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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案」と武器輸出三原則等との関係についての内閣官房長官談話(町村信孝内閣官房長官)

[場所] 
[年月日] 2007年10月17日
[出典] 首相官邸
[備考] 
[全文]

1 政府は、平成13年9月11日に米国で発生したテロ攻撃が国際連合安全保障理事会決議第1368号において国際の平和及び安全に対する脅威と認められたこと等を踏まえ、いわゆるテロ対策特別措置法に基づいて海上自衛隊による給油その他の協力支援活動を実施してきた。この活動は国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に貢献し、国際連合安全保障理事会決議第1776号においてその貢献に対する評価が表明されたほか、各国からもその活動継続に対する強い期待が寄せられている。平成13年9月11日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃によってもたらされている脅威がいまだ除去されていない現状において、国際社会は、累次の同理事会決議を受けて、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための取組を継続している。こうしたことから、本日、「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案」を閣議決定し、テロ対策海上阻止活動を行う諸外国の軍隊等に対し補給支援活動を実施することにより、我が国が国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に引き続き積極的かつ主体的に寄与し、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資することとした。

2 本法案においては、我が国が行う活動の種類及び内容をテロ対策特別措置法に基づく対応措置の一つである協力支援活動のうち補給に相当するものの一部に限定したものの、この場合においても、自衛官等が携行する武器等や当該活動に使用する艦船等に武器輸出三原則等における武器等に該当するものが含まれることから、外国の領域における補給支援活動の実施が武器輸出三原則等における武器等の輸出を伴うことが想定される。そこで、政府としては、その限りにおいて、武器輸出三原則等によらないこととする。もとより、この場合においても、

(1)本法案に基づき我が国が実施する補給支援活動は、諸外国の軍隊等が行っている当該テロ攻撃による脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動のうち、テロリスト、武器等の移動を国際的協調の下に阻止し及び抑止するためインド洋上を航行する船舶に対して検査、確認その他の必要な措置を執る活動の円滑かつ効果的な実施に資するため、本法案の範囲に限って行われるものであること

(2)自衛官等が使用するために輸出する武器等については、自衛隊等により厳格に管理され、任務終了後我が国に持ち帰ることとしていること及び当該武器等の使用は、本法案等に定める要件を充足する場合に限定されること

により、国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等のよってたつ平和国家としての基本理念は確保されることとなる。

3 なお、政府としては、今後とも武器輸出三原則等に関しては、国際紛争等を助長することを回避するというその基本理念を維持していく考えである。