づいている。この概念に基づけば、海洋について、現在の世代の要求を満たしながら、将来の世代が必要とする海洋環境やサービスを損なわない海洋と換言できる。}
{*11* UN Decade of Ocean Science for Sustainable Development。2017年12月に国連総会で採択・宣言されたもので、海洋科学の推進により、SDG14「海の豊かさを守ろう」を始めとする持続可能な開発目標を達成するために、2021年から2030年まで集中的に、世界中の研究機関・科学者が連携して、取り組みを実施するもの。}
{*12* 1994年、ブルネイ・インドネシア・マレーシア・フィリピンによって当該4か国の辺境地域の経済成長のため設立された地域枠組。}
{*13* 開発プロセスの初期段階において「負荷を掛ける=十分な検討を行う」ことで、できる限り早い段階で多くの問題点やリスクを洗い出し、対策を講じる手法。これにより、全体の品質を高める効果がある。}
{*14* Official Development Assistance の略。開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動。}
{*15* 一般市民が参加・協力する研究活動。専門の科学者と市民との協調の下で進められることが多い。}
{*16* 事前に仮説を立てずに、ビッグデータを解析することで、新たな知識を創出する研究手法。}
{*17* 現実世界の情報をコンピューター上に再現する技術。}
{*18* 船舶観測の国際的なコンソーシアムである"The Global Ocean Ship-based Hydrographic Investigations Program"(全球海洋各層観測調査プログラム)の略。長期の再観測を継続することで繊細な海洋の変化(特に中・深層)に関する情報を充実させている。}
{*19* Data Integration and Analysis System の略。地球環境ビッグデータ(観測情報・予測情報等)を蓄積・統合解析し、気候変動等の地球規模課題の解決に資する情報システム。}
{*20* SDGs や環境を重視する国内外の動きが加速していくと見込まれる中、持続可能な食糧システムを構築に向けて、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するために農林水産省が令和3年5月に策定した政策方針。}
{*21* サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)。}
{*22* 人文・社会科学の知と自然科学の知の融合による人間や社会の総合的理解と課題に貢献するもの。総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会の議論を経て令和4年3月に公表された「「総合知」の基本的考え方及び戦略的に推進する方策 中間とりまとめ」では、「総合知とは、多様な「知」が集い、新たな価値を創出する「知の活力」を生むこと」とされている。}
{*23* データの特性から公開すべきもの(オープン)と保護するもの(クローズ)を分別して公開する戦略。}
{*24* 海洋科学技術の振興のための基盤となる技術及び共通で利用される技術。観測においては、観測のプラットフォームとして、例えば、研究船、無人観測システム、共同利用する高度な測定装置、採取装置、通信インフラ等がある。また、データ解析においては、データ利活用のためのプラットフォームとして、例えば、大容量のデータベース、計算を行う高度な計算機、シミュレーション・データ解析やデータ共有のシステム等がある。}
{*25* 衛星情報や海象・環境データ、数値シミュレーションをベースとした科学。}
{*26* 例えば、AUV を始めとする無人観測システム、宇宙システム、シミュレーション技術、海底観測技術、衛星測位技術、AI 技術。}
{*27* Arctic Council の略。北極評議会の設立に関する宣言(オタワ宣言)(Declaration on the Establishment of the Arctic Council)(1996年9月 19日)に基づき、北極圏国(Arctic States)8か国(カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、米国)によって設置。北極における持続可能な開発、環境保護といった共通の課題に対する協力を促進することを目的とする(オタワ宣言では、軍事・安全保障に関連する事項は扱わないこととされている。)。}
{*28* 企業・労働者を取り巻く環境が急速かつ広範に変化し、労働者の職業人生の長期化も同時に進行する中で、労働者の学び・学び直しの必要性が益々高まっていることから、厚生労働省において、「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を策定したところ(令和4年6月)。}
{*29* リカレント教育とは、学校教育からいったん離れた後も、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていくための社会人の学びのこと。}
{*30* 「科学 (Science)」「技術 (Technology)」「工学 (Engineering)」「芸術 (Art)」「数学 (Mathematics)」の5つの頭文字から成る造語で、従来の理数教育(STEM)に創造性教育をプラスした教育理念。}
{*31* Social Networking Service(ソーシャルネットワーキングサービス)の略。登録された利用者同士が交流できる Web サイトの会員制サービス。}
{*32* Japan Aerospace eXploration Agency の 略 。}
{*33* Combined Maritime Forces の略。バーレーンに本部を置く、海賊対処等を実施する多国籍の海軍が共同して活動する部隊。}
{*34* Contact Group on Illicit Maritime Activities の略。国連安保理決議第1851号(2008年12月採択)を受けて2009年1月に発足した、ソマリア沖海賊対策コンタクト・グループ(CGPCS: Contact Group on Piracy off the Coast of Somalia)を前身とする各国政府・軍、海運業者、NGO 等による根本的原因への対策も含めた対ソマリア海賊の取組を調整する場。}
{*35* Combined Task Force 151 の略。2009年1月に海賊対処のために設置された多国籍の連合任務部隊。}
{*36* International Maritime Organization の略。1958年に設立された、船舶の安全及び船舶からの海洋汚染の防止等、海事問題に関する国際協力を促進するための国連の専門機関(設立当時は「政府間海事協議機関」。1982年に国際海事機関に改称。)。}
{*37 Djibouti Regional Training Centre の略。ソマリア及び周辺国の海上保安能力の向上支援として、我が国等が拠出した、IMOのジブチ行動指針(DCoC)信託基金によって建設された訓練施設。}
{*38* Regional Cooperation Agreement on Combating Piracy and Armed Robbery against Ships in Asia の略。アジアの海賊・海上武装強盗対策のため、2006年に発効し、情報共有センター(ISC)がシンガポールに設立された。ISCは締約国間の情報共有の促進、独自情報の収集・分析・発信、締約国の能力構築等を実施しており、締約国はISCを通じ、海上保安当局間で海賊・海上武装強盗に関する情報共有及び協力を実施。ISC発足以来、2022年まで日本人が歴代事務局長を務めた。}
{*39* 海上保安庁に設置された外国海上保安機関への能力向上支援の専従部門であり、アジア諸国を中心とした諸外国の海上保安機関職員に対する研修訓練を実施するとともに支援内容の要望にきめ細かく対応するための協議等を通じて、信頼関係を構築し、より一貫性・継続性をもった能力向上支援を効果的に実施することを目的としている。}
{*40* East Asia Summit の略。2005年から開催される首脳会議。ASEAN10 か国に加え、日本、中国、韓国、豪州、ニュージーランド、インド、米国、ロシアが参加。}
{*41* ASEAN Regional Forum の略。政治・安全保障問題に関する対話と協力を通じ、アジア太平洋地域の安全保障環境を向上させることを目的としたフォーラムで、1994年から開催。}
{*42* ASEAN Defence Ministers' Meeting(ASEAN 国防相会議)の略。2006年から開催されるASEAN加盟国の防衛担当大臣による閣僚級会合。2010年の第4回ADMMにおいて、我が国を含むASEAN域外国8か国(豪州、中国、インド、日本、ニュージーランド、韓国、ロシア及び米国)を新たなメンバー(プラス国)として、ADMMプラスの創設が決定し、同年10月に第1回ADMMプラスが開催された。ADMMプラスはアジア太平洋地域における唯一の公式な防衛大臣会合。}
{*43* Proliferation Security Initiative の略。国際社会の平和と安定に対する脅威である大量破壊兵器・ミサイル及びそれらの関連物資の拡散を阻止するために、国際法・各国国内法の範囲内で、参加国が共同してとりうる移転(transfer)及び輸送(transport)の阻止のための措置を検討・実践する取組。}
{*44* Port State Controlの略。}
{*45* Automatic Identification System の略。船舶の位置、速力、針路等の情報及び安全に関する情報をVHF(超短波)帯の電波で送受信するもので、船位通報の自動化、運航者の労力軽減及び通信の輻輳化の防止並びに船舶相互の衝突防止等が期待されるシステム。}
{*46* 令和4年4月に北海道知床沖で遊覧船が沈没し、乗員乗客計26名が死亡・行方不明となった事故が発生したことを受け、同年12月に「知床遊覧船事故対策検討委員会」において取りまとめた対策。}
{*47* International Hydrographic Organization の略。全世界の航海をより容易で安全にすることを目的として、水路図誌(海図、水路誌等)の最大限の統一、水路測量の手法や水路業務の技術開発等を促進するための技術的、科学的な活動を行う国際機関。1921年に国際水路局として設立され、1970年に発効した国際水路機関条約に基づき国際水路機関となった。}
{*48* Business Continuity Plan の略。港湾BCPは、大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、突発的な港湾運営環境の変化等の危機的事象が発生しても、当該港湾の重要機能が最低限維持できるよう、危機的事象の発生後に行う具体的な対応(対応計画)と、平時に行うマネジメント活動(マネジメント計画)等を示した文書。}
{*49* Seafloor observation Network for Earthquakes and Tsunamis along the Japan Trench の略。北海道沖から房総沖までの日本海溝沿いにおける、広域かつ稠密な地震・津波観測網(地震計・水圧計)。観測点150か所を全長約5,700kmの海底ケーブルで接続し、観測データをリアルタイムで陸上に伝送している。地震・津波の発生メカニズムの解明や、地震・津波に関する正確かつ迅速な情報の提供等に活用することを目的とする。}
{*50* Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis の略。紀伊半島沖(東南海地震の震源域)及び潮岬沖から室戸岬沖(南海地震の震源域)における、広域かつ稠密な地震・津波観測網(地震計・水圧計等)。観測点51か所を全長約700kmの海底ケーブルで接続し、観測データをリアルタイムで陸上に伝送している。南海トラフ沿いで発生する地震・津波の発生メカニズムの解明や、地震・津波に関する正確かつ迅速な情報の提供等に活用することを目的とする。}
{*51* Japan Oceanographic Data Center の略。国内の海洋調査機関等によって得られた海洋データを収集・管理し、国内外へ提供する海上保安庁運営の機関。}
{*52* Convention on Biological Diversity(生物の多様性に関する条約)の略。生物多様性の保全、生物多様性の構成要素の持続可能な利用、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を目的とする、1992年に採択された条約(1993年発効)。}
{*53* 1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催の「国連環境開発会議」から20年後の2012年6月に、同じリオデジャネイロで開催されたフォローアップ会議で、グリーン経済に向けた取組の推進、持続可能な開発を推進するための制度的枠組み、防災や未来型のまちづくり等の取組について議論が行われた。最終日に、SDGs策定のための政府間プロセスの立ち上げ等で一致した成果文書「我々の求める未来」が採択されるなど、今後の国際的取組を進展させる上で重要な成果が得られた。}
{*54* 世界気象機関(WMO)、UNESCO/IOC等の国際機関及び各国の関係諸機関の協力の下、全世界の海洋内部の塩分及び海水温を、アルゴフロートと呼ばれる観測機器によって、ほぼリアルタイムに観測・把握する国際プロジェクト。我が国では、JAMSTEC等が実施機関となってアルゴ計画を推進している。}
{*55* 2019年6月に開催されたG20大阪サミットにおいて日本が提案した「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す」という共通の世界のビジョン。サミット後も他国や国際機関等にもビジョンの共有を呼びかけ、2023年2月時点で、87の国と地域によって共有されている。}
{*56* 船舶の航行に起因する海洋汚染を防止するため、油、有害液体物質、汚水、廃棄物等について、船舶からの排出方法、船舶の構造設備等に関する基準を定めた国際条約。MARINE POLLUTION(海洋汚染)の頭文字をとってMARPOL条約と称する。正式名称は、International Convention for the Prevention of Pollution from Ships。}
{*57* 海洋科学技術(ブルーテック)を核とした、地域の産業集積。}
{*58* 窒素、りん、珪素等の植物プランクトンや海藻等の生長・増殖に必要な物質。海水交換が少ない閉鎖性海域等に栄養塩類が過剰に流入すると、植物プランクトンが大量増殖し、赤潮の発生やこれらの分解過程で生じる底層溶存酸素量の低下等の水環境の悪化が生じる}
{*59* 「水質汚濁防止法」(昭和 45年法律第 138 号)等に基づき、人口産業が集中する広域的な閉鎖性海域を対象に、海域に流入する汚濁負荷の総量を削減する制度。現在、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海を対象に、化学的酸素要求量(COD:Chemical Oxygen Demand)、窒素及びりんの総量削減が実施されている。}
{*60* Japan Organization for Metals and Energy Security の 略 。}
{*61* Organisation for Economic Co-operation and Development(経済協力開発機構)の略。}
{*62* Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。}
{*63* ICT の全面的な活用等を建設現場へ導入することにより、建設生産システム全体の生産性向上を図る取組。}
{*64 海洋産業の中でもプレジャーボートなどを利用したマリンレジャーに関連する産業。(例えば、プレジャーボートの製造・販売・整備、保管・レンタル等に関するサービス業が該当する。)}
{*65* 船舶へ LNG 燃料を供給すること。}
{*66* 循環型社会の実現を図るため、静脈物流ネットワークの拠点となる港湾のこと。}
{*67* 港湾管理者が管理する港湾区域及び「河川法」(昭和 39年法律第167号)に規定する河川の河川区域以外の水域における船舶の交通を確保するため開発及び保全に関する工事を必要とする航路。}
{*68* Total Allowable Catch(総漁獲可能量)の略。}
{*69* Hazard Analysis and Critical Control Point の略。原材料の受入れから最終製品に至るまでの工程ごとに、微生物による汚染や金属の混入等の食品の製造工程で発生するおそれのある危害をあらかじめ分析し、危害の防止につながる特に重要な工程を重要な管理点として継続的に監視・記録する工程管理システム。}
{*70* 「きれいな海」、「健全で回復力のある海」、「生産的な海」、「予測できる海」、「安全な海」、「万人に開かれた海」、「夢のある魅力的な海」。}
{*71* 「アルゴフロート」等の海面から水深 2000m まで浮沈を繰り返しながら水温・塩分を観測し、得られたデータを海面浮上時に準リアルタイムで送信する自動昇降型漂流ブイ。}
{*72* 観測機器を配置したワイヤーの一端を海底に固定(係留)し、もう一方をブイの浮力によって海中に立ち上げることで、海中の定点を長期間にわたって連続的に観測するシステム。}
{*73* 海中及び海底を探査することを目的とした、AUV や遠隔操作型無人探査機(ROV)等のプラットフォームを連携したシステム。}
{*74* World Meteorological Organization の略。世界の気象事業の調和的発展を目標とした国際計画の推進・調整を行うため、1950年に世界気象機関条約に基づいて設立された国際連合の専門機関。}
{*75* 自動的に海中を浮き沈みして、水温・塩分を測定・送信する高さ1メートルの筒状の計測機器。}
{*76* Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology の略。海洋に関する基盤的研究開発、海洋に関する学術研究に関する協力等の業務を総合的に行うことにより海洋科学技術の水準の向上を図るとともに、学術研究の発展に資することを目的とした文部科学省所管の組織。}
{*77* Remotely Operated Vehicle の略 。}
{*78* International Ocean Discovery Program の略。2013年10月から開始された多国間科学研究協力プロジェクト。日本、米国、欧州がそれぞれ提供する掘削船を用いて世界中の海底を掘削して地質試料(掘削コア)の回収・分析や孔内観測装置の設置によるデータ解析等の研究を行うことで、地球や生命の謎の解明に挑戦している。}
{*79* 北極に関する研究・科学の国際協力を強化し、政策決定に生かすことを目的に米国のイニシアティブにより2016年9月にワシントンDCにおいて第1回会合を開催。第2回会合は2018年10月にベルリンにおいて開催。第3回会合は2021年5月にアジアで初めて東京で開催され、我が国から、北極域研究船の国際観測プラットフォームとしての運用等を打ち出し、参加した各国から高い関心が寄せられた。}
{*80* グリムソン・前アイスランド大統領、クライスト元グリーンランド首相等により設立され、政府関係者、研究者、ビジネス関係者が分野を超えて集まる北極の将来に関する国際的対話や協力のためのネットワーク。}
{*81* 2007年以降毎年1月下旬にノルウェー・トロムソで開催されている、北極における持続可能な開発に関する産学官の国際会議。ノルウェーの民間企業が事務局を担う。}
{*82* Global Change Observation Mission - Water の略。「地球環境変動観測ミッション(GCOM)」は、地球規模での気候変動、水循環メカニズムを解明するため、全球規模で長期間(10~15年程度)の観測を継続して行えるシステムを構築し、そのデータを気候変動の研究や気象予測、漁業等に利用して有効性を実証することを目的としている。}
{*83* 2014年3月の北極評議会北極高級実務者会合で承認された勧告に従い、同年9月に設立。同評議会メンバーのビジネス界代表、先住民6団体代表のみメンバーとして意思決定に参加可能。}
{*84* Vessel Traffic Service(船舶通航サービス)の略。}
{*85* Northwest Pacific Action Plan の略。国連環境計画(UNEP)が提唱してきた閉鎖性水域の海洋汚染の管理並びに海洋及び沿岸域の資源の管理を目的とする地域海計画の1つ(世界全体で 18)。1994年9月に、メンバー国(日本、韓国、中国及びロシア)は共同して NOWPAP に取り組むことを承認した。富山及び釜山(韓国)に地域調整部を置き、意思決定機関として、毎年政府間会合を開催。}
{*86* Partnerships in Environmental Management for the Seas of East Asia の略。東・東南アジアの海域における海洋開発と海洋環境の保全との調和の実現を目的とした、東・東南アジアの各国政府、NGO 等が参加する協力の枠組。1994年に国連開発計画(UNDP)が地球開発基金(GEF)の資金供与を受けて開始したプログラム。海域と陸域を一体的に捉えた沿岸域を、行政が主体となって様々な関係者の参加の下に統合的かつ計画的に管理する統合的沿岸管理(ICM:Integrated Coastal Management)を推進。}
{*87* International Convention for the Safety of Life at Sea の略。タイタニック号の遭難事故を契機に、それまで各国に任されていた船舶の安全性確保について国際的に取り決めた1914年の条約が最初のもので、現在は1974年に採択された条約(1974年の海上における人命の安全のための国際条約)が効力を有している。船舶の構造、設備、船上で行われるべき措置、安全運航の管理に係る技術要件について規定。}
{*88* Sub-Committee on Undersea Feature Names の略。世界の海底地形名を標準化するための学術的な委員会。}
{*89* 平成20年11月の日ASEAN交通大臣会合で承認された船員養成事業の推進を図るプログラム。}
{*90* Japan-ASEAN Integration Fund の略。ASEANを支援するために、日本政府の拠出金に基づき、平成18年にASEAN事務局に設置された基金。}
{*91* コンピューター上の計算を活用したシミュレーション技術の発展に伴い、船舶の開発・運用において、自動運転技術を始めとするデジタルトランスフォーメーション(DX)等の次世代技術の開発促進も含めた取組を早急に推進することが必要とされる状況において、産学の有する知見、ツール、人的資源、大量・多様なデータが結びつく基盤。}